No.719932 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2014-09-21 00:12:45 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1854 閲覧ユーザー数:1674 |
~校門~
「ふふっ……楽しい方々ですね。四大名門のご子息ならもっと近寄り難い方なのかと思っていましたけど。」
「はは、ユーシスもそうだしアンゼリカ先輩もそうだけど……結局のところ、身分とは別に”その人間”なんだろう。まあ、パトリックとは正直、仲が良いとは言えないんだが。」
「それでも共に競い合い、高め合えるような関係……学院祭を案内していただいてつくづく思ったのですけど……本当に、良い学院生活を送ってらっしゃるんですね?」
「ああ……それだけは自信を持って断言できる。それと”Ⅶ組”なんていう風変わりなクラスに選ばれたのも運が良かったんだろうな。」
エリスの言葉にリィンは静かに頷いて答えた。
「ふふ……兄様、学院祭の案内、ありがとうございました。とても楽しかったですけれどこのあたりで我慢しておきます。ステージの準備もあるでしょうし、後は私と姉様で大丈夫です。」
「ええ、ですから私達の事は気にしないで下さい。」
双子の姉妹は愛する兄を安心させるかのように微笑みを浮かべてリィンを見つめた。
「悪いな、本当に。……うーん、でも考えたらこのままお前達二人だけにするのもちょっとマズイな……さっきみたいな悪い虫が寄ってきたら心配だし……」
「兄様、私も子供というわけではありませんから……」
「ええ。それにいざとなれば私が追い返しますよ?その為の対処方法等もエクリア様達から学んでいますし。」
自分達を子供扱いして心配するリィンにエリスは冷や汗をかいて呆れ、エリスの言葉に頷いたエリゼは微笑み
「前々から疑問に思っていたけど、エクリア様達から一体どんな教育を受けているんだ……?」
エリゼの言葉を聞いて冷や汗をかいたリィンは表情を引き攣らせてエリゼを見つめた。
「ふふっ、やっぱり仲がよろしいんですね♪」
その時聞き覚えのある可憐な少女の声が聞こえ
「え……」
「この声……」
「貴女方は……!」
声を聞いたリィン達が振り向くとクレア大尉と鉄道憲兵隊を護衛につけているオリヴァルト皇子とアルフィン皇女が校門にいた。
「ひ、姫様……!?」
「オリヴァルト殿下も……いらっしゃったんですね。」
「――ご無沙汰しております。」
オリヴァルト皇子達の登場に気付いた周囲の人々は興味津々な様子でリィン達に近づくオリヴァルト皇子とアルフィン皇女を見つめた。
「フフ、名目上とはいえ、理事長を任されている身だからね。本当は昨日から来たかったんだが色々公務が入ってしまってねぇ。」
「わたくしも我がままを言って何とか連れてきてもらったんです。リィンさんとは、直接こうして顔を合わせるのは先日の皇宮以来ですね。」
「はい、皇女殿下におかれましてはご機嫌麗しく。クレア大尉も……護衛としていらっしゃたんですか。」
「はい、即席ではありますがお二人の護衛を務めています。何でも”Ⅶ組”はこれからステージをやるのだとか……ふふっ、どうか頑張ってください。」
「ど、どうも……」
「………………(ちょっと怪しいわね…………)」
リィンの問いかけに答えたクレア大尉は静かな笑みを浮かべてリィンを見つめ、その様子を見守っていたエリゼはジト目でクレア大尉を見つめた。
「そうそう、そのステージですけど何時から始まるのかしら?わたくし、詳しい情報を知らないで来てしまって……」
「兄たちのステージは3時から……その前に、他のクラスの古典劇が行われるという話ですね。……というか姫様。また私に内緒でこんな風にいきなり訪れたりして……」
「ふふっ、おかげでエリス達とリィンさんの仲睦まじいところをバッチリと目撃出来たわ♪やっぱり、わたくしにとって最大の強敵は貴女達になりそうね♪」
「姫様……」
「…………」
笑顔を浮かべて自分達を見つめるアルフィン皇女の言葉にエリスは呆れ、エリゼはジト目でアルフィン皇女を見つめた。
「どうやら、なかなか楽しいステージになりそうじゃないか。飛び入りとかもOKなのかい?」
「いえ、即席メンバーなのでアドリブは難しいかと……それより、ミュラー少佐はいらっしゃらないんですね。」
オリヴァルト皇子に笑顔で尋ねられたリィンは苦笑しながら答えた後ある事に気付いて真剣な表情でオリヴァルト皇子を見つめた。
「ああ……君も薄々気付いているだろう。実は今日、クロスベル方面でちょっとした動きがあってね。」
「やはりそうですか……もしかしてエレボニア軍がクロスベルに侵攻を……?」
「まあ、そのあたりのことは今は考えないでおきたまえ。……心配せずとも戦争などにはならないはずだ。正直、エレボニアとクロスベルでは余りに戦力差がありすぎてまともな喧嘩にすらならない……共和国も動いているからお互い牽制し合うだろうしね。」
「…………両国は”六銃士”達の事も特に気にしていないのでしょうか?」
オリヴァルト皇子の話を聞いてある事が気になったリィンはオリヴァルト皇子に尋ねた。
「ああ、彼らか。実際彼らとぶつかり合えば少なくない被害は出るだろうけど……実は例の資産凍結宣言以降から”六銃士”全員と彼らを慕う”六銃士派”が姿を消したそうなんだ。」
「え…………一体何故ですか?」
「さてね……エレボニアもそうだけど、カルバードも”通商会議”で二大国からの圧力を緩和した彼らが姿を消した事に首を傾げているだろうね。本来なら、私も今日来るのを控えようかと思ったが……むしろアルフィンと共に来ることで緊張を和らげられればと思ってね。レーグニッツ知事やルーファス君、そしてイリーナ会長やリウイ陛下達もそうだろう。だから君達も何とかステージをやり遂げて欲しい。何より、君達自身のために。」
「……わかりました。精一杯、やり切ってみせます。」
オリヴァルト皇子の言葉にリィンは真剣な表情で頷いた。
「あら、お兄様にリィンさん。殿方だけで何をコソコソ話してらっしゃるんですか?」
「フッ、そこはそれ、男同士の話というやつさ。―――エリゼ君とエリス君の方は我々がエスコートしよう。ステージも同席してもらうから安心してくれたまえ。」
「すみません、助かります。」
「ありがとうございます、オリヴァルト殿下。」
「よろしくお願いいたします。―――それでは兄様。ご武運をお祈りしています。」
「頑張ってください、兄様。」
「ふふっ、リィンさんの勇姿、楽しみにさせて頂きますね♪」
そしてオリヴァルト皇子達はエリゼとエリスと共にその場から去り、リィンは講堂に向かった。
「あれ?オリビエじゃん。」
「おや……君達も来ていたのか。」
オリヴァルト皇子達が学院内を歩いているとヨシュアを連れたエステルがオリヴァルト皇子達に近づいてきた。
「久しぶり~!しばらく見ない内にモテるようになったのね~?随分と可愛い娘達や綺麗な人と一緒にいるじゃない。」
「ハッハッハッ!ここはボクにとってホームグラウンドだから、当然の結果さ♪」
ジト目のエステルに見つめられたオリヴァルト皇子は笑顔で答えたが
「ふーん……今度シェラ姉に会った時にオリビエがモテてる事を言ってもいいのかな~?」
「それだけは勘弁してください……―――アルフィンはボクの妹で、黒髪の娘達は今からステージの準備に向かうリィン君に頼まれたリィン君の妹達で、後ろにいる女性はボクの護衛だよ。」
エステルの言葉を聞いて疲れた表情をしたオリヴァルト皇子はアルフィン皇女達の事を説明した。
「へ?オリビエの妹??」
「では、貴女がアルフィン皇女殿下ですか。」
オリヴァルト皇子の話を聞いたエステルは首を傾げ、ヨシュアは目を丸くしてアルフィン皇女を見つめた。
「ふふっ、初めまして。アルフィン・ライゼ・アルノールと申します。以後お見知り置きを。」
「あ、初めまして。エステル・ファラ・サウリン・ブライトです。」
「ヨシュア・ブライトと申します。」
「なっ!?エステル・ファラ・サウリン・ブライトだと!?」
「”剣聖”カシウス・ブライトの娘にしてブ、”ブレイサーロード”……!」
エステル達が名乗ると鉄道憲兵隊は驚いて声を上げたが
「……口を慎みなさい。ファラ・サウリン卿に失礼ですよ。」
「「ハッ!!」」
クレア大尉の注意を聞いて口を閉じた。
「―――ご挨拶が遅れて申し訳ありません。リィン・シュバルツァーの妹、エリス・シュバルツァーと申します。バリアハートで兄様を助けて頂き、ありがとうございました。」
「エリスの双子の姉にしてリフィア皇女殿下専属侍女長のエリゼ・シュバルツァーと申します。以後お見知り置きを。」
「ああ、貴女があのリフィアの……」
「確か父さんから剣術を指南してもらっているんだよね?」
「はい、お二方やミント様の事はカシウス准将より聞いております。」
エリスとエリゼが名乗るとエステルとヨシュアは興味ありげな様子でエリゼを見つめた。
「……というか、アルフィン皇女ってホントにオリビエの妹?オリビエの妹とは思えない程、滅茶苦茶上品なお姫様なんですけど。」
「フッ、そんなに褒めないでくれよ♪照れちゃうじゃないか♪」
ジト目のエステルに見つめられたオリヴァルト皇子は酔いしれた表情で答え
「コイツは……」
「エステル、オリビエさんに失礼だよ。………というか、”オリヴァルト皇子”として接した方がいいですか?」
ヨシュアは呆れた表情で指摘した後ある事に気付いてオリヴァルト皇子に尋ねた。
「いや、半分公式半分プライベートで訪れているから、以前のように接してくれて構わないよ。……まあ、さすがにいつもみたいに棒で突込みを入れるのは今日は勘弁してほしいけど。」
オリヴァルト皇子の答えを聞いたアルフィン皇女達は冷や汗をかき
「あんたがあたしに突っ込まれるようなふざけた発言とかしなかったら、そんな事はしないわよ。」
エステルはジト目で答えた。
「フフッ、エステル君も相変わらずのようだね。……そう言えばミント君は?」
「ミントはステージの準備の時間が来るまでツーヤ達と一緒に学院祭を見て回っていて、今はレン達と一緒に見て回っているそうです。」
「あら。それじゃあもしかしてわたくし達、デートをしているお二方の邪魔をしてしまいましたか?お兄様からもお二人は恋人同士である話は聞いていますわよ♪」
「ひ、姫様!」
オリヴァルト皇子の質問に答えたヨシュアの話を聞いて笑顔を浮かべたアルフィン皇女の言葉を聞いたエリスは慌て
「……前言撤回。やっぱりオリビエの妹だけあって、場をかき乱す事が得意ね。」
「ハハ…………」
「フッ、さすがボクの妹だ。」
ジト目でアルフィン皇女を見つめるエステルの言葉にヨシュアは冷や汗をかいて苦笑し、オリヴァルト皇子は静かな笑みを浮かべた。
「ふふっ……そうだ!エステルさん、ヨシュアさん。もしよろしければわたくし達とご一緒に学院祭を見て回りませんか?リベール旅行をしていた頃のお兄様のお話も聞きたいですし。」
「んー……あたし達は別にいいけど、そっちはいいのかしら?特に護衛の人達にとったら、余計な仕事を増やす気がするし。」
「フフッ、ご心配には及びません。帝都で起こった”帝国解放戦線”による騒動の際、市民達の避難活動を率先して行って頂いたファラ・サウリン卿とヨシュアさんがトップクラスの腕前を持つ遊撃士である事やオリヴァルト殿下と旧知の仲である事は知っていますし、お二人が共にいるのなら、護衛側としてはむしろ心強いですね。」
エステルに視線を向けられたクレア大尉は微笑みながら答え
「アハハ……それはどうも。」
「”氷の乙女(アイスメイデン)”と称されるクレア大尉にそれほどの高評価をして頂けるとは光栄です。」
クレア大尉の答えを聞いたエステルは苦笑し、ヨシュアは静かな表情で会釈した。
「フッ、クレア大尉の言う通りエステル君達なら大歓迎さ。では行こうか。」
そしてエステルとヨシュアを加えたオリヴァルト皇子達は学院祭を見て回り、劇の時間になるとステージに向かった。
その後ステージ用の衣装に着替えたリィン達はⅠ組の出し物である小劇場(オペレッタ)を控室から見守っていた。
原作ではありえなかったエステル達と閃キャラであるアルフィン皇女やクレア大尉との邂逅はニヤリとした方もいるかもしれませんねww
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第285話