「あーっ!もうっ!!」
…沢村熱気は声を荒げた。
ここはドイツ料理店フローエ・ツァイト。
熱気はこのテーブルの一角で、同じ晴天中学に通う高井戸ミミナと食事をしていた。
「せ、センパイ…」
「あ!?」
「何があったか知らないけど、あんまりイライラしないほうがいいにゅ。リラックスリラックスだにゅ」
と、なだめようとしているミミナ。
だが次の瞬間、熱気は思い切りテーブルと叩いて立ち上がった。
「あんたねえ!あたしがどんだけ悩んでるかも知らないくせによくそんな事言えるわね!」
「ひっ!?あ、熱いにゅ!怒っちゃダメだにゅ!」
「はぁ…」
熱気はひとつため息をつくと、目の前の皿を指差した。
「このハンバーグよ」
「にゅ?」
よく見ると、そのハンバーグは真っ黒に焦げてしまっていた。
「出されたときはミディアムで来るんだけど、あたしの熱気のせいで食べてるうちにどんどん火が通って焦げてきちゃうのよ」
「そ、そんな深刻な悩みが…にゅ…」
ただただ唖然としているミミナに、熱気はさらに畳み掛ける。
「かといってソーセージを頼んだら片っ端から破裂しやがるし!じゃあせめてスープでもと思ったら飲もうとした瞬間に蒸発しちゃうし!ああもう!なんで炎の化身なんかに生まれてきたのよーーーっ!!!」
「ぎゃあああぁぁぁ!熱い!熱いにゅ!燃えてる!尻尾に火がついたにゅ~~~!!!」
さすがにここまでの熱気とあっては異変に気づいたのか、店の看板娘であるルイーゼ・フライベルクもあわてて駆け寄ってきて熱気をなだめる。
「お客さん!落ち着いて!とりあえず落ちつアチチチチチ」
「センパイ!とにかく落ち着くにゅ!お店が燃えちゃうにゅ~!!」
結局、店はボヤ騒ぎになったもののどうにか火は消し止められ、人的被害はなく、物的被害も最小限ですんだ。
…ただ一人、尻尾が焦げてしまったミミナを除いて。
「だーかーら!ごめんっていってるでしょ!」
「な、なんでいつもそんなに怒るにゅ…ぐすん!」
「知らないわよ!とにかくあたしは悩んでるんだから!じゃあね!」
怒りながら自宅へと急いでいく熱気の背中を見て、ミミナは思った。
「…あの人、そのうちド派手に自爆しちゃうんじゃないかにゅ…?」
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彼女は炎の化身。
だからきっと…こんな悩みもあるはず!?
■出演
熱気:http://www.tinami.com/view/740034
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