No.734826

艦隊 真・恋姫無双 1話目

いたさん

『艦隊 真・恋姫無双カッコカリ』より連載になった物です。 独自解釈、台本形式、作者は原作未経験者と色々ありますが……それでも宜しい方は大歓迎です!

11/3 一部加筆修正しました。

2014-11-03 16:38:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5930   閲覧ユーザー数:5066

【 外史からの使者 の件 】

 

〖 ○○鎮守府 提督室 にて 〗

 

『───────!』

 

提督室からもハッキリと分かる……深海棲艦の無数の灯火。

 

『川内型 1番艦 軽巡洋艦 川内(せんだい)』からの報告では、空母ヲ級を旗艦とする約数千の深海棲艦隊が、急遽接近しているとの事だ。

 

光源など何も無い大海原に、光の絨毯が敷き詰められているような幻想的な光景だ。 あれが……敵では無かったら……暫く見入っていただろう。

 

────────ドゴオォォン!!!!

 

─────! ─────!!!!

 

ーーーーーーーー!!

 

敵艦隊よりの初撃が当たり……集中砲火が始まる!

 

提督「クッ! 全員………無事に退避してくれよぉ!!」

 

俺は……そう願いながら、手動で鎮守府の各砲台を展開し反撃!!

 

狙いを全て鎮守府……俺の傍に集中化させる為に!!

 

───────バタン!

 

??「一刀…………!」

 

そんな緊迫感が張り詰める中、白い長髪を揺らしながら、儚げな美少女が……提督室に駆け込んで来た!

 

一刀「───えっ!? 何で!? 皆と脱出したんじゃ!?」

 

??「ワ、ワタシノ………帰ル場所ハ……一刀ノモトシカナイノ……!」

 

そう震えながら……強張った笑顔を……俺に見せた少女……。

 

─────元『港湾棲姫』

 

俺達と対峙していた『深海棲艦』達、その上位に位置する者の一人───だった。

 

 

★☆☆

 

〖 鎮守府 裏山の避難場所 にて 〗

 

赤城「加賀──っ!! 貴女が付いていながら! どうしてぇ『一刀提督』をお連れしなかったの!? あのまま、鎮守府に残られたら……どうなるか分かっていたでしょうにぃ───!?」

 

『赤城型 1番艦 正規空母 赤城』は、『加賀型 1番艦 正規空母 加賀』に吼えたてた! 

 

赤城は、偶々……遠征帰りで中破していたため、『風呂』に直行。 

 

一緒に居た遠征仲間達より、避難案内を聞き、此処まで来たのだが……愛しの提督の姿が見えず、散々探して……後から来た加賀に問い質した結果が……コレだった。 

 

☆ーー☆ーー☆ーー☆

 

今から二時間前に気付いた────敵艦隊の接近!

 

○○鎮守府は、数年前に出来た新規の鎮守府の為、近くに応援する鎮守府は無く、大本営に連絡しても……『持ち堪えよ(もちこたえよ)!』の一点張り!

 

○○鎮守府の全戦力を結集しても……鎧袖一触で済まされる程の戦力!

 

悩み腹を決めた『北郷一刀』提督は、秘書艦達に命じて○○鎮守府から妖精さん、艦娘達を避難するように指令を発した! 

 

『勝ち目の無い勝負に挑み、貴重な戦力を潰すなど愚策! 時を待って反撃するように!』と。 

 

しかし、このまま逃げれば……『敵前逃亡罪』で処罰は確定! それを防ぐ為、一刀提督は……一人残り……鎮守府と運命を共にしようとしていた。 

 

無論……彼を慕う秘書艦達は大反対!! 

 

彼と共にすると言い出すが……諭され、叱られ、泣かれ、頼まれ……嫌々ながら退避することを約束された。

 

☆ーー☆ーー☆ーー☆

 

赤城は、事の顛末を聞き及び、ワナワナと震える! 

 

提督となって……まだ数年! 

 

順調に鎮守府を運営してきた提督に対して、いつもは褒め讃えるのに、まるで掌を返すような大本営の態度!

 

しかも、自分が傍に居なかったために、提督を死地に残す羽目になった負い目もある。 

 

されど、自分と同じ実力のある加賀でさえ、意見を聞き入れられずに、逆に納得させられた! 自分が居ても、どうしようも無かったとも考えた。

 

だが……『もしも……自分が頼んだら……いつもの笑顔で承諾してくれたかも……!?』……と思惑が過ぎる!!!

 

『もし、私が傍に居れば────!?』 赤城の頭は、その言葉で一杯になった。

 

ーーー

 

加賀「…………………」

 

加賀は……黙って項垂れる(うなだれる)のみ。

 

川内「赤城さん! これは、一刀提督の最終指令だったのです! わ、私も加賀も……一生懸命説得しました!! ですが……ですがぁぁ! 一刀提督の固い決意、私達を守る志を覆すまでには至らず……申し訳ありません!」

 

川内が加賀の為、代わりに弁護したが……その話が終わらない内に、赤城は走り出そうとした! 向かう先は当然─────ッ!!

 

赤城「─────────!」ダッ!

 

加賀「赤城! どこへ行くつもりなの!!」

 

赤城「決まっているわ! ───私が一刀提督を連れ戻します!!」

 

川内「か、一刀提督の命令に反するつもりですかぁ!?」

 

赤城「構わないっ!! 一刀提督が居たからこそ、この鎮守府が楽しかった! 私が、ボーキサイトを食べ過ぎてお腹を壊した時、親身に心配してくれたのは、一刀提督だけなのよ!! そんな優しい提督を───!!!」

 

加賀「………貴女が……鎮守府の資材を、勝手に盗み食いするからでしょう! お陰で艦載機開発に支障をきたして、一刀提督が悩んでいたのよ? 私が秘書艦を勤め始めの頃だから……非常に苦労したのにぃ~!」ハァ~!

 

川内「同室の加賀でさえ、呆れて看病しなかった……いや、忙しくて手が回らないから、一刀提督が面倒みたんだったわね……」ウン!ウン!

 

赤城「──────────!」

 

シリアスな状況が……何故か自分の駄目っ振りを披露するコミカルな話になったため……何とか元に戻そうと頑張る赤城……!

 

赤城「そ、そんな些細『赤城は……アレを些細にするの!?』 か、一刀提督の命の前には……些細な事ですよ! わ、私が──連れ戻しに行きます!!」

 

しかし………そんな赤城の努力を嘲笑うが如く、『この世界に居る筈の無い人物』が声を掛けた。

 

??『お止めさい! もう、貴女が行っても……救う事など不可能ですよ?』

 

川内「だ、誰ぇぇ!?」

 

于吉「私の名は『于吉』! 『 if 世界の管理人』の一人ですよ、美しいお嬢さん方……。 僭越ながら、貴女方の主となる……提督の命数は既に尽きようとしています。 如何に『艦娘』である貴女方でも、覆す事は無駄ですよ?」

 

『于吉』なる眼鏡を掛け、白を基調とした異国風の服を着用する少年は、淡々と語る。 結論的には……『無駄』だと!

 

加賀「貴方如きに──提督の何が分かるのですかっ! あの方のお陰で、私達は『感情ある兵器』と決めつけられず、『心が通じ合う仲間』として『支え合う女性』として、この過酷な勤めに励む事が出来るのですよ!?」

 

川内「幾ら──『民間人』だと言っても、提督の悪口に繋がるのなら『捕らえる』事は許可されているんだからね!!」

 

赤城「私の行動を阻むなんて──命知らずにも程がありますよ!!」

 

艦娘の実力は……普通の人間の前には無力に等しい! それなのに、三人も実力者が殺気を発しながら……目の前に迫るのだ! 普通の者では気絶するぐらいの怖さだ。 

 

しかし、普通では無い于吉の反応は……流石に違った!!

 

于吉は、三人の行動を驚愕の表情で見定めた後、大笑いし出したのである!!

 

于吉「アーッハッハッハッ!! ここの『世界』の『北郷一刀』も、見事に女性の心を掴んでいますねぇ!? 流石『種馬』の肩書き、伊達では無いようで安心しましたよ!! しかし……ブウゥ──ッ! ハーッハハハッ!!」

 

『…………………………………?』

 

三人は、顔を見合わせ……再度……于吉と名乗る少年を見詰めた。

 

 

◆◇◆

 

【 出会いの理由 の件 】

 

〖 ○○鎮守府 近海 にて 〗

 

南方棲戦鬼「ドウ……? 鎮守府ノ動キ……変化ハアッタノ?」

 

戦艦タ級「ハッ……! 反撃ヲ受ケ……カナリ被害ヲ被リマシタ。 シカシ、反撃モ弱クナリ……直ニ攻略デキルト思ワレマス!」

 

南方棲戦鬼「ソウ……。 シカシ……油断大敵ヨ? カノ『港湾棲姫』ヲ籠絡シタ手腕……! アレハ……我々ニ取ッテ……脅威……!! 必ズ……息ノ根……止メヨ!!!」

 

戦艦タ級「ハッ!」ザバッ!

 

南方棲戦鬼「……何故……臆病デ孤立気味ノ『港湾棲姫』ヲ……。 人ノ身デ……シカモ提督ノ地位デ有リナガラ……味方ニ引キ込ムコトガ……。 一体……ドノヨウナ謀デ………アノ提督ハ……!?」

 

南方棲戦鬼は、白い長髪を靡かせて……火災で周囲を照らし、煙が立ち上る○○鎮守府を眺めて……呟いた。

 

★☆☆

 

★ーー★ーー★ーー★

 

〖 港湾棲姫の回想 〗

 

港湾棲姫は、人間の姿に変装して浜辺を歩いていた。 

 

白いワンピースに、幅が広いピクチャーハットを少し浅めに被り、周りの風景を楽しげに眺めながら………。 頭の角は、上手く誤魔化した。

 

港湾棲姫「~~~♪ ~~~~♬」 

 

一部の『姫』系統は陸上型で……地上での活動が可能。 その為、偵察や社会情報の収集等を担う事も……極まれには……なってはいる。

 

しかし、深海棲艦の高位に入る『姫』が……そう何度も出れる訳もなく、一月に二回辺りが限度。 

 

だから……仕事熱心な彼女は、独自、自主的に……探索目的で調査に出る!

 

( ★訳★ だから……偶に羽目を外したくなる事がある彼女は、許可無し、勝手に飛び出して……自由を満喫するため遊びに出る! )

 

港湾棲姫「海ノ底デ観ル景色モ……素晴ラシイケド……外ノ景色ハ……モット素敵! アッ! アレハ……『カモメ』カシラ……? 海ノ中デハ見カケナイ物! ソシテ……海ノ中デハ……生エナイ植物! 凄イッ! 凄イッ!!」

 

そんな折り、とある海岸で……人の話声が聞こえる。

 

誰かが、子供達に話をしているようだ。 ……しかし、どう聞いても馬鹿にされているようにしか……聞こえない。

 

??「………と云う話だよ!」

 

港湾棲姫「…………??」

 

ーーーートットットットッ! 

 

港湾棲姫「??」 

 

『ジィ──────ッ!』と様子を見る……港湾棲姫。

 

そこには、白い海軍将校の制服を着た○○鎮守府提督『北郷一刀』と地元の腕白な男の子が二人。 計三人で語っている。

 

興味を抱いた港湾棲姫は、近くの茂みに隠れながら……密かに聞いていた。

 

★☆☆

 

子供1「オッサン……嘘臭いぜぇ! 海が塩辛いのは『臼が回っている』んじゃなくて……太古の昔に地球上の成分が溶け出してだな~?」

 

子供2「あーっはっはっはっ!! オッチャン! 今頃の子供は……そんな『昔話』なんて信じないよ!! 全くぅ……! ホントォにぃ~あの鎮守府の提督なんかぁ!? 信じられねよな~!!」

 

一刀「俺はっ! これでも二十代だ! まぁ……ってもなぁ、お前らの年から見れば……充分オッサンだよな~~。 だけどさぁー? その年で勉強勉強で頭でっかちになってどうすんだよぉ? 子供は遊ぶが仕事だぞ?」

 

子供1「そんな事言ったってぇ、俺んとこ漁師だったけどさぁ……」

 

そんな話が十分程続き……子供達と一刀は……笑顔で別れた!

 

一刀「………仕方無いのかも知れないな。 今は深海棲艦が海を占拠している。 昔みたいに……自由に出れるのは非常に難しいから………」

 

(『昔は良かった』……その思考がオッサンなんだよ?)……と作者の突っ込みが入る前に、声が掛かった。

 

 

??「ア、アノ~!?」

 

 

一刀「─────!?」

 

 

そんな……黄昏た空気を打ち破り……怖ず怖ずとした声が……後ろの茂みから挙がった。 しかし、こんな所に来るのは……秘書艦である加賀や赤城達ぐらい。 しかも……大人しい『この声』は聞いた事が無い?

 

一刀「…………んっ? おっと!? 一体どこから? いやぁ……アンタみたいな美人さんが……俺に何のようだ『オ話シ……聞カセテ……』いぃい?」

 

港湾棲姫「『昔話』ガ……聞キタイノ………!!」キラキラ キラキラ

 

一刀「あぁ………! 分かった! 時間が余り無いから一話だけな……?」

 

港湾棲姫「ウンッ!!」

 

★ーー★ーー★ーー★

 

     

       

   『運命ノ出会イ……』キラキラキラキラ

 

 

 

港湾棲姫は………艦娘達から経緯を問われ、この件を話した後、最後に一言この言葉を発言して……赤面したと云う。

 

 

◆◇◆

 

【 六人……参入! の件 】

 

〖 ○○鎮守府 提督室 にて 〗

 

ーーーーーーー!!

 

─────────! ーーーー!

 

━━━━━━━━!!!!

 

鎮守府全ての砲台は封じられ、防衛施設として粋を極めた建物は、深海棲艦の苛烈な攻撃を受け止め、倒壊寸前となった。

 

一刀は……提督室の窓から離れ……港湾棲姫の前に跪く。

 

一刀「すまない。 君を守り切る事が出来ず……謝罪する!」

 

港湾棲姫「ヤメテ……! ワタシハ好キデ……コノ場所ニ居ル。 一刀……ワタシハ……貴方ノ傍ニ居ルト……ワタシ自身デ決メタノ! 貴方ハ悪クナイ。 悪イノハ……我ガ儘ヲ…………実行シタ……ワタシ……!!」

 

一刀提督は……その言葉に苦笑する。

 

一刀「……君は本当に変わった『姫』様だ。 俺は君を守ると約束したのに、裏切ってしまった。 それなのに……俺を許すなんて!」

 

港湾棲姫「ダッテ……最後マデ……抵抗シテクレタ……! ワタシヲ差シ出セバ……命ガ助カッタカモ知レナイニ!!」

 

一刀「『男子足る者! 婦女子の約を破らず!』……爺さんの教えでね! 君を守ると決めたからには、最後まで貫き通す! だから……良ければ、君を最後の最後まで守らせて貰いたい!! ────次の世までも!!!」

 

港湾棲姫「……嬉シイ………カズt!」

 

 

??「ちょっ────と待ちなぁ!!」ダッ!

 

 

崩れ落ちようとする扉から……六人の艦娘が素早く潜り込んで部屋に忍び込んで来た! それと……同時に崩れ落ちる提督室の出入り口!

 

天龍「一刀提督を一人締めしようなんて……そうは問屋が卸さないからな!」

 

龍田「もう~天龍ちゃんたら~! 大胆な発言だけど自覚してる~? でも~私も同じ気持ちだから、不定はしないんだけどね~?」ニコッ

 

長門「ゴホンッ! 提督を慕うのは……貴女一人だけでは無いと心得よ!」

 

雷「ちょっと、ちょっと! 司令官には私も必要なんだからぁね! そこんとこ超ぉー重要なんだからぁ!!」

 

電「一刀司令官とお付き合いが一番長いのは……電なのです! だ、だから……最後まで……ご一緒するのですよ! 一刀さん!!」

 

金剛「妹達との別れも……済ませマシター! こんなbeautiful girlを残して逝こうとする一刀提督は薄情者デース! 責任は最後まで取って貰いマース!!」

 

──────────?

 

──────────!

 

一刀「────お、お前達!?」

 

港湾棲姫「…………キャッ!!」

 

そこに入って来たのは…………!

 

☆☆ーー☆☆ーー☆☆ーー☆☆

 

『天龍型 1番艦 軽巡洋艦 天龍』

 

『天龍型 2番艦 軽巡洋艦 龍田(たつた)』

 

『長門型 1番艦 戦艦 長門』

 

『暁型 3番艦 駆逐艦 雷(いかずち) 』

 

『暁型 4番艦 駆逐艦 電(いなづま)』

 

『金剛型 1番艦 戦艦 金剛』

 

☆☆ーー☆☆ーー☆☆ーー☆☆

 

一刀「俺は……全員退避を命じた筈だが────!?」

 

天龍「私もそう思って、逃げる準備していたらさぁ、港湾棲姫の姿が見えないじゃないか? 逃げ遅れてないかと思って、アッチコッチ探したんだぜぇ!」

 

龍田「長門さんや雷ちゃん、電ちゃんにもお願いしたんですよ~?」

 

長門「……それで加賀に聞けば……『提督は、自室に籠もって……鎮守府と共にされる!』と聞いて────!」

 

雷「電ちゃんや騒ぎを聞きつけた金剛さんに、事情を説明して此処に向かったのよ!! だ・か・ら・雷は───物凄~く怒ってるんだからね!!」プンスカ!

 

電「わ、私も雷ちゃんより聞いて……怒りを通り越して……悲しくなりました! 司令官……いえ、一刀さん! 私や皆と仲良くしたいと……着任された時仰られましたが……あれは嘘だったのですか?」

 

一刀「嘘じゃない! 皆、俺の大切な仲間であり、大事な家族だ!!」

 

電「────なら! どうして、提督室に残る事を全員に伝えなかったのです!? 避難した皆は……提督を見捨てたと……自分を責めているのですよ! ただの自己満足で……私達に足枷を付け、自決するおつもりですか!」

 

一刀「────────!」

 

金剛「電……! 貴女の云いたい事、一刀提督は理解してマス! でも、『The end justifies the means』(嘘も方便)と云いますネ? 加賀や赤城達は真の事情を把握してマース! ですから……この件は『桶』デス!」

 

天龍「いや……『桶』じゃなくて…… 『 O.K.』……だろう?」

 

金剛「───I'm sorry! 天龍!」

 

一刀「そうか………すまない。 俺が此処に残ると言えば、混乱に拍車を掛けると思ってたんだ……。 そうか……俺とした事が!! ん? ところで──お前達は、何で来たんだ!? もう脱出する事も出来ないぞ!?」

 

『ハァ────────ッ!』

 

『………………………………』クスン

 

この時……提督室に居た六人は……深い溜め息を吐き出し、最初から居た一人は、憐れみの目で……眺めていたと云う。

 

★☆☆

 

雷「一刀司令官! そんな重要な事、乙女の口から話せって言うの!? 少しは空気を読みなさいよぉ!! ま、まぁ……そんな鈍いところも……可愛いんだけどね……」チラッ

 

電「えぇ~! 私が……はわっ! い、言うのですか? は、恥ずかしいのですぅ!! 嫌なのです!!!」

 

ーーー

 

龍田「んもぅ~天龍ちゃん! ここはズバッと云って頂戴~!」

 

天龍「オ、オレが……そんな……恥ずかしい事……言えるか!!」

 

ーーー

 

金剛「HEY! 長門~! ビッグセブンの一人デスから……ハッキリと一刀提督に教えてあげてクダサーイ!!」

 

長門「そ、そそそそ、そんな事~教えられるか! 金剛こそ英国淑女の嗜みだろう? 一刀提督に教授して差し上げろ!!」

 

金剛「私は帰国子女デース! それに~時間と場所をわきまえてマース!」

 

ーーー

 

一刀「………? どうしたんだ?」

 

港湾棲姫「……皆……ワタシト同ジ。 一刀ト離レタク無イノ……」

 

一刀「………親離れが出来ない……娘みたいなモノか?」

 

港湾棲姫「~~~!」ガクッ!

 

『………………………………………………!』

 

七人全員より睨みつけられ……一刀は、人生最大の恐怖を味わったそうだ。

 

 

◆◇◆

 

【 外史の管理者からの誘い の件 】

 

〖 ○○鎮守府 提督室 にて 〗

 

ーーーーーーーズッン! 

 

──────ガタガタ! ボロッボロッ

 

────────グラッ!!

 

一刀「くそっ! 皆! 中央に寄れ!」

 

──────『はいっ!』ダッ!

 

一刀を中央にして、七人の『艦娘?』が集まる。 

 

それぞれが──手を伸ばし、一刀の服を掴むが……『雷』と『電』の二人は身長差があり過ぎて届かない。

 

雷「もうちょい! もうちょいなんだけど───えっ!?」ギュウ

 

電「う~ん! 牛乳の飲みが足りなかったのですぅ~~ふゎあ!?」ギュウ

 

一刀「無理しなくてもいいよ? 届かなけば……俺から伸ばせばいいんだ!」

 

そう言った後、一刀の顔は急に明るくなる!

 

一刀「むっ! そうか! さっきの問いは、一方的な頼みじゃ納得しないと云う事だったんだな? 二人とも……ごめん! 確かに俺の考えが至らなかった!! 互いに信義を得なければ……恩義が仇になる可能性もある!!」

 

雷「…………………」ポォ~

 

電「─────あわわっ!!」

 

一人納得する一刀に、急に手を握られ……呆然とする雷にパニクる電。

 

ーーー

 

「………………羨ましくなんか……羨ましくなんか……」

 

「…………フフフフフフッ!」

 

「………今になり、この体型が……憎い!」

 

「ンン……I am disappointed.!(とっても残念デース!)」

 

「ワタシノ…………トコ……ナノニ…………」

 

そして………羨む残り数人。

 

ーーー

 

??「チィ!! いい身分だな! 『北郷一刀』!! 俺がわざわざ此処まで来たのに、女達と抱き合っているとは……相変わらずだ!」

 

 

部屋の扉は崩れ、外は砲撃渦巻く中……完全密室化している部屋に、短髪の異国の服を着た少年が……急に出現したのだ。 

 

しかも、こちらの様子を見て……的確に状況を説明をしてくる!!

 

『キャアアァァアァァァ─────!!』

 

急いで離れ……羞恥心と邪魔された事、後は気配も無く急に現れた事による警戒と云う理由で、敵愾心を向けられる少年。 

 

??「于吉………。 本当に、コイツらの手を借りなきゃならんのか?」

 

??は、軽く目眩を覚えつつ、相棒の名を呟きながら、この部屋の住人が落ち着くのを待った。

 

ーーー

 

落ち着いた後、一刀提督が……代表して少年に接触した。

 

一刀「………失礼した。 俺は………」

 

??「自己紹介はいい! 大体の事は既に把握している! だから、必要な事だけ伝えさせて貰うぞ!? ……言っておくが、貴様の選択肢は二つしか無い。 どちらかを選べ! そうすれば……運命に導かれるだろう!!」

 

長門「待てぇ!! 急に現れ一方的に説明されても、納得出来なくては……務めを果たす事など出来ないぞぉ! それに、例え提督が許可しようとも、我々が許さん!!」

 

龍田「う~ん、その前に、貴方の自己紹介と用件を伝えて欲しいな~? 判断材料は多ければ多い程、選択肢が増えるし~、一刀提督を助ける事になるわ? それにね……やけに外が静かなのよ~?」

 

『───────!?』

 

提督室の窓を見ると……崩れ落ちる建物が……途中で止まる!? 此方に向かう砲弾の形、着弾位置までハッキリ分かる! 正に……科学では説明出来ない現象!

 

左慈「于吉みたいに、頭の回転が早い奴が居ると助かる。 まず、俺の名は『左慈』! 世界を管理している者の一人だ! おいっ……何人か胡散臭そうな顔で見ているが……証拠なら外を見てから考えるんだな!」

 

一刀「分かった……充分納得したよ。 ……それで、俺への用件は?」

 

左慈「ふんっ! 最初から素直にそう言えばいいんだよ!? まぁ……時間も無いからな! 『北郷一刀』! お前は……そこの仲間を伴って、『ある世界』に旅立つんだ!! 詳しい説明は『向こうに』行ってからしてやるよ!!」

 

一刀「この娘達と───!」

 

左慈「そうだ! もし、お前が拒否をすれば……時を動かす。 そうすれば建物は崩壊! お前達は───死に至るワケだ!」

 

『────────!』

 

左慈「………悪くは無い条件だろう! それに、俺の『時を止める力』もそろそろ限界だ! 答えを聞かせろぉ!! 『北郷一刀』!!!」

 

一刀は、一通り得た説明を頭で繰り返し、自分の言葉を待つ七人に顔を向けた。 七人共、穏やかに笑い……『付いて行きます!』と返事をする。

 

一刀「…………承諾した! 皆と共に連れて行ってくれ!!」

 

左慈「よしっ! 成立だ!」

 

左慈は、一刀の目の前を横切ると、左側の壁に向かい呪を唱える。

 

左慈「『 左慈の名において、この時空と異なる時空を繋げる事を承諾する! 開門! 』 ───この扉が見えるだろう! その中に入ればいい!! だが、刻が持たないから……急いで入れよ!!」

 

今まで何も無かった提督室に……部屋の高さいっぱいの城門が浮かぶ!

 

そして、一刀達が近付くと……扉が内側に向かって開き、その奥は真っ暗。

 

一刀「このまま居ても……状況は変わらない! 皆、行くぞぉ!!」

 

一刀を先頭に八人は中に入り込むと……扉は音も無く閉まり……そして消えた。

 

左慈「これで……俺の仕事が終わった! 後は、急いで于吉達と合流しないとな!」フッ!

 

左慈の姿が……掻き消すように消え失せた!

 

ーーー

 

左慈が消えた後………提督室が歪む! 

 

──────グググッ! ガコッ!

 

ガタガタ………ガコン!! 

 

━━━━!

━━━━━━!!

━━━━━━━━━!!!

 

そして………遂に力尽きて……大音響を立てながら……○○鎮守府は崩壊したのだった………。

 

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

試しに投稿した作品が、結構好評でしたので……連載してみました。

 

ただ、作者は原作はプレイした事は無いため……どんな内容かは……よくわかりません。 関連書籍を読みながら、妄想広げて書き上げるだけです。

 

原作とは、かなり剥離すると思いますので、ご承知を。

 

それと、完結まで行くか分からない作品です。 投稿するなら目指したいと思うのですが……。

 

そのため、過度の期待は禁物です。 

 

亀更新の恐れもありますので。

 

こんな作品ですが、それでも良いと云う方は、どうぞ楽しみにしていて下さい。 

 


 
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