No.727958

真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第四十九回 拠点フェイズ:鳳統①・本屋街ところによって一時俄かパピオンにご注意を(前篇)

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

今回からは前回までの戦闘モードから一転、肩の力を抜いた拠点が始まります。

一発目は新加入の雛里ちゃんの拠点です。繰り返します、これは雛里ちゃんの拠点です。

続きを表示

2014-10-05 00:13:46 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5050   閲覧ユーザー数:4031

 

季節は残暑が未だ厳しく、早く涼しくなってほしいと思える頃合い。

 

世間では、曹操軍が官渡の地にて袁紹軍を、合肥の地にて孫策軍を、圧倒的に不利な兵力差をものともせず撃ち破り、

 

他の勢力より一歩抜き出た形となっているという話題で騒然としていた。

 

しかし、ここ成都では中央から離れているせいか、さほど中央の覇権争いが人々に注目されているわけではなく、

 

そんなことよりも、高順が木登り大会で2連覇を達成しただとか、呂布の飼い犬が温泉を掘り当てただとか、

 

今年は華佗が漢中にいるため定期健診を受けられるだとか、とにかくのほほんとした話題で持ち切りであり、

 

それは同時にこの乱世において、成都がひと時の平和を享受していることを意味していた。

 

しかし・・・

 

 

 

鳳統「あわわ~・・・」

 

 

 

ここに、この平和な成都において、心穏やかでない人物が一人いた。

 

どうしてこんなことになったのだろう。

 

ただご主人様に勧められた本屋街に行くだけなのに。

 

鳳統はただそう思うしかなかった。

 

成都にある本屋街は、城下町の中にあり、鳳統の宿舎から徒歩十分もかからない。

 

はずだった。

 

その程度の距離だったら、さすがの自分でも迷うことなく行けると思っていた。

 

だが、いつまでたっても目的地に到着することはできなかった。

 

 

 

鳳統「あわわ~、ここはどこですか~・・・」

 

 

 

 

 

 

【益州、巴郡・巴城】

 

 

ここは成都よりやや東に位置する巴郡。

 

荊州と隣接する地域でもあり、重要な拠点であるこの地はかつて厳顔が担当していたが、

 

北郷が領主に座に就いて以来、厳顔は成都に戻ってきているため、後任を張任に務めさせていた。

 

現在、ここ巴郡では、北郷自らが定期的に行っている視察が行われているところである。

 

 

 

北郷「じゃあ、今言った感じで街道の整備を頼んだよ」

 

張任「了解でさ!」

 

 

 

北郷の申し出に、自慢のスキンヘッドで陽光を反射させているナイスミドル・張任は、

 

その子犬のようなつぶらな瞳を北郷に、ではなく、北郷の後ろにいた護衛の兵士に向けて威勢よく答えた。

 

 

 

北郷「あー・・・コホン、あのー・・・張任?・・・眼鏡、かけないの?もしあれだったら、オレ、ねねに頼んどくよ?」

 

 

 

そのような張任の通常運転に、ついに北郷は今まであえて口に出して聞くことはしなかったことを、

 

もしあれだったら、と無意識に親指と人差し指を擦り合わせながら張任本人に尋ねた。

 

しかし、

 

 

 

張任「御遣い様!そりゃいらぬ心配ってやつでさ!眼鏡なんざ、弓の邪魔になって、精度が落ちちまうだけでさ!」

 

北郷「ははは、さいですか・・・」

 

 

 

一瞬北郷の謎のジェスチャーにポカンとしていた張任であったが、すぐにその意図するところを察したのか、

 

ニカッという笑顔を作って見せたが、張任の子犬の如きつぶらな瞳と陽光を反射させる頭を煌めかせながらの返事は、

 

清々しいほど予想通りのもので、北郷はただ笑うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

そうして、北郷は視察の用事をすべて果たし、張任に別れを告げて成都に帰還しようとしたのだが、

 

その時、城門付近が何やら騒がしいことに北郷は気づいた。

 

 

 

北郷「ん?何かあったのかな?」

 

張任「さぁ、不審な輩でも紛れ込みやしたかね?」

 

 

 

何があったにせよ、見過ごすわけにはいかないので、北郷はとりあえず何があったのかを確かめるべく張任と共に城門へと急いだ。

 

 

 

北郷「どうしたんですか?」

 

門兵「これはお館様。実は、子供が一人城門前で愚図っておりまして」

 

北郷「子供?」

 

 

 

門兵の困った顔に、北郷は誰かと思って門兵の肩越しからその子供をのぞきこんでみると、

 

半泣きになりながら必死に門兵に訴え掛ける見知った顔がそこにはあった。

 

 

 

??「あわわ~怪しいものではないでしゅ~ちょっと道を尋ねたいだけでしゅ~」

 

 

 

その魔女っ娘のようなとんがり帽子をかぶった小さな少女の噛み噛みの訴えかけに、門兵はうんざりした表情を浮かべながら、

 

分かったからお母さんはどこにいるんだ?などと言っている。

 

 

 

北郷「雛里!」

 

 

 

北郷は思いがけない人物との遭遇に、思わず大声で名前を呼んでいた。

 

 

 

鳳統「あわわ!?御主人様!」

 

 

 

鳳統もまさか北郷と会うとは思っていなかったらしく、一層オロオロしながら驚いていた。

 

 

 

門兵「お知り合いでしたか?」

 

北郷「いや、知り合いも何も・・・ああ、そうか、最近成都に来たばかりだからこっちにはまだ情報が伝わってないのか」

 

 

 

すると北郷は鳳統の頭にポンと手をのせると、門兵に対して紹介した。

 

 

 

北郷「彼女の名前は鳳統。新たにオレ達に力を貸してくれることになった軍師だよ」

 

門兵「なっ!?新しい軍師殿でしたか!こ、これはとんだご無礼を!」

 

 

 

門兵は北郷の紹介を聞いて、自身がとんでもない暴挙を犯していたことに気づき、ものすごい勢いで鳳統に謝罪した。

 

 

 

鳳統「あわわ・・・いえ、よくある反応ですから」

 

 

 

北郷にポンとされ若干恥ずかしそうに俯いていた鳳統は、申し訳なさそうにつぶやいた。

 

 

 

北郷「だ、大丈夫だよ雛里!雛里の実力は本物だよ!それに見た目だってこんなに可愛らしくて――――ってそうじゃなくて!とにかく

 

落ち込まないでくれ!」

 

 

鳳統「あわわ~」

 

 

 

そのような鳳統の様子に全力でフォローを入れた北郷であったが、別の意味で逆効果であり、

 

今度は俯きながら帽子のつばで顔を完全に隠してしまった。

 

しかし、北郷がどうしたもんだと思っていた次の瞬間、

 

 

 

張任「危ねぇーーーっ!!」

 

 

 

張任が当然叫びだしたかと思うと、どこから取り出したのか、朱色に染められた愛弓のコンポジット・ボウを手にすると、

 

そのまま流れるような動作で矢をつがえ、躊躇なく前方目掛けて射抜いた。

 

その矢先にいるのは、鳳統である。

 

 

 

鳳統「あわ―――!?」

北郷「なっ―――!?」

門兵「ぐわっ!?」

 

 

 

鳳統、北郷含め、この場の誰もが張任の行動に反応できず、また、理解できなかった。

 

しかし、幸い、張任の放った矢は、鳳統のかぶった帽子を貫通し、そのままホップするような軌道で、

 

後ろにいた門兵の兜に突き刺さりながら数メートル後ろに吹き飛んでいった。

 

 

 

鳳統「あわわあわわあわわあわわあわわ――――――」

 

北郷「おい張任!いきなり何するんだよ!」

 

 

 

鳳統は驚きから口をパクパクさせながらその場にへたり込み、北郷は真剣な面持ちで張任に詰め寄った。

 

しかし、当の本人たる張任は落ち着いた様子で額の汗をぬぐうと、一息つきながら次のように弁解した。

 

 

 

張任「ふぅー、危ねぇところでした。間一髪のところで軍師殿がハチにブスリと風穴を開けられちまうところでした」

 

北郷「ハ、ハチぃ?」

 

 

 

やや半信半疑といった様子で北郷が吹き飛ばされた門兵の兜を確認してみると、突き刺さった矢の先端に、確かにハチが射られていた。

 

しかも5センチはあろうかというほどの巨大なハチである。

 

 

 

張任「いやー、春先になると女王バチが出てきやすから、まぁ秋ごろに比べたら大したことねぇですが、気を付けねぇと痛い目を見やす」

 

 

 

張任はウンウンと頷きながら語っていたが、あまりの出来事に北郷は話の内容が頭に入ってこなかった。

 

当然、被害者たる鳳統や門兵に至っては言うに及ばず。

 

 

 

北郷「張任!頼むからハチならハチってちゃんと言ってくれよもう!ハチじゃなくてお前に風穴開けられるところだったぞ!ホントお前

 

が雛里を射るとか洒落にならないんだからな!!」

 

 

 

そう、北郷が知る限り、鳳統は劉備が入蜀時に張任の部隊に劉備と間違えられて射殺される、

 

という話があるため、北郷は今起きた出来事に心臓が止まるような思いをしていた。

 

 

 

張任「ん?・・・あぁ、心配いりやせん!さっきも言ったように、眼鏡なんざない方があっしの弓の精度は段違いに上がるんでさ!」

 

 

 

しかし、当然張任はそのような話を知るはずもなく、北郷が未だ眼鏡のことにとらわれているのかと勘違いしながら、

 

ドンと分厚い上腕二頭筋を叩きながら得意げに答えた。

 

確かに、近距離だったとはいえ、5センチほどの的に寸分たがわず、しかも外せば人命を奪いかねないという条件付きで、

 

平然と流れるように確実に標的を射ることができるのは、さすがと言わざるを得なかったが、それにしてもである。

 

鳳統は穴の開いた帽子を押さえながらあわわと力なくつぶやき続け、兜を吹き飛ばされた門兵は衝撃が脳をシェイクしたのか、

 

地面に大の字を作っており、これはこれで深刻な事態であった。

 

 

 

北郷「そ、そうだ!そういえば、どうして雛里はこんなところにいるんだい?」

 

 

 

とにかく、北郷はこれ以上鳳統に嫌な思いをさせまいと、

 

今起きた出来事からできるだけ意識をそらせるために、鳳統に別の話題を振った。

 

 

 

鳳統「あわわ!?・・・実は、成都の本屋街に用があったのですが、いつまでたってもたどり着けなくて、それで道を聞こうと・・・」

 

 

 

北郷の問いかけに、鳳統は我に返り、しかし今まで以上のか細い声で申し訳なさそうに答えた。

 

 

 

北郷「(つまるところ迷子ってことか。そういえば、初めて会った時も、益州に向かおうとして反対側の揚州に向かってたっけ・・・)」

 

鳳統「あわわ~・・・」

 

 

 

北郷の表情からその思考内容を読み取った鳳統は、さらにどんどん縮こまっていってしまった。

 

 

 

北郷「ま、まぁまだこっちに来たばかりだし道に迷うのは当然だよ!そ、そうだ!せっかくだからオレが連れてってやるよ!」

 

 

 

そして、そのような鳳統の反応から、自身の思考を読まれたことを悟った北郷は、フォローを入れつつ自ら道案内を名乗り出た。

 

 

 

鳳統「あわわ!?ですが、いいんですか?今はお仕事中じゃ・・・」

 

北郷「いつまでに終われとかは言われてないからね。話し合いが長引いたってことにしとくさ」

 

 

 

ニッと穏やかに微笑みながら告げた北郷は、さり気なく張任に目配せをした。

 

 

 

張任「わかりやした、そういうことにしときやしょう。それにしても、やはり御遣い様は英雄の器をお持ちのようで、なかなか」

 

北郷「た、頼むから変な噂は流さないでくれよ・・・」

 

 

 

北郷の意図をくんだまではよかったものの、そのあとに続いた含みのある言葉に、北郷は、以前自身が領主の座に就いた頃に、

 

魏延に城下の案内をしてもらっていたのを、張任が色々たいそうな脚色を加えた噂を流し、

 

そのせいでしばしの間恥ずかしい思いをしたことを思い出しつつ、心の底からの思ったことをつぶやいた。

 

 

 

鳳統「あ、ありがとうございましゅ!」

 

 

 

北郷からの不意の微笑みに焦った鳳統は語尾を噛んでしまい、あわわ~と言いながら顔を赤らめていた。

 

 

 

北郷「それじゃ、行こうか」

 

 

 

そのような鳳統の姿をほほえましく眺めながら、はぐれないように手を差し伸べた。

 

 

 

鳳統「あわわ・・・は、はいです」

 

 

 

これまた北郷の思いがけない不意なる行動に逡巡した鳳統だったが、やがて恐る恐るといった感じで北郷の手を取った。

 

北郷の鳳統よりも一回り大きな掌が鳳統の小さな手のひらをしっかりと包み込む。

 

その後、一応北郷は巴城で公務中という態を保つため、護衛の兵士たちの任を解き、

 

臥竜鳳雛捜索の時以来、陳宮からの再三の指摘で愛用するようになった、

 

お忍び用のフード付きマントを羽織り、鳳統と二人だけで成都城下町の本屋街へと向かった。

 

 

 

 

 

 

【益州、成都】

 

 

巴郡から成都へと向かう道中、二人は他愛もない会話を交わしていた。

 

 

 

北郷「そういえば、雛里は諸葛亮さんや徐庶さんとは友達なのかい?」

 

鳳統「はい。二人とは襄陽で水鏡という女性が開いていた私塾で共に学んだ仲です」

 

 

北郷(えーと、水鏡といえば、司馬徽(シバキ)のことだったっけ?確か、劉備に諸葛亮と鳳統の存在を知らせた人物だよな。そして、今更だけど

 

やっぱり例によって女の人なんだな・・・)

 

 

 

張任や法正は男のままなのにこの違いは何なんだ、というように、北郷はこれまでこの世界で暮らすことで、

 

多くの有名人が女化している事実を自然にとらえ、女化の有無の法則を思考するまでに登りつめていた。

 

 

 

鳳統「もちろん学問の場以外でも、お菓子を作ったり、遊山に出かけたり、いつも一緒にいました」

 

 

 

鳳統は懐かしむように楽しげに話していた。

 

 

 

北郷「お菓子か・・・そういえば、諸葛亮さんに振舞ってもらったあんまんは絶品の一言だったな」

 

鳳統「ふふ、でも、一番お菓子作りが上手なのは元直ちゃんなんですよ?」

 

 

 

何だって!?あれ以上の極上の甘味だと!?そんなもの、なながもし口にしようものなら作画崩壊ものになりかねないじゃないか!?

 

是非見てみたいけども!と、北郷はあまりの甘さに幸せすぎて顔がとろけてフワフワ状態の高順の姿を思い浮かべていた。

 

 

 

北郷「けど、そんなに仲良かったのに三人とも同じ人に仕官しようってならなかったんだな。雛里はどうしてオレに仕官しようとしたの?」

 

 

鳳統「はい、実は私たちは、三人仲良く楽しい日々を送る、そんな毎日で満足していました。当時は世の中に出て才を振るおうなどとは

 

考えていませんでした」

 

 

 

そこまで言い終えると、鳳統の顔が曇った。

 

 

 

鳳統「ですが、黄巾の乱が起こり、戦乱の世が始まり、次いで董卓が討たれ、世の中は群雄割拠へと進みました」

 

 

 

鳳統の話の流れが変わるにつれて、自然と北郷の表情もより真剣なものに変わる。

 

 

 

鳳統「そうなると、私たちは次第に自分たちの才で戦乱の世を変えたいと思うようになりました。戦乱の世を変える手助けができる才を

 

有しているにもかかわらず、それを世のために使わず腐らせるのは、愚かしい行為であると思うようになったんです」

 

 

 

鳳統は思い出すようにゆっくりと言葉を紡いでいく。

 

 

 

鳳統「それで、誰の元に仕官するかということになり、最初に元直ちゃんが劉備さんの名を挙げました。朱里ちゃんは、噂や他人の評価

 

ではなく、自身の目で確認するまでは判断できないと言っていましたが、それでも興味はあったみたいです。私はその時は特定の人名を

 

上げることはしませんでしたけど、当初は地元の劉表さんに興味があったんです。劉表さんの評判はあまりよくはありませんが、荊州の

 

安寧を願う思いは誰よりもお強い方ですので。あとすばらしい人徳の持ち主と言われる劉備さんのことも良い印象を持っていましたし、

 

仕官すべき人物なのかもしれないと思っていました。ですが、私はどうしても他に会ってみたい人がいたんです」

 

 

北郷「それが、オレ?」

 

 

鳳統「はい、管路の占いに出た、『天より遣わされたる御遣い、東方より出ずる流星に乗りて、この乱世の世を沈めんがために舞い降りん』

 

人々が希望の光と信じてやまない天の御遣い様。そこまで人々の心を惹きつけるお方を一度でいいから自分自身の目で見てみたい。乱世

 

を鎮める救世主とはどのような人物なのかと。事実、ものの2年あまりで、疲弊していた益州を立て直した実績もありましたし。結局、

 

私は二人とは違う道を歩むことになりました」

 

 

北郷「そうか・・・」

 

 

 

北郷はどう答えたらいいかわからなかった。

 

仲のいい友達と道を違えるのは、ましてこの戦乱の世だと、下手をすれば敵同士になることもあり得る。

 

しかし、そんな北郷の心のウチなどお見通しとばかりに、鳳統は言葉を続ける。

 

 

 

鳳統「ですが、私は後悔なんてしていません。たとえ仲が良くても、離れ離れになってしまうことなんてよくある話ですし、各々の信念

 

を貫いた結果なのですから、残念に思うことなんて間違っています。それに・・・」

 

 

北郷「それに?」

 

 

 

鳳統は一呼吸置くと、淡く燃える意思を宿した瞳で北郷をまっすぐ見据えた。

 

 

 

鳳統「私は御主人様に出会えて本当に良かったと思っています。揚州の食事処で助けて下さったことはもちろん、ななちゃんや焔耶さん、

 

霞さんたちがご主人様のことをお慕いしている様子、ご主人様が成都にご帰還なさったときの兵士さんたちや町の人たちの誰もが笑顔で

 

出迎えてくれている様子。それらを見て確信したんです。この方こそ天下を太平の世へと導いて下さる方なんだと、私がお仕えするべき

 

方なのだと、心からそう思えました。きっと朱里ちゃんも元直ちゃんも、劉備さんに対して同じ気持ちを抱いていると思います。だから、

 

私たちはたとえ同じ道を歩むこと叶わずとも、各々が信じたお方を全力で支えていくんです。太平の世が訪れるまで。そして、太平の世

 

が訪れた後もずっと・・・」

 

 

 

そこまで言い終えた鳳統であったが、夢中で言葉を紡いでいたせいか、

 

北郷がポカンとした表情をしていたことに言い終えた時点でようやく気づき、鳳統は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

 

 

鳳統「あわわ、も、申し訳ありましぇん。出すぎたことをぺらぺらと―――」

 

 

 

しかし、鳳統が謝罪の言葉を言い終える前に、北郷が鳳統の頭にポンと手を乗せて遮った。

 

 

 

北郷「いや、色々話してくれてありがとう。オレが心配することなんて何もなかったみたいだな。それに、たとえ離れ離れになっても、

 

心まで離れてしまうわけじゃないしな。お互い生き残って乱世を終わったら、また会えるよな」

 

 

鳳統「・・・はいです」

 

 

 

北郷がフード越しからでもわかるような穏やかに微笑しながら告げた言葉に、

 

鳳統も若干恥ずかしそうにしながらも、同じく微笑で返した。

 

 

 

北郷「それじゃあ、大きな目標達成の前に、目先の目標を達成させるとしますか」

 

 

 

そうして、二人は本屋街へ向かうためさらに歩を進めた。

 

 

 

【第四十九回 拠点フェイズ:鳳統①・本屋街ところによって一時俄かパピオンにご注意を(前篇) 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

第四十九回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

タイトルがカオスなことになっていますが、お読みいただいた通り、これは雛里ちゃんの拠点です。

 

張任と雛里ちゃんの絡みは、雛里ちゃんを引き込んだからには一度はやらねばと思っていましたが、

 

今後戦闘で二人とも出陣という状況になったらさらに注意が必要になりそうですね 笑

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

次回、ついに謎のパピオンが、、、!?

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
27
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択