電車は晴天中学校前の電停に着いた。
ドアが開き、晴天中学2年生の高井戸ミミナが電車に乗り込む。
「やあ、ミミナちゃん」
「あ、確か雨天中のカレンちゃんだにゅ!どうしたにゅ?」
雨天方面からやってきた電車に乗っていたのは、中華弁当店『トゥーバ・エクスプレス』の看板娘カレン・トゥーバ。
「いやぁ、お店の仕事の一環でおさかなセンターまで食材の仕入れだよ。ミミナちゃんは?」
「おいしい丼があるって聞いて、これからおさかなセンターに行くんだにゅ♪」
「じゃあ一緒に行こうよ」
「にゅ♪」
二人を乗せた電車は、大きな渋滞に巻き込まれることもなく、走ること25分。
終点の晴天おさかなセンター電停に到着した。
…晴天おさかなセンター。
「ほぇー…何度来てもでっかいなぁここは」
「にゅ…」
広大な売り場にはあふれんばかりの人、人、人。
なにしろ近くの晴天漁港から水揚げされたばかりの新鮮な魚が集まる、魚市場の直売所なのだから、
数多くの家や料理店などから買いに来る人も少なくない。市外はおろか、県外、果ては海外からも大勢の客が買いに来るのだ。
「んーと、目的のブツは…お、あったあった。すいませーん!このカニくださいっ!」
カレンは近くにいた店員の男に声をかける。
「おう、トゥーバさんとこの娘さんか。一人で買い物とはえらいなぁ。ほい、5000円だ」
「まったまたぁ。ウチではカニ使った料理も結構人気なんだよ。もう売れ行きがすごくってさー。…少し負けてくれない?」
「んー、じゃあ4500円だ」
「そこをこう、なんとかもう一声!」
「だめだだめだ!4500円。これ以上はムリだぜ」
「んー、もったいないなぁ大将!せっかく男前なのにさーっ」
「…(///)でぇーい!3500円で1パイおまけだ!もってけドロボーッ!!ww」
「まいどー!w」
と、うまい具合に値切り交渉を仕掛けてカニを購入したカレンの鮮やかさ。
さて、ミミナはというと…。
「すいません、おいしい海鮮丼があるって聞いたけどにゅ」
「ああ、それだったら今お出ししますよ」
「じゃあ大盛りひとつと並盛りひとつでお願いしますにゅ」
と、二人分の海鮮丼をテイクアウト。
「ミミナちゃーん!おまたせー!」
「待ってたにゅ!はい、カレンちゃんの分だにゅ」
近くにある桟橋テラスで、海鮮丼を食べる二人。
「いやぁ、今日はいい買い物したなあ」
「おいしい丼も食べれたしにゅ♪」
「よーし、じゃあ帰ろうか!せっかくだから遊んでいかない?」
「わーい!一緒に遊ぶにゅ!」
こうして二人は、帰りの雨天方面行きの電車に揺られていったのであった。
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どうやったら接点が作れるのだろう?
という点で、「偶然出会った人と友達に」というパターン。
電車の中って時として出会いの場にもなりますよね。
■出演
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