日は沈み夜が訪れる。
北郷一刀が目覚めた場所でソレは目覚める。
「ココは・・・」
空から見下ろしてた光景、それが今は目の前にある。
体の感覚はある、頭も徐々に冴えてきて現在の状況を把握する。
最後の記憶は川辺で華琳が泣いていた、俺は元の世界に戻った。確証はないがそうなるはずだったはず。
そして、陽の出ていた時に見た光景。アレは俺が三国志と思われる世界に放り出された時の出来事。
俺は自分自身を北郷一刀であると自覚している。何よりも身につけている物が
フランチェスカの制服なのだ、ご丁寧に学生証まであるのだ、これで自分が北郷一刀でないならなんというのだ。
しかし一つだけ自分の記憶にない物がある。
日本刀である。俺の記憶ではこの世界では日本刀は作る事ができなかった、真桜の技術をもってしても模造品までしか作れなかったのだ。
刀を握ると不思議と扱いが分かってくる、知っていたかのようにその知識は俺の中に入ってくる。
軽く振ってみると比較的この世界の武器と比べ軽いそして、使い慣れた物のような錯覚を覚えさせられる。
自分の身体能力をある程度確認していると少数であるが、複数の声が聞こえてくる。
「ちくしょう・・・昼間はえれぇ目にあったぜ」
「アニキ、これからどうするんで?」
焚き火などしていないから顔は確認できないが、声と内容からすると声の人物は北郷一刀を襲った盗賊三人組だ
幸いにして俺にはまだ気づいていない。
近場の岩陰に身を潜め、声を拾う。
「こんな本の為に軍隊から追われるなんて思ってもみなかったぜ」
「でも、アニキ。高く売れそうだったから盗みやしたが実際にソレはそんなに価値のあるもんで?」
「知らねぇよ。白い服きた眼鏡野郎が大事に抱えやがったから盗んだが、俺には本を読めるほど文字を理解しちゃぁいねぇよ」
「大・・平・・なんですかね、あっしには表紙すら読めねぇっす」
太平妖術・・・・華琳が探していた本だ。
声のする数は二人分、昼間の盗賊は三人組だったが巨体の奴は幸いに寝てる。
俺に気づいていない今ならば・・・・勝てる・・・
そう思った途端に俺は走っていた、狙うは小柄の男。
背後から奇襲をかける、しかし走っている為に足音はいくら気をつけても出る。しかし歩いて気づかれるよりは良い
音に反応した二人がこっちを向くが既にこちらは射程圏内。
「「てめぇ!!」」
声を上げ盗賊は抜刀するが向こうは曲刀に似た剣。抜刀速度はこちらが速い
日本刀最速の攻撃手段、居合。
リーダー格の男は何が起きたかわからなかっただろう
横に居た小柄な男が相手が抜刀しただけで
首から上が無くなっているのだから。
無残にも切り口から血を吹き出し、意思を失った人の形をしていた物は
音を立てて崩れ落ちる。
「ひぃ・・・」
鋒を相手に向けてこちらに近寄れないようにこちらの力を誇示し、破格の条件を相手に突き付ける
「その本は太平妖術だな。それを渡せば命だけは助けてやろう。ついでに馬もだ」
「ももも・・もちろん置いていかせていただきますとも!」
案外すんなり要求を飲み、もはや
意地もクソもないようだ。
男は本を目の前に投げ捨て泣きながら走りさって行った
巨体を持つ男はこんな騒ぎを起こしたのに起きる気配がないので放っておくことにする。起きた時が楽しみだ。
さて・・・太平妖術も手に入れ移動手段も手に入れた訳だが。
今後の活動を考える
華琳の元へはもう一人の北郷一刀が行ってしまった。
「この世界はいったいどういうことだ・・・」
そう呟くも返事を返してくれる者はいない
一つ考えられる事。ただそれは確率が低いとも思えるし何より自分自身が考えたくない答えである。
転生。俺の生きていた時代風に言うならばゲームで二週目に突入といった所か。
ただそうなると、華琳の元に同じ人間が二人いる事は異常につながりかねない
「・・・・涼州か」
最も無難そうな陣営にひとまずは身を寄せるのが吉と考え俺は奪った馬で夜の荒野を駆けて行く
二日もあれば着くだろう
馬を走らせ、夜の荒野に消えていく。
どうもシキです。('A`)
修正していて思いました。実際の地理関係など把握していない為明らかにおかしいのかもしれませんが
陳留から涼州って2日で馬でつくんですかね( ^ω^)・・・
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第三話 闇