No.745531
英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~![]() soranoさん 2014-12-24 18:00:02 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1540 閲覧ユーザー数:1393 |
~温泉郷ユミル・鳳翼館~
「こんにちは、バギンスさん。」
「いつもご苦労様です。」
「おお、若!それにエリスお嬢様も!もしや依頼の件で来てくださったのですか?」
「ええ、まずは話を聞かせてもらおうと思って。」
「最近、ここの露店風呂で不審なコトが起こるってー?」
「はい、それも夜な夜な……実に様々な現象が。どこからともなく、奇妙な音が聞こえたり……壁に映った導力灯の影が動いたり……空に向かって”白い影”が飛んでいくのを見たという報告もあります。」
「それはまた……」
「幽霊……でしょうか……?」
「マ、マサカのそっち系!?」
支配人から話を聞いたリィンは目を丸くし、エリスは不安そうな表情をし、ミリアムは表情を引き攣らせて声を上げた。
「そう言えばミリアムは……幽霊の類が苦手なんだったか。」
「べ、別に苦手じゃないもん!得意じゃないってだけだし!」
「それは同じことなのでは……」
(……理解できません。それならば何故”幽霊”の私やクラウ=ソラスには平気で接しているのですか。)
強がっているミリアムの答えを聞いたリィンは苦笑し、アルティナはジト目になった。
「はは、お気持ちはわかります。」
「それでその異変に……心当たりはないんですか?」
「ええ、お恥ずかしながらまったくもって。まだ手がかりすら掴めていない状況です。」
「その……メンフィル軍の方々に相談はしなかったのですか?今は郷を護ってくれているのですし……」
ある事が気になったエリスは真剣な表情で支配人に尋ね
「一応考えてはいるのですが実害はまだ出ていない為、正直実害も出ていないのに郷を守護してくださっている方々のお手間を取らせるのはどうかと思い、悩んでいるのです。」
尋ねられた支配人は複雑そうな表情で答えた。
「そうですか……すると調査するなら実際に夜に待ってみる必要がありそうですね。」
「ってことは、みんなでお泊り?」
「ええ、実はそう思って準備もさせてもらいました。若たちがお忙しいのは重々承知なのですが……お願いできますでしょうか?」
「ええ、それじゃあ引き受けさせてもらいます。」
「それはよかった。どうもありがとうございます。」
「ニシシ、それじゃあみんなをここへ呼ぶ?」
「ああ、とりあえず全員で集まって話をしよう。」
その後待機メンバーを呼び寄せたリィン達は鳳翼館で働いている従業員から詳しい話を聞き始めていた。
「さてと―――これでみんな揃ったか。それでバギンスさん。昨夜も異変が起こったそうですね?」
「はい、それについてはウチのパープルが。」
「えっと、ではお話しさせていただきますね。昨日は確か……夜の11時くらいでした。仕事を終えて、露店風呂に入らせていただいていたのですが……ふと、誰かの視線を感じて……その方向を向いたんです。ですがやはり、誰もいらっしゃらず……にも関わらず雪の上には真新しい足跡が残っていたんです。それで私、気になってしばらく眺めていたんですけど……そしたら何もない所に……足跡だけサクサク、次々に浮かびあがってきて……」
「それで怖くなって裸のまま飛び出して―――私に見つかっちゃう、っていうのね。」
「ちょ、ちょっとメイプル。そこは内緒にしておいてって約束したじゃないですか。」
「え、えっと……」
「それはまた……大変でしたね。」
「メ、メイプルさん……」
従業員達の話を聞いて仲間達と共に冷や汗をかいたエリオットは困った表情をし、アリサは苦笑し、エリスは表情を引き攣らせた。
「コホン、話が微妙にしまらないのは置いといて……何もないところに足跡だけが浮かび上がる、か。」
「ふむ、まさかとは思うが……」
「そう言えば、この辺りは元々霊的な気配が強い土地柄だったわね。」
「となれば、あながち……」
「実際幽霊になってユミルに現れたアルティナさんという例がありますものね……」
「ワー、ワー!」
ラウラ達の話を否定するかのようにミリアムは必死の表情で声を上げた。
「ミリアムが面白い。」
「フフ、何とも賑やかなことだ。」
「うるさいの間違いだろう。」
ミリアムの様子をフィーやガイウスは微笑ましそうに見守り、ユーシスは呆れた表情をし
「……どうしてそんなに幽霊を怖がるの?」
「フフ、こちらはこちらで心強いですね。」
不思議そうな表情をして首を傾げているゲルドをシグルーンは微笑ましそうに見つめていた。
「ふぅ、これじゃせっかくの怪談話も台無しだわ。まあ、いずれにしてもやるべことは一つって感じね?」
「ええ、とにかく今夜は交代で露店風呂を見張りましょう。」
その後夕食を取ったリィン達は男子と女子に別れて露店風呂に入って見張る事にした。
~露店風呂~
「ふぅ、やっぱり露店風呂は落ち着くな。」
「ああ、本当に最高の気分だ。」
「でも、調査といいつつこんな贅沢していいのかな?」
「フフ、まあたまにはいいのではないか?」
「ああ、むしろこのくらいは当然だろう。それにしても……特に何も起こる気配はないが。」
リィン達と共に露店風呂に入っているユーシスは周囲を見回した。
「うーん、夜な夜なって話だから待っていれば出るんだろうけど……」
「はは、もしかすると男には興味のない幽霊だったりしてな。」
「ちょっと、みんなくつろぎすぎー!」
エリオットの言葉にマキアスが答えると湯着姿のミリアムが現れた。
「ちょ、ミリアム!」
「おい、何を勝手に―――」
ミリアムの登場にマキアスは慌て、ユーシスは目を細めて注意しようとしたが
「あはは、ユーシスってば慌てちゃってウブだなー。」
「……何の話だ。」
ミリアムの言葉を聞いて呆れた表情をした。
「それはともかく、ミリアム。流石にこれは女性として……」
「もう、だったらちゃんと時間に上がりなよー!」
「あ、そう言えばもう交代の時間なんだっけ。」
「ふむ、思わず忘れてしまっていたようだ。」
「はは……それは申し訳なかったな。」
その後リィン達は女性達と交代し、今度はアリサ達が露店風呂に入り、見張りを開始した。
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