璃々と五虎将
子ども1「璃々せんせー、さよーなら!」
璃々「はい、さようなら!気をつけて帰ってねー!」
どうも、こんにちは。璃々です。現在私はここ許昌で幼稚園の先生をしています。
最初は戸惑う事も多々あり、大変な日々を送っていましたが、1ヶ月が過ぎる頃には慣れ、徐々に子ども達とも打ち解けてきたかな、なんて思っています
璃々「……はぁ」
そんな私なんですが、最近ちょっと、悩みがあったりします。それは…
紫苑「………」
母の存在です…
どうもお母さん、仕事のついでに私の様子を見に来ているようなのですが、その様子が何と言うか、思いっきり不審者なのです。気になるなら堂々と見に来たら良いものを、お母さんは何故か物陰に隠れてコッソリと見ているのだ
悠香「璃々先生、お疲れ様でーす!差し入れ持ってきましたー!」
璃々「あ、悠香ちゃん!お疲れ様」
悠里さんの娘こと悠香ちゃんが走ってやって来ました。
手には差し入れが入っていると思しき包みもある
悠香「これ、咲夜さんが作ったアップルパイ!
あたしはもう食べたから璃々先生食べてください!」
ほー、アップルパイ。ちょっと小腹が空いていたからちょうどいい
璃々「ありがとうね、悠香ちゃん!」
私は縁側に座り、アップルパイを食べることにした。
茶色い焼き目の生地に、小さく刻まれた林檎がギッシリ詰まっている。
一口食べれば外はサクッと、中はしっとりしており、林檎の甘さが口の中いっぱいに広がっていった。
美味しい…
悠香「あ、そう言えばさっき、紫苑さん見かけたよー」
璃々「ごほっ!ごほっ!」
悠香「うぇ?ちょ、大丈夫ですか?」
悠香ちゃんの一言でびっくりしてしまい、アップルパイの生地が変なところに入ってしまった
璃々「だ、大丈夫…えと、お母さんが居たの?」
悠香「う、うん。ていうか、今もそこで…」
悠香ちゃんが指差すところは、確かにお母さんが隠れて居たところだ。
だが、悠香ちゃんが指差すと同時に、お母さんはサッと隠れてしまった
悠香「………ん?あれー?さっきまで居たような…」
璃々「気のせいじゃないかな?」
悠香「んー?もう行っちゃったのかな?」
いーえ、まだ居ます。どうせ隠れるなら気配もしっかり消せばいいのに…
ていうかお母さん、忙しいんじゃなかったの?
悠香「ま、何かあれば話しかけるか。あ、そろそろあたし、店に戻りますねー!それでは!」
そう言って悠香ちゃんは屋根から屋根へ、飛んで行ってしまった
そう、悠香ちゃんの言う通り、何かあれば話しかけるはずだ。
でも来ないのは、本当にただ様子を見に来ただけなのだろう。
まぁでも、お母さんは本当に忙しいはずだし、そんな毎日は来られないはずだ
この時の私は、そんな事を思っていた。だがそれは、翌日あっさり裏切られる事になった
翌日
紫苑「………」
星「………」
増えた!?な、なんで星お姉ちゃんが!?
いや確かに、蜀の五虎将が皆来るなんて事は聞いてたけど…
紫苑「………」
星「………」
だからなんで話しかけて来ないの!?
なんでそんな影からジッと見つめてくるだけなの!?
ていうか星お姉ちゃん!あなた絶対私が二人に気付いてるって気付いてますよね!?
そのニヤケッ面がいろいろ物語ってますよ!
星「………」パクパク
あ、星お姉ちゃんが何か私に言っている。
なになに…コ、ド、モ、ガ、ウ、シ、ロ、二…子どもが後ろに?一体どういう…
子ども2「どーん!」
子ども3「璃々先生、あそぼー!」
私が振り返ろうとすると、子どもの一人が私の背中に向かって勢い良く飛んできた。
私は何とかその子を受け止め、背負ってあげた
璃々「はいはい、何して遊ぼっか!」
子ども2「ふふっ…あ、ぼく何でもいいよー!」
子ども3「なら鬼ごっこ!先生鬼ねー!」
そう言って子ども達はわーっと逃げて行った。
私は子ども達が逃げるのを確認し、一度振り返ってお母さんと星お姉ちゃんの様子を見た。
お母さんはホッコリとしており、星お姉ちゃんは何故か笑いを堪えていた
璃々「んー?」
私はそんな二人の様子が気になりつつも、子ども達を追いかける事にした
子ども3「くっ…」
ん?何故か、数人の子ども達も笑いを堪えていた。あれ?何かおかしなことが…
椎名「まぁまぁ、璃々先生ったら、ずいぶんぶっちゃけていますね」
璃々「はい?」
その意味が分かったのは仕事が終わる頃だった。
仕事を終え、着替えようと服を脱ぐと、その服の後ろに紙が貼ってあったのだ。
そこにはデカデカと『いえす!まざこん!』なんて書いてあった
璃々「誰がマザコンだー!?」
直感した。入れ知恵したのは間違いなく星お姉ちゃんだろう。
あの人、いつか仕返してやる…
さらに翌日
紫苑「………」
星「………」
愛紗「………」
璃々「なんでやねん!?」
子ども4「せ、せんせーが訛っとる…」
あまりの衝撃に、私は思わず訛ってしまった。何故増えた!?
そして何故一番あり得なさそうな愛紗お姉ちゃんまで隠れて見ているんだ!?
暇なのか!?五虎将は皆暇なのか!?
愛紗「お、おい星!璃々、間違いなくこちらに気付いているぞ?どうしたらいい?」
流石愛紗お姉ちゃんだ!真面目な愛紗お姉ちゃんなら、ここで引いてくれるよね!
星「なーに、心配する必要はない。こちらもしっかり対策している」
そう言って星お姉ちゃんは懐から覆面を取り出し、それを三人に渡した
愛紗「おぉ!流石星!」
紫苑「用意周到ね!」
三人はガバッと覆面を装着した。虎の様な見た目の覆面だった
璃々「それでバレないと思ってるのー!?」
私はとうとう我慢出来ず、三人が隠れている所まで全速力で向かった。
三人は慌てて立ち上がり、逃げようとするが逃がさない。回り込んでやった
璃々「なに!?何がしたいのお母さん達は!?」
覆面虎三女「あら?お母さんって誰かしら?私は覆面虎三女よ」
覆面虎次女「そ、そうだぞ!我々は別に怪しいものではない!私は覆面虎次女だ!」
覆面虎長女「そして最後に控えるは覆面虎長女だ!大陸の平和を守る正義の味方だ!
本当は五姉妹であと二人居るのだが、生憎予定が合わなくてな」
璃々「おいこら華蝶仮面」
目の前にいる三人の怪しさは半端じゃなかった。
頼むからそれで人前に出ないで欲しいと土下座してしまう程だ。
絶対に関わっちゃいけない人達だ。
ていうかお母さん、何さり気なく二人より下の設定なのよ。一番年上でしょ
覆面虎長女「おや?華蝶仮面を知っているのか?
確かにあやつは私の親友で尊敬に値する奴だが、私はあやつではないぞ」
璃々「何言ってるんですか、星お姉ちゃん?
ていうか、愛紗お姉ちゃんまで乗らないで下さいよ」
覆面虎次女「お、おい星!ダメじゃないか、バレているぞ!」
覆面虎長女「いやいや、まだ挽回の機会はあるはずさ!
諦めたらそこで試合が終わってしまうのと一緒さ」
いや、諦めてよ!もう挽回できないよ!手遅れだよ!
璃々「あぁもう…それで、一体何のようなの?」
もう華蝶だろうと虎だろうと何でもいい。この人達の奇行の理由を知りたい
覆面虎次女「いや、私はやめようと言ったのだぞ?だがこの二人が…」
覆面虎三女「あら?あい…次女もずいぶんノリノリだったじゃない」
覆面虎長女「そうだぞ愛紗。それにその覆面もよく似合っている」
覆面虎次女「そ、そうか?」
そうか?じゃないよ!愛紗お姉ちゃんそれでいいの!?変質者になってるよ!?
しばらく見ない間に愛紗お姉ちゃんに何があったの!?
覆面虎長女「おっといかん。少し長く居座り過ぎた。
我々は3分間しかこの地上に滞在する事ができないのだ。
3分を越えると爆発して死んでしまう」
覆面虎次女「な、なに!?それは本当か、星!」
愛紗お姉ちゃん!?いや確かに昔から素直と言うか、信じやすいところはあったけど!
これ信じるとか馬鹿みたいなんですけど!
覆面虎長女「では、さらばだ!」
覆面虎三女「また来るわねー!」
ぼん!
璃々「!?煙幕!?」
星お姉ちゃんが何かを地面に叩きつけると、そこから煙がたちこめた。
なんなのあの人!?どんだけ遊びに本気なの!?
愛紗「げほっげほ!ま、待ってくれ星!」
そして愛紗お姉ちゃんが逃げ遅れてるよ!?
この後しばらくして、許昌に妙な噂が流れた。
なんでも、虎の覆面を被った三人の女性が現れ、偶然暴れていたチンピラを倒して行ったとか。その姿から、あの華蝶仮面の再来か?なんて言われていたが、私は興味のない振りをする事にした。秋菜ちゃんや凪紗ちゃんが私に事情聴取をしに来たけど、私は全く関わってない、他人だと言っておいた
さらにさらに翌日
鈴々「璃々ー!久しぶりー!」
翠「おーっす!遊びに来たぜー!」
璃々「鈴々お姉ちゃん!翠お姉ちゃん!」
私が子ども達の遊び相手をしていると、鈴々お姉ちゃんと翠お姉ちゃんが遊びにやって来てくれました。その後ろには…
星「ふむ、璃々もずいぶん立派になったな」
愛紗「あぁ。流石紫苑の娘だ」
紫苑「あらあら、璃々もすっかり大人になってしまったのね」
変態虎覆面の三人もしっかりついて来ていた
鈴々「あれ?愛紗や星や紫苑は私より先に着いてたから、もう璃々に会ってると思ってたけど」
紫苑「いいえ、今日が初めてよ。ねぇ、愛紗ちゃん、星ちゃん」
嘘つけ!
愛紗「あぁ、久しぶりだな璃々」
星「以前会った時に比べ、ずいぶん成長したな。胸が」
白々しいな!そして星お姉ちゃんは一言余計だ!
翠「あれ?お前ら三人、確か仕事ねぇからって、ここ行くって言ってたよな?」
ほら!翠お姉ちゃんも疑問に思ってる!
璃々「ねぇ?私が気付かないとでも思った?変態虎覆面!」
愛紗「ち、違うぞ!覆面虎娘だ!…はっ!?いや、これは…」
愛紗お姉ちゃんは真面目だからボロが出やすいなぁ
星「ちっ!やはり愛紗では荷が重かったか」
紫苑「どうやらここまでのようね」
お母さん達はようやく観念してくれたようだ。ため息をついて微笑んでくれた
紫苑「なんと言うか、璃々は私達とは違う道を歩き始めたじゃない。
私達は武術や政治には通じているけど、保育なんて全くわからない。
知らない世界に璃々は踏み込んだ。だから心配だったのよ。
知らない側は怖くて、いろいろ不安なの」
璃々「だったら、普通に声掛けてくれたらよかったのに」
心配しているのは凄く伝わってくる。それは素直に嬉しいと思う。
だけど、だからこそ、話しかけてくれたら、私ももっと話せたのに…
紫苑「璃々があまりにも真剣だったから、邪魔するのは悪いと思ったのよ」
愛紗「紫苑の言う通りだ。忙しいところを、わざわざ時間を割いて我々に合わせてもらうのはな…」
そっちの方が、割と邪魔だったんだけど…
星「私はコッソリ覗いていた方が面白そうだと思ったから」
えぇそうでしょうね!星お姉ちゃんはそういう人だもんね!
璃々「もう、私もいい大人なんだから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
怒るわけでは無いが、私ももう親に頼る歳ではないのだ。
自分で考え、自分で選び生きている。だから、お母さんもいい加減、子離れして欲しい
鈴々「うーん…璃々の言いたい事もわかるけど…」
鈴々お姉ちゃんが私を見て苦笑いでため息をついていた
鈴々「親ってね、子どもがいくつになっても子どもだから、どうしても心配なんだよね。
特に璃々は、私達とは違う道を歩いているから余計にね。
鬱陶しいと思うかもしれないけど、そこだけは分かって欲しいな」
そういう鈴々お姉ちゃんはとても大人びていた。
初めて出会った頃の、私より少し年上だった鈴々お姉ちゃんは、この数年で成長し、大人の女性になった。ご主人様との子どもを産んでからは母性にも溢れ、あの頃の破天荒な鈴々お姉ちゃんはなりを潜めた。ピシッとしたスーツがよく似合う、素敵な女性だ
璃々「大丈夫ですよ、鈴々お姉ちゃん。
そこはちゃんと理解していますし、とても嬉しいと思っています。
お母さんやお姉ちゃん達に恵まれて、本当に幸せです。
だからこそ、私はお母さんとお姉ちゃん達に知ってほしい。私が携わっている仕事を。
だから今度からは、気軽に話しかけて欲しいな」
私がそういうと、皆私を見て微笑んだ。目には慈愛が含まれているように見える。
私がどれだけ言おうと、やっぱりこの人達からしたら、自分は子どもなんだね。
ちょっとだけ悔しいな
星「ふむ、璃々も成長したのだな。子どもの頃から見てきたから、嬉しく思うぞ」
璃々「まぁだからと言って、星お姉ちゃんがやった事は許しませんけどねー」
この後、星お姉ちゃんだけ3時間正座させて子ども達の相手をしてもらいました
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こんにちは!
Second Generations日常編、璃々視点。
キャラ崩壊注意というか、原作キャラがだいぶ成長しています