No.718441

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第273話

2014-09-17 09:34:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1453   閲覧ユーザー数:1354

 

 

~旧校舎~

 

「………………」

リィン達が旧校舎に到着するよりも早くトマス教官、トワ、ジョルジュと共に旧校舎に到着していたヴァンダイク学院長は真剣な表情で結界に包まれた旧校舎を見つめ

「こ、これって一体……」

「”結界”……何らかの力場みたいなものか?」

トワは不安そうな表情をし、ジョルジュは考え込み

「いや~……これはまた尋常じゃない雰囲気ですねぇ。大帝ゆかりの士官学校……旧校舎だけはそれ以前からこの地にあったという話ですが。」

トマス教官は戸惑いの表情で考え込んでいた。

 

「学院長、先輩たちも!」

「リィン君たち……!?」

「おお、サラ教官にレオンハルト教官も~。」

「……来たか。」

その時リィン達が駆け付けて来た。

 

「―――状況は?」

「先程、鐘が鳴り始めた直後、すぐこの状況になったそうじゃ。複数の学生が証言してる。」

「クロスベルの”僧院”の時と状況が似ているわね……」

「ああ……―――となると”奴等”の”専門”かもしれんな。」

ヴァンダイク学院長の話を聞いたプリネとレーヴェは真剣な表情で考え込みながら呟いた。

 

「な、何だか透明な壁に包まれているみたいで……」

「工具のハンマーで叩いても衝撃が吸収される感じですね。」

「それは……」

「物理的な衝撃を相殺するような力場(フィールド)……?」

トワとジョルジュの説明を聞いたリィンとアリサは考え込み

「恐らくこれも結界の一種なんでしょうけど……」

「攻撃を吸収する結界は初めて聞きますね……」

「んー……となると吸収できない程の凄い”力”―――例えば”神”クラスの”力”は必要かもしれないね。」

セレーネとツーヤ、エヴリーヌもそれぞれ考え込みながら結界を見つめた。

 

「不可解な場所とは思ったがここまでだったとは……」

「………………」

「んー、とりあえずガーちゃんでブチかましてもらう?」

「……やめておけ。古城の時と同じオチだろう。」

「ああ、青白く不可解な力で封じられた障壁……」

ミリアムの提案を聞いて呆れた表情で指摘したユーシスの言葉に頷いたガイウスは考え込み

「……ふむ…………」

今まで経験のない出来事にサラ教官は困った表情で打開策を考え込んでいた。

 

「―――全教官を招集。これより緊急会議を開く。最悪の事態を想定して備える必要があるじゃろう。」

「……はい。」

「了解した。」

「うーん………そうなっちゃいますか~。」

ヴァンダイク学院長の指示にサラ教官とレーヴェは答え、トマス教官は複雑そうな表情をし

「トワ君、明日の学院祭だが中止の方向で進めておきなさい。ジョルジュ君は、この場所の監視機器を備えてもらいたい。」

「……は、はい……」

「了解しました。」

そしてヴァンダイク学院長の話を聞いたトワは悲しそうな表情で頷き、ジョルジュは重々しい様子を纏って頷いた。

 

「ま、待ってください!」

「まさか……学院祭を中止にするつもりですか!?」

「そんな!学院の皆さん、そして外部からのお客様がみんなずっと楽しみにしていたのに……!」

一方仲間達と共に血相を変えたマキアスとガイウス、セレーネは反論した。

 

「仕方ないわ、この状況じゃ。こんな異常事態……夜が明けても続いたりしたらとても来場客は入れられない。」

「周囲にどんな被害があるかもわからない状況だし……学院……ううん、トリスタにも避難指示を出す必要があるかも……」

「そ、そんな……」

「チッ……そうなっちまうか。」

「エヴリーヌ達があんなに頑張ったのに……!」

「エヴリーヌさん……悔しいのはみんな、同じ気持ちですよ……」

「……………………」

サラ教官とトワの説明を聞いたエリオットは信じられない表情をし、クロウとエヴリーヌは悔しそうな表情をし、ツーヤはエヴリーヌを諭し、プリネは悲しそうな表情で黙り込み

「……危機管理の観点からすれば当然かもしれませんが……」

アリサは何とか思いとどまるように説得しようとしていた。

 

「……………………」

その時学院祭に向けて練習した日々や学院祭の為にそれぞれ熱心に練習や準備をしていた他のクラスの面々の顔を思い浮かべたリィンは顔を上げてヴァンダイク学院長達を見つめて口を開いた。

「この一ヶ月―――俺達、それに他のクラスも学院祭に全てを賭けてきました。単なる意地の張り合いだったり、身内への見栄もあるかもしれません。皆で一緒に何かを成し遂げるのが単純に楽しかったのもあります。」

「リィンさん……」

「……リィン……」

リィンの話を聞いたエマとアリサは仲間達と共に静かな表情でリィンを見つめた。

 

「だけど―――それだけじゃない。俺達がここにいるのは”証”……それが残せるかどうかなんです。勝ってもいい、負けてもいい。大成功でも、大失敗でもいい。これまで教官や先輩たちに導かれお互い切磋琢磨してきた、”全て”を込めるためにも……どうか俺達に”明日”を掴ませてもらえませんか!?」

「あ――――」

「………………」

決意の表情で拳を握りしめて叫んだリィンの主張にトワは呆け、ヴァンダイク学院長は真剣な表情でリィンを見つめ

「ぼ、僕からもお願いします!」

「……自分からもお願いする。」

「わたくしもお願いします!」

「……あたしもエリオットさん達と同じ気持ちです。」

「私もです。―――Ⅶ組………―――いえ、この学院の誰もが同じ気持ちだと思います。」

「フッ、できる悪あがきなど知れてはいるだろうが……」

「それでも、可能性がゼロでない限り最後まで諦めたくありません。」

「同感。いっぱい練習したし。」

「そだね。それが”無かったこと”にされるなんて、滅茶苦茶腹立つし。」

「ボクもボクも!これで終わりはやだよー!」

「元より、この建物の調査は我らの役目でもありましたゆえ。」

「今回の異常事態についても私達が調べるのが筋でしょう。」

「……………………」

リィンの言葉をきっかけにⅦ組の面々はそれぞれ決意の表情でヴァンダイク学院長を見つめた。

 

「あんた達……」

「フッ……」

リィン達の主張にサラ教官は驚き、レーヴェは静かな笑みを浮かべ

「ふう……本気みたいだね。」

「やれやれ、聞いてるこっちが気恥ずかしくなってくるぜ。」

ジョルジュは溜息を吐き、クロウは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

「ふーむ、意気込みはともかくこの障壁をどうするかですが……」

そしてトマス教官が結界を見つめて呟いたその時

「―――それに関しては心配無用だ。」

なんとリウイ達が近づいてきた!


 
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