第四章 9話 派閥
成都
朱里「只今戻りました。桃香様」
桃香「お帰り、朱里ちゃん。荊州守備お疲れ様♪それにしても本当に曹操さんが途中で撤退してよかったね。荊州の人たちが危険なめに会わなくて本当に良かったよ」
朱里「はい。あのまま曹操軍と戦っていたら民たちにどれだけの被害が出たか・・・・」
桃香「そうだね・・・・・・・それで、一緒にいる人が?」
朱里「はい。荊州の南部を確かな統治力と人徳で治められていた黄忠さんです」
桃香「やっぱり!!初めまして黄忠さん。私がここの太守をしてます劉備です♪。真名は桃香って言います。これから桃香って呼んでくださいね♪」
桃香は紫苑の目の前までかけて行き紫苑の右手を両掌で包み握手をしながら自己紹介をした
紫苑「え?!ええ、よろしくお願いしますね劉備さん」
桃香「も~~桃香ですよ、桃香。黄忠さんがここに居るってことは私たちに力を貸してくれるんですよね!!」
紫苑「それは・・・・・」
桃香「違うんですか?」
紫苑「その前に確認のために一つだけ伺っても?」
桃香「はい!!何でも聞いてください」
紫苑「それでは此度の進攻は本当に荊州の民を曹操軍から守るためなのですか?」
桃香「当たり前じゃないですか。隣人が困っている時に手を差し伸べるのは当たり前です」
紫苑「そうですか。悪意は無かったと」
桃香「もちろんです」
紫苑「(この子危険だわ。自分の行動すべてが善意だと思ってる節があるわね)それでは、桃香さんはこれからどのようにされていくのですか?」
桃香「どのようにって?」
紫苑「これからの行動です」
桃香「もちろんみんなが笑顔になるために頑張っていきます。まずは漢の栄光を取り戻すためにがんばって、それに漢の敵、あの楚の項北郷を倒します」
紫苑「あの楚をですか?(北郷?項羽の字は北郷?と言うことはやはりあの方は・・・・)」
桃香「はい!!あの卑怯で残酷な人が治めている国なので、国民たちもの残虐に違いありません。若しかしたら虐げられている人もいるかもしれませんし。私はそんな人たちをあの人から助けたいと思っています」
紫苑「すみませんが桃香さんは楚の内部の事を知っているのですか?」
桃香「知りませんけど・・・・私はあの項北郷と言う人を知っています。私の家に古くから伝わっているんです。冷酷で残虐的、非道だって。それに、あんな危なそうなところに大事な仲間を潜入させて帰って来なかったらかわいそうですし」
紫苑「それじゃあ、楚についての情報はどうしているの?」
朱里「それは、あれだけ強力な国ですので何もしなくとも噂は流れて来るのでそれで十分と判断しました」
紫苑「そ、そう・・・・・・」
桃香「それで、どうですか?私たちに力を貸してもらえますか黄忠さん?」
紫苑「(この君主は個人の考えでしか動いてないわね。そしてこの軍師も・・・・何故桔梗は力を貸しているの?でも、今は動きようが無い・・・・璃々の事も無事たどり着いたのか心配ですし、情報を集めるためだけでもここに居るのが得策ですね)わかりました。正規の将と言うわけにはいきませんけど桃香様に仕えさせてもらいますわ」
桃香「ほんとですか?ありがとうございます」
桃香は嬉しそうに笑顔でお礼を言い頭を下げた
朱里「正規の将ではないということは客将ですか?」
紫苑「そうですよ」
朱里「それはどうしてですか?」
紫苑「それは、先の戦いのときに私の娘が行方不明になっているのでその事が心配でして」
朱里「では、娘さんが無事に見つかったら正式に将として加わってもらえますか?」
紫苑「ええ、もちろんですわ」
朱里「わかりました。こちらも全力で娘さんを探させてもらいます(やはりあの時にしっかりととらえるべきでした。何とか生き残った者が楚が捕らえたと報告されましたし、これをどううまく伝えるかによりますね)」
桃香「黄忠さんが仲間になったことだし、みんなで自己紹介をしようよ♪」
小蓮「それ、賛成~~~~」
雷々「雷々もそう思う~~。それに朱里たちが居ない間に美花さんが新しい人連れてきたしちょうどいいんじゃないかな」
それから劉備軍の将たちの自己紹介が始まった
桃香「じゃあ、改めて私は此処の太守の劉備です。真名は桃香です」
鈴々「鈴々は張飛なのだ!!真名は鈴々なのだ」
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そして
姜維「この間、劉備軍に加わらせてもらいました姜維と言います。初めて顔を合わせる方もおりますのでこれからなにとぞよろしくお願いします」
紫苑「最後に私ですね。今日より客将として加わらせてもらいます黄忠と言います。これからよろしくね」
朱里「黄さん、姜維ちゃんはいったいどんな子ですか?」
黄「そうですね、確実に仕事をするいい子ですね。流石、美花さんが連れてきただけありますね」
朱里「そうですか。彼女は武官と文官どっちの方なんですか?」
黄「どちらともとても優秀で頼りになりますね」
朱里「それは凄いですね」
朱里と黄が姜維の話をしている間に
紫苑「ねえ、孫尚香ちゃん。少しいいかしら?」
小蓮「小蓮でいいよ黄忠」
紫苑「そう?私はまだあなたに真名を預けていないけど良いの?」
小蓮「うん。黄忠良い人そうだからいいの。シャオの勘は中々当たるんだから」
紫苑「そう、わかったわ。それで小蓮ちゃん、若しかしてだけどあなたは楚の孫家の者かしら?」
小蓮「そうだよ。シャオは江東の虎で有名な孫堅の三女だよ。それがどうしたの?」
紫苑「いえ、何故ここに居るのかと思っただけよ。気にしないで」
小蓮「ふ~~ん、若しかして黄忠さん何か知ってる?」
紫苑「何かって?」
小蓮「何でもないよ。そうだ、もし黄忠が私の事を知りたいなら夜に私の部屋に来て。教えれることは伝えるから」
紫苑「いいの?そんな風に初対面の私に教えても」
小蓮「うん。それに、シャオが黄忠の事を知ってるかもしれないしね」
紫苑「どういう事それわ?」
小蓮「ふふ、秘密~~知りたいなら今日の夜に来てね~~」
そう言い残した小蓮は雷々の元に駆けて行った
紫苑「一体どういう事かしら・・・・・・」
紫苑が小蓮について考えていると黄と話終わった朱里が
朱里「あの黄忠さん、もしよかったらですけど私が城や街の案内をしたいと思うのですが」
紫苑「そう?ありがとうね孔明ちゃん。お願いできるかしら」
朱里「はい、まずは城から案内しますね」
そして街で
紫苑「ここがあの成都?劉璋が治めていた時とは違って平和そうだけど・・・・・・・」
紫苑は街の風景を一度見回してある一点を見つめた
紫苑(南蛮の人たちは此処では人権が無いみたいね・・・・・なぜこんなことを?)
紫苑が蜀の現状を見ている時
ガシャーーーン
南蛮の少女「す、すみません、すみません。打たないでください」
店主「またお前か!!これで何度目だ!!いいかげん皿運び位出来るようになれこのクズが!!」
バコバコ
店主は木の棒で少女を殴り始めていた
少女「すみません、すみません。もうしませんから殴らないでください」
此処で働いているのだろう他の元南蛮の民は怯えながらその光景を見る事しかできない者、自分に降りかからないように目を逸らし自分の仕事をする者がいた
店主「うるせーーー!!お前は言っても聞かねえからこうやって体で覚えさせているんだろうが!!」
紫苑はあまりにも酷い光景だったため思わず駆け寄り店主の手を掴んで止めていた
紫苑「やめなさい。かわいそうでしょ」
店主「何だお前は?儂は店の奴隷を躾けているんだ。邪魔をしないでくれるか?」
紫苑「それでもこれはやり過ぎではないの?」
店主「やり過ぎだ?何馬鹿なことを言ってるんだ?これが普通だろ。それにこいつら南蛮の奴らは無駄に体が丈夫だからこれぐらいやっても平気なんだよ!!」
ドカ
店主は躾けていた少女に向かって蹴りを入れながらそう説明した
紫苑「なっ、それでもこの子たちは生きてるんですよ。痛みも感じているのですよ」
店主「ふん、生きていようが死んでいようが関係ないな。こいつらは人じゃないからな。牛や馬と同じ家畜さ。いや、もっと下の分類の生き物さ」
それを聞いた紫苑はあまりの衝撃で絶句していた
朱里「黄忠さん、もう行きましょう」
朱里は黄忠の手を取って連れ出し、一息つける場所に連れて行った
朱里「黄忠さん困ります。あんな勝手な行動をとられてわ。この成都では南蛮の民たちは普通の人間になるためにああして勉強をしているのです」
紫苑「勉強?」
朱里「ええ、民たちに預けて更生させているのです。駄目だったもの達がああやって奴隷として扱われて蔑まれていますが、無事更生したもの達は兵士として働いてもらっています」
紫苑「そんな事って・・・・」
朱里「南蛮の人たちは私達と異質ですから最初っからわかり合うことができません。だからああして私たちの文化を教えているんですよ」
紫苑(あんなことは人がする事じゃない・・・・一体この子たちは何がしたいの)
紫苑が頭を抱えて考えている姿を見て
朱里「初めて見る光景ですし色々思うことがあると思いますがすぐ慣れますよ。それで、黄忠さんまだどこか見たとこありますか?」
紫苑「もう大丈夫よ。ただ、少し一人にしてもらえるかしら?」
朱里「わかりました。それでは先に城に戻ってますね」
そう言った朱里は紫苑を残して城に戻っていった
少し時間がたち紫苑の元に警邏中の桔梗が通りかかった
桔梗「おい紫苑こんなところで何をしている?」
紫苑「き・・・きょ・・う?」
桔梗「そうだが?歳のせいでもうボケたか?」
ガバ
紫苑は顔を起こし桔梗に詰め寄った
桔梗「す、すまん、歳の事言ってすまん紫苑」
紫苑「そんなのどうでもいいわ。それより桔梗、如何してあなたはあの子たちに力を与えたの!?あなたが力を与えなかったらこんな酷いことが起きなかったかもしれないのに」
桔梗「な、何の事だ?」
紫苑「本当に解らないの?」
桔梗「だから何のことだ?」
紫苑「・・・・もういいわ。あなたもまだ仕事中でしょ。私は先にお城に戻っているわ」
紫苑は桔梗の豹変ぶりに落胆したかのように肩を落としながら城に向かっていった
桔梗(すまんな紫苑。儂もどうすればいいのかわからんのだ・・・最初出会った頃の桃香様は儂にとって光にも見えた・・・あの時偶然にも手に入れ、いつも儂が肌身離さず持っている何かの本の一部。これに書いてあることは嘘だと信じ漢のため益州のためと思い、儂は桃香様についた・・・・同じ劉姓の者でもここまで違うのかと、この方ならここ益州を平和に統治してもらえると感じたから。だが現状では益州は平和である。しかし、仁慈に欠けていると思うものもいる。儂は何が正しいのか解らないのだ)
その夜
紫苑「確か此処のはずよね、小蓮ちゃんの部屋わ。小蓮ちゃん黄忠よ、入ってもいいかしら」
小蓮「うん、入ってきて」
紫苑が部屋に入ると小蓮以外に電々、韓遂もいることに気づいた
紫苑「小蓮ちゃんこの二人は?」
小蓮「大丈夫だよ。二人とも信じられる人だから」
紫苑はそう言われたが警戒を解くことなく小蓮と話を始めた
紫苑「それで、小蓮ちゃんあなたは一体何がしたいの?」
小蓮「その前に黄忠、あなた項羽様に直接会ったことがあるんじゃないの?」
紫苑「え?項羽さん?」
小蓮「そう、もしくは北郷と名乗る人物にでもいいわ」
紫苑「・・・・・・ええ、北郷と言う方ならあったことがあるわ。それがどうしたのかしら?」
小蓮「やっぱり・・・・・あなたで合っているみたいね」
紫苑「どういう事かしら」
小蓮「ここに居る三人、形は劉備軍に属しているけど真実は違うの」
紫苑「それって・・・・・」
小蓮「そう、シャオ達は楚の間者だよ。まあ、シャオと雷々は少し目的が違うけど」
紫苑「それで、楚の方たちが私に何ようですか?」
小蓮「それは、項羽様にもしかしたらそっちに黄忠と言う人が行くかもしれないと言われたからよ」
紫苑「項羽・・・それはやはり私があった北郷さんと同一人物なのですか?」
小蓮「たぶんそうだと思うよ。本当は娘だけじゃなくあなたも保護するつもりみたいだったらしいけど」
紫苑「それは、璃々は無事にそのたどり着いたということですか!!」
小蓮「それは、解らない。戦の前の連絡で出来る限り二人を保護するつもりでいるけどどうなるかは解らないて書いてあったし」
紫苑「そうですか・・・」
小蓮「でも、次の連絡の時に多分そのことが含まれていると思うから待ってて」
紫苑「わかりました」
小蓮「それで、ここから本題に入るんだけど黄忠私達と組んでもらえない?」
紫苑「それはどういう事かしら?」
椿(韓遂のまな)「あたい達は劉備軍が楚と戦う時劉備軍を裏切り背後から仕掛けるよう言われている。あと、こちらの情報を伝えることも仕事に入ってるな。それにあんたも加わってほしいのさ」
小蓮「もちろん強要はしない。娘の事も解り次第連絡するし人質としても扱うつもりはないわ」
紫苑「そうですか・・・・わかりました。私もそちらにつかしてもらいます。それに北郷さんは信じられる方ですから。ただ、璃々が無事に楚に着いたと連絡がきたらすぐに教えてくださいね」
小蓮「ありがとう。連絡があったらすぐ伝えるね」
紫苑「ありがとうございます。これから仲間になるのですから私の真名紫苑を受け取ってください」
椿「わかった。あたいの真名は椿だよろしくな」
雷々「雷々は雷々だよ。よろしくね♪」
時を同じくして違う部屋で
美花「姜維、あいつ等からの連絡らしいです」
そうやって美花は蝋で封がされている書簡を姜維に渡した
姜維「ありがとうございます・・・・・・・なるほど、さてどうしましょう」
美花「何と書いてあるのかしら?」
姜維「それは教えれませんね。私はまだあなたを信じられませんから」
美花「そう、ならいいわ。ただ、ご主人様に迷惑が掛からないようにしてくださいね」
姜維「ふふ、解っていますよ」
そう言って姜維は部屋を出て行った
美花「やはり、あいつ等と繋がりを持ったのは間違いだったのでしょうか・・・・あいつ等はかなりの影響力を持つから御主人様のために使えると思ったのですけど・・・・・」
空丹「黄、私はもう耐えきれそうにないよ」
黄「空丹様・・・」
空丹「何なんだ桃香のしていることわ。あれは人がすることでは無いじゃない」
空丹は桃香に最初に聞かされた夢と現状の違いが違い過ぎて悔しさを滲み出させていた
黄「しかし、今はまだ・・・」
空丹「なら、何時ならいいの」
黄「それは・・・・・それにここから出て行ってどこに行かれるのですか?」
空丹「私は一度楚王に話がしたい」
黄「あの項羽ですか?」
空丹「そうよ。母様が昔言っていたの。若しかしたら本当の王と言うのは項羽だったのかもしれないと」
黄「それはどういう・・・・・・」
空丹「私にもまだわからない。ただ、母様がある部屋で何かを調べていたことをうっすらと思い出しているの。それにその部屋はとても特別だって事を教えられた気がするわ」
黄「その部屋とわ?」
空丹「解らない。でもこの部屋については二人にしか教えちゃダメと言うのは覚えているの」
黄「空丹様はそれを誰かに教えたのですか?」
空丹「たぶん・・・あの人に教えたような・・・・あの時はまだ小さかったから」
黄「そうですか。・・・・・空丹様、ここを離れるのは今はその時期じゃありません。もう少し時を待ってその機会になったら一度楚に向かいましょう」
空丹「わかた」
そして、数日がたち大陸に一つの噂が流れた
楚が戦で敗北したと
あとがき??
どうでしたでしょうか?
劉備軍の内情でした。桔梗が持っている物の入手の経緯はいつか番外編で書くか話の途中に加えたいと思います
次回は麗羽との会談になります
では待て次回
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劉備軍の話