咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~
動き出す歴史
模擬戦後、一騎は顔を腫らして全員の元に帰って来た。
一騎「ほはったほはった。はっはふ、しははへはへんほしははいんははは。」
何を言っているか理解できない。
凪「隊長、それは仕方ありませんよ。霞様ですし・・・」
凪は分かるのか!?すごいな凪ワンコ。
星「凪、お主今のが分かったのか・・・」
凪「え?むしろ分からなかったのですか??」
星「・・・うむ、お主はやはりワンコだよ。」
凪「ええ!?」
なぜそこで驚くのかが理解できない。一騎もさすがにまずいと思い氣を集中、完治までは行わず、しゃべれる程度まで傷を回復させる。
一騎「ふぅ、こんぐらいか?」
霞「ごめんな、一刀・・・」
一騎「霞・・・今の俺は一刀じゃないんだ。事情は後で説明するから・・・」
霞「ん、分かった。詠、ウチは此処に居る全員信用できると断言するわ。むしろ味方にせな絶対後悔するで。」
霞は賈詡に一騎を含めた全員を味方にする事を進言した。
呂布「鄧艾は強い・・・恋も稽古付けてもらいたい。」
賈詡「う・・・」
賈詡はまさか此処まで圧勝されるとは思っても見なかったらしく、バツの悪そうな顔で項垂れてしまった。
??「詠ちゃん、もう良いんじゃないかな?」
賈詡「月!?」
賈詡の後ろから一騎にとっては洛陽で見たもう一人の侍女の姿があった。
一騎「君が・・・董卓?」
董卓「はい、漢王朝相国董卓です。」
賈詡「月、何で来たの!?駄目じゃない、勝手に出てきたりしちゃあ!」
董卓「詠ちゃんがきっと無理してると思って・・・鄧艾さん、詠ちゃんが申し訳ありませんでした。」
一騎「いや、別に気にはしていないよ。若さとは未熟の同義語だ。若いって良いな。本当に。」
星「おっさん臭いですぞ主。」
一騎「仕方ないだろう、星。俺は現におっさんだ。」
星「・・・でしたな。」
そのまま俺達は自己紹介をする事になった。
一騎「えっと、それじゃあ自己紹介をしようと思うけど・・・呂布、その子は?」
呂布「ちんきゅー」
一騎「ああ、この子が・・・」
陳宮「呂布殿、こ奴等は誰なのですか?」
呂布「恋が・・・負けた。」
陳宮「なんですとー!?」
一騎「ひとまず自己紹介しようか。改めまして、鄧艾士載、真名を一騎と言う。」
賈詡「ちょおおおっとまったぁああああああ!!!!え!?真名!?いきなり!?!?」
一騎「動揺し過ぎだ。これは俺の流儀だ。それに付き合ってもらおうとは思っていない。董卓の言葉から俺達の士官は通ったものだろう?背を預ける仲間には真名を預ける、それがたとえ一般兵でも・・・だ。」
賈詡「な、ななな・・・」
星「諦められよ、主とはこういうお方だ。我が名は趙雲、真名は星。以後、お見知りおきを。」
凪「楽進文謙、真名を凪です。」
一刀「劉北、真名を一刀だ。」
桃香「劉備です。真名を桃香っていいます。」
沁「劉戯、真名を沁だ。よろしくな。」
柊「荀攸、真名を柊だよ。」
一騎の陣営は次々と真名を預けて行った。
霞「ウチは張遼、真名を霞や。よろしゅう。」
呂布「・・・恋は恋。」
陳宮「呂布殿!?」
恋「ちんきゅ、信頼には信頼で返す。常識。」
陳宮「うぅ・・・陳宮、真名は音々音ですぞ。ねねと呼ぶと良いのです。」
華雄「私は訳あって真名が無いのだ。だから預かるが呼ぶ時は名前で呼ばせてもらうぞ。」
董卓「私は董卓、真名を月です。」
賈詡「むぅ・・・賈詡、真名を詠よ。後一人、程昱って軍師が居るんだけど、今は西涼の方に出張中なのよ。」
一騎「何!?そうか・・・彼女が此処に・・・」
こうして、自己紹介を各々済ませ霞が一騎に事情の説明を要求してきた。風の事に関してはいない以上置いておくことにした。
霞「さてと・・・自己紹介も済んで落ち着いた所で。・・・どう言う事か説明してもらいたんやけど?」
一騎「ん・・・そうだな。一刀。」
一刀「ん?ああ。」
一騎「さて皆。俺と一刀、見た目がかなり似ている事に気付いてると思うが・・・俺達は血のつながった何某では無い。俺達は正真正銘同一人物なんだ。」
一騎の言葉に月達は、特に詠とねねは何言ってんだこいつはと言う顔をしていた。
霞「それがウチの知ってる一刀の姿をしてるって理由なんか?」
一騎「ああ。彼の本名は北郷一刀。天の御使いだ。」
詠「それって曹操の所に居るっていう?」
一騎「そこに居る奴は知らんが・・・少なくとも本物かどうかは疑問だ。」
凪「それなんですが・・・隊長。」
一騎の言葉に凪は自身が会った及川のことを話した。
一騎「そうか・・・及川が。」
一刀「何やってんだあいつ。」
凪「お知り合いで?」
二人「「ああ。」」
一騎「とにかく、及川は何らかの理由で降り立つことになっただけだろう。本来の役目はこの外史と言う世界の安定を図る為の人物だからな。北郷一刀で無ければいけない。他の人間では安定しないことが多いんだ。」
それからはとにかく軍師連中を中心とした討論大会の様相を呈していた。やれ外史とはなんだとか、やれ自分達が他にも存在するのかとか、やれ北郷一刀とは何者なのかとか、とにかく説明をして、疑問が出たらそれを説明して、その繰り返しであった。最終的に全部説明する羽目になり、一騎はそれだけで一日を費やした。
一騎「これで霞の夜の相手だろ?もう・・・さすがに疲れたよ。」
一騎はそう紫苑に漏らしていた。
紫苑達の事もしっかり説明して、何とか受け入れてもらった。詠とねねあたりはそれはもう怪しい物を見る目をして睨んでいたが・・・仕方ないと諦めたようだった。これに関しては時間をかけて理解してもらうしかないのだ。
そんなこんなで董卓軍に所属する事になった一騎達は反董卓連合に向けて動き出した。切っ掛けとなる霊帝の崩御だが、それも時間の問題だと思われた。理由は病だ。どうも芳しくないらしい。
一騎「どうするかなぁ・・・」
詠「何が?」
一騎「ほら、説明しただろ?反董卓連合。」
詠「ああ、それね・・・一応対策・・・と言うより連合が組まれた後の事なんだけどね・・・」
一騎「そうか・・・ところで、詠。」
詠「何?」
一騎「他の馬鹿共は?」
詠「それは月も入ってるのかしら?」
一騎「入っていないと思っているのか?」
詠「・・・一刀と逢引中よ。」
一騎「そうか、あの種馬め。爆発すればいいのに。」
詠「あんたがそれを言う?」
一騎「俺は此処数カ月・・・誰ともしていないが?」
詠「・・・うんごめん。その・・・私でよければ・・・」
一騎「え?どうしたって?」
詠「・・・馬鹿。」
そのまま一騎と詠は政務をこなしていく。街では一刀が恋とねねと食事デートをし、分かれた後華雄と鍛錬デートをし、月とお買いものデートをして最後は夜のデートを桃香としたという。
一騎達が董卓軍に来て半年、ついに霊帝が限界を迎えた。娘の劉弁、劉協の両者をどうするか後宮内で意見が分かれたが、劉弁が妹の劉協を皇帝にすると話したことからすぐに話がまとまった。
それから大陸は激動の時代に突入するとは一騎達以外は考えもしなかったのだ。
風「お兄さ~ん。伝令さんから緊急の報告ですよ~」
それはある日の昼下がり、一騎が昼食の準備を完了した時、風が伝令からの報告を持ってきた。
一騎「どうしたの?」
風「袁紹により、董卓様討伐の檄が飛ばされ、各諸侯がそれの呼応。現在分かっているのは平原の関羽、幽州の公孫賛、冀州の曹操、青州の孔融が参戦を表明しています~。」
一騎「予想通りの面子か。西涼の馬家はどうなってる?」
風「現在は報告には上がっていませんが・・・こちらに呼応する形で援軍に来てくれる物かと~」
一騎「そうか・・・その為に出張してたんだもんな。」
風「食事後軍議を開きますか~?」
一騎「ああ、丁度出来たことだし皆を呼んでくれ。」
風「はい、分かりました~」
そのまま風は退室、皆を呼び、軍議の間で食事をする事になり、食事開始。食後、皿を簡単に寄せた後軍議を開始した。
月「それではみなさん、反董卓連合が集結しつつありますので対策を練りたいと思います。」
月の一言で軍議が始まった。
詠「詳しく調べてみないと分からないけど、奴等は汜水関前に集結してるわ。」
一刀「あれ?なあ一騎、汜水関と虎牢関って別々なの?」
一騎「ああ、此処では別々の関だ。ちなみに東には沂水関と言う関があるぞ。」
一刀「うへぇ・・・頭ごちゃごちゃしそう。」
一騎「話の腰を折って悪かった。参加してる諸侯はさっき報告に上がった奴らだ。」
詠「集結しつつあるから早くても後一月無いぐらいに動き出すでしょうね。」
一騎「それぞれの配置を決めようか。まずは汜水関。」
柊「汜水関は私が指揮を執るわ。霞、華雄、桃香、沁、星を将として配置する事になる。」
ねね「虎牢関には恋殿、一騎殿、凪、一刀を配置、軍師は風がやる事になってますぞ。ねねはその補佐につく事になるので安心して任せると良いですぞ!」
恋「・・・安心?」
ねね「恋殿、何故疑問符!?」
一騎「こほん・・・洛陽には月、詠が詰める形で良いな。これでそれぞれの配置は完了だな。次は兵力の配分を決めよう。」
詠「現在の董卓軍全兵力は9万。天和達のおかげで兵力は半年前の3倍よ。」
柊「汜水関に4万、虎牢関に4万、洛陽に1万が良いかなと思うんだけど・・・」
一騎「沂水関はどうする?」
詠「向こうは大丈夫だと思うけど・・・袁紹の事だから堅牢な関を抜けて行きたいがためにこの二つの関を選んだんだろうし・・・」
一騎「・・・少しで良いから守備兵は置いておこう、何かあってからじゃ遅いからな。」
柊「だね・・・私もなんだか嫌な予感がしてならないよ。」
詠「・・・分かった。二人の直感は恋を越えてるからね。」
柊「私の場合は敵の動きに対して穴を出したくないっていう理由だけどね。でも・・・」
一騎「柊、言うな。この纏わりつくような不安感は並大抵の配置じゃ拭えない。今できる最善の配置をするしかないんだ。鄧艾隊でも信頼できる奴を数人選んである。」
柊「うん・・・わかったよ。」
こうしてそれぞれ部隊を編成、兵站を揃え、虎牢関、汜水関へと進軍を始めた。
あとがき(その頃の香風は)
陳留城壁
香風「・・・・・・・・・」
見張り「・・・・・・・・・」
二人「「お日様ぽかぽか~」」
駄目だこの二人早く何とかしないと。
以上。
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反董卓連合まであとわずか。
何やらきな臭いことが起こりそうな予感
出も一騎なら大丈夫だよね!
では本編どうぞ