No.732436 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2014-10-25 08:27:52 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1690 閲覧ユーザー数:1523 |
~遊撃士協会・ケルディック支部~
「………………」
ギルドに入って来た青年は目を細めてリィン達を見回し
「ん?お前さんは………」
(な、何だあの男……何で僕達を睨んでいるんだ?)
(何だか、雰囲気が怖い人ですわね……)
(”支える籠手”の紋章があるということは遊撃士みたいだな。それも相当な腕利きだ。)
青年を見たトヴァルは目を丸くし、マキアスとセレーネは戸惑い、青年の服についている”支える籠手”の紋章に気付き、更に青年の実力を感じ取っていたリィンは真剣な表情で青年を見つめ
「おい、ベルモン。何でガキ共やガキ共のペットがギルドにいる?それに何でトヴァルがここにいるんだ?」
青年はリィン達を睨んだ後ベルモンに視線を向けた。
「なっ!?」
「ガ、ガキ!?」
「えっと……」
「誰がペットよ!誰が!」
青年の口の悪さにリィンとマキアスは厳しい表情をし、セレーネは戸惑い、セリーヌは青年を睨み
「ハハ、口が悪いのも相変わらずだな、”重剣”。」
トヴァルは苦笑しながら青年を見つめた。
「ほっとけ。……ん?ちょっと待て。今、その猫が喋らなかったか?」
「フン、粗暴な見た目とは裏腹に観察眼はそれなりのようね。」
青年に視線を向けられたセリーヌは鼻を鳴らして答え
「………………ハアッ!?猫が喋っただと!?おい、まさかとは思うがレグナートと同じ存在だとか言うんじゃねえだろうな?」
猫であるセリーヌが喋った事に石化したかのように固まっていた青年は表情を引き攣らせてセリーヌを見つめ
「”レグナート”…………――――リベールの”異変”の際に現れた”空の女神(エイドス)”の”眷属”ね。まさかアンタみたいな奴が、”空の女神(エイドス)”の”眷属”に会っているなんて驚きだわ。」
「エ、”空の女神(エイドス)”の”眷属”!?」
「確かそれって、リベールの”異変”の際に現れた”古代竜”だよな……?」
「…………おい、ベルモン。何なんだよ、こいつらは……」
セリーヌの話を聞いたリィンは驚き、マキアスは考え込み、青年は疲れた表情でベルモンに視線を向け
「フフ、彼らは―――」
青年の様子を見たベルモンは苦笑しながらリィン達の事を説明した。
「フン、なるほどな。”紫電(エクレール)”とあの野郎が担当しているクラスの生徒どもか。」
「えっと……”あの野郎”という方はもしかして……」
「レオンハルト少佐の事ですか?」
青年の言葉が気になったセレーネは不思議そうな表情をし、リィンは尋ね
「…………ああ。――――アガット・クロスナー。リベールの遊撃士だ。」
尋ねられた青年―――アガットはある人物―――レーヴェの姿を思い浮かべて苦々しい表情をした後名乗った。
「ちなみにアガットもエステル達と一緒に”リベールの異変”を解決した立役者の一人なんだぜ?」
「ええっ!?」
「あのリベールの……!」
「へえ?あの件にも直接関わっていたのは驚きね。」
「フン…………」
トヴァルの説明によって目の前の遊撃士の経歴を知ったリィンとマキアスは驚き、セリーヌは興味ありげにアガットを見つめ、アガットはリィン達の様子に対して全く気にしないかのように鼻を鳴らし
「えっと……アガットさんはレーヴェさんと何かあったのですか?その……レーヴェさんに対して、あまり良い感情を持たれていないような呼び方をしていますが……」
ある事が気になったセレーネは戸惑いの表情でアガットを見つめて尋ねた。
「あ~、実は”リベールの異変”の際に”剣帝”とやり合った時に色々あったらしくてな。何でもエステル達の話では一方的に負けた相手である”剣帝”の事を無謀にもライバル視をしているらしいぜ?」
苦笑しながら答えたトヴァルの説明を聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「余計な事を言うんじゃねえ!しかもエステル達もふざけた事を言いやがって!次に会った時、絶対にシメてやる……!」
アガットは怒鳴った後顔に青筋を立ててこの場にはいないエステル達に怒りを抱いた。
「フフ……―――ちなみにそちらにいるアガットさんがリベールから応援で来た遊撃士の一人です。彼や彼の弟子である遊撃士の方達が来てくれたお蔭で随分助かっているんですよ。」
「”弟子”、ですか?」
ベルモンの説明を聞いたリィンは不思議そうな表情でアガットを見つめ
「ふざけた事を抜かしてんじゃねえぞ、ベルモン!俺がいつ、あいつらの師匠になったんだよ!?」
アガットは心底嫌である事を示すかのような表情でベルモンを睨んで怒鳴った。
「ほう……って事は元”レイヴン”の連中も来ているのか。」
「トヴァルさんはその方達の事を知っているのですか?」
「”レイヴン”は”渡り鳥”を意味しますが……」
トヴァルが自分達が知らない人物達の事を知っている事を知ったリィンはセレーネに尋ね、マキアスは考え込んだ。
「ああ、何でも以前はリベールの”ルーアン市”でたむろしていて、時折市民達に迷惑をかけていた不良集団だったそうなんだが……エステルがそいつらを更生させ、エステルによって更生した”レイヴン”の連中は”リベールの異変”の際は率先して遊撃士(俺達)の手伝いをしていたらしくてな。”リベールの異変”解決後はその不良集団は解散して全員真面目な仕事に就きはじめた上、その不良集団のトップだった3人は遊撃士の道を歩んで今では3人共正遊撃士としてそれぞれリベールで活躍しているそうだぜ。」
「エ、エステルさんが不良集団を更生!?」
「あ、相変わらずとんでもない武勇伝を持っているんだな、エステルさんは……」
「フフ、さすがお姉様の親友であるミントさんの”パートナー”ですわね。」
「しかも不良集団のトップが真逆の存在である遊撃士になるって、どんな経緯があったのよ……」
トヴァルの説明を聞いたリィンは驚いて声を上げ、マキアスは表情を引き攣らせ、セレーネは微笑み、セリーヌは疲れた表情で溜息を吐いた。
「フン…………――――おい、ガキ共。一つだけ忠告しておく。お前ら、エレボニア帝国の内戦の状況を打開する為に何らかの形で干渉するそうだが………―――”戦争”はガキが何人集まった所で解決できる程甘くねえ。下手に手を出したら、待っているのは”死”だ。」
「そ、それは………」
「…………………」
「フン…………」
アガットの忠告にセレーネは口ごもり、マキアスは複雑そうな表情で黙り込み、セリーヌは鼻を鳴らし
「……―――自分達の身の程は弁えているつもりです。ですが、俺達はオリヴァルト皇子が俺達に期待していた”第3の風”――――”Ⅶ組”として内戦をどうにかする俺達なりの方法を絶対に諦めずに探るつもりです。勿論、はぐれた仲間達とも必ず合流してみせます……!みんなやクロウを取り戻し、俺達の”明日を掴む為”に……!」
「ほう……」
「お兄様……」
「リィン……ああ、そうだな……!」
「いつも思うけどよくそんなに次から次へと恥ずかしい台詞が出てくるわね。」
拳を握りしめて決意の表情をしてアガットを見つめるリィンの様子を見たベルモンは感心し、セレーネとマキアスは明るい表情をし、セレーネは苦笑しながらリィンを見つめた。
「…………フン、あのスチャラカ皇子が関わっている学生からそんな言葉が出てくるとは、正直驚いたぜ。せいぜい死なないように、気を付けておくんだな。」
決意の表情をしているリィンの目をジッと見つめていたアガットは鼻を鳴らした後2階に上がって行った。
「え、えっと……?」
「ハハッ、やるじゃねえか、リィン!あのアガットが褒めるなんて、滅多にない事だぜ?」
「ええ。フフ、さすがはあの”帝国解放戦線”のテロを喰い止め続けた”Ⅶ組”のリーダーですね。」
アガットがいなくなった後戸惑っているリィンにトヴァルとベルモンは感心した。
「さすがお兄様ですわね!」
「ハハ、そう言う所も相変わらずで本当にあの頃を思い出すよ……!」
「ま、馬鹿にされていたのに瞬時に見直してもらえるなんて、中々出来る事じゃないわよ?」
セレーネ達もそれぞれリィンを褒め称え
「ハハ…………(というか、”スチャラカ皇子”って、オリヴァルト殿下の事だよな?前々から思っていたけど、オリヴァルト殿下、リベールでどういう旅行をされていたんだ?エステルさん達からもぞんざいな扱いをされているみたいだし……)」
褒め称えられたリィンは苦笑しながら答えを誤魔化していたが、アガットやエステル達のオリヴァルト皇子に対するぞんざいな扱いを思い出して冷や汗をかいて。
その後ギルドを出たリィン達は町の徘徊を再開した。
ちなみに余談ですが、セントアークのギルドの応援にはシェラザードやアネラス、カルナが行っているという設定です。まあ、登場させる予定はありませんけどね(オイッ!?)……え?内戦状態のエレボニア帝国にリベールの遊撃士がどうやって入国してメンフィル帝国領に到着したかって?それは全てのメンフィル領と繋がっているロレントの大使館にある転移魔法陣で移動するという裏技を使ったからです。ホント、転移魔法って便利ですよね~(遠い目)というかリベールの腕利きの遊撃士達の多くがメンフィル帝国領に来てリベール大丈夫なのかという突込みもあると思いますが、2年も経っているので遊撃士達も増えているから、多くのリベールの腕利きの遊撃士達が他国に行っても大丈夫だからと言う設定にしてあるからだと思って下さい
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第321話