【 一航戦と五航戦 の件】
〖 漢中鎮守府(仮)付近 にて 〗
加賀「五航戦の子なんかと……一緒にしないで!」
赤城「もぅ……なんでぇ、そんな酷い事を云うのよ!? 加賀さんはッ!!」
加賀「………!」プィッ!
瑞鶴「こんにちはぁ! 赤城さん!! …………と、カガサン」
翔鶴「気持ちいい日になりましたねッ!? 加賀さん! 赤城さん!」
赤城「あっ! 二人とも──こんにちわぁ!!」
加賀「………コンニチワ」
赤城「声が小さいですよッ! もっと大きくッ!」
加賀「本日は……お日柄もよく、五航戦のみなさまも、ご健勝で何よりの事……」
赤城「何を、祝辞みたいな挨拶が出てくるんですかッ!?」
翔鶴「いえいえッ! 良いんですよぉ!! 赤城さんや加賀さんは、私達の誇りある先輩方! 私達に厳しく当たるのは、それだけ期待されているとの意志表示ですよねッ!? 私達は、まだまだ頑張らなくては行けません!!」
瑞鶴「………………」チラッ
赤城「それでも……栄えある一航戦たる者が、後輩の子達に真面(まとも)な挨拶を交わさないなんて……私の矜持が許しませんッ! そもそも……なんで加賀さんは、五航戦の子達たけを目の敵にするのですかッ!?」
加賀「……………」ブスゥ
赤城「正直に云わなければ……夕食のデザート、間宮アイスを没収します!」
加賀「───! お、横暴じゃないですかッ!?」
赤城「五航戦の子達に対する事が……横暴じゃないって事………?」
加賀「う……。 うぅ………分かりました。 分かりましたよ………」
★☆☆
翔鶴「私達の胸当ての文字と……一航戦の草摺に記載の文字ですか?」
赤城「それを並べて読めば良いんですね?」
ーーーー ーーー
瑞鶴と加賀───『 ス・カ 』
赤城「ハズレ………ですか?」
瑞鶴「えぇ~ッ!! 私……幸運艦なんだよぉ!?」
ーーー
加賀と瑞鶴──『 カ・ス 』
翔鶴「………塵扱い……あっ! でも、粕漬けは美味しいですよねッ!?」
加賀「私は、臭いが大嫌いですので………」
瑞鶴「えぇ───ッ!? あんなに美味しいのにぃいいいッ!!!」
赤城「私は食べられる物なら、なんでも────」
ーーーー ーーー
加賀「どうですか? まるで……私達が組むと……馬鹿にされている気分にされるのです! こんな事では……一緒に戦えません!」
瑞鶴「………!!」
赤城「……じゃあ、翔鶴さんとは?」
翔鶴「私………ですかぁ!?」
★★☆
翔鶴と加賀───『 シ・カ 』
赤城「鹿刺しは絶品なんですよ! 特にドイツでは、食材として大量に消費しているって……ビスマルクが言ってました! ステーキ、ソーセージ……他に……他にって……あぁぁあああ──涎が抑えられないぃいいいいッ!!!」
瑞鶴「この食欲が……一航戦の誇り……」ゴクリッ!
翔鶴「そこは……働き具合に寄るわよ? 穀潰しの艦なんか……どこの鎮守府でも嫌がるから。 燃料やボーキ、弾薬等の貴重資材を、枯渇寸前まで遣り繰りして、私達を建造して下さった提督の皆さんに申し訳が立たないわ!!」
ーーー
加賀と翔鶴──『 カ・シ 』
赤城「和菓子、洋菓子、駄菓子ッ!! 間宮さんとこの……レンガ並みの羊羹! 冷たいガラスの器に入ったバニラアイスッ!!! なんてぇ──私の琴線に触れる組み合わせ何でしょうかぁ!? この二人はぁあああッ!!!」
瑞鶴「翔鶴姉ぇえええ───ッ! 早~く赤城さん、と~め~てぇ~!!!」
翔鶴「赤城さんッ!! 正気に戻って下さいぃいい!? キャア──ッ!!」
加賀「あの子たちでは無理でしょう……私が止めないと」
★★★
加賀「……私ばかりでは……不公平ですよ?」
赤城「じゃあ! 次は私と────!」
ーーー
赤城と瑞鶴──『 ア・ス 』
赤城「カッコイイじゃないッ! 明日に向かって出撃する……そんな高揚感が湧いてきますよ!!」
瑞鶴「エヘヘヘヘッ!!」
加賀「……………」
翔鶴「(……真ん中に『イ』を入れると……。 ブンブンッ! 言っちゃ駄目ッ! 言っちゃ駄目よッ!! 翔鶴!! 声に出すと……赤城さんが、また暴れだし、傍に居る瑞鶴が惨い目に遭っちゃう!!)」
ーーー
瑞鶴と赤城──『 ス・ア 』
翔鶴「…………該当する物は、無いと思いますが?」
赤城「すあ……『酢韲え』、『素揚(げ)』、『素甘』………美味しいそう………」
加賀「食べ物ばかり……。 まぁ、ここの鎮守府で、元の場所の料理を流通させるのは、流石に難しいですから。 それに、毎日……運営難で食糧消費も抑えていますから。 赤城さんの我慢も、既に限界が近いかも………?」
☆★★
赤城と翔鶴──『 ア・シ 』
赤城「足ですか……烏賊のゲソも美味しいんですよね。 あの歯ごたえが、また──たまらないんですよッ!! くうぅ────ッ!!」
『………………………』
ーーー
翔鶴と赤城──『 シ・ア 』
加賀「これは……何も浮かびませんよ?」
??『どなたはんか───ウチのこと呼ばない!?』
??『恋……知らない!』ブルブル!
ーーーー ーーー
瑞鶴「結局───これって……加賀さんの思い込み?」
加賀「それでも………気になります! 戦場では、些細な事でも験を担ぎたくなるもの。 自分が生きて……提督へ……『無事に帰還しました!』と申し上げたいとは、思いませんか!?」
赤城「加賀さん、気持ちは分かります。 ですが……それを云うと、五航戦の二人は……どうするんですか?」
加賀「?」
★☆★
翔鶴と瑞鶴──『 シ・ス 』
加賀「───ハッ!? 『死す』……ですか?」
赤城「二人の運命は………死ぬ運命でしたか? 違いますよね! 私達の後を一緒懸命になって追い掛けてくれる……頼もしい後輩達です!! 幾度の死線を越えて……私達に付いてきてくれましたよ!?」
ーーー
瑞鶴「あ、赤城さん…………」
翔鶴「…………あ、ありがとうございます!!」
ーーー
赤城「加賀さんが……験を担ぎたくなる事も分かる。 戦場では、幾ら準備をしっかり行っても……運次第で状況が良くも悪くもなるから。 だけど……運命にも屈しない『絆』を信じるのも……生きる為の道だと思うのよ!」
加賀「…………」
赤城「直ぐに信じる事は無理だとしても……少しずつですが……関係を変えていきましょう? 私達の為にも……提督の為にも………!!」
ーーー ーーー
瑞鶴と翔鶴──『 ス・シ 』
赤城「何で……こう……美味しそうな単語が……こんなに並ぶのでしょうか? 私を誘惑してるのですか!? そうなんですねッ!? そうと仰いなさいッ!!!」
瑞鶴「あか……ぎ……さん!? えっ? しょ──翔鶴姉!?」グイッ
翔鶴「────逃げるわよ! 瑞鶴ッ!!」ダッ!
瑞鶴「まっ、待ってぇッ!?」ダッ!
赤城「まぁああちぃいなぁぁさぁぁ────いッ!!!」
──────
─────★
加賀「『人の記憶は……直ぐに訂正が出来ない。 しかし、諦めてはそこで終わり。 一歩でも、牛歩の如く歩む事になっても、前に進むのが大事』……ですか。 赤城さんも……提督の言われ事を忘れてはいない……と云う事ですね……」
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ーーーーーー
ーーーーー★
加賀「ふぅ。 この感情を直す事……鎧袖一触とは……いかないようです。 でも……あの子達を認める良い機会になるとは思います。 ……ありがとう、赤城さん。 ごめんなさい、五航戦の子達。 いえ……翔鶴、瑞鶴!」
────
──★
瑞鶴「私は────あんまりぃ関係ないのにぃいいいッ!!」
翔鶴「走って、走ってぇええッ! 赤城さんに追い付かれちゃう!!」
赤城「待ちなさいったら、待ちなさぁぁああぁぁぁいいッ!」
『きゃああぁぁあああ────ッ!!』
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あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
次回の【オマケ】で、入れようと思いましたが……話が長くなったので独立させてみました。
ふと……思い付いた事だったので。
次回からは、普通に物語へ入ります。
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今回は、物語と関係ない話になります。 何時もの半分程の短編です。