第二章 『三爸爸†無双』 其の六十三
本城 書庫 (時報:桂花八人目 妊娠一ヶ月)
【蓮紅turn】
わたしと眞琳ちゃんは書庫にお勉強で使う本を探しに来ました。
照明のおかげで明るいけど、静かすぎてちょっと怖いです。
はやく見つけて教室に戻りたいな………。
「う~ん、どこを探しても『春秋』の『左氏伝』がないよ………ねぇ眞琳ちゃん、そっちに有った?」
シ~~~~~ン
「ま、眞琳ちゃん?どっか行っちゃったの!?」
慌てて隣の本棚に行くと……………しゃがんで熱心に本を読んでる眞琳ちゃんがいました。
「なんだ、いるじゃない!返事してよ!」
「うん…………」
「いきなりいなくなったかと思って怖くなっちゃったじゃない!」
「うん…………」
眞琳ちゃんは本から目を離さないで生返事しかしてくれません。
「………………眞琳ちゃん、何読んでるの?」
「お勉強の本…………」
「『左氏伝』有ったの?………って、絵がかいてある!絵本でしょ、それ!」
「お勉強の本よ。大人の。」
「うそぉ、大人が読む本には絵はついてないもの………この絵って男の人と女の人だよね?何してる絵なの?」
「この本の題名ね、『陰陽受胎術』っていうの。」
「ええと…………あ♪赤ちゃんを授かる儀式の方法が書いてあるのね♪」
「まあ、間違いじゃないわ。あのね、蓮紅ちゃん。ここに書いてあるのはね…………」
「ふええええええええええええええええええええっ!!」
ま、眞琳ちゃんが、お、教えてくれた、そ、その本の内容……………スゴいショックでした……………。
「そうじゃないかとは思ってたのよね。でも、これでやっと謎が解けたわ♪」
「………眞琳ちゃん冷静だね…………謎って?」
「爸爸が来た時に私を媽媽の寝室から遠ざける理由よ。」
「お、お父様とお母様が!?こ、この本に書いてある事をっ!?」
「それはそうよ。こうしなければ私も蓮紅ちゃんも生まれてないんだもの。」
「うぅ………そ、それは……そうかもだけど………えうぅ…わたし………恥ずかしくてお母様とお父様のお顔をまともに見れそうにないよ………」
「蓮紅ちゃん、この本の最初に『愛し合う男女の間に子が授かるのは人生において最大の幸福である』って書いてあるわ。私は爸爸と媽媽が本当に愛し合ってるって分かってとっても嬉しいわよ♪」
「お父様とお母様が愛し合ってるのはわたしも嬉しいけど………やっぱり恥ずかしいよ!」
「もう!媽媽達が本当のことを教えてくれないのは、媽媽達だって恥ずかしいからよ。それは分かってあげなきゃ♪」
「……………眞琳ちゃんって…………うまく言えないけど、何か色々スゴいね…………」
わたしと眞琳ちゃんって誕生日が何日かしか違わないのに………大人だなぁ………。
「そうは言っても、蓮紅ちゃんは割り切れないよね………そうだ♪蓮紅ちゃん、ここはわざと意識して爸爸たちと媽媽達を見てみたらいいんじゃないかな?」
「?………わざと意識するの?」
「観察をすればいいのよ♪大人になる勉強だと思い込めば恥ずかしさを忘れると思うわ♪」
「そ、そうなのかしら………?」
「冥琳媽媽と朱里媽媽と雛里媽媽も言ってたじゃない。観察眼を身につけなさいって♪」
「そう言えば朱里媽媽と雛里媽媽は聖刀ちゃんの観察日記を付けてるって言ってたよね。わたしもお母様の観察日記を付けたらいいのかな?」
「そうだね。やってみて駄目だったら次の手を考えればいいのよ♪」
「うん!分かった!やってみるわ!」
わたしは眞琳ちゃんの手を握って決意を固めた。
「それじゃあ私はもう少し大人のお勉強を………」
眞琳ちゃんはまた本を読み始めました。
「ま、眞琳ちゃんったらあっ!……………あ。」
「ん?ああ♪蓮紅ちゃんも一緒に見ようよ♪」
「そうじゃなくて!その本…………………書いたの音々媽媽だわ。」
「え?………………ホントだ。『陳越』って印が押してある…………」
それはさっき眞琳ちゃんが読んだ『愛し合う男女の間に子が授かるのは人生において最大の幸福である』の所に押してありました。
[蓮紅の観察日記より]①
>○月×日 はれ
>お母様が思春媽媽に烈火ちゃんのことでお話をしていました。
本城 後宮 思春私室
【蓮華turn】
午後になり私は後宮へ思春を訪ねた。
出産間近の思春を見舞うのが目的だったけど、もうひとつ気懸りな事が有るので質問しなければ。
「ねえ、思春。あと、烈夏の事で話が有るのだけど…………」
「烈夏の?………まさか、蓮華様に何か粗相をいましたかっ!?」
この思春の驚き様……まさか思春が気付いていないのかしら………。
「いえ、そうではないのよ………ただ、その………最近烈夏がひとりで夜の城内を出歩いていると耳にしたものだから。」
桔梗と霞、他にも何人かから夜中に烈夏と出会ったと聞かされた。
その事を告げると、思春はいつもの様に微笑んだ
やはり思春の指示の様ね。
「それならばご心配要りません。隠密として夜に行動する鍛錬を、前は私と行っていたのをひとりで行かせる様にしたのです。今の所は城内を誰にも見つからずに廻って来る様にさせています。」
予想通りの返答………鍛錬が必要で大事なのは分かる。
でも私が訊きたいのはその先なのよ。
「やらせている事は、今まで昼にしていた鍛錬を夜にもやらせているのよね?」
「はい、親の欲目かも知れませんが、烈夏は素質が有ると思います。」
「ええ、そうね、思春………それでね、烈夏の行動範囲なのだけど何処まで許可しているのかしら?」
「行動範囲は今の所は城内だけ…………蓮華様のお心遣いに感謝いたします。」
「は?」
「烈夏には気取られた時には即座に大声で名を告げる様にさせていますが、春蘭だとついうっかりで烈夏の命を落としかねないと心配してくださっているのですね♪」
報告が有った状況というのが、夜中に物陰や天井裏に気配を感じた瞬間に『烈夏だよ!』と声が聞こえて来たらしい。
確かに春蘭だと声を聞く前に刃物を投げそうだわ…………。
それもだけど、烈夏の居た場所が廊下や庭だけでは無く、部屋の中にも現れるのが問題なのよ!
「え…………ええ!勿論よ!だからね、思春。烈夏の鍛錬を…」
「春蘭という目標が有るからこそ、鍛錬に身が入ります。烈夏も張り切っていますよ♪」
「でもね、思春。夜中に他人の部屋に忍び込ませるのは…………」
「………蓮華様。」
「な、なに…思春………そんなに怖い顔をして…………」
「貂蝉と卑弥呼から聞いた話をお忘れですか!左慈と于吉という者が外史の消滅を目論んでいる事を!奴らの率いる軍勢が無限に増え続ける兵で構成されているという話を!その様な奴らを相手にするには左慈と于吉を殺し、排除するのが一番だと丞相室が答えを出したではないですか!私と明命、そして我ら二人の隠密部隊が切り札となるのです!烈夏に素質が有るならばこれを伸ばし!真の切り札となる様育てねばなりませんっ!!」
「それは分かる!分かるわよ!」
思春ったら、その決意は見事だけれど熱くなりすぎよ!この前まで烈夏に夜の一刀たちを見せない様に気を配っていたのに…………いえ、それだけこの幸せを守りたいと願っているという事かしら?
そうだわ!思春のお腹の燃秋も間もなく生まれるのだから無理もないわね。
でも、目的に向かって暴走している事に気付かせてあげなきゃ!
頭ごなしに言うのではなく、笑顔で諭すのよ!
「思春、よく聞いて。烈夏が夜の城内を出歩くという事は、一刀たちにも出会う事になるでしょう?しかも一刀が誰かとしている最中だったりしたら………その、烈夏だって戸惑うでしょ♪」
「ああ成程!申し訳ございません、蓮華様!私とした事が失念しておりました。」
「分かってくれた?そうなのよ、だからその対策を考えて烈夏を指導してあげてね♪」
「はっ!この甘興覇、必ずや蓮華様のご懸念を汲んで烈夏を指導致します!」
ふう……これでもう安心ね。
烈夏の気配を探りながらでは私も落ち着けないもの。
明日は何としても私も二人目を授かるんだから!
[蓮紅の観察日記より]②
>遠くてよく聞き取れませんでしたが、話し合いの後のお母様はとても上機嫌でした。
>
>お母様のおっぱいとお尻は思春媽媽より大きいです。
【蓮華turn】
「思春!昨日の話はどうなったのっ!?」
今朝、私の所に凪と焔耶がやって来て夜中に烈夏が現れたと言われた。
二人も昨夜が当番の日で、閨に向かう直前に気配に気付き事なきを得たらしい。
「はい。しっかりと烈夏には言い聞かせました。」
思春は真面目な顔できっぱりと言ったけど…………。
「何を言い聞かせたのか教えてちょうだい。」
「それは勿論、男と女が如何にして子供を作るかですが?」
「教えたのっ!?烈夏にっ!?」
「隠密が潜入先で情報を得るのに最も有効なのは枕事で漏らす会話です。敵地で枕事を見て動揺するなど有ってはなりませんから今の内から慣らしませんと…」
思春の説明はこの後も続いたけど、私は昔の事を思い出していた。
思春は私の護衛の為に屋根裏に隠れていたのを。
あの時は思春が気配を断っていたからまるで気付かなかったわ…………まさか烈夏があの頃の思春並に気配を断てるとは思えないけど、もしかして昨夜は私の部屋にも来ていたなんて事は無いわよね……………。
[蓮紅の観察日記より]③
>□月△日 くもり
>
>今日のお母様は孫呉の事を祭媽媽、冥琳媽媽、穏媽媽、亞莎媽媽と話し合いました。
本城 孫呉館 玉座の間 (時報:桂花八人目 妊娠二ヶ月)
【蓮華turn】
今日の会議は孫呉の内政問題なので孫呉館の玉座の間で行う事にした。
議題は張昭と喬玄を房都に呼ぶ事なのだけど………。
「雷火も玄喬も何であんなに頑固なのかしら………」
「あの二人も頑固じゃが、蓮華様も充分頑固じゃな。赤壁から建業までの移動中も雷火と顔を遭わせれば口喧嘩ばかりしておったではありませんか♪あはははは♪」
祭ったら、本気で面白がってるわね!
私は雷火を説得しようとしていただけなのに!
「雷火殿は真面目すぎですからね。もう少し柔軟になって欲しいと真珠もぼやいていましたよ♪」
冥琳の言う真珠とは雷火の娘の張承の真名。北郷親衛隊の宋謙の妻で、今は産休を取っているけど駕医の病院で経理と総務を担当していた。
無論、私とも顔見知り。
「真珠も苦労したのでしょうね………雷火も玄喬も本心では孫娘と暮らしたいと思ってるくせに!」
「お二人とも建業を任せる後任の育成を理由にされてますからねぇ~♪明らかに言い訳ですけど♪」
「穏もそう思うでしょ!だから私は…」
「でも、何の言い訳かが問題ですよねぇ、蓮華さま♪」
「何の言い訳?ただの意地っ張りなのではないの?」
「真珠ちゃんも蓮華さまみたいに雷火様と大声で言い合いますからねぇ。親子仲が悪い訳ではないんですけど、一緒に暮らした場合に宋憲さんの胃に穴が開くのは時間の問題でしょうねぇ。」
穏が言いたいのは、雷火が娘婿の心労を気遣っているという事だわ。
「はあ………彼も大変ね………」
「あの……蓮華さま、雷火様が房都に移住されない理由はそれだけでは無いと思われます。」
「亞莎は何か心当たりが有るの?」
「その……赤壁で観戦なさる雷火様を見ていたのですが、視線の先が……その…」
何故言い淀むのかしら?
雷火が観戦中に注視していた物とは…………はっ!まさか!?
「一刀様たちなのです。」
「雷火は確かに夫に先立たれて未亡人だけど、孫の居る身なのよ!」
「それをこの城内で仰言っても何の説得力も有りませんよ、蓮華さま。紫苑然り、音々殿然り。」
「冥琳も気付いていたのっ!?」
「私も気付いてましたよ~♪ついでに建業では玄喬様も同じでしたねぇ~♪」
「玄喬もなのっ!?」
「やはりバレておったのか。儂は奴らが頑なに隠そうとするから、武士の情けで見て見ぬふりをしていたのじゃがな♪」
祭まで………って、祭が雷火と玄喬の二人と一番長い付き合いだものね。
その祭がそう言うのなら、事実という事なのでしょう。
雷火は祭と同い年と思えない程見た目が若々しいし、玄喬も『江東の二喬』の母親だけに私から見ても美人だ………………。
「や、やっぱり雷火と玄喬にはもう少しだけ建業で頑張ってもらいましょう。」
[蓮紅の観察日記より]④
>玉座の間から出てきたお母様はなんだかゲッソリしていました。
>中での会話は聞こえていたけど、何でお母様は雷火おばさまと玄喬おばあさまを都に呼ぶのをやめたのでしょう?
>お二人が爸爸たちを見ていたから?
>でも、爸爸たちを見ていた人ってたくさん居ました。
>
>
>祭媽媽のお尻が一番大きかったけど、お母様のお尻の方が迫力を感じました。
[蓮紅の観察日記より]⑤
>□月○日 雨
>
>今日はお父様が来てくれる日です。
>という事は、あの日から眞琳ちゃんとしているお勉強のあの事をお父様とお母様が
>
>
>これは勉強!お勉強なのよ!
本城 孫呉館 蓮華私室
【赤一刀turn】
さて、久々に蓮華の部屋にやって来たな。
間に旅行を挟んで、蓮華とはその間にもお勤めは果たしているのでご無沙汰という訳では無いんだが、やっぱりこの部屋に来ると蓮華の空気に心が満たされる。
長年積み重ねた思い出がそうさせるんだろうな♪
蓮紅だってもう七歳だ。
後宮から戻った頃にはよちよち歩きだったのに、今では武術の鍛錬もする様になってるんだから時が経つのは早いもんだ。
「(ねえ、一刀。蓮紅の行動に気を付けて頂戴。)」
「は?どういう事?」
「(しっ!声を小さくして!)」
出迎えてくれた蓮華が後ろを警戒しながら俺の口に人差し指を当てて黙らせる。
う~ん、なんか秘め事っぽくてこういうのも悪くないな。
「(昨日の二刃の騒動で分かったのだけど、蓮紅が男女の事を知っているらしいのよ。)」
「(男女の事…………まさかあ♪蓮紅はまだ七歳なんだぞ♪)」
「(一刀、貴方は璃々の時の事を忘れているの?)」
「(璃々の時は…………あれは紫苑の教育方針であって、蓮紅にはまだそんな教育はしてないだろ…………してないよね?)」
「(そ、それはそうよ!どうも書庫で調べ物をしている時にその手の本を眞琳と見つけてしまったらしいわ。)」
「(なにいっ!誰だそんな本を書庫に入れたのはっ!?)」
………蓮華さん?その疑いの眼差しは何でしょう?
「(まあいいわ。それよりも今日の事なのだけど………)」
そうだ!性の知識を知ってしまった女の子が父親を遠ざけるなんて定番の理由じゃないかっ!!
「(ど、どどど、どうしよう!?俺、蓮紅に嫌われる!?)」
「(それは大丈夫みたいよ。蓮紅と眞琳が本を見つけたのが赤壁に行くかなり前みたいだから。このひと月、二人共貴方たちに対する態度は普段通りだったでしょ。)」
「(そんなに前だったのか?てっきり昨日の話かと思ってしまった………)」
「(それで、今晩あたりはあの子が寝たふりをして私達の寝室を覗きに来るかも知れないわ。)」
「(ええ!?まさか!うちの子に限ってそんな事は!)」
「(はいはい、あなたの親バカぶりは良く分かってるから。女の子だって性に興味を持ち始めたら行動に現れるものなのよ。それに半分はあなたの血なのだから充分に考えられる事よ。)」
半分は俺の血……………完全に反論を封じられてしまった…………。
「(でも、私も覗かせる気は無いわよ。)」
「(そ、そうだよね………よかった………)」
「(駕医から睡眠薬を貰って来たから、蓮紅の食事に混ぜるわ。)」
「(蓮華……………それはちょっと………)」
「(最初は麻沸散を頼んだのだけど断られたわ。代わりにこの薬を調合してくれたのよ。)」
「(…………………………………………)」
麻沸散って………子供の覗きを阻止する為に手術用の麻酔薬を使おうとしないでくれ。
「(調合してくれたって事は、駕医は事情を理解してくれているんだな?)」
「(ええ、二刃も一緒に居たから誤解も無いわよ。)」
二刃にも知られているのか。これは後でまた何か言われそうだな。
っと、あんまり長々と部屋の入口で立ち話をしていたら、蓮紅から不審に思われてしまう…………って!蓮紅が自分の部屋の入り口からこっちを見てるうううううっ!!
「れ、蓮紅!ぱ、爸爸だぞ~♪」
取り敢えずいつもの調子で声を掛けると、蓮紅は笑顔を見せてくれた………んだけど、なんかぎこちない…………。
「お、お父様。象棋の相手をお願いできますか?準備をして待ってたのよ♪」
うわあ~、凄い微妙な空気!
「私は夕飯の支度をしてくるわ。蓮紅、お父様を困らせてはダメよ。」
「象棋の相手をしてもらうだけだもの!困らせたりしません!」
「ははは、蓮紅はいい子だから心配いらないよ♪」
いつもと似た様なやり取りなのに、下手なホームドラマみたいに感じてしまうぞ。
とにかくコミュニケーションを重ねてこの微妙な空気を払拭しなくちゃ!
[蓮紅の観察日記より]⑥
>□月×日 はれ
>
>昨日の夜はご飯を食べてすぐに眠たくなって、気が付いたら朝になってた………。
>がっかりしたような、ほっとしたような、複雑な気分です。
>わたしが寝ている間に、お父様とお母様はあの本に書いてあった事をしたのかな。
>妹は欲しいけど、現実を見るのもまだ少し怖い気がする。
>お母様の機嫌がいいからきっとしたんだろうな…………。
>
>お仕事に向かうお母様の後ろ姿……………やっぱりお尻が大きい。
本城 曹魏館 北郷学園教室
【蓮紅turn】
教室で席に着いてすぐに眞琳ちゃんが話しかけてきました。
眞琳ちゃんは目をキラキラさせてわたしの話を期待しているみたいです。
「蓮紅ちゃん!昨日は見れた!?」
「ううん、ダメだった………」
わたしが俯いて答えると、眞琳ちゃんは小さく溜息をつきました。
「やっぱり見つかっちゃった?」
「そうじゃなくてね………なぜか晩ご飯を食べてすぐに眠くなっちゃって………ちょっとだけと思って目をつむったら…………朝だった………」
「(一服盛ったのね、さすが蓮華媽媽……)」
「え?今の聞き取れなかったけど、なんて言ったの?」
「ううん、何でもない♪きっと緊張してたから体が疲れちゃったのよ♪」
「そっか……お父様が来る前から緊張してたもんなぁ………」
剣の鍛錬とは違う、なれない緊張感だったもんなぁ。
やっぱり疲れたのね。
「眞琳ちゃん♪蓮紅ちゃん♪烈夏ちゃん♪オハヨー♪」
香斗ちゃんがいつも通りニコニコしながら教室に現れ、パタパタとわたし達の所へ走ってくる。
「「おはよう、香斗ちゃん♪…………烈夏ちゃん?」」
わたしと眞琳ちゃんが香斗ちゃんの視線の先を見ると、烈夏ちゃんがいつの間にかしゃがんで机の端から顔の上半分だけ出していた。
「「いつの間に来たのっ!?」」
「……さっき。眞琳ちゃんが『昨日は見れた?』って言った時。」
「「最初からいたんじゃないのっ!」」
全然気がつかなかった………烈夏ちゃん、技に磨きがかかってきたな。
「ねえねえ、なにが見れたの?香斗にもおしえて~♪」
「赤爸爸と蓮華さまが夜中に…」
「わあ!わあ!わあああああっ!!」
あわてて烈夏ちゃんの口をふさいだ!
香斗ちゃんにはやっぱりまだ教えられないよっ!……………あれ?
さっきの会話でそこまで話したっけ?
「あっ♪昨日は赤爸爸が蓮紅ちゃんのおウチに来る日だったんだよね♪赤爸爸となにして遊んだの♪」
「蓮紅ちゃんは赤爸爸と象棋してた。でも、あんまり楽しそうじゃなかったよ。」
わたしが答える前に烈夏ちゃんが答えた…………これって………。
「へえ、いいなぁ。香斗はまだ象棋できないからうらやましいなあ。回り象棋ならできるけど♪」
「香斗ちゃん、私が象棋教えてあげようか?」
「ホント!?眞琳ちゃん♪………でも、むずかしいんだよね?」
「最初は駒の動かし方だけ覚えれば大丈夫よ♪」
そう言って眞琳ちゃんが香斗ちゃんを連れて行きました。
ちょっと振り返ってウィンクをしたので、この隙に烈夏ちゃんに聞きなさいって事ね。
わたしは烈夏ちゃんの両肩をつかんで、正面から顔を見た。
「ねえ、烈夏ちゃん…………昨日の夜にわたしのウチの天井裏にいたの?」
「ずっといた訳じゃないけど、何回か通ったよ。」
全然気が付かなかった…………。
「そ、それじゃあその………わたしが眠った後でお母様とお父様が何をしてたか見た!?」
「見たけど教えられない。」
「え?」
「媽媽に言っちゃダメって言われてるから…………言ったら怒られる…………」
烈夏ちゃんが青くなってプルプル震えだした………思春媽媽の折檻はスゴいらしいからこれ以上は聞き出せないわね………。
「じゃあ質問を変えるわ。爸爸が昨日お母様とした事を他の媽媽達としてるのを見たことある?」
「うん、あるよ。」
あるんだ………聞いといてなんだけど、これもちょっとショック………。
「き、昨日の緑お父様と紫お父様も………」
「緑爸爸と紫爸爸のは見てない。」
「そうなの!?」
アレが愛の行為だってあの本には書いてあったのに………爸爸たちは愛が薄れてしまったの?…………そんなのもイヤだ………。
「お部屋に近づいたら媽媽達にバレた。昨日は炙叉媽媽と霞媽媽だったから。一度バレたらもうその日は近づけない。」
「あぁ…見れなかったのね。」
自分の気持ちが分からなくなってきた。
嬉しいのか悲しいのか、ホッとしてるのか恥ずかしいのか………いっそのこと気が付かないフリして、もう観察日記も終わりにしちゃおうかな。
「蓮紅おねえちゃん。眞琳おねえちゃんからお手紙よ。」
そう言って折りたたまれた紙を差し出したのは冰蓮だった。
「あ、ありがとう、冰蓮……」
この子はあの儀式を信じてるんだろうなぁ………本当の事を知ったらどうなるんだろう?
「ねえねえ♪何のお手紙?冰蓮にも見せてよ~♪」
「何言ってるの!見せられる訳ないでしょ!」
しまった……お父様とお母様の事があるから、つい言い方がキツくなっちゃった!
冰蓮もおどろいて目をパチパチさせてる。
でも直ぐにニヤ~っと変な笑顔を見せてきた。
「なにぃ~、もしかしてラブレター?」
「はあ!?何を言ってるの、あなたは?」
「だって、蓮紅お姉ちゃんと眞琳お姉ちゃんが最近は一緒になってコソコソしてるんだもん。」
「べ、勉強よ!勉強!あなたは昨日宿題が出てたけど、ちゃんとやってきたのっ!?」
「え?………………………………そんなのあったっけ?」
「あなたが文字を覚えないから教科書を写してくるようにって、白蓮先生が言ったでしょ!」
「そうだった!うわああっ!どうしよう!?」
冰蓮はあわてて自分の席に戻っていく。
今からでも宿題を始めるのかと思ったら、冥龍と金桂に泣きついていた。
そんな暇があるならさっさと書き始めればいいのに………。
あ、眞琳ちゃんのお手紙を読まなくちゃ!
ええと……
『今夜紫爸爸が私のウチに来るから後で打ち合わせよ。烈夏ちゃんにもそう言っておいて』
思わず烈夏ちゃんへ振り返ると、しゃがみ直して机の端から顔をのぞかせていた。
「なあに、蓮紅ちゃん?」
上目使いで聞いてくる烈夏ちゃんに、なんて説明したらいいんだろう………って!
それよりも華琳媽媽に挑戦するのっ!?
本城 相国執務室
【蓮華turn】
私は昨日の顛末を華琳と桃香に、相談を兼ねて報告した。
「蓮華、貴女自分の娘に睡眠薬を盛るって………正気なの?」
「他に方法が思い浮かばなかったのよ!」
「あのぅ、蓮華さん………それでももう少し穏便なやり方が有ったんじゃないかな?」
「桃香、私も蓮紅が香斗みたいに素直な子だったら、本を読んであげるとかして寝かせるわよ。でも、あの子は明らかに寝たふりをして閨を覗くつもりだったわ。」
私と一刀が話をしている間も自分の部屋から覗いていたし!
「それは眞琳もそうだから気持ちは判るわ。でも、ちゃんと言い聞かせないといつまでも同じ事の繰り返しになるわよ。」
「言い聞かせるって!それが恥ずかしいから…………確かにその通りね………何年もこんな事を繰り返すよりはしっかりと言った方がいいわよね………」
「蓮華がその気になったのならひとつ良い手が有るのだけど、どう?」
華琳が楽しそうに笑って言うので、私は不安を感じながらもその話を聞くことにした。
本城 後宮
【蓮紅turn】
学園でお勉強が終わったら、お母様と桃香媽媽が教室にやってきた。
わたしは眞琳ちゃんと話し合って決めた『金桂ちゃんのお家に行く理由』をいつ言い出そうと考えていたら、お母様から「今日は後宮へお見舞いに行くわよ」と言われた。
準備が少しムダになっちゃったけど、わたしから言い出す手間がはぶけたと思えばいいわよね。
いつもは自分のお部屋に戻ってお着替えをしてからだけど、今日は制服のまま金桂ちゃんのお家に来ました。
眞琳ちゃんと烈夏ちゃん、それに他にも今は金桂ちゃんのお家でくらしてる妹達もいっしょです。
香斗ちゃんが嬉しそうにわたしの手を引きました。
「ねえねえ♪はやく聖刀ちゃんに会いにいこうよ♪」
香斗ちゃんは無邪気だなぁ………それに引き換えわたしは………ううん、お勉強なのよこれは!香斗ちゃんや妹達にもいつかは教えてあげる立場なんだからしっかりしなきゃ!
「うん、行きましょう♪」
わたしと香斗ちゃんと眞琳ちゃんと烈夏ちゃんが聖刀ちゃんのいるお部屋に行くと、華琳媽媽が聖刀ちゃんのおしめを替えているところでした。
「お帰りなさい、眞琳。貴女達もいらっしゃい♪ほら聖刀、お姉ちゃん達が来てくれたわよ♪」
華琳媽媽が聖刀ちゃんのほっぺをプニプニすると、聖刀ちゃんが笑いました。
はぁ~♪聖刀ちゃんカワイイなあ♪
「媽媽、おしめ替えるの私達でしていい?」
「ええ、いいわよ。もうキレイにした後だから天花粉を塗ってあげて頂戴。」
「はい、媽媽。ねえ、蓮紅ちゃんやってみる?」
「え?う、うん……」
妹達のおしめを替えるのはやっているからもう慣れてるけど、聖刀ちゃんのおしめを替えるのは初めて。
眞琳ちゃんから天花粉の箱を受け取って、裸の聖刀ちゃんを見ると当然聖刀ちゃんのおちんちんが目に入った。
お風呂で見たお父様のと全然違う…………ちっちゃくってカワイイ。
天花粉をつけたフワフワの羽毛玉を優しくポンポンすると、聖刀ちゃんがキャッキャと笑いだした。
うふ♪気持ちいいのね♪
もっとポンポンしてあげますよ~♪
「ねえ、蓮紅ちゃん。そんなにおちんちんばっかりポンポンするからおちんちんがコナコナだよ?」
「え?わあっ!」
「蓮紅ちゃんったら♪それよりも香斗ちゃん、そのコナコナってやめようよ。コナゴナと聞き間違えそうで怖いから。」
聖刀ちゃんのおしめを着け終わった後、わたし達は次に燃秋ちゃん、牡丹ちゃん、柊ちゃん、音肆ちゃんの所に行きました。
赤ちゃんかあ………この子達の笑った顔を見たらあの本に書いてあった『愛し合う男女の間に子が授かるのは人生において最大の幸福である』って文の意味がよく分かった気がする。
お母様もわたしが生まれた時に幸せになってくれたのかな?
だとしたら嬉しいな……………幸せな気持ちだったからもう一度赤ちゃんを産みたいんだよね?
「どうしたのです、蓮紅ちゃん?」
音々媽媽が優しい笑顔でわたしの顔を覗き込んでいました。
「え、ええと………『愛し合う男女の間に子が授かるのは人生において最大の幸福である』の意味を考えてました。」
「おや♪あの本を見ましたか♪」
「蓮紅ちゃん!」
眞琳ちゃんがわたしを止めようとしましたけど、音々媽媽なら分かってくれる様な気がして話を続けます。
「見ました。…………ちょっと…いえ、すごくショックだったけど、今赤ちゃん達の顔を見て分かった気がします。音々媽媽も音肆ちゃんのこの笑顔を見たくてあの本に書かれていた事をしたんですよね。」
「ふむ、五十点といったところですね♪」
「ええっ!?この答えじゃ半分なんですか!?」
「蓮紅ちゃんはあの本をまだ熟読していない様ですね。もしかして絵の方に気が取られちゃいましたか?」
「いえ…………それは…………その……………」
図星を指されて言葉が出なかった。
だって…………つい目が行っちゃうんだもん………。
「あの本の序文に『男は愛が無くても快楽だけを求めて、獣の様に襲ってくる者も居る』とも書いてあるのです。」
「ええっ!?そんな人が居るんですかっ!?」
「むむむ、これは箱入り娘すぎる反応ですな。眞琳ちゃんはどうです?」
「私は分かります。盗賊の被害報告書なども見てますから。」
盗賊の被害………金品や食料を奪い、女性が襲われる………女性が襲われるってそういう意味だったのっ!?
「ゆ、許せない!そんな奴がいるだなんて!」
「昔はそんなのがゴロゴロいたのですよ。媽媽達はそんな奴らを成敗しまくって来た人達なのですよ♪」
お母様達が………雪蓮媽媽が南海覇王を持って暴れている姿が簡単に想像できた。
「わたくしは可憐でか弱い乙女でしたから常に狙われる立場でしたが♪」
音々媽媽が素敵な女性なのはわかるけど………自分で可憐とか言うのはどうかなぁ………。
「蓮紅ちゃん、眞琳ちゃん、烈夏ちゃんは武の素質が有るのですから強くなって妹達や民を守れる様になって下さい。そうそう、特に香斗ちゃんなんかは特に狙われ易いので気を付けるのです。」
香斗ちゃんって武術はまるで向いてないものね………。
「ふえ?香斗がどうかしたの?」
香斗ちゃんは音肆ちゃんと遊ぶのに夢中になってて全然話を聞いてなかった。
確かにこれはわたし達が守ってあげないといけないわ。
「香斗ちゃんは優しいお姉ちゃんだなって言ってたのよ。」
「う~ん、自分ではよくわかんないよ………今だって音肆ちゃんが喜ぶことをしてるだけだし……」
こんな香斗ちゃんも後三年くらいで元服するんだ。
その時にはわたし達が今の音々媽媽みたいに諭してあげなきゃ。
「(ねえ、眞琳ちゃん。)」
わたしは眞琳ちゃんの耳に口を寄せてそっと囁いた。
「(今日の夜の作戦………やっぱり止めよう。)」
「(いいの?)」
「(うん。無理に見なくても、今はいいって思えてきた。)」
「(蓮紅ちゃんがそう言うなら、わたしもそうするわ♪)」
「(お二人が何をするつもりだったかは敢えて聞きませんが、今度書庫に行ったら阿瞞と程立という作者の小説が有るので読んでみるといいのです。)」
「「(阿瞞と程立?)」」
「(ええ♪きっと勉強になると思うのですよ♪)」
阿瞞って変わった名前ね。
勉強になるのかしら?
わたし達は雪蓮媽媽と小蓮媽媽のお見舞いに行くために音々媽媽のお部屋を後にした。
お二人にも赤ちゃんを授かった時の気持ちを聞いてみよう。
どんなお話が聞けるか楽しみ♪
【蓮華turn】
蓮紅達が音々の部屋を出て行ったのを確認して、私と華琳と桃香が隣の部屋から音々の所に移動した。
「お疲れさま、音々。お陰で助かったわ♪」
華琳は蓮紅と眞琳が読んだ本を見つけ出し、その本を書いたのが音々なのを確認した。
そこで華琳は、音々が春姫と訓の時に話に出た性教育の方法を実際に見てみたいと思ったらしく、今回の事を計画したのだった。
正直に言うと少し不安だったのだけど、この様な形であの子達を諭すとは予想外で驚かされたわ。
「いえいえ、あの子達を導く為に何が不足しているのかを見極めれば、自ずと答えは見えて来るものなのです。眞琳ちゃんと蓮紅ちゃんは頭の回転が早いですから楽な物ですよ。」
「そう言えてしまうのはあなただからよ、音々。私にはそこまで見極める余裕が無かったわ。これからも頼りにさせてもらうわね♪」
雷火ともこんなふうに落ち着いた気持ちで話を出来る様にならなくちゃ。
どうして私は雷火とはあんな口喧嘩みたいになってしまうのかしら?
音々と雷火は共に文官で、背格好や見た目が年齢よりもずっと若く見えるという共通点が多いのに。
「ねえ、音々。ひとつ確認しておきたいのだけれど。」
華琳の口調が厳しい物になっている………問題を解決してくれたというのにどうしたのかしら?
「貴女、あの本をわざと眞琳と蓮紅の目に付く所に置いたわね。」
「ええっ!?どういう事!?」
「そのままの意味よ、蓮華。全て音々が仕組んだ事だったという事よ。」
「流石は華琳さま。見抜かれていましたですか♪」
音々が肯定した!?
「眞琳ちゃんは雪蓮さまと冰蓮ちゃんの時の儀式に疑いの目を向けていられました。蓮紅ちゃんはさっきのをご覧になった通り、世間知らず過ぎるきらいが有りました。今後の事も考えて良い方向に持って行く為に一計を案じさせて頂いたのです。」
「まあ、貴女のお陰で今後はあの子達も似たような事が有った時に協力してくれるでしょうね。」
蓮紅が急に大人になった様な気分で少し寂しいけど、むしろ娘が人として成長したのだと喜ぶべきなのでしょうね。
「あのぅ…………ウチの香斗ちゃんはこのままでいいんでしょうか?」
桃香が不安そうに聞いてきた。
でもね、私はあなたが羨ましいのよ。
「大丈夫よ、桃香。七歳という歳を考えれば、香斗は普通でしょう。」
「普通………なのかなぁ………」
「年相応で可愛いじゃない♪」
「そうよね、十年後が楽しみだわ♪」
「あのう………華琳さん……それはどういう意味でしょう………」
この後で談話室に戻った私は、吉祥が冗談で作った桂花を祀る祭壇が目に入って手を合わせた。
ちょっとした出来心。ほんの冗談のつもりだったのだけど………………。
次の日の健診で懐妊と診断された。
房都 商店街
【赤一刀turn】
蓮華の懐妊が判った次の日。
俺たちは蓮華と蓮紅を連れてデートをしていた。
三日前の事が有るので蓮紅の様子が気に掛かったが、あの時の事など無かったかの様に屈託のない笑顔を見せてくれる。
「赤お父様、お疲れではない?このお店で少し休みましょう♪」
「紫お父様、ここのお菓子はとっても美味しいのよ♪」
「緑お父様、お茶のおかわりを頂いてきます?」
と、いった具合に俺たちの事をとっても気遣ってくれる。
もう、なんか嬉しくって涙が滲んできちゃうよ………。
「「「蓮紅も落ち着いてお菓子を食べていいんだぞ。」」」
「そうよ、蓮紅。あなたが喜んでくれないと、こうしてお出かけをした意味が無くなってしまうわ………」
蓮華は心配そうに声を掛けたが、蓮紅は微笑みながら首を横に振った。
その瞳には強い意志が感じられ、この子は成長したのだと悟らされる。
「お母様はこれからお腹の子を、わたしの妹を産んでくださるのでしょう?それだけでわたしはとても嬉しいんです♪」
なんて立派な事を言ってくれるんだ!爸爸は感動したぞ、蓮紅っ!!
「お父様たちはその子を授けてくださいました。」
……………え~と………音々さんが蓮紅達に色々と教えていたというのは蓮華と華琳から聞いたけど……………なんか美化されすぎてない?
「お父様たちは毎夜媽媽達に赤ちゃんが授かる為、命を削る様に倒れるまで頑張っていらっしゃるのだから、今日はゆっくり休んでくださいね♪」
なんですと?
「「「な、なあ、蓮紅……………それも音々媽媽から教えて貰ったのかな?」」」
「あっ!……………ごめんなさい…………烈夏ちゃんから教えてもらったの………お父様たちが毎晩汗だくになって倒れて動けなくなるまで頑張ってるって…………」
烈夏に見られてるっ!?
そういえば、以前思春から烈夏に夜間行動の鍛錬を始めるって言われてたんだった。
それって昔の思春が蓮華の護衛の為に天井裏に潜んでた、あれの事だったのか!
俺たちは蓮紅にどう声を掛けたらいいか解らず、狼狽えて蓮華を見たら………顔を真っ赤にして汗をかき、プルプル震えていた。
これは怒りの矛先を何処に向けたらいいのか分からなくなって、完全にパニクっているな………。
取り敢えず今の俺たちに出来る事は………………。
このまま蓮紅の話に合わせて頷く事だな!
[十ヶ月後の蓮紅の日記より]
>授業の最中にお母様が産気づかれたと連絡を受けました。
>わたし達は授業を中断して、急いで分娩室に向かいました。
>
>わたし達が到着した時には蓮火(れんふぉ)が産まれていました。
>
>お母様のお尻は偉大だと思いました。
おまけ壱
『北郷二刃奮闘記』其の二十八
リクエスト:ファッション・トーク 7票
本城 後宮談話室 (時報:桂花八人目 妊娠二ヶ月)
【二刃turn】
お義姉さん達と姪っ子達が旅行先で風土病の病魔に冒されていないかの健診も今日で終わり。
結果は問題なし!みんな健康で良かった良かった♪
駕医さんはまた兄さんたちと話をしに行ってしまった。
冬に流行りそうな病気を各地からの報告を元に検討して、薬の材料を確保調合して、今度はその薬を各地に送って流行を阻止する。
元いた世界のインフルエンザ対策を参考にしているらしい。
経済的な事も絡んでくるので今のあたしではこの段階で役に立たない。
そんな訳であたしは後宮へ赤ちゃん達の遊び相手をしに来ちゃいました。
「ねえ、二刃。今年の冬は何が流行ると思う?」
わたしが一歳十ヶ月の蕾蓮ちゃんとにらめっこをしている時に小蓮さんが訊いてきた。
「今、兄さんたちが各地からの報告を駕医さんと検討してるから、もうすぐ分かると思いますよ。」
あたしが自分のほっぺたを両手で引っ張ると、蕾蓮ちゃんが声を上げて笑ってくれた♪
「えっ!?一刀たちは分かるけど駕医が!?」
「はい?医者なんだから当然だと思いますけど………」
「医者だから?…………まさか凪が着ていたナース服を流行らせる気なのかしら………」
ここに来てあたしは勘違いに気が付いた。
小蓮さんは病気ではなく、冬のファッションの流行りを訊いてたのか。
「すいません、病気の話かと思って。ナース服は制服なので街中の人達に着て歩かれたら困りますよ!」
一応それらしい事を言っておく。街中にナース服が溢れかえったら兄さんたちがはしゃぐ姿が簡単に目に浮かぶわ。それは阻止しておかないと。
「わたし達には馴染みのない服だからねぇ。普通に着て歩いてもそんなに変に感じないのね。」
異国の文化ってそんな物か。ランドセルが海外のセレブに受けて、パリでランドセルのファッションショーが開かれたってニュースになってもんなぁ。
「何の話?わたしも混ぜてよ♪」
璃々が生後二ヶ月の牡丹ちゃんを抱いて談話室に入ってきた。
その後ろにはもうすぐ予定日の紫苑さんも来ている。
「今年の冬はどんな服が流行るかって話してたのよ♪」
「流行りって、シャオお姉ちゃんは冬の間はどんどんお腹が大きくなってくんだよ?」
「あら、妊婦だから流行の物を着れないなんて事は無いでしょう?流行を取り入れた妊婦服を作れば済むことじゃない♪」
お義姉さん達って個性的な服を普段は着てるけど、他の服を着ない訳じゃない。
紫苑さんは自分で裁縫もするから流行には結構敏感なのかも。
「璃々はもう牡丹を産んじゃってるし、紫苑ももうすぐ産まれるから、冬には流行の物を普通に着られるんだもんなあ、ちょっと羨ましい。」
今気が付いたけど、あたし以外巨乳ばっかりじゃない!
このままでは『巨乳に似合う服』が流行の中心になったりするんじゃないの!?
「あら、小蓮ちゃん。それはどうか分からないわよ♪」
「え?それってまさか………桂花みたいに連続を狙ってるの!?」
はっ!冬だったら厚着になってもいいんじゃない♪
妊婦さんも着られる様に体型を隠す服を流行らせれば巨乳も目立たなくなるのでは♪
これはもしかしたらチャンスかも知れない!
ここから流行を発信すればいいのよ♪
「なんか今、私の名前が聞こえた気がしたんだけど?」
なんていいタイミングで書記長が♪
生後三ヶ月の柊ちゃんを抱いて不機嫌そうな顔をしてるけど、早速このアイディアを話さなきゃ!
「桂花さん!ちょっとお話が!」
「え?なに?二刃………」
桂花さんの耳元で今の経緯とアイディアを素早く伝えると、桂花さんの顔がパアッと輝いた。
「流石ね、二刃♪実に素晴らしい策だわ♪」
「ありがとうございます、書記長♪」
「「「……………………………………」」」
あたしは紙と筆を用意して、服の形の説明を始めた。
思いついたのはゆったりしたキャミソールワンピースとポンチョコート。
「へえ、これ可愛い♪これならお腹が目立たなくていいわね♪」
「うん、これなら柊を抱いたままでも着れそうだわ♪」
「わたくしには若向き過ぎないかしら………」
「そんな事無いですっ!絶対に紫苑さんにも似合いますって!!」
「あら♪ありがとう、二刃ちゃん♪」
反応は上々!眞琳ちゃん達が着ているのを想像しても………うん!カワイイ♪
「良い仕事だったわ、二刃♪早速服屋を呼んで大量生産させましょう♪」
「はい!書記…桂花さん♪」
これが貧乳党の策だとバレたら邪魔が入るかも知れないから注意しなくちゃ!
「あ、いたいた♪二刃はっけ~ん♪」
今度は雪蓮さんがやって来た。
「ねえ、二刃。『三太』って何者?」
「は?『三太』?」
『三太』って『サンタ』の事かな?
でもなんで雪蓮さんがそんな事訊くんだろ?
「天の国の年末に現れる仙人みたいなものだって聞いたけど?」
どうやら本当に『サンタクロース』の事らしい。
「大体間違って無いと思いますけど………兄さんたちから聞いたんでしょうけど、なんで今の時期に………」
「それがさあ、一刀たちがその『三太』の服を大量に発注した伝票が冥琳に見つかってね、もうカンカンよ。」
兄さんたちの事だからきっとミニスカサンタに違いない。
冥琳さんが怒るくらいだから、お義姉さん達に着せる分だけじゃないんだろうな。
「くっ!一刀たちに先手を打たれた!こうなったら一刻の猶予も無いわ!伝令!すぐにいつもの服屋を城に呼んできなさいっ!」
桂花さんが叫ぶと廊下から返事と走っていく足音が聞こえて来た。
後宮警備の人をこんな事で使っていいのかなぁ………。
「あ、所で桂花さん。こっちの発注するお金はどこから出すんです?国の予算を使ったら桂花さんも冥琳さんに怒られますよ?」
「そこは大丈夫よ、貧乳党の金庫から出すから。それにこれが当たればむしろ大儲けが出来るわよ♪」
なるほど、それなら安心だわ。
街中にミニスカサンタが溢れかえる事態も阻止しなきゃ!
おまけ弐
『聖刀くんの日常』其の二十七
リクエスト:聖刀と祉狼の昆虫採集 9票
61)北郷聖刀 真名:輝琳 七歳
華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華旉(かふ) 真名:祉狼(しろう)四歳
インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう)四歳
本城 後宮中庭
【聖刀turn】
夏の日の朝早く、ぼくと祉狼と昴ちゃんの三人は捕虫網と虫かごを持って後宮の中庭にやって来た。
今日は三人とも半ズボンにタンクトップ、麦わら帽子を被っている。
父上たちが言うにはこれが虫取りの正装なのだそうだ。
スカート姿じゃない昴ちゃんは久しぶりに見たけど、似合っていて可愛いと思う。
「おにいちゃん、かぶとむしいるかなあ♪」
「こうはくわがた!くわがたほしい♪」
この前までぼくの事を『にいたん』と呼んでいた祉狼がいつの間にか『おにいちゃん』と呼ぶようになっていた。
昴ちゃんがそう呼ぶから対抗意識が有るのかな。
「カブトムシもクワガタもいるといいね♪昨日の夕方に何本かの椚の木に蜂蜜を塗っておいたから多分大丈夫だと思うよ。」
絶対に居るとは断言できない。
でも、蜂蜜を塗った所にいなくても、木を登れば見つけられるんじゃないかな。
そんな事を考えている内に最初の木にたどり着いた。
「おにいちゃん!かぶとむし!かぶとむしがいるよ♪」
「くわがたもいる!おにいちゃん!はやくとって♪」
二人が言う通り蜂蜜を塗った場所にカブトムシとクワガタが三匹ずつ集まっていた。
ぼくはカブトムシを祉狼に、クワガタを昴ちゃんの虫かごに入れてあげる。
「二人共挟まれない様に気を付けるんだよ。クワガタは特にね。」
「あれえ?おにいちゃん、このかぶとむしつのがないよ?」
「くわがたもつのがちっちゃい~」
虫かごを覗いて不思議そうな顔をしている二人に説明してあげる。
「それはメスなんだ。虫の女の子だね♪」
「「へえ~~」」
「それから、クワガタのは角じゃなくて顎なんだ。メスのクワガタは顎が小さいけど挟まれるとオスより痛いからね。」
「へ~、なんだか昴の爸爸と媽媽みたい♪」
クワガタのメスってオスより体も小さいんだよね。そんな所もインテリさんと太白さんに似てるかも。
ぼく達は他の木も見て回った。
そのどれにもカブトムシとクワガタが蜂蜜を食べに来ている。
………………来ているんだけど…………。
「めすばっかり…………」
「おすっていっぴきしかいなかったね…………」
おかしいなぁ…………。
次にぼく達は蝉を捕る事にした。
蝉の声は日が昇った頃から聞こえていたけど、祉狼と昴ちゃんが捕まえるのはかなり難しいだろうな。
「いいかい、蝉は敏感で近づいて行くのがバレると鳴き止むんだ。鳴き止んだらその場で動かないでまた鳴くまで待って、それから近づく。」
「「だるまさんがころんだみたいだね~♪」」
蝉で鳴くのはオスだけ。メスは鳴く為の器官を持っていない。
だからメスは見つけるのも捕るのもオスより難しい。
………筈なんだけど、手頃な高さに止まっているメスの蝉を見つけた。
間合いを計って慎重に近付いて行く。
蝉はぼくの気配に気付いていない。
一気に距離を詰めて素早く捕虫網を横に振った!
蝉が入った網の部分を、逃げ出さない様に地面に押さえつける。
「おにいちゃん、いまのどうやったの………?」
「おにいちゃんがきえちゃったよ?」
祉狼と昴ちゃんは口を寄せてポカンと開けて瞬きを繰り返していた。
つい本気を出しちゃったから、二人の目じゃ追いきれなかったみたいだ。
実はこの蝉捕りは、鎌を振るう鍛錬のひとつとして去年はずっと繰り返していた。
これじゃあ手本にならないよね。
「ごめんごめん。今度は分かる様にやるから♪」
もう一度、今度は普通の捕り方でやって見せて、次は二人の好きなようにさせた。
ただ、探してみると結構な数のメスが目に入った。割合的にはメスの方が多いんじゃないかな?
二人はメスの蝉にも果敢に挑んだけど当然失敗の連続だった。
失敗する度にアドバイスをしてあげると、次第に形になってくる。
そしてついに一匹ずつ捕まえる事が出来た♪
「よ~し!もういっぴきつかまえるぞ~♪」
「でも、しろーちゃん。せみいないよ。」
あれだけやったら蝉も近くから居なくなっちゃうよね♪
「ミ~~ン、ミンミン、ミ~~~ン!」
まだ一匹残ってた………って、この声は………。
「いた♪」
「こうもとる♪」
二人が見つけたのは………蝉のオモチャで…。
「「え~~~い!」」
「あら~~ん、捕まっちゃたわ~~ん♪わたしったらどうされちゃうのかしら~~ん♪」
「あれえ?せみじゃなくてちょうせんだ?」
「なにしてるのお?」
「わたしは貂蝉♪太陽の下で短い命を激しく燃やすぅ!真夏の妖精よ~ん♪」
「祉狼も昴ちゃんもまだ文字が読めないから意味が分からないよ、貂蝉。」
「それもそうね~♪でもぉ、頑張るふたりに感動しちゃっていても勃ってもいられなくなっちゃったのよねぇ~」
「ようするに、一緒に遊んでくれるって事なんだ。所で卑弥呼は一緒じゃないの?」
「此処に居るぞおおおおおおおおおおっ!!」
目の前の木の上、枝の先に片足で卑弥呼が立っていた。
「例えるなら私は虫の王!兜虫なり!遊ばれたいので私を捕まえるがよい!捕虫網も悪くはないが、出来れば素手で捕まえてくれると嬉しいのぅ♪但し、角は敏感だから優しく頼むぞ♪」
「そんな所にいないで一緒に遊ぼうよ♪」
「うおおおお!笑顔で私の心を雁字搦めにするとは!私は既に聖刀ちゃんのト・リ・コ♡」
結局、この日は貂蝉と卑弥呼も一緒に虫捕りをして遊んだ。
だけど捕まえた虫はその場で逃がしてあげる事にした。
可哀想だっていうのも有るんだけど、持って帰ると桂花媽媽が怖がっちゃうんだよね。
だけど貂蝉と卑弥呼がどこからか捕まえてきたカブトムシだけは、ぼくと祉狼と昴ちゃんで一匹ずつ持って帰った。
とても大きくて角が長くて背中が黄色いカブトムシ。
父上たちに見せたら凄く驚いて、『ヘラクレスオオカブト』という名前だと教えてくれた。
おまけ参
リクエスト:眞琳と蓮紅と香斗と烈夏の街で「はじめてのおつかい」 15票
1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)五歳
2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)五歳
3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)五歳
4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)五歳
本城 正門 (時報:桂花 五人目黄梅 生後一ヶ月)
【緑一刀turn】
先日の城内での『初めてのお使い』を無事に終えた眞琳達に、新たなクエストを与える事にした。
それは『初めてのお買い物ミッション』っ!!
眞琳、香斗、蓮紅、烈夏にそれぞれ買ってくる物を書いたメモを渡し、この正門を出発した後、ひとりで買い物をして帰って来るという、とてもハードなクエストだっ!!
心配で心配で心が張り裂けそうだが、ここはグッと堪えて娘達に成長を促そうではないか!!
ちなみに四人を赤壁の時に使ったカメラが追いかけて、逐一行動をモニターに映し出す様にしている。
「「「「さあ、いってらっしゃい♪」」」」
「「「「いってきます、媽媽♪」」」」
四人が元気に正門前の石段を下りて行く。
その様子を俺たち三人は正門の内側に建てられた小屋の中で、モニター越しに見ていた。
「どう?ちゃんと映ってる?」
小屋に入ってきた華琳が訊いてきた。
「「「ああ、大丈夫だ。」」」
華琳の後から桃香、蓮華、思春が入ってきて、俺たちの横で一緒にモニターを覗き込んだ。
「「「ところでさ、なんで俺たちは椅子に縛られてるの?」」」
「そんなの決まってるでしょ。貴方たちがあの子達を追いかけない為よ。」
「「「はっはっはっ♪そんな事する訳無いだろう♪」」」
「あらそう、それでは何でアルジオンの仮面を持って来ていたのかしら?」
「「「…………………あれぇ?何でだろうなあ、間違えて持ってきちゃったみたいだなあ。あっはっはー♪」」」
誤魔化しきれずに華琳に殴られた。
「あ、華琳さん、ご主人さま、眞琳ちゃんがお店に入ったよ。」
「「「え!?もう?」」」
桃香の言う通り、眞琳を追っていたモニターにはお店の中を見回している眞琳が映っていた。
「「「眞琳は何を買うんだ?」」」
「ニンジンよ。」
「「「へえ、人参か♪可愛い買い物だな…………って!この店どう見ても八百屋じゃないよね!」」」
モニターに映る店内は薄暗く、干からびた植物やよく判らない物が壁にぶら下がっていた。
『すみません、にんじんくださいな♪』
眞琳の可愛い声と店内の雰囲気のギャップが激しくて、まるでホラー映画の様だ。
『はいはい、いらっしゃいませ。』
店の奥から出てきた店主らしき爺さん…………あれ?この人って確か………。
『これで買えるだけください♪』
眞琳が巾着から出した小さな硬貨は………一石金!?
あれだけで米なら60kgは買えるぞ!!
『先日良い物が入りましたからそれをお出ししましょう。少々お待ちを♪』
そう言って店の奥から持ってきたのは妙にねじ曲がってヒゲだらけの植物の根。
ニンジンはニンジンでも『人蔘』の方。
つまり野菜じゃなく薬を買いに来てたのか。
そういえばあの店主の爺さん、華佗の所に出入りしてる人だった。
『ありがとうございます♪』
眞琳は可愛らしくお辞儀して、持ってきた肩掛けのバッグに人蔘を仕舞って店を出た。
うん、眞琳の買い物は問題が無かったけど、五歳の子供にあんな大金を持たせないでくれ!
強盗に狙われでもしたらどうするんだ!
まあ、今はみんなが隠れて護衛してるんだけどさ。
「蓮紅!何をやっているのっ!?」
突然の蓮華の大声に、俺たちはビックリしてモニターを慌てて覗いた。
見れば蓮紅が武器屋で剣を眺めている。
「「「蓮紅が買ってくるのって、まさか剣じゃないよな?」」」
「当たり前でしょ!あの子が買ってくるのは懐剣よ!」
どっちにしろ刃物なのか…………そんな物騒な物を初めての買い物に選ばないでくれ。
「蓮紅はなかなか目利きの才が有るみたいね。あの剣、結構な業物よ♪」
華琳に言われてその剣を見直すと、両刃の直刀で南海覇王に似ていた。
これは判断が難しいな。
ただ単に南海覇王に似ているから見ているだけなのかも知れないし………。
「香斗ちゃん!そっちじゃないよ!」
今度は桃香か。
モニターの中の香斗は歌いながら路地裏を弾む様に歩いていた。
その前を一匹の猫が歩いている。
『ねこさん♪ねこさん♪にゃーにゃーにゃー♪』
どうやら猫に気を取られて本来の目的を忘れているらしい…………。
『お嬢さん、こんな所に何のご用でしょう?』
香斗の前に変質者がっ!!
「「「おい!誰かそいつを捕まえろっ!!」」」
「何言ってるの?あれは貴方の親衛隊のひとりじゃない。」
「「「え?なんだ、変装してるのかって!インテリじゃねえかっ!!やっぱりこいつを捕まえろっ!!」」」
「いいから黙って見てなさいっ!」
また華琳に殴られた。
『え~と………かとね、おかいものしにきたの♪』
『何を買いに来られたのでしょう?』
『うんとねぇ……これ♪』
香斗が変装したインテリにメモ紙を渡した。
「「「香斗には何を買いに行かせたんだ?」」」
「香斗ちゃんの好きなお菓子だよ。その方がまっすぐ買い物に行ってくれると思って………」
「「「香斗はお菓子よりも猫を取ったか………将来、明命みたいにならないだろうな………」」」
『このお菓子でしたら、私が持っていますのでお売りしましょう♪』
「「「てめえ何言ってんだっ!!店への道を教えて消えろっ!!」」」
『うわあ♪ありがとう♪』
香斗………そんな怪しい奴から物を買ってはいけません………。
『はい、これがお菓子です。その袋に大事に仕舞って下さい。』
『は~い♪あ、これおかねです♪』
『はい、確かに頂きました。』
「香斗ちゃんに渡したお金で買える分の倍は受け取ってるみたいなんだけど………申し訳ないなぁ………」
「「「インテリの野郎、お菓子で香斗を懐柔するつもりか!」」」
『少々お待ち下さい。可愛いお嬢さんには特別にもうひとつ差し上げる物がございます。』
『え♪なぁに♪』
インテリが右手を強く握りしめ、左手でその手首を掴んだ。
これはもしかして………。
『ぐぬぬぬぬぬ……………………………………はい!』
ポンという音と共に小さな赤い花が差し出された。
『今はこれが精一杯♪』
「「「お前はル○ン三世かっ!!」」」
『うわあ♪ありがとう♪ばいば~い♪』
香斗は肩掛けカバンいっぱいにお菓子を詰めて、手にはインテリから貰った小さな赤い花を手にして大通りに向かって走っていく。
「ねえ、思春………烈夏の様子がおかしいわよ………」
「これは………」
蓮華と思春の会話にただならぬ空気を感じて振り返る!
「「「烈夏がどうしたって!?まさか急病か!?直ぐに華佗を向かわせろっ!!」」」
モニターの中の烈夏が青い顔をして汗をダラダラながしてるっ!!
どうしたんだ!烈夏っ!!
「これってもしかして………」
「メモに書いてある文字が読めないんじゃないの?」
なんだって?…………………華琳と蓮華の指摘した通り、烈夏はメモも睨んでいた。
「申し訳ありません………烈夏に口頭で買ってくる物を伝えていませんでした………」
思春も項垂れてしまった…………烈夏には帰って来たら『困ったら人に聞きなさい』と教えよう。
『お嬢さん、何かお困りの様ですね。』
インテリッ!?また現れやがったのかっ!!やっぱり『怪しい人を見たら逃げなさい』にしよう……………あれ?この場所って、さっき香斗が居た場所から1kmは離れてるよな?
『あ、いんてりさんだ。』
『し~~~~~!』
正体バレてんだから今更隠そうとしなくてもいいっての。
『この紙には人参と書かれていますね。』
インテリが素早くモニターに向かってメモに書かれた文字を映した。
今度は本当に野菜の方のニンジンだ。
『人参でしたら、私が持っていますのでお売りしましょう♪』
「「「持ってるのかよっ!!」」」
『…………いいの?』
烈夏もそんな怪しい奴から物を買ってはいけませんっ!!
『ありがとう♪』
結局、烈夏もインテリからお使いの物を買ってしまった…………。
インテリの奴は烈夏にも小さな花をしっかりとあげているし。
「結局、彼のお陰で事なきを得たわね。」
蓮紅の映してるモニターを見れば、俺たちが香斗と烈夏の方を見ている間に買い物を済ませて帰って来る所だった。
「今回の事で判ったのは、もう暫くあの子達四人は一緒に行動させた方がいいという事ね。」
「香斗ちゃんがご迷惑をおかけします………………」
「烈夏は私に似て人付き合いが苦手みたいですから、香斗様の天真爛漫さに救われていますよ♪」
「あの子達は姉妹なのよ♪お互いが助け合うならいい事じゃない♪」
蓮華、桃香、思春、華琳の言う通りだな。
姉妹で助け合うなんていい子に育ってくれてて、爸爸は嬉しいぞ。
「子供達が帰って来るわ。迎えに行きましょう♪」
華琳達が和気藹々と小屋を出て行く。
そして俺たちは…………。
「「「もう縄を解いてくれてもいいよね?」」」
おまけ肆
娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編①(蓮華・蓮紅) 1票
本城 孫呉館 蓮華私室 (時報:桂花八人目 妊娠二ヶ月)
【蓮紅turn】
お母様の懐妊が分かって、明日はお父様たち三人とお出かけをします。
その後は金桂ちゃんのお家に引越しなので、このお家で次に寝るのは一年以上先になります。
わたしが生まれてから一歳三ヶ月までは向こうで暮らしていたらしいけど、そんな小さな頃の事なんて覚えていません。
わたしは何だか寂しくなって、お母様の寝室に枕を持ってやって来てしまいました。
「お母様、今日は一緒に寝てもいい?」
「え?………ええ、いいわよ♪いらっしゃい♪」
お母様はわたしを布団の中に入れると、昔みたいに頭をなでてくれました。
とても温かくて優しい香りがして………とても落ち着きます。
「お母様…………」
「なに、蓮紅♪」
「お母様は………どうしてお父様を好きになったの?」
「どうしてって………難しい質問ね♪」
「難しいの?」
「あなたにはお父様たちが天の国からやって来た時のお話はしたわね。」
「うん。」
お父様は華琳媽媽と桃香媽媽と雪蓮媽媽のところにやって来た。
お母様が最初に出会ったのは赤お父様。
「私がお父様に初めて会った時は胡散臭い男だと思ったわ♪全然強そうに見えないし♪」
お母様はお父様の悪口を言ってるのに、全然そうは聞こえませんでした。
「でもね、一緒に戦って共に過ごすうちにお父様の事が分かってきたの。いつの間にか私はお父様が見えたら目で追って、見られていると分かったら意識して、少しでも一緒にお話がしたいって思うようになってた………」
お母様が遠い目をしてる………お母様はその頃の事を見ているんだ。
「それが初恋だって気が付いて…………つまり、私はお父様の事を少しずつ好きになっていたのよ♪」
「少しずつ………」
「蓮紅にもいずれ分かる時が来るわ♪いつかきっと運命の人と出会える。私も祈っているわよ♪あなたが幸せになれる事を♪」
「………………うん♪」
わたしは柔らかいお母様の胸の中で、とても幸せな気持ちに満たされていつの間にか眠っていました。
あとがき
『本編』
蓮紅は今まで自分の中では眞琳とキャラが被っている気がしていたのですが、今回でやっと差別化が出来た気がします。
母親ゆずりで真面目。でも箱入り娘で世間知らず。妹達の目が無い所では甘えん坊。
未来の二代目尻神様(予定)w
蓮華と張昭(雷火)との口喧嘩は、正史での孫権と張昭の関係を取り入れた物です。
正史の方が、喧嘩が派手ですけどw
『北郷二刃奮闘記』
クリスマスの話の前フリも入れさせて頂きました。
一刀!二刃の妨害に屈せず、男のロマンを実現するのだ!
『聖刀くんの日常』
「蝉」の字を見た瞬間にオチがひっくり返りました。
ここでも蓮紅を出そうかと考えていたんですけどねぇ…………。
今回の漢女二人は中南米まで行ってきた様ですwww
『おまけ参:眞琳と蓮紅と香斗と烈夏の街で「はじめてのおつかい」』
前回の予定では烈夏の名前が無かったんですが、本編を書いていて「やっぱり烈夏も入れたい」と思い、小変更させて頂きました。
三爸爸 其の十一に載せた「はじめてのおつかい」の続きになるので、お忘れの方はそちらもどうぞ♪
『おまけ肆:娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編①(蓮華・蓮紅)』
本編の流れで是非とも入れておきたいと思い、書かせて頂きました。
(華琳・眞琳)(桃香・香斗)はもう少々お待ち下さい。
《次回のお話》
次回は『クリスマス特別編』をお送りします!
投稿はクリスマスを過ぎてると思いますが…………。
そして次々回は『お正月特別編』となります!
《現在の得票数》
季衣②&流琉② 31票
桃香② 26票
璃々③ 24票
冥琳② 19票
桂花③ 19票
二喬② 18票
鈴々③ 16票
紫苑③ 15票
真桜②&凪②&沙和②(三羽烏)
14票
麗羽②&斗詩②&猪々子②(三バカ)+白蓮
10票
華琳④ 9票
炙叉② 6票
音々音③ 6票
音々③ 6票
風② 5票
小蓮③ 5票
華雄② 4票
ニャン蛮族③ 4票
桔梗② 2票
思春③ 1票
祭② 1票
張三姉妹② 1票
明命②&亞莎② 1票
蓮華③ 1票
【北郷二刃奮闘記】
華蝶連者 4票
真桜のからくり話③ 4票
ニャン蛮族 1票
三羽烏② 1票
三バカ 1票
白蓮 1票
北郷親衛隊の嫁 1票
【聖刀くんの日常】
四胡とオマケ 12票
炙叉 8票
聖刀・祉狼・昴の探検隊 7票
聖刀くんの性教育~漢女にならないために~
3票
黄乱② 2票
聖刀くんの騎乗訓練 2票
聖刀さま♥親衛隊② 1票
【おまけ参】
親子鍛錬(五虎将編)(三王編)(脳筋編) 15票
恋姫麻雀大会 15票
いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 11票
恋姫†酒場放浪記 9票
眞琳の金桂達いじり 8票
「女装喫茶」へようこそ 7票
操船訓練 2票
一刀の執事喫茶 2票
魔法少女華琳 2票
歳の差姉妹誕生~娘夫婦に中てられて~(月両親・華琳両親)
2票
娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編
2票
バレンタインイベント 1票
(2月14日前後に特別編を予定しています)
リクエスト参戦順番→冥琳② 風② 凪② 沙和② 桃香② 蓮華② 季衣② 炙叉② 桂花③ 真桜② 二喬② 紫苑③ 鈴々③ 璃々③ 華琳④ 思春③ 音々音③ 音々③ 三バカ② 華雄② 祭② 小蓮③ ニャン蛮族③ 桔梗② 張三姉妹② 明命②&亞莎② 蓮華③
おまけ壱リクエスト参戦順番→華蝶連者 ニャン蛮族 ファッション・トーク 真桜のからくり話③ 三羽烏② 三バカ 白蓮 北郷親衛隊の嫁
おまけ弐リクエスト参戦順番→炙叉 聖刀と祉狼の昆虫採集 黄乱② 聖刀・祉狼・昴の探検隊 四胡とオマケ 聖刀さま♥親衛隊② 聖刀くんの性教育~漢女にならないために~ 聖刀くんの騎乗訓練
おまけ参リクエスト参戦順番→親子鍛錬(五虎将編)(三王編)(脳筋編) いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」「女装喫茶」へようこそ 恋姫麻雀大会 眞琳の金桂達いじり 恋姫†酒場放浪記 操船訓練 一刀の執事喫茶 魔法少女華琳 歳の差姉妹誕生~娘夫婦に中てられて~(月両親・華琳両親) 娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編
【子供達一覧】
1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)
2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)
3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)
4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)
5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)
6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)
7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)
8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)
9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)
10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)
11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)
12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)
13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)
14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)
15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)
16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)
17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)
18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)
19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)
20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)
21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)
22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)
23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)
24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)
25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)
26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)
27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)
28)トラの長女 ベンガル
29)ミケの長女 マンクス
30)シャムの長女 ペルシャ
31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)
32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)
33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)
34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん)
35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)
36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)
37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)
38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)
39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)
40)亞莎の長女 呂琮(りょそう) 茜(ちぇん)
41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)
42)華雄(阿猫)の長女 華剛(かごう) 树莓(しゅうめい)
43)桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい)
44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)
45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)
46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)
47)真桜の長女 李禎(りてい) 真梫(ましん)
48)桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)
49)猪々子の長女 文獬(ぶんかい) 虎々(ふーふー)
50)稟の長女 郭奕(かくえき) 貞(てい)
51)穏の長女 陸延(りくえん) 毬(ちう)
52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)
53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)
54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)
55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)
56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)
57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)
58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)
59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)
60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)
61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)
62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)
63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)
64)思春の次女 甘瓌(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)
65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)
66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)
67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)
68)美以の次女
69)トラの次女
70)ミケの次女
71)シャムの次女
72)星の次女 趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)
73)愛紗の次女 関興(かんこう) 愛絽(あいろ)
74)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)
75)翠の次女 馬承(ばしょう)
76)恋の次女 呂空(りょくう) 恋々恋(れみ)
77)音々音の次女 陳蕃(ちんはん) 韵(いん)
78)音々の三女 陳嶺(ちんれい) 唯音(いおん)
79)小蓮の次女
80)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)
81)秋蘭の次女 夏侯覇(かこうは)
82)月の次女
83)詠の次女
84)蓮華の次女 孫慮(そんりょ) 蓮火(れんふぉ)
B)桂花の九女 荀燾(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)
C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)
D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)
E)桂花の十二女 荀旉(じゅんふ) 橄欖(かんらん)
【その他のオリジナル設定】
華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華旉(かふ) 真名:祉狼(しろう)
陳越(音々音の母) 真名:音々
インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう)
追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(メンフォン)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)
尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご)
董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく)
兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく)
弟者⇒呂翔 嫁⇒張郃 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)
黄乱 真名:明兎(みんと)
馬良 真名:鷲羽(わしゅう)
馬謖 真名:耶麻(やま)
荀攸 真名:素英(そえい)
魯粛 真名:命佐(めいさ)
董雅(月の父) 董陽(月の母) 真名:日(りい)
曹嵩(華琳の父) 曹静(華琳の母) 真名:蝶琳(ちょうりん)
喬玄(大喬と小喬の母) 真名:玄
劉玄(桃香の母)
匈奴:呼廚泉(こちゅうせん)
鮮卑:軻比能(がびのう)
氐:千万(せんまん)
羯:石周(せきしゅう)
烏丸:阿羅槃(あらばん)
華雄 真名:阿猫(あまお)
高順 真名:杉(すぎ)
徐庶 真名:康福(こうふく)
黄月英 真名:雛菊(ひなぎく)
引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。
1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。
2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。
例:「二刃視点で貧乳党」 という感じでお願いします。
3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。
例:「聖刀視点で三羽烏」 という感じでお願いします。
4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。
シチュエーションのリクエストも大歓迎です。
以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、
よろしくお願いいたします。
今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。
何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。
ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。
誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw
※ご指摘を頂いた点の補足と修正をさせて頂きます。
【喬玄と玄喬】
まず、説明不足だった事をお詫びいたします。
喬玄の真名を『玄(げん)』にしました。
三爸爸其の三十七(二喬回)で大喬と小喬の真名を説明するくだりが有ります。これに合わせて喬玄を真名で呼ぶ時に『玄喬』と呼ぶ形にしてあります。
これは黒外史で喬玄が登場した時に触れたので、今回は説明を省いても大丈夫かなと思っていた私の失敗でした。
申し訳ございません。
【一石金】
これも作中での説明が不足していました。申し訳ございません。
三国時代の通貨単位が下から銖、両、斤、鈞、石となっています。
この時代の貨幣で五銖銭がというのが有ります。
五銖銭1枚が1銭。24銖で1両、16両で1斤、30斤で1鈞、4鈞で1石となります。
1石は46080銖、五銖銭9216枚です。
『一石金』とは金で鋳造した一石硬貨という意味で使用しています。
実際にこの様な硬貨が有ったのか資料が無かったので、これはオリジナルの設定になります。
華琳なら一刀から現代の貨幣制度を聞いて造りそうだなと思いまして。
あと、お米の値段は資料に有った『豊作の年の値段』より安く設定しています。
この国の農業政策が順調に進んでいる事を考えた値段設定なのですが、眞琳が持っていたお金の価値がどれくらいか分かって貰えればと思い『お米60kg』としました。
【宋憲と宋謙】
完全にミスです。本当に申し訳ございません。
発見していただき、ありがとうございました。
今回のマヌケ晒し
> 冥琳の言う真珠とは雷火の娘の張承の真名。北郷親衛隊の【宋憲】の妻で、今は産休を取っているけど駕医の病院で経理と総務を担当していた。
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得票数29 蓮華②のお話です。
おまけ壱 『北郷二刃奮闘記』其の二十八 リクエスト:ファッション・トーク 7票
おまけ弐 『聖刀くんの日常』其の二十七 リクエスト:聖刀と祉狼の昆虫採集 9票
おまけ参 リクエスト:眞琳と蓮紅と香斗と烈夏の街で「はじめてのおつかい」 15票
おまけ肆 リクエスト:娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編①(蓮華・蓮紅)1票
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