第四章 12話 同盟
一刀の部屋
この部屋には今、一刀を当たり前として涼に冥琳、星、雪蓮の恋を除く呉覇将の四人と麗羽たち四人に見届け人(見学者)として蓮華がいた
一刀「さて、一昨日の話の続きをしようか」
麗羽「は、はい。それは良いのですが・・・・・」
一刀「どうかしたか?」
麗羽「その・・・・、あの・・・」
一刀「?」
白蓮「あのな、扉の外と言うよりこの部屋の周りからすごく怖いぐらいの殺気を感じるんだけど・・・・」
皇甫嵩、斗詩「「コクコクコク」」
と、麗羽たちは扉の向こう側や壁越しから感じる尋常じゃない殺気を感じていて恐怖していた
一刀「ああ、あれな。あれはこの部屋に誰も近づけないために親衛隊の三人が見張り、まあ門番みたいなことをしてもらっているのさ。お前たち四人としても今から話すことはあまり他人に聞きたくないだろう?」
麗羽「な、なるほどですわ」
白蓮「で、でもこれは・・・や、やり過ぎなのでは?」
斗詩「わ、私もそう思います」
一刀「ん~~~、そうかね~~此の位の用心は必要と思うんだけどな・・・・」
皇甫嵩「で、ですが、こ、このままでは私共は、話せる自信が無いです」
四人全員が殺気に当てられて体を震わせ挙動不審にあちらこちらと見回していた
涼「旦那様、私も流石にこのままでは話が進まないので少しは抑えさせた方がよろしいのではないですか?それに・・・・」
涼は話を途中で言いかけて蓮華の方を見ると
蓮華「カチカチカチカチカチ」
蓮華もこの濃厚な殺気の中では体を縮みこませて歯を鳴らしていた
雪蓮「あらら、蓮華ったらこれ位で怯えちゃってどうするのよ・・・」
冥琳「そう言ってやるな雪蓮。蓮華はお前や私達みたいに常に恋達の殺気を受けているわけではないのだからな」
星「そうですぞ雪蓮。私たちは何時も鍛錬でこの位の恋達の殺気を受けているから何ともないだけで、蓮華はまだ下の枠での鍛錬なのですぞ」
雪蓮「ぶ~~、皆なんか蓮華に甘くない~~?」
涼「それは当たり前です。孫家の中で今の所一番まともなのがあの子ですもの。大事に扱うのは当たり前です」
雪蓮「何よそれ~~~、まるで私がおかしいみたいじゃない!!」
冥琳「ふ~~何をいまさら」
雪蓮が頬を膨らませながら抗議の言葉を出すと冥琳が溜息を吐きながら何を当たり前の事をと言いたそうな顔でそう言った
雪蓮「うえ~~~ん、一刀様~~~みんなが寄って集って私をいじめるよ~~~」
雪蓮は泣きまねをしながら一刀に抱き付いて行った
一刀「ハ~~~、よしよし、ほらこれでいいだろ」
雪蓮「一刀様も私の扱いが御座なりになってる~~」
雪蓮は一刀から雑に頭を撫でられていることにむくれはじめていた
一刀「雪蓮、話を始めたいんだが・・・・・」
雪蓮「もう少し」
一刀「はぁ、しょうがない。冥琳、今のうちに外の三人に殺気を少し抑えるように言ってきてくれ。その代わり、凪と思春には念のために気の索敵範囲を広げるように言ってくれ」
冥琳「承知しました」
冥琳は返事をして部屋を出て三人の元へ伝えに行った
するとすぐに
星「如何やらもう大丈夫みたいですな。お客人も震えから解放されてきているみたいですし、蓮華は・・・・・ふむ、大丈夫のようですな」
蓮華「な、何よ・・・・・・」
星は蓮華から少しあの匂いがしたが何も言わない事にした
一刀「袁紹達が待っているからほら、離れてくれ」
雪蓮「は~~~い」
雪蓮が離れると同時に冥琳が戻ってきて雪蓮に小言で
冥琳「恋からの言伝だ。「抜け駆け・・・次の鍛錬楽しみにしてる」だそうだ」
雪蓮「う・・・・・」
冥琳「まあ、それは皆思っているだろうがな」
クスクス
雪蓮は周りの微かな笑い声を聞きながら、次の鍛錬の事を想像して顔を少し青くさせたのであった
一刀「すまなかったな。それでは改めて話を始めようか。それで、袁紹達は何を求めに此処、楚に来たんだ?」
麗羽「それは・・・・此処、楚ではあらゆる情報を集めていると思いここに来れば知れるのではと考えまして・・・・後は・・・出来たら同盟をと思い」
皇甫嵩「私達だけの力では知ることができない情報が多くあるので・・・それに、一昨日の話からでも分かるように私達は情報をあまりにも知らな過ぎているのです」
白蓮「ああ、まだ信じられないけど、それを否定する事も私達にはできないのが現状だからな。それに、楚程の力を持っている場所はもうほとんど存在もしないからな」
一刀「同盟ね・・・・・それは、漢の将としての願いか?それとも一個人、つまり一人の将としての願いか?」
皇甫嵩「そ、それは・・・・」
麗羽「それはどう違うのですの?」
一刀「そうだな、漢の将として考えているなら手を貸すつもりはない。漢はもう取り返しのつかないところまで行っているし、それでも立て直そうとするならどれだけの人と金、それと時が必要かわかったものではない。それに俺個人としても漢を良いように思っていないからな」
皇甫嵩「そ、そんな!!それでは漢の皇帝、献帝様はどうすれば!!」
皇甫嵩は唯一の頼み綱である楚から、断られたと思い狼狽だした
涼「落ち着いてください。まだ旦那様は漢の将としての考えしか言ってませんよ」
麗羽「そうですわよ皇甫嵩さん。まだ、諦めるには速いですわよ」
一刀「話していいか?・・・次に一人の将の場合だな。これなら話は変わってくるだろう。これは現状を見て考え、動いてここまで来ているのだろう?それに、その様な人物は保身を考えずに民たちや臣下たちを大切にする。俺はこの様な人物たちは信じれると考えているからな」
白蓮「それじゃあ・・・・」
一刀「ああ、お前らが漢と言う国が無くなってもいいなら手を貸す」
皇甫嵩「どういう事ですか?漢を無くすとは?それに、それでは献帝様が・・・・」
冥琳「別に献帝を殺すとは一刀様はおっしゃってないだろう」
四人「「「「????」」」」」
星「解らんか?」
麗羽「はい」
星「では、漢の象徴と言えるものは何だ?」
白蓮「それは皇帝だろう?」
星「なら皇帝とは何だ?」
斗詩「天です」
星「そう、天だな。ならこれを無くしたら漢が亡んだともいえるだろう?」
麗羽「それって・・・・」
皇甫嵩「で、でも・・・・」
白蓮「え!!今のでわかったのか二人は!?」
斗詩「私もわかりませんよ~~。一体どういうことですか?」
雪蓮「まだわからないの?それじゃあ、蓮華はわかったかしら?」
蓮華「はい。つまりは漢の皇帝は天ではないと言わせればいいのですね」
雪蓮「ん~~ほとんど正解ね」
蓮華「え?どこが違うんですか?」
蓮華は雪蓮の答えを聞いて何が違うのか悩みだした
涼「いいですか蓮華。あなたの解答だけだとただの言葉だけで行動が伴いません。そのまま豪族として楽な暮らしをするでしょう。それじゃあ駄目なのです」
蓮華「それじゃあ・・・・・」
雪蓮「献帝を平民にするのよ。ただの民になってしまえば何もできないから。それでも祀り建てようとする者は居るかもしれないけどね」
星「まあ、そこは次の王が何とかするでしょうな。ねぇ主」
一刀「さあな。今の大陸を見る限りそんな事を考える民はほとんどいないだろうからその時に残っている諸侯がどう出るかだな。まあ、現状で今の皇帝に忠誠を誓っている者がそんなにいないだろうにその時はどうなってる事やら」
涼「クスクス、旦那様もお人が悪いですね。仮にも漢の将達の面前でその様なことを」
クスクスクス
と、涼の意見に同意したように周りも小声で笑い出した
麗羽「そ、それで同盟をお願いしてもよろしいのですか?」
麗羽は漢の大陸の現状を考え一刀が惚けながら言った意見は最もと考えた。もう、引き返すことができないところまで来ている。ここまで来たなら自分がやれる最善の事をしようと
一刀「ああ、お前達が漢を無くしてもいいならな」
麗羽の後ろで白蓮と皇甫嵩は
白蓮「本当に同盟して良いのか?」
皇甫嵩「はい。今はこれしか手はありません。それに、朝廷内部は今も黒く染まっていっていますし、あのように染まってしまっていては何もできません。他の人に力添えを考えてもここより力があるとも思えませんし、情報が漏れるような事がいつ起きるかわかったものでもありませんから」
白蓮「そうだな。私達がやろうとしているのは反乱とも言えるものだからな・・・・」
皇甫嵩「はい。それに、昨日一日この楚を見ましたが我々が住んでいる街とは大きく違いました。民たちが皆笑って暮らしていて、この様な光景はもう漢で見ることはほとんどできません。私はその光景を見て改めて思ったのです。楚に、項羽さんに賭けてみようと、あの人なら大陸の民たちを幸せにできるかもしれないと」
白蓮「そうだな。それに、献帝様も殺さないと言ってくれたからな」
二人も決心がついたようで
三人「「「どうかこれからお願いします」」」
一刀「そうか、わかった。ならお前たちはこれから俺たちの友だ。こちらこそよろしくな」
一刀の了承の言葉を切っ掛けに周りも挨拶を始めた。これからの友のために力を必ず貸すと、出来るだけの事は手伝うとそう言いながら
麗羽「皆さん、本当にありがとうございます」
麗羽は頭を下げながらお礼を言い、それにつられて後ろの三人も頭を下げたのであった
一刀「頭を上げてくれ袁紹。これからは仲間だ、遠慮せずに何でも言ってくれ」
麗羽「ほんとうに、本当にありがとうございます」
白蓮「ありがとう。これからよろしく頼む」
一刀「ああ、お前は確か公孫賛だったな。これからよろしく頼む」
袁紹達の気が収まるまでお礼の言葉を聞き
一刀「それじゃあこれからのことを話すか」
麗羽「そうですわね」
白蓮「あ、あの・・・・・」
涼「如何したのですか公孫賛?」
白蓮「行き成りですまないが、最初に聞きたいんだ。桃香、劉備と戦いになったときあいつをどうするんだ?」
一刀「どうしてそれを?」
白蓮「劉備と私は同門なんだ。それで・・・・出来たらその・・・・・」
雪蓮「助けたいって言う事?」
白蓮「コク」
雪蓮「甘いわね」
白蓮「それは解っている。でもまだ信じられないんだ。桃香があんな非道なことをしているなんて・・・・・」
雪蓮「でもそれが現実よ。それにそんな考えでは戦場で会ったとき死ぬのはあなたよ」
白蓮「それは・・・・・でも・・・どうなんだ?項羽さん」
一刀「・・・・俺は殺そうと考えている。アイツは上に立つのが速すぎた。内面が育つ前に上についてしまったから中身が幼いままで自分の考えを押し付け行動している節がある。普通ならその時は、家臣が止めなければいけないがその家臣も劉備に賛同して動いていると来ている。これではただの暴徒だ。放置するわけにはいかない」
白蓮「それは・・・それなら、戦が始まる前に一度私と話させてくれ。若しかしたら説得できるかもしれないし・・・・・・」
星「今の劉備には話をするとは思えませんな。楚とかかわりを持っているだけで毛嫌いしていると聞きますからな」
白蓮「それでも!!」
一刀「公孫賛の気持ちはわかった。機会があるならその時を取ろう。ただあまり期待をするなよ」
白蓮「本当か!?ありがとう」
一刀「かまわない。それよりお前たちの戦力が聞きたいのだが?」
麗羽「私の所は、土地のおかげもあって兵は多いのですが将の数が・・・・・」
白蓮「私はその両方が居ないといっていい。私の所は私一人でやっているみたいなものだからな」
一刀「なるほどな・・・・・」
冥琳「一刀様よろしいでしょうか?」
一刀「どうかしたか?」
冥琳「はい、話を聞く限り二人とも将が不足をしている模様なので我々の将を貸し与えてはどうかと」
一刀「そうだな・・・・それじゃあ誰をどこに置く?」
冥琳「そうですね、まずは完全に人材不足な公孫賛殿の軍には同じ騎馬隊を率いている翠たち馬姉妹と蒲公英の四人に軍師としてねねを。袁紹殿には華雄に戦紀と守の三人、軍師に穏がよろしいかと」
一刀「そうだな、公孫賛には蝶も加えよう。流石に軍師一人じゃ辛い。袁紹の所は確か軍師は田豊と言うのが一人いただろうから大丈夫として、武将をあと一人入れておきたいな」
涼「それなら粋怜さんなら良いのでは?あの方は祭さんと同じで経験が豊富なので安心かと」
一刀「そうだな。なら、粋怜に頼むか。袁紹達はそれでいいか?」
麗羽、白蓮「「は、はい。ありがとうございます」」
二人はさっき同盟を組んだばっかしの相手にここまで力を貸してくれることに驚いていた。自分たちの考えではよくて兵を少しと将が一人来たらいい方と思っていたからである
一刀「皇甫嵩には悪いが今のまま朝廷で働いて情報を流してくれ。定期的にこっちの密偵が行くからそいつらに話してくれ」
皇甫嵩「わかりました」
一刀「よし、それじゃあ話はここまでにしたいと思うが何か質問はあるか?」
一刀は周りを見回して意見があるか問いかけた
一刀「無いようなら解散とする。お疲れさん」
涼「お疲れ様です。それでは逝きますか雪蓮。クククク」
星「そうだな雪蓮。他の皆もそろそろ集まり出すころだしな」
雪蓮「やばい・・・・め、冥琳!!」
冥琳「恋、話は終わったから警戒解いていいぞ。それにしても恋よ、今日は楽しめそうだな」
恋「ん、頑張る」
冥琳はいつの間にか部屋を出て外で見張っていた恋と話をしていた
雪蓮「ああああああ、やばいわ・・・・・このままじゃ・・・」
この光景を見た斗詩が
斗詩「あの~~孫権さん。いったいこの後に何があるのですか?」
蓮華「ああ、この後は武将の鍛錬があるのよ」
斗詩「え!!またあれをするんですか・・・・あんなのを毎日してるん何て・・・・」
蓮華「??昨日顔良は鍛錬に参加していたかしら?」
斗詩「はい、えっと確かその時はあそこの呂布さんを含めた親衛隊と夏候姉妹がやられていたのに参加させてもらいました」
蓮華「ああ、あれは鍛錬ではあるけど、今話に上がっているのとは別物よ」
斗詩「え?」
蓮華「あなたが参加したものは自主鍛錬であって今からする物とは内容が違い過ぎるわ」
斗詩「へ・・・・・・ええええええええええええええええええええ!!!!」
麗羽「斗詩さんうるさいですわよ。急に叫んで如何したのですか?」
斗詩は麗羽の問いかけが聞こえないようで
斗詩「孫権さん・・・それは、今から始まるのとその自主鍛錬はどちらが激しいのですか?」
蓮華「もちろん今から始まるのです。顔良がもし昨日これに参加していたら普通は今立って動けないはずですから」
斗詩「そんな・・・・あれで、まだ楽な方なの・・・・・・・・」
麗羽「?????」
蓮華「もしよろしかったら鍛錬を見に行きますか」
白蓮「お、それは面白そうだな」
皇甫嵩「私も気になりますね。楚軍の強さが解るかもしれませんし」
蓮華「それじゃあ、着いてきて。でも、決して私の前には行かない事。あと、勝手な行動をしない事」
麗羽「それはなぜですの?」
蓮華「あなた達を死なせないためです」
そう言って蓮華は四人を連れて演習場に歩き始めた
後にこの四人は鍛錬風景を見てこういった
四人「「「「何であれで人が死なないの???絶対あいつら同じ人間じゃない!!」」」」
そして、次の日麗羽たちは自分たちの治める土地へ帰っていった
そして、
陳留
合肥の戦いの疲弊が回復しだした頃、曹操軍では
華琳「真桜と沙和の調子はどう?」
柳琳「全然駄目みたい華琳お姉さま」
華侖「あの二人は一体何を見たんっすかね?」
華琳「知らない方がいいこともあるのよ華侖」
華侖「そうなんっすか~~」
華琳「それより、稟。二人を治せそうな医者は見つかったかしら?」
稟「いえ・・・医療を得意としていたゴットベイドの者達ほとんどが劉備によって殺されていますので・・・残るは地方を回っているという華佗だけだとは解っているのですが」
華琳「その華佗はどこに居るのかしら?」
稟「・・・・わかりません」
華琳「そう。なら引き続き捜索を頼むわ。桂花、燈」
桂花、燈「「はっ」」
華琳「二人にはこれから私達はどう動くべきか聞きたいのだけれど」
燈「はい、幽州へ攻め公孫賛を撃退した勢いに乗って河北の袁紹を攻めるべきかと」
桂花「私は今のまま兵を休ませ力を蓄えるべきかと」
華琳「(漢を変えるには朝廷の奴らを言い聞かせる力が必要だけど、私には力がまだ足りない。今は力がいる。朝廷を怯えさせるほどの力が必要ね)わかったわ。燈の言う通りにしましょう。燈、あなたが主体で進攻の準備を頼むわ」
燈「わかりました」
そう言って、燈は部屋を出て軍備の準備をしに行ったと同時に
桂花「華琳様!!今はまだ動くべきじゃありません!!袁紹と公孫賛が何やら企てています。それが解ってから動いた方が」
華琳「桂花、私に逆らうとでもいうのかしら?」
桂花「いえ・・・しかし!!」
華琳「決定を変えるつもりはないわ。あなたも速く燈の元にいって手伝ってきなさい。うかうかしていると筆頭軍師の座が奪われるわよ」
桂花「・・・・はい、わかりまいた」
その頃、成都で
姜維「そろそろ、動くころですわね。フフフフ」
あとがき??
いかがでしたか?
何やら蜀の方で不穏な動きがあるみたいですけどどうなるんでしょうね
次回は、劉、曹二つが主体の話になるのかな?どっちだろう・・・・曹のような気もするけど・・・楽しみにしてください
年末は意外に忙しそうなので次回作以降の投稿のペース遅くなるかもしれませんので悪しからず
では待て次回
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