No.749650

恋姫OROCHI(仮) 弐章・弐ノ弐ノ壱 ~黄河を流れてきた少女~

DTKさん

どうも、DTKです。
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、40本目です。

約一年で40本。
9日に1本ペースは、遅筆の自分からすればかなり優秀なペースですねw

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2015-01-07 23:26:41 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:4290   閲覧ユーザー数:3713

 

 

 

「ふぅ……」

 

額にかいた汗を拭いながら、医者の華佗が部屋から出てきた。

 

「どうだった?華佗」

 

外で待っていた俺は華佗に手巾を渡しながら訊ねた。

 

「あぁ。長いこと水に浸かっていたせいか、体温がやや下がり気味なことと、右足を捻挫していること以外は、恐らく問題ないだろう」

「良かった…」

 

比較的軽い診断に、ホッと胸を撫で下ろす。

 

 

 

黄河のほとりを探索中、沙和と真桜が倒れていた少女を発見した。

急いで陳留まで運び、たまたま逗留していた華佗に診てもらったのだ。

息はあったものの、ぐったりとして冷たくなっていたので心配していたが、どうやら思っていたよりずっと軽症のようだ。

 

「出来る限りの処置はしておいたし、そのうち目を覚ますだろう。そしたら精のつくものでも食べさせてやってくれ」

「あぁ、分かった。ありがとうな、華佗」

 

気にするな、と言いながら華佗は去っていった。

侍女を一人付け、俺はかつての居室で政務を進めることにした。

 

例え各地で異変が起ころうと、例えその調査中であろうと、書類仕事はなくならないのだ。

軍師として風が付いていてくれるが、それでも最終決裁者は俺なわけで…

政治家とか役人も、暇そうに見えて実は大変だったんだなぁ、と思う今日この頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

……

 

 

 

「隊長!たーいちょーーーーう!!」

「大変や!大変や!!」

 

ようやく集中してきたかな、という頃、バンッと力いっぱい部屋の扉が開かれた。

 

「お前らなぁ…ノックをしろと何度言ったら…」

「もう!それどころじゃないの~!」

「あの娘が、目を覚ましたんや!!」

 

そうか。倒れていた人…あの女の子が起きたのか。

 

「そりゃ良かった。じゃあ食事を出してあげてくれ。俺も後で…」

「だから、そんな時間ないの!」

「あの娘の様子がおかしいんや!」

 

グイッと二人に両腕を引っ張り上げられる。

 

「様子が?」

 

ただならぬ様子の二人に、さすがに俺も心配になる。

 

「分かったよ。それじゃ行こうか」

 

 

 

…………

……

 

 

 

コンコン、とちゃんとノックをして入室の意を告げる。

 

「失礼しまーす…」

 

中で着替え中だったりというハプニングに巻き込まれがちなので、ゆっくりと扉を開ける。

目に入ってきたのは、期待した…じゃなくて、想定された映像ではなく、寝台で上体を起こしている少女だった。

その少女の顔がこちらに向き、目が合う。

すると、どこか虚ろだった少女の目が大きく見開かれる。

いきなり男が入ってきたからビックリさせちゃったんだろうか?

 

「あー、えぇっと、俺は……」

「………、…ま?」

「え?」

 

今、何か喋ったような…?

 

「ご主人、さま…」

「……ご主人様?」

 

って言ったのか?

 

「ご主人様ーー!!」

 

と叫びながら、少女は俺目掛けて飛び込んできた。

 

「「なっ……!?」」

 

後ろにいた沙和も真桜も咄嗟のことに絶句する。

 

ドスン!

 

「ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様~~!!」

 

飛び掛られて尻餅をついた俺の胸に、少女は何度も頬ずりをしながらご主人様と連呼している。

 

「隊長…」

「またかいな…」

 

俺は少女の温もりと、沙和と真桜の冷たい視線を同時に感じることになってしまった。

 

 

 


 
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