No.748637 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2015-01-04 00:19:55 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1342 閲覧ユーザー数:1247 |
12月23日―――
~カレイジャス・ブリッジ~
「紅き翼”カレイジャス”――――ジャジャ馬かと思ったが意外と素直な良い子じゃないか。フフ、この雲を切る感じ……思わず惚れてしまいそうだよ。」
カレイジャスの一員となり、操縦席に座ったアンゼリカは口元に笑みを浮かべた。
「す、凄いアンちゃん……もうモノしちゃうなんて。」
「フウ、御見逸れしました。やっぱりここは先輩に任せた方がよさそうですね。」
カレイジャスの操縦を完璧にマスターしたアンゼリカにトワは驚き、今まで操縦を務めていた士官学院生は溜息を吐いた後アンゼリカに操縦士を譲る事に決めた。
「フッ、ありがとう。艦の副長及び主操縦士の任―――改めて引き受けさせてもらうよ。」
「ふう、さすがというかなんというか。」
「はは、やっぱり乗り物に関してはアンの右に出る者はいないかな。」
「ん、これなら安心して任せられそう。」
「窮地に陥った時になったら、絶対逃げ切ってくれそう……」
「ゲ、ゲルドさん……それ以前に窮地に陥らない事が一番ですよ……」
フィーと共に頷いたゲルドの言葉を聞いたセレーネは冷や汗をかいて指摘した。
「―――さて、とにかく無事にルーレを解放できたわけだけど。今回の一件で、この内戦の戦況は大きく動いたといえるわね。」
「四大名門の一角、ログナー侯爵とノルティア領邦軍の離脱……貴族連合にとってはかなりの痛手のはずだ。」
「ええ。ただでさえ我々メンフィルの作戦によって多くの”裏の協力者”達を失ったばかりか、総参謀や旗艦まで失ったのですから、その被害は今の貴族連合にとって甚大なものと思われますわ。」
「……それにノルティア領邦軍が貴族連合から離脱してくれると言う事はノルティア州に隣接しているユミルが三度目の襲撃をされる可能性が減ったという意味になりますね……」
「そうだな……」
ユーシスの意見にシグルーンは頷いて説明を更に続け、安堵の表情をしているエリスの言葉にリィンは静かな表情で頷いた。
「ノルド方面の第三機甲師団―――ゼクス中将たちもある程度動きやすくなるかもしれないな。」
「貴族連合の圧倒的有利は大きく揺らぎつつある……か。」
「まー、”帝国東部では”がついちゃうみたいだけどねー。西部のほうは相変わらず圧倒的に優勢みたいだし。」
「うん……オリヴァルト皇子からも連絡が届いていたけど。オーレリア将軍にウォレス准将っていう人達が物凄い戦果を上げてるみたいなの。しかもその二人がメンフィルに処刑されたユーシス君のお兄さんの代わりを務めて、貴族連合軍全体の采配をしているらしいの。」
ミリアムの話にトワは辛そうな表情で頷いて説明を続けた。
「そうでしたか……」
「……………………」
トワの話にラウラは真剣な表情で頷き、ユーシスは辛そうな表情で黙り込み
「……とにかく、わたくしたちはこの東部でできる事をやりましょう。それがこのカレイジャスを任された皆さんの”役割”だと思います。」
アルフィン皇女はリィン達を見回して応援の言葉を送った。
「ええ、そうですね。士官学院としてできることはまだきっとあるはずです。」
「うんっ、また各地を回って情報を集めてみないとね!」
「それに、何やら有望な情報を手に入れたそうじゃないか?」
マキアスの問いかけを聞いたその場にいる全員はリィンに注目した。
「ヴァリマールの”武器”の話ですね。」
「そういえば……シュミット博士の協力を取り付けられたんですよね?」
「まあ、そこまで協力的な雰囲気じゃなかったけどね。基本的に自分のしたいことをしているだけの人だし。」
アリサに尋ねられたジョルジュは苦笑しながら答えた。
「それに、武器を精製するには大量のゼムリアストーンが必要らしい。いったい何処からそんなものを調達すればいいのか……」
「あ、それなら心当たりがあるよー?」
「へっ……」
「ミリアムは大量のゼムリアストーンがある場所を知っているの?」
リィンの言葉を聞いて答えたミリアムの答えを聞いたマキアスは呆け、ゲルドは不思議そうな表情で尋ねた。
「うん、”空の女神(エイドス)”なら自分が使っている異空間の倉庫に一杯溜め込んでいるんじゃないかなー?大量のゼムリアストーンもそうだし、ゼムリアストーン製の武器や防具とかも一杯溜め込んでいるかもしれないよー?”在庫処分”をしたいって言ってたから、頼んだら案外アッサリ渡してくれるんじゃないかなー?」
「そ、それは…………」
「た、確かに一理あるけど……」
「その光景が目に浮かぶわね……」
ミリアムの推測を聞き、仲間達と共に冷や汗をかいて表情を引き攣らせているリィンとアリサはそれぞれ困った表情をし、サラ教官は嬉しそうに凄まじい力を秘めた武具の数々やゼムリアストーンを自分達に渡すエイドスの様子を一瞬で思い浮かべて疲れた表情で溜息を吐き
「確か兄様達の話では女神様は”セントアーク”にいるとの事ですが……」
「えっと……”セントアーク”という所はメンフィル帝国領なのよね?それでメンフィル帝国領はそれぞれに転移魔法陣があるそうだから、短時間でメンフィル帝国内を移動できるし、今からユミルかケルディックにある転移魔法陣を使ってセントアークに行ってその”空の女神”という人に会って頼んでみたらどう?」
エリスは戸惑いの表情でリィン達を見回し、ゲルドは提案した。
「その提案は最善かと思われますが、一足遅かったですわね。」
「え…………」
しかし静かな表情で否定したシグルーンの言葉を聞いたゲルドは呆け
「ひ、一足遅かったって……」
「もしかして空の女神はセントアークから離れたのでしょうか?」
エリオットは不安そうな表情をし、セレーネはシグルーンに尋ねた。
「ええ。今朝ファラ・サウリン卿達と共にセントアークを離れ、クロスベルに向かったとの事ですわ。」
「なっ!?」
「エステルさん達がクロスベルに向かったと言う事は……!」
「近日中に”特務支援課”は”ブレイサーロード”達に加えて”空の女神”という超強力な援軍と合流できるって事だね。」
シグルーンの話を聞いたリィンとマキアスは驚き、フィーは真剣な表情で呟いた。
「で、でも今はエレボニア帝国が内戦の真っ只中……それも西部は東部より酷いから、クロスベルに到着するのはかなり難しいと思うよ?」
その時トワが不安そうな表情で推測を口にしたが
「その心配は無用ですわ。七耀教会に所属している”とある神父”がファラ・サウリン卿達と旧知の仲でして。その縁で”空の女神”がこのゼムリアの地に降り立った事やファラ・サウリン卿達の目的を知り、彼女達に協力する事を決め、彼女達に自身が保有している飛行艇に乗船してもらい、クロスベルに向かったとの事です。」
シグルーンはその場にいるほとんどの者達が予想していない答えを口にした。
ゼムリアストーンが滅多に見つからない理由はエイドスが自分の時代で乱獲しまくって倉庫にしまっているから……と言われても納得してしまいそうなのが洒落にならないですねwwそれとシグルーンの口から出た”とある神父”という言葉でニヤリとした方達もいるかもしれませんねww
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第465話