No.736123

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第352話

2014-11-09 16:21:38 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1780   閲覧ユーザー数:1563

 

 

 

 

 

~ユミル渓谷道~

 

「はあ~、戻ってきた~………!」

「ああ、今回も無事に帰ってこれたみたいだ。」

「はい……それにはぐれた仲間の方達とも全員無事合流できましたわね。」

渓谷道に到着するとエリオットやリィン、セレーネは安堵の表情をした。

 

「ここって、前にデッカイ魔獣と戦ったところだよね?はー、ホントに一瞬で飛んできたんだー。」

「これが”精霊の道”……とんでもないわね。」

「まさか、鉄道や飛行船よりも早く移動できる手段があるとは……」

「ま、本来はその名の通り”精霊の通り道”だからね。アンタたちが使える事自体裏技みたいなものだし。」

”精霊の道”に驚いているミリアム達にセリーヌは冷静な様子で説明した。

 

「ふふ、ヴァリマール様には感謝しなくてはなりませんね。監視塔でも危ない所を助けられてしまいましたし。」

「ええ、本当に。」

シャロンの言葉に頷いたリィンは仲間達と共にヴァリマールを見つめた。

「―――ありがとう、ヴァリマール。おかげで今回もみんなと合流できた。しばらくゆっくりと休んでいてくれ。」

「承知シタ―――休眠状態ニ移行スル。マタ必要ナ時ハ呼ブガイイ―――我ガ”起動者”ト仲間タチヨ―――」

リィンの言葉に答えたヴァリマールは休眠し始めた。

 

「ヴァリマールさん、眠り始めたみたいですわね。」

「そろそろユミルの方に帰還いたしましょう。留守番をしていた方々に皆さんの無事を知らせてあげないと。」

「うんうん、早くみんなに会いたいよー!」

「ああ、そうしよう。そろそろ夜になりそうだ。急いで山を降りないとな。」

その後リィン達は郷へと降りて行った。

 

~温泉郷ユミル~

 

「とうちゃーく!!」

「ふふ、すっかり暗くなってしまいましたわね。」

「ユミルの郷……懐かしいわね。」

「ああ、たったの2ヶ月ぶりだが………前に小旅行に来たのが何年も前のことのようだな。それだけ、オレたちにとっても印象深い場所ということだろう。」

「はは、ありがとう。でも、なんだか変な雰囲気だな。妙に慌しいというか……」

郷の民達がそれぞれ慌しい様子で会話をしている事にリィンは不思議そうな表情をした。

 

「―――リィンたちか!?」

その時待機組のメンバーがリィン達にかけよった。

「よかった……無事だったか!」

「みんな、おかえり。」

「ただいま戻りました、マキアスさん、フィーさん。」

「うん、さっき帰ってきたところだよ。

マキアスとフィーの言葉にセレーネとエリオットは笑顔で答えた。

 

「どうやらノルド方面の仲間とも巡り合えたみたいだな。」

「はい、おかげさまで。」

「久しぶりだ、トヴァルさん。」

「ふふ、ご無沙汰しています。」

「えへへ、そっちも元気そうだねー。」

ガイウス達はトヴァルにそれぞれ再会の挨拶をした。

 

「ああ、ボチボチってところだ。お前さん達も変わりないようで何よりだぜ。」

「それにしても……これは何の騒ぎですか?妙に郷が慌しいみたいですが……」

「そ、そうだった!リィン、男爵閣下が―――」

クレア大尉の質問に血相を変えたマキアスの言葉を聞いたリィン達も血相を変えた

 

「ちょっと、まさか……!?」

「……父さんに何かあったのか!?」

「マキアス、言い方が紛らわしすぎ。」

物事を悪い方向に考えているセリーヌとリィンの言葉を聞いたフィーはジト目で指摘した。

 

「違う、そうじゃない!リィンの父さんが―――ようやく目を覚ましたんだ!!」

「まあ……!」

「ほ、本当に!?」

「ああ、間違いない。まだ万全じゃなさそうだが……とにかく、すぐにでも屋敷のほうに向かおう。」

そしてリィン達が男爵邸に戻り、男爵が眠り続けている部屋に向かうとベッドの中にいるシュバルツァー男爵と看病しているルシア夫人がリィン達を迎えた。

 

~シュバルツァー男爵邸~

 

「―――よく戻ったな、リィン。他の者達も……よくぞ再びこの郷を訪れてくれた。ロクなもてなしもできずにすまないがあらためて歓迎させてもらおう。」

「父さん……」

「あはは、こちらこそお世話になっています。」

「大怪我をされていたみたいで……こういてご挨拶ができて本当に良かったです。」

「ふふ……気遣い痛み入る。トヴァル君とそちらの女性―――クレア大尉と言ったか。君達には郷の守りを引き受けてもらっているそうだな。ユミルの領主として礼を言わせていただこう。」

エリオットとアリサの謙遜に苦笑したシュバルツァー男爵はトヴァルやクレア大尉に視線を向けた。

 

「ハハ、まあ受けた依頼のついでみたいなものですから。」

「私達―――エレボニア帝国の内戦に男爵閣下達やメンフィル帝国を巻き込んだ以上、当然の責務かと。郷をこれ以上内戦に巻き込ませないため……そしてユミルを我々―――エレボニア帝国の内戦に巻き込んだ”罪”を償う為にも最善を尽くさせていただきます。」

「ありがとう……それと……リィンとルシア、この場にはいないエリゼには本当に心配をかけてしまったな。エリスと皇女殿下まで貴族連合に奪われてしま、更にはその事によってメンフィル帝国とエレボニア帝国が緊張状態に陥ってしまった……そんな大事に床に伏していた不甲斐ない父を許してほしい。」

「あなた……」

「父さんの責任ではありません。むしろ、あの危険な状態からよく持ちこたえてくれました。あとは俺達に任せて下さい。二人は必ず取り戻してみせます……!」

「リィン……そうだな。」

「無論、オレたちも力を貸すつもりだ。」

「うんうん、何とかなるって!」

「ええ、私達”Ⅶ組”が揃いさえすれば……!」

「必ずお二人を助け出せますわ……!」

リィンの言葉に続くように仲間達もそれぞれ心強い言葉を男爵に送った。

 

「ふふ、そうですわね。皆様ならばきっと成し遂げられるはずですわ。」

「やれやれ、ちょっとお気楽すぎると思うけどね。でも……Ⅶ組の残りもメンフィルの皇女達を除けばいよいよ3人になったわね。多分、エマもその中に―――」

「ああ、レグラム方面にきっといるはずだ。必ず無事に再会しよう……!」

「うむ……私もそれを祈っている。どちらにせよ、明日はゆっくり休むがいい。話を聞く限りでは、すぐに出発できるわけがないのだろう?」

リィンの言葉を聞いたシュバルツァー男爵はリィン達に尋ねた。

 

「ヴァリマールの回復を待たないといけないんだよね。」

「ああ、多分回復するまでまた1日はかかってしまうだろう。すぐにでも出発したいけど……明日は休息を取るしかないな。」

「ええ、それがいいでしょう。」

「郷の守りについても改めて確かめておくか。」

「父様ッ!」

今後について話し合っていると、エリゼが慌てた様子で部屋に入って来た。

 

「エリゼ……!?どうしてここに……」

「先程母様から父様が目覚めた件を知らされたリウイ陛下から知らされた際、リフィアの許可を取って急遽帰省したんです。それより無事で何よりです、父様……!」

驚いているリィンに説明したエリゼは安堵の表情でシュバルツァー男爵に話しかけた。

「エリゼ……お前にも心配をかけてすまなかったな。それにリフィア殿下にも気を遣わせてしまったな…………」

エリゼに話しかけられたシュバルツァー男爵が苦笑したその時

「フフ、リフィア殿下は民だけでなく家臣達にもとてもお優しい方ですから、どうかお気になさらないで下さい。」

一房に纏めたエメラルドグリーンの髪を腰までなびかせ、白銀の鎧を身にまとった誰もが見惚れるような美しい容姿を持つ可憐な女性騎士が部屋に入って来た。

 


 
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