No.744659

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第440話

2014-12-20 18:28:35 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1787   閲覧ユーザー数:1613

~ケルディック・領主の館~

 

「……レーヴェ、どう思う?ゲルドさんの予言。」

リィン達が去った後レーヴェと共に執務室に向かっていたプリネは振り向く事無く自分の背後に控えて自分の後をついていくレーヴェにゲルドの予言についての信憑性を問いかけ

「貴族連合の内情等も考えると的中する確率は非常に高いだろうな。メンフィルは既に”総参謀”であるルーファス・アルバレアを処刑している。奴を失った事は貴族連合としても相当な痛手の上、何よりもその件を知ったアルバレア公爵が黙っていないだろう。しかもバリアハート方面から攻めてくるとなると……ユミルの件同様アルバレア公爵の暴走の可能性が一番考えられるな。貴族連合の可能性も確かに考えられるが奴等は正規軍を制圧しきれていない所か、双龍橋を失った為連中もわざわざこれ以上敵を作り、自分達が不利になるような真似はしないだろうし、それ以前に”結社”の『幻焔計画』の遂行を”盟主”から託されている”蒼の深淵”が計画の妨げになるような事を許さないだろう。」

レーヴェは静かな表情で推測した。

「……………………―――レーヴェ。もし、ゲルドさんの予言通りバリアハート方面から領邦軍が攻めて来た場合は貴方はケルディックに残って兵達を指揮して出来る限り被害を抑えて。最悪建物への放火や破壊は放置してもいいから、民達の避難や身の安全を最優先にして。”結社”にいた経験によって猟兵達の行動を読みやすい貴方にしか頼めないわ。第二の”ハーメルの悲劇”を生み出さない為にもお願い。」

「…………それはいいが…………」

立ち止まると共に振り向いて真剣な表情で自分を見つめるプリネの言葉を聞いたレーヴェはかつての出来事―――”ハーメルの悲劇”を思い出してプリネの身を心配したが

「フフッ、もしかして私の事を心配してくれているのかしら?以前の私と違い、今の私は”執行者”であったかつての貴方以上の腕前はあるし、ツーヤを始めとした多くの心強い仲間達がいるわ。だから私の事は心配しないで。」

「…………確かにそうだったな……―――いいだろう。遊撃士協会にも先程の予言の話をしておく。事が起こった際に遊撃士達と手分けして対処に当たれば少なくても民達の犠牲を防げる可能性を高める事はできるだろうしな。特に”重剣”あたりなら今の話を聞けば事が起こった際に張り切り、普段以上の実力を発揮するかもしれんな。」

プリネの話を聞いて納得した後真剣な表情で答え、そしてある人物を思い浮かべて静かな笑みを浮かべた。

「フフ、確かにそうかもしれないわね。――――でも、それは貴方も同じではないのかしら?貴方も自分自身で言っていたわよね?ラヴェンヌ村の廃坑でアガットさんと自分と似た部分があるって事を。」

「………………フッ、また一本取られたな。」

そしてプリネに微笑まれたレーヴェは一瞬固まった後苦笑しながら呟いた。

 

~ケルディック市内~

 

「ありがとう、リィン。リィンの協力がなければ、私はこの街に襲い掛かる危機を伝える事ができなかったと思うわ。」

領主の館を出たゲルドはリィンに微笑み

「いや、お礼を言いたいのはこっちの方だよ。―――ありがとう。ゲルドの”予知能力”は本当に凄いな……そう言えば気になっていたけど、自分自身の”予知”はできないのか?そうしたら失った記憶も思い出すかもしれないのに……」

対するリィンもゲルドに微笑んだ後ある事が気になって尋ねた。

 

「……私もその可能性を考えて何度か試した事はあるのだけど、私自身に関してはまるで霧がかかったように”何も見えない”の……」

「そうか…………ゲルドは辛くないか?名前と年齢以外何もわからない事に。」

ゲルドの答えを聞いたリィンは辛そうな表情で尋ねた。

「辛くないと言えば嘘になるけど、今の私には貴方達――――多くの友達がいるから平気よ。リィン達の為にも、もっと頑張るつもりよ。」

「……前々から思っていたけど、ゲルドは優しいな。」

「え…………どうしてそう思うの?」

リィンの言葉を聞いたゲルドは目を丸くした後不思議そうな表情で尋ねた。

 

「記憶喪失なんて事になったら、普通は自分の事で手一杯のはずなのにゲルドはいつも自分の事より俺達の事を気遣っているじゃないか。」

「……そうなの?」

「(ハハ、自覚していないのか……)……さっきの件もまさにそうだと思うぞ?ケルディックの人々の為に領主であるプリネさんに何とか接触する方法を必死で考えていたようだし。」

不思議そうな表情で首を傾げているゲルドの様子を苦笑しながら見つめていたリィンは答えた。

 

「それはこの街に住む人々に傷ついて欲しくないから……」

「ほら、今も失った記憶を思い出す努力をするよりも真っ先に他の人達―――それもゲルドにとっては赤の他人であるケルディックの人々を心配しているじゃないか。そう言う所が”優しい”って言ってるんだ。」

ゲルドが答えるとリィンは苦笑しながら指摘し

「あ……………………」

指摘されたゲルドは呆けた様子で声を出した。

(ふふふ、いつも如く無意識で始めましたね。)

(うふふ♪その娘も落とすのね♪)

(クスクス、もしゲルドの記憶が戻った際、彼女に恋人がいれば大変な事になるでしょうね。)

(リ、リィン様……後何人落とせば気が済むのですか……?)

(……クロウ・アームブラストの情報にあったマスターの固有スキル―――――『女殺し』の発動を確認。…………相変わらず不埒な方です。)

二人の様子をリザイラ達が微笑ましそうに見守っている中、メサイアは疲れた表情をし、静かな表情で呟いたアルティナはジト目になった。

 

「………フフ、どういたしまして。それじゃあ私は集合時間になるまでは街を見て回るわね。」

少しの間固まっていたゲルドは我に返るとリィンに微笑んだ。

「ああ。」

そしてリィンはゲルドと別れて街の徘徊に戻り

「……………………リィンに『優しい』って言われた時から感じ続けているこの苦しくも暖かい気持ちは一体何なの…………?」

自分から去って行くリィンの背中を見つめていたゲルドは無造作に片手をトクントクンと鼓動し続ける心臓がある部分においてリィンをジッと見つめていた。するとその瞬間、夜空の下で自らリィンに口付けをする瞬間が映った!

「!?今”見えた”ものは一体…………あんな事をするのはその人の事が好きな人達だけだと思うけど…………もしかして私、リィンの事…………」

一瞬見えた光景によって頬を赤らめたゲルドは静かな表情でリィンが去って行った方向を見つめていた。

 

一方街に徘徊に戻ったリィンは大市の一角で考え込んでいるトワが気になった為、トワに話しかけた。

 

 

ゲルドの予言のお蔭でメンフィルが様々な対策を取ってくれるのはいいのですが……リィン、いつもの如くちゃっかりゲルドの好感度を上げやがりましたよ!!(大激怒)現時点でゲルドのスキルの『リィンが気になる』が『リィンが好き』に強化されたと思って下さい(激怒)


 
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