プロローグ
星が輝く高原の下、金髪の少女とその従者らしきシチュワーデス風の少女が大勢の兵士を従え闊歩していた。
「今回の討伐はあっけないほど早く終わりましたね~。」
「七乃~、のどが渇いたのじゃ。ハチミツ水を用意してたもれ!」
「美羽お嬢様が考えもなしに飲みまくるからもうありませんよ、美羽お嬢様~、お城に到
着するまで我慢してくださいね~。」
「う~~~・・・なんでもっといっぱい持ってこんかったのじゃ?」
「お嬢様が私の予想をはるかに超える速さで飲んでしまいましたからね~。」
「そんなの知らんのじゃ!」
「そんなにふてくされないで下さいよ~。ほら、見てください。近くの村で買ってきた阿
蘇阿蘇の最新刊ですけど、今週の美羽様の運勢、出会い系がとてもいいらしいのです。も
しかしたら、すばらしい出会いがあるかもしれませんよ~。」
「なんと! では、その辺に皇帝の子供が落ちてはおらんかの?」
「・・・念のために聞きますけど、何で皇帝なのですか?お嬢様。」
「ふふふ、皇帝の子供を妾が育て上げれば妾は皇帝の親ということになる。そうすれば皇帝を好きなようにできる。そうすれば、大陸中のハチミツは妾のものじゃ!!」
「すばらしいです、お嬢様!そのあまりにも都合のいい考えといい、ハチミツのために皇帝を操ろうとする精神といい。さすがです、美羽様!」
「ふふふ、もっとほめたも!」
その時、空から大きな流れ星が流れた。
「あ、お嬢様。流れ星ですよ!きれーですね。」
「おぁ!!早く願い事をいうのじゃ!・・・麗覇が落ちぶれますように・・麗覇が・・」
「わぁ!真っ先にでる願い事が袁紹様の衰退だなんて。憎たらしいぞ♪この腹黒っ子め!」
「・・・が落ちぶれますように!ふぅ、願い事が三回言えたのじゃ。これであやつももうおしまいじゃな。」
「願い事が叶うといいですね~。それにしても長い流れ星ですね。まだ光っていてこっちに落ちてきそうな・・・」
「七乃!流れ星がこっちに近づいてきたのじゃ!!」
「美羽お嬢様―――――!!!」
「七乃―――!!!」
「「キャア―――――!!!!」
流れ星が彼女たちの頭上に落ちたと思いきや、その場が発光しものすごく光った。
「う――ん・・」
従者のほうの少女が目を覚ますと、あたり一面真っ白な世界になっていた。ものすごい光のせいで目がよく見えないらしい。
ようやく視力が回復し、あたりを見回すと自分の使えし君主が目の前に倒れているではないか。
「お嬢様!!お気を確かに!お嬢様!」
「う――ん・・・七乃?」
「よかった、お嬢様!」
シチュワーデス風の少女は金髪の少女を思いっきり抱きとめた。
「うっぷ!七乃!くる、苦しい!!!」
「あ、すみません。しかしいったいなんだったのでしょうね~?流れ星が落ちてきたと思ったら兵たちにも何のもんだいもなかったなんて・・」
「プハー、苦しかったのじゃ!ん?七乃?あんな奴この辺にいたかの?」
「え?どこです?」
少女たちのすぐ目の前に見知らぬ格好をした青年が倒れていた。間違いなくあそこに、しかもあんな目立つ格好をしているものはいなかった。
「あ奴が流れ星だったのかの~?」
まさか、とは言えなかった。あのような面妖な服を着ている者は今までに見たことがない。
青年は、気を失っている・・・というより眠っている感じだった。先ほどの流れ星といい、もしかしたら、五胡の妖術使いかもしれない。そう警戒していたのに・・・
「おい!おぬし。何でこんなところで寝ておるのじゃ?おぬしは流れも星なのかや?」
何の警戒もなく近づこうとする金髪のお譲さま。
「あ、いけませんよ。そんな素性の知れない奴に近づいては、危険かもしれませんよ♪」
「う~ん・・そうじゃな!七乃の言う通りにするのじゃ」
金髪の少女は引き返そうと思ったとたん、何にもないところでつまづいて青年に覆いかぶさるように盛大にズッコケた。しかも、唇と唇が重なり合う形で。
青年は目を覚まし、お嬢様のほうも何が起きたのか把握した。そして・・・
「「・・・・・うぎゃああああああ――――――――!!!!!!」」
天にも昇る高い悲鳴を上げた。
これが、北郷一刀と袁術との最悪の出会いであった。
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人生初の二次小説です。ちなみに私は意外と・・というよりかなり袁術が好きです。だから、こういう話があったらいいな~と思い書きました。オチも考えているのでぜひ、読んでいってください。