外史での生活が始まって一日目の早朝、長武は一人、庭で鍛錬を始めていた
長武「・・・・・・」
コォォォォォォォォォ・・・
ただし、目を閉じて全身に気を巡らせ、両腕を水平に伸ばし、どこから持ってきたのか子供一人分ほどの重さの石を微動だにせずに持ちながら・・・
長武「・・・っ!」
フッ・・・
ドスッドスンッ
長武「ふぅ・・・この程度じゃまだまだあの偃月刀を振るうのは厳しいな・・・」
霞「長武起きるの早いなぁ~」
長武「おわぁっ霞!?」
霞「なんや長武、気付いとらんかったんか?」
長武「気の鍛錬に集中してて全然気付かなかったよ・・・」
霞「そか、それにしても長武凄いなぁ。気が使えるやなんて」
長武「これは、俺の右眼にある鬼の眼のおかげだよ、ほら」
コォォォォォ
霞「ほ~、鬼の眼か~青白く光って・・・へっ?鬼?」
長武「あ、言っとくが俺は鬼じゃないからな?鬼の眼が俺の右眼に宿ってるだけだ」
霞「そ、そっか。なんやビックリしたで~」
長武「で、霞も随分と早いじゃないか。どうしたんだ?」
霞「ん?あれ、なんではよ起きたんやったっけ?」
長武「おいおい・・・」
霞「あ、そうや。長武!馬に乗る練習するで!」
長武「え?あぁ、そういうことか。じゃあ、行こうか」
霞「おう、今日は夕方までみっちり教えたるさかい、覚悟しときや?」
長武「うへぇぇ・・・」
それから数十分後
張文「あいつらどこ行った?・・・まぁいい、おい、上から呼び出しがあった。また新しい任務だろう。城に行ってくるがすぐ帰ってくる。準備だけしといてくれ」
使用人「旦那様、少々お待ちください」
張文「ん?どうした?」
使用人「わたくしは、貴方が仕官する前から、貴方に仕えてきました」
張文「そうだな、今まで色々世話になったな」
使用人「はい。わたくしはその旦那様が捕まってしまうのを見たくありません」
張文「はっはっは、何を言う。ワシが捕まるワケが無かろう。捕まるのは町を騒がせる不埒な輩どもだ」
使用人「そうですね、捕まるのはそういう人たちですね。しかしそうするとやはり旦那様も含まれてしまいます」
張文「なに?そんなことないだろう?いつもの姿だぞ?」
使用人「そうですね、確かに休日の自室での旦那様の姿です」
張文「は?」
張文はここでやっと自分の身につけている物を確認した
張文の目に映ったのは下着一枚。このまま外に出ていれば変質者確定で逮捕されてしまうのは確実だろう
張文「は、早く言わんか馬鹿者ぉ!!」ダダダダ!
張文はようやく自分の姿を理解し、急いで着替えると、正装をし、支給されている剣を佩いて城に出掛けた
ところ変わって馬邑県近辺の草原。すでに太陽は真上を通り過ぎ、傾いていた
二人とも、馬に乗ったまま休憩をしていた。霞曰く、「常に馬に乗った状態にして、乗っていることが当たり前になるようにするんや!そうすればどんな状況になっても馬を素早く操作できるからな!」ということらしい
霞「なんや長武、結構覚え早いやんか。もう駈歩(かけあし)ができるようになっとるし」
長武「馬に乗れるようになりたいって思いはあったからな。楽しいことは覚えるのも早いものさ」
霞「でも、まだまだ速く走れるようにならなあかんからな。今から夕方まで止まらず走るで!」
長武「げぇっまじかよ・・・(なんか神速って言われる意味が分かる気がする)」
霞「ほらっ休憩終わり!とっとと行くで!」
長武「はいはい・・・」
霞「はいは一回や!」
長武「はーい」
霞「伸ばすなぁ!」
バシンッ
ヒヒーーーーン!!
長武「どわぁぁぁぁぁ!?」
霞「にひひひひ♪ウチも行くでぇ!」
霞が長武の乗っている馬の尻を叩いたことで、長武の馬は驚いて走り出してしまった。それを追いかける霞は、今までで一番楽しそうな笑顔をしていた
時間は戻ってこちらは張文
朝の出掛ける前の露出魔未遂事件のあと、張文は大急ぎで城に向かった
張文「おい、そこの君。丁原様から呼び出しを受けて参った。取り次いでくれ」
衛兵「はっ!丁原様から張文様がいらっしゃることは聞いております。丁原様は恐らく執務室におられます」
張文「丁原様、張文でございます」
丁原「おう、入れ」
ガチャ
張文「丁原様、本日はどのような要件でしょうか」
丁原「うむ、近頃賊の活動が目立ち始めている。さらに噂では西の山に賊の本拠地があるというのでな。その噂の真偽を確かめ、もし見つけたなら潜入して中の様子を確かめ、殲滅戦の布石を打っておいてもらいたい」
張文「期間はどれほどでしょう?」
丁原「お前に任せる」
張文「なるほど・・・承知しました。準備ができ次第、出発いたします」
丁原「頼むぞ」
張文「お任せください。では、失礼します」
張文「賊の本拠地か・・・こりゃ大仕事だな」
張文はそう呟きながら城を出て、家に戻った
張文「帰ったぞ」
使用人「お帰りなさいませ。で、しばらく留守になるのでしょう?」
張文「あぁ、すまないが今回は少し長くなる」
使用人「さようでございますか。霞様達には?」
張文「今回は言ってから出るさ、長武君もいるしな」
使用人「かしこまりました。では、私は夕飯の支度がありますので、旦那様は任務の御支度をどうぞ」
張文「あぁ、ありがとう」
時間はもとに戻り
日が暮れたころ、霞と長武は家へ帰ってきた
霞「たっだいま~!父ちゃん帰ったで~お腹ペコペコや~」
長武「ただいま~・・・疲れた~!」
使用人「お二人ともお帰りなさいませ。夕飯の準備は出来ておりますよ」
霞「おー!長武!はよ食べるで!」
長武「おう!」
食事中
張文「霞、長武君。話がある」
霞・長武「なんや?(なんでしょう?)」
張文「今日城に呼ばれてな、新たな任務に就くため、今晩からしばらく留守にする」
霞「またかいな~今度はどれくらいかかるん?」
張文「さぁな、しかし俺が帰ってきたときは、丁原様の賊討伐軍が出る」
長武「それはつまり、賊の偵察ですか?」
張文「そういうことだ。心配するな、うまくやるさ」
霞「ま、父ちゃんなら問題無いしな」
長武「そうなのか?」
霞「父ちゃんは隠密の天才やからな」
長武「え!?」
張文「驚いたか?ワシはこの并州刺史、丁原様配下の隠密部隊でな。今までも色々なところに潜り込んだものだ」
長武「そうだったんですか・・・」
張文「というわけで、留守を頼んだぞ」
霞・長武「「はい」」
張文自室
張文「さて、着替えて出るか」
張文は隠密用の真っ黒な装束に身を包み、頭にも黒い布を巻いた
武器は小刀と吹き矢(睡眠針、毒針、麻痺針)のみ
その他変装道具
張文「これでよし。さぁ、任務開始だ」
張文は小刀と吹き矢を腰にさし、変装道具や食料を入れた包みを背負い、夜中、家を出た
長武(行ったのか・・・)
長武は何かが出ていく気配を感じ目を覚ました。しかしそれが張文だということは分かっていたので、何もせずにそのまま眠りについた
あとがき
今回はダラダラと日常的なもの?を書かせていただきました
毎回のことながら短かったですがいかがでしょう?
張文はこれからもオリキャラとして登場していきますよ
ところで張家の使用人(女性です)、どうせなら名前を付けてあげたいのですが名前が思いつきません。そこでこの作品を読んでくださっている方々に案を出していただこうと思います。いい名前が思い浮かんだ方はぜひコメント欄のほうへお願いしますね
では、今回も短い駄文を読んでいただきありがとうございました
今回はいつもより更新が早かったですが、次回はいつになるのやらw
それでは、次回も気長に待っててください
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今回は頑張って早めの投稿
ただし今までで一番文字数少ないです。なにしろ3000文字すら超えてないんですから
今回のお話はダラダラ進みます
それではどうぞ