No.739481

真・恋姫†無双 侍臣墜遇、御遣臣相偶~第五席~

ルルさん

『新・恋姫無双・乙女だらけの三国志!!………わぁ乙女(^∀^。)?』
……と遮侖が相変わらず喜んでおりますが。

彼は最近一刀の周りに女性が増えて、もやもやしてます。

2014-11-25 16:36:40 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2911   閲覧ユーザー数:2539

第五席

 

 

 

「折角官職につけてやったのに」

劉備追放の話を聞いた遮侖は肩を落とした。

「桃香ちゃんのことだから、賄賂を渡さなかったんだよ。きっと」

風鈴が人差し指を立てて言った。

「一刀、これも歴史通りなの?」

一刀はうなずいた。

「風鈴さんの言うとおり、劉備が賄賂を渡さなかったからこうなったんだ」

一刀はあまり細かくは話さなかった。

「じゃあ、次の作戦に出よう。風鈴、皇甫嵩殿は信用できるのか?」

「楼杏ちゃんは……。何進側につこうとは考えてないみたいだけど、遮侖ちゃんのこともあまりよく思ってないわね」

なんども止めてくれといったのだが、風鈴は遮侖をちゃん付けで呼んでいる。ずいぶん前からそう呼んでみたかったらしい。

「風鈴が口をきいてくれないかな?其れでもこちら側には来ないと言うのなら、仕方がないけど」

「俺からもお願いするよ。風鈴さん」

風鈴は、一刀のほうをじっと見た。

(楼杏ちゃん、恋人欲しいって言ってたし……)

「風鈴さん、なにをブツブツ言ってるんですか?」

一刀は風鈴の独り言は聞き取れなかったが、遮侖はしっかりと聞いていた。

「なんなら、皇甫嵩殿にここに引っ越してもらってもいいよ。一刀の部屋の向かいの部屋が空いてるし」

ここの屋敷の主が遮侖なのか、一刀なのか、最近分からなくなっている。

遮侖は張り切って掃除をするし、料理もする。逆に稽古をつけるのは一刀のほうであり、寝室は一刀の部屋のほうが広く、暖かい。ついでに最近は、周囲を固めるため、一刀の後宮のようなものつくろうとしている。逆にそっちに混ざりたい遮侖である。

 

 

翌日、遮侖は一刀を伴って宮中に向かった。しかし、入っていったのは十常侍の執務室ではない。

 

「陳留王様、本日はぜひ、お会いして頂きたい者がおります」

「ふむ、しゃ……張譲は人をあまり好まないと聞いたが?」

「左様でございます。数少ない私の友人でございます」

「うむ、通せ」

遮侖は一刀を伴って再び入ってきた。

劉協は、まず、一刀の制服に目を奪われた。

「わあ、服が光ってるもん!綺麗なんだもん!……ゴホン、えー、しゃ……張譲、この者は一体?」

何とか口調と表情を厳格なものにもどして劉協が聞いた。

「先日より、私の護衛をしてもらっております、北郷と申すものでございます」

一刀はずっと頭を下げ続けている。

「頭を上げよ。北郷」

「は」

一刀はすっと頭を上げた。

「……お主は殿方であるか」

劉協はしばらく一刀に見とれていた。

遮侖は心の中でガッツポーズをしている。

「はい」

一刀は短く答えた。

「張譲の護衛と聞いたが、どのような経緯があるのだ?」

一刀は、予てより考えていた偽りの経歴を話し出した。

「私は南陽郡宛県の生まれです。黄巾党に村が襲われ、両親ともに亡くなりましたが、ある程度の武を持っていたこともあり、小規模の賊を退治し、その報酬で食糧にありついておりました。洛陽付近で、何進の部下に追われている張譲様を助けて以来、護衛として……」

「黙れ」

劉協が鋭い目をして玉座から見下ろしていた。

「嘘であろう。本当のことを申してみよ」

一刀は固まった。この嘘がこうも簡単にばれてしまうとは思わなかった。

横目で遮侖のほうを見ると、彼は小さくうなずいていた。

「私は……約1800年後の東の島国の出身です」

流石の劉協も目を丸くした。

「な、なんか……そっちのほうが嘘っぽいんだもん。……しかし、目は嘘をついているそれではない。なら信じようか。その光る服も見たことがないものである。どうやってこの世に来たのか、話してくれぬか」

「残念ながら、断片しか思い出せないのです。暗闇の中で何か声がしたと思ったらこちらに来ていたので……」

劉協は残念そうな顔をした。

そして今度は遮侖に目を向けた。

「以前言っておったな。漢の安寧のために……歴史を変える必要があると」

遮侖は重々しくうなずいた。

「ええ。北郷から聞いた話ですと、間もなく私と何進は殺され、西涼の董卓が権威を振るい、その暴政に激怒した諸侯がついに蜂起して天下を目指すために戦い始める、と。北郷は未来から来た者ですから、漢の行方は知っております。そしていま伝えたのは、未来に伝わる漢の話です」

「話から察するに、私や姉様の力などないに等しくなるのだな?」

一刀は少しためらったが、頷いた。

「だから歴史を変えると……」

劉協は、部屋の隅に置かれた書物の棚を見つめ、燭台の上の火を見つめた。

しばらく沈黙が続いたが、ついに劉協が立ちあがった。

「余も協力するもん!漢を消しちゃだめだもん!」

そして、長い裾を引きずって、一刀の前に自ら歩み寄った。

「……私も力になれるもん?」

「勿論でございます。殿下のお力添えがあれば……」

劉協はうれしそうに笑った。

「じゃ、余のことは白湯って呼ぶもん!」

「そ。それは真名……よろしいのですか?」

「信じてるから真名を預けるんだもん。絶対裏切らないもん」

「そ、そうですか。では、私は一刀とおよびください。私がいた世界には真名はありません。ですが、下の名前が真名に相当するものと思います」

白湯が今まで真名を交換したのは、姉の劉宏と、遮侖、一刀の3人だけである。

未来を知っている者がいるというのは、誰にとっても心強いことである。

そして、白湯はその情報を手に入れることができた。ただ、一つだけ腑に落ちないことがあった。

 

白湯は、すっかり地に戻ってしまった口調で聞いた。

「……董卓の暴政はほんとだもん?あの董卓がそんなことするなんて思えないもん」

白湯は董卓を知っている。あの優しそうな性格の持ち主が、そのようなことをするとは考えられなかった。

「勿論、歴史が間違って伝わった可能性もあります。何分漢の歴史をまとめたのは曹操の配下の者ですから。悪しき部分を隠したのかもしれません。が、誰がいつ亡くなったのか、ということは、あまり間違いはないでしょう」

一刀はすこし隠した。伝わっている三国志では全員男だ、なんていうのは、人によっては嫌悪感を感じるかもしれないからだ。

そうなっては遮侖の手回しも水の泡となる。

白湯もあまり認めたくなかったが、仕方なく納得したようで、一刀の手を取った。

「できることは何でもするもん。お金のことは大丈夫だもん」

おう、と一刀は心の中で突っ込みを入れた。権力よりも金のほうかい、と。

 

 

遮侖はもう一つ、皇甫嵩に手紙を書いていた。できるだけ早く出向いてくれ、と。

遮侖は宮中では、名ばかり十常侍を演じているので、皇甫嵩としては漢室の膿という認識でしかない。見た目がかわいいのも何となく気に入らない。

「なんでわざわざ張譲の屋敷などに出向かないといけないのかしら。手紙が少し気になったから来てみたものの……。罠?でもどっちつかずの顔をしていたから敵ではないと思われているはずなのに」

と、彼女は先ほどから門の前を右往左往しているのである。

 

一刀と遮侖が返ってきたのはちょうどその時である。

勿論遮侖も計算して、風鈴が一刀の話を始めたあたりで本人と会わせようと思っていたのだが、まだ、一刀に悟られたくはないし、なにより中に入る気配がない。

 

「これは将軍。遅くなり申し訳ない。どうぞ中へ」

いきなり声をかけられた皇甫嵩は、ビクッとした仕草を誤魔化すように靴を鳴らして振り向いた。

「張譲殿、私に何か?」

「会わせたい人が2人ほどいる。いろいろあって外に出られない人でね。刺客など忍ばせてはいない。疑うなら一寸待っていてくれ」

遮侖はそういって、一刀を残して中に入っていった。

 

風鈴を伴って迎えに出ようとすると、皇甫嵩が腕を組んだまま、ちらちらと一刀のほうを窺っていた。それを風鈴と二人で、陰でしばらく見て笑った。

 

「楼杏ちゃん、久しぶり」

遮侖の後ろから風鈴が呼びかけた。

遮侖が細く背が小さいこともあり、ふわふわした髪と、たわわな胸が端から見えていた。

「風鈴!」

皇甫嵩が叫んだ。

「と、いうことだ。とりあえず中に入ってくれ」

遮侖は先立って中に入り、真っ先に厨房に向かって茶を入れた。

「あれ、遮侖ちゃんは?」

中に入ったと思ったらもうすでにそこにはいなかったので、風鈴が一刀に聞いた。

「……厨房、かな?主人がいないと話が進まないんだけどな……」

「ええっ!ここ一刀さんの家じゃなかったの!?」

風鈴は普通に勘違いしていた。

 

「風鈴、大丈夫だったの?囚われたって聞いたけど」

主人がいないので仕方なく一刀が奥の談話室に案内して、小さな円卓を囲んで腰を落ち着けたところで、皇甫嵩が聞いた。

彼女はあまり自分を高く置かないので、上下がない円卓というのは苦にしない。

「うん。いろいろと危なかったんだけどね。遮侖ちゃんと一刀さんが助けてくれたから何もなかったわ」

「そう。じゃ、まだ外には出れないのね。でも安心したわ」

その時、厨房のほうから悲鳴と一刀を呼ぶ声が聞こえて、3人一斉に立ち上がったが、風鈴が落ち着いて腰を下ろした。

一刀が走って部屋を出ていくのを手を振って見送って風鈴は、皇甫嵩に落ち着いて座るように促した。

「またゴキ○リが出たんだね。遮侖ちゃん、虫だめなの」

風鈴はいつもの柔らかい笑顔を浮かべた。

「でさぁ、楼杏ちゃん。一刀さんってかっこいいと思わない?」

皇甫嵩も、先ほどから一刀が気になっているので、否定はしなかった。

「ゴキ○リを退治できるから?」

それもあるけど、と風鈴は言った。

「李豊の屋敷から助けてくれたとき、風鈴もドキッとしちゃったんだよね~」

「そ、そりゃ人生の危機を救ってくれればそうでしょう」

風鈴が隣から大きな胸を押し付けるほど、顔を近くに寄せてくるので、皇甫嵩は椅子から転げ落ちそうになっている。よけているのではなく2人の胸が反発しあって、物理的に押されているのだ。

 

遮侖が一刀を呼んだのは実は芝居である。風鈴があーいう話をすることは分かっていたので、一刀があわてたり、拒否しないようにするためだ。

それも計算ずくなら、風鈴がだんだんと皇甫嵩を押して、椅子から落そうとしているのも計算の上である。

 

とまあ、こういう2人の策士が共同作戦をしては、一刀にも皇甫嵩にも勝ち目はない。

風鈴が皇甫嵩の胸の内を引き出そうと、ずいっと体を寄せると、ついに耐えられなくなって、皇甫嵩は椅子ごと倒れた。

「きゃっ」

がたんと大きな音がしたのと遮侖が一刀を連れて茶を持ってくるのはほぼ同時であった。

「だ、大丈夫ですか!?」

一刀が真っ先に皇甫嵩に駆け寄ると、彼女を抱き起した。

女性の体にみだりに手を触れることは許されることではないが、無意識にそういう行動をとる一刀と、一刀の腕の中で顔を赤くする皇甫嵩には関係ない。

遮侖と風鈴は顔を見合わせて一つ頷くのだった。

 

はい。また2人ほど堕としました。

着々と地盤固めが進んでいるようです。

 

何進との対立は、すいません、次回以降です。

 

遮侖は、自分は子供を宿せないので、一刀の後宮づくりにいそしんでいながら、最近くっつきづらくて悶々としています。

 

漢室にまで手を出しかけているので、執筆が大変ですが、次は「中心軸」か「侍臣」かどちらかわかりませんが、今週中に間違いなく上げます。明日のうちに上がるかな?

 

間違いなく、この後宮に黄も入るでしょう。鍵持ってるのは遮侖ですからw

 

次回か、次々回から、遮侖の悪い顔が出ます。それから、以前空丹お隠れになるかも、と書きましたが、一応姉ポジなので、劉弁と同じような行動をとらせます。とりあえず。

 

何太后をすっかり忘れてましてね。

大変だ。でも、この辺は、裏の展開は別として、史実通り進めればいいので、少し楽かな、うん。

 

あ、そうだ!

実は私、三国コレクションやっていないので、白湯と空丹の、地の言葉の時の一人称がわかりません。

どなたか教えていただけないでしょうか。お願いします。

 

取り合えず、遮侖の裸エプロンを想像して、次回をお待ちください。

 

そんなシーン、予定には一切ありませんw

 

では、再見!


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
13
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択