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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第四十七回 第三章B:合肥救援編⑦・決着!合肥の戦い

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

突然ですが萌将伝ようやくクリアしました!

なるほどあれが問題の愛紗さん空気騒動でしたか、、、(恋と雛りんはまだ許せる…かな…)

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2014-09-07 00:16:27 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5503   閲覧ユーザー数:4481

 

 

厳顔「(な・・・なんという戦い方をする奴だ・・・改めて末恐ろしく思うぞ・・・恋よ・・・)」

 

 

 

厳顔の感想通り、呂布の藤甲兵に対する戦い方は圧巻の一言であった。

 

まず、呂布は藤甲兵の投げた石斧をかわすと、一気に距離を縮め、方天画戟を一薙ぎして藤甲兵たちを吹き飛ばした。

 

しかし、藤甲兵たちはその固い鎧のおかげもあって特にダメージを負っていないようであったのだが、

 

呂布の狙いはまさにそこにあったのだった。

 

呂布はその性格から、動物に多大な愛着心を抱いており、今回の南蛮兵の場合も、南蛮兵が外見上獣的であるということから、

 

その例に違わず呂布はまともに南蛮兵たちと戦うことができなかった。

 

そこで呂布が選択したのは、南蛮兵に傷を負わすことなく追い返すこと。

 

そして、厳顔の舌を巻かせたのは、呂布が最初の一撃を当てることで、瞬時に藤甲の強度を把握し、

 

ちょうど南蛮兵がダメージを負わない絶妙の力加減を理解したことであった。

 

 

 

厳顔「(天下無双の名を冠するものは・・・このような戦い方も・・・できるというのか・・・!)」

 

 

 

あとは、藤甲兵が呂布に攻撃を仕掛けるたびに呂布が一薙ぎで吹き飛ばす、の繰り返しである。

 

しかし、藤甲兵は一方的に呂布の攻撃を受けているにもかかわらず、一切のダメージを負っている気配はない。

 

力の差が歴然だからこそできる手加減。

 

それも、自身の力をおごってのものではなく、自身の信条を貫き通すためのものである。

 

言葉で説明するのは容易であるが、それを実行し、実際なし得るにはいかほどの技量が必要であろうか。

 

厳顔は改めて目の前にいる女性が、自身とは比べ物にならないほどの実力者であることを感じていた。

 

 

 

藤甲兵1「にゃにゃにゃー!?」

 

藤甲兵2「にゃにゃーん!!にゃーにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃん!!」

 

呂布「・・・恋はこの村を守りに来た・・・ここの食べ物は渡せない・・・早く南蛮に帰って・・・」

 

 

 

すると、呂布が藤甲兵たちの会話に自然に加わり始めた。

 

 

 

藤甲兵3「にゃにゃにゃん!!にゃーにゃにゃにゃにゃん!!」

 

藤甲兵4「にゃーにゃにゃーにゃ!!」

 

藤甲兵5「にゃーにゃにゃ、にゃにゃにゃん、にゃんにゃにゃにゃん!!」

 

呂布「・・・ダメ。ここの食べ物は、ここの人たちのもの・・・無理やりとったら・・・ここの人たちが困る・・・」

 

厳顔「な・・・!?恋よ、お主こやつらの言っておることが分かるのか!?」

 

 

 

厳顔は呂布がにゃーにゃーとしか言えない藤甲兵と会話をしていることに驚きを隠せないでいた。

 

 

 

呂布「・・・なんとなくわかる・・・なんで邪魔するかって言ってる・・・お腹が空いてるって・・・」

 

 

 

呂布はそう言いながら、やや悲しそうな表情をしていたが、再び無表情ながらもするどい瞳に戻った。

 

 

 

呂布「・・・でも、無理やりほかの人から獲るのはダメ・・・」

 

 

 

そして、呂布はゆっくりと方天画戟を構えると、視認できるのではと錯覚しそうなまでの凄まじい闘気を発した。

 

さながら、獣の本能に直接語り掛け、ここは自分の縄張りだと伝えるかのように。

 

 

 

藤甲兵3「にゃー!にゃにゃにゃ、にゃにゃんにゃん!!」

 

藤甲兵2「にゃにゃ!!にゃーにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!」

 

 

 

しかし、ただ一つ、ここで呂布にとって大きな誤算があった。

 

 

 

藤甲兵「「「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃー!!!!!」」」」」

 

 

 

それは、藤甲兵たちが呂布に恐れを抱いて逃げるのではなく、標的を弱った厳顔に変更したことであった。

 

弱った獲物を狙うのもまた、獣的な本能である。

 

 

 

厳顔、呂布「「――――――!!??」」

 

 

 

思いのほか深手を負っていたことに加えて、呂布が援軍に来てくれたおかげで、

 

張りつめていたものがほんの少し緩んでしまったこともあり、厳顔は藤甲兵の突然の標的変更に瞬時に反応することができなかった。

 

藤甲兵たちの無慈悲な攻撃の数々が厳顔を襲った。

 

 

 

 

 

 

【揚州、合肥・side孫権、周泰】

 

 

孫権と周泰は、本陣への最短ルートの橋が爆破されてしまったため、迂回して別の道を目指して馬を走らせていた。

 

そして、数十分後ようやく別の橋が架かっている場所に到着したのだが、

 

しかし、そこにあるはずの橋は、何か鈍器のようなもので粉々に砕かれ、後に残ったのは激しく流れる川だけであった。

 

 

 

周泰「そんな・・・!」

孫権「くっ・・・!」

 

 

 

向こう側までの距離は目測約3丈、メートルにして約10mであり、とても渡ることは出来なかった。

 

そのため、やむを得ずさらにほかの道を探すべく回れ右をした孫権たちであったが、

 

しかし、振り返るとすでに張遼隊が追いついており、囲まれていた。

 

そして、その紺碧の騎兵隊の先頭には、先ほどまではいなかった、見慣れない女性が立っていた。

 

黒の髪の前髪に白のメッシュが入っており、そのライトブラウンの瞳は勝気に満ち溢れている。

 

白の服、黒の上着に黒のホットパンツ、そして一際目を引くのは肩に担いだ巨大な金棒である。

 

鳳統から孫権の分断命令を受けていた魏延である。

 

 

 

周泰「あなたがこの橋を落としたのですか!?」

 

 

 

周泰は背中に差した刀に手をかけながら、俄かには信じがたいといった表情で魏延に向かって問うた。

 

 

 

魏延「ふん、悪く思うな。ウチの軍師殿の策でな。悪いが、キサマたちはここで討ち取らせてもらうぞ!」

 

 

 

そう告げると、魏延は肩に担いだ巨大な金棒、鈍砕骨を地面に向かって力いっぱい叩き付け牽制した。

 

前方を倍近くの張遼隊に囲まれ、背後は急流で深みのある川。

 

孫権たちは完全に追い詰められていた。

 

 

 

孫権「ここまでか・・・」

 

 

 

孫権ら約300に対して魏延ら約700。

 

実際張遼たちはこれ以上の兵力差をひっくり返して見せたのだが、そのような事態が起こってしまったこと自体が異例中の異例であり、

 

孫権が思わず口にしてしまった弱音はやむを得ないものであった。

 

しかし、

 

 

 

周泰「蓮華様!ここは一か八か、馬で川を飛び越えてください!敵はわたしが引き止めます!」

 

 

 

周泰はまだあきらめていなかった。

 

 

 

孫権「そんなの無理よ!」

 

魏延「そうだ。往生際が悪いぞ!」

 

周泰「無理ではありません!」

 

 

 

孫権や魏延の否定の言葉にも、しかし周泰は一歩も引かない。

 

周泰の目は真剣そのもの。

 

ただのはったりや虚勢には見えなかった。

 

 

 

周泰「蓮華様はもっと御自分に自信をお持ちになるべきです!蓮華様に飛び越えられないものなどありません!あのような川、いいえ、

 

たとえどのような障害があろうとも、蓮華様なら必ず飛び越えられます!」

 

 

孫権「―――っ!・・・明命・・・・・・・・・わかったわ」

 

 

 

周泰の言葉を聞いた孫権は、その言葉が、今の状況だけに向けられた言葉ではないことを悟り、

 

目を見開いて驚くとともに、静かに覚悟を決めた。

 

孫権は周泰の言葉を受けて、自身を縛り付けていた枷のようなものが少し緩んだように思えるほど、体が軽くなる感覚を覚えていた。

 

 

 

魏延「なっ!?正気か!?」

 

 

 

孫権の判断に耳を疑う魏延をよそに、孫権は助走をつけるため川から距離をとった。

 

 

 

魏延「させるか!」

 

 

 

しかし、当然魏延がそのような状況をだまって見ているはずもなく、孫権の行動を邪魔しようと鈍砕骨を振るった。

 

 

 

周泰「そうは・・・・・・させませんっ!」

 

 

 

そして、すかさず周泰が背中に差した日本刀のような長刀『魂切』で倍以上の質量を持つ魏延の金棒を受け止めた。

 

 

 

魏延「チッ!」

 

 

 

その細身の体のどこに自身の攻撃を受け止められるだけの力があるのか、

 

と魏延は舌打ちしながらより一層握る手に力を入れるが、それでも周泰を押し切ることはできなかった。

 

 

 

孫権(ここで落ちれば私は死ぬ・・・けど、まだ死ぬわけにはいかない・・・落ちるわけにはいかない・・・いや、私は落ちない!)

 

 

 

そして、周泰が魏延を止めているうちに覚悟を決めた孫権は、助走をつけた後、ためらうことなく一気に馬を駆けさせた。

 

 

 

孫権「この孫仲謀を舐めるなあぁあああっっ!!!」

 

 

 

結果、孫権の叫びと共に飛翔した馬は、橋の落ちた川を飛び越え、ぎりぎりのところで反対岸にたどりつくことに成功した。

 

 

 

孫権「はぁ・・・はぁ・・・よ、よし!ほら、明命も早――――――!」

 

 

 

無事飛び終え、息を整えるのももどかしく、急いで周泰にもこちらへ飛ぶよう促そうとした周泰であったが、しかし・・・

 

 

 

周泰「わたしのことはいいですから!蓮華様はすぐに本陣に戻ってください!」

 

 

 

そんな孫権の誘いを周泰は拒否した。

 

 

 

孫権「何を言って―――!」

 

 

 

周泰「早くして下さい!わたしなら大丈夫です!この者たちを退け次第、すぐに戻りますから!」

 

孫権「・・・・・・・・・すまない」

 

 

 

周泰の気迫に、孫権はただ謝ることしかできなかった。

 

結局、孫権は魏延や張遼隊の足止めを周泰らに任せ、本陣に向かってこの場を走り去り、なんとか窮地を脱することができた。

 

 

 

魏延「チッ、まさかここを跳び越えるなんて、これでは追撃は無理か・・・やってくれたな、代わりにキサマの首をもらうぞ!」

 

周泰「そうはいきません。孫権様に戻ると言った以上、あなたを倒して戻らせてもらいます!」

 

 

 

周泰は孫権がこの場から離れたのを確認すると、つばぜり合いの状態から弾いて一度魏延から距離を置き、改めて刀を構えなおした。

 

 

 

魏延「ふん、この状況でよくそんなことが言えるな!だが、それでこそ武人というものだ!お前たちは周りの兵たちだ!コイツには手を

 

出すなよ!」

 

 

 

このような不利な状況にも一切物怖じせず戦いを挑んでくる周泰の心意気が気に入ったのか、

 

魏延は周りの兵士たちを制し、一騎打ちの形に持っていくと、改めて鈍砕骨を構え直し、名乗り出た。

 

 

 

魏延「我が名は魏延、字は文長!いざ、尋常に勝負!」

 

 

 

周泰もまた魏延に倣って名乗り出た。

 

 

 

周泰「我が名は周泰、字は幼平。ここで死ぬわけにはいきません。お覚悟を!」

 

 

 

そして、どちらからともなく両者は同時に地を蹴った。

 

 

 

 

 

 

【揚州、合肥・side張遼、甘寧】

 

 

魏延と周泰がぶつかってからほんの十数分後。

 

張遼と甘寧はお互い一歩も譲らず、どちらも致命傷らしい致命傷を与えることができずに、未だ打ち合いを続けていた。

 

 

 

張遼「アンタ、やっぱそこらの雑魚とは一味違うみたいやな!」

 

甘寧「・・・・・・・・・」

 

 

 

張遼がニヤリと不敵な笑みを浮かべながら発した言葉に、しかし甘寧は無表情無反応でただ斬りつけてくるだけであり、

 

その刀を振るうごとに響き渡る鈴の音が代わりに答えるばかりである。

 

 

 

張遼「無視せなや!つまらんやっちゃな!」

 

甘寧「・・・貴様は喋りすぎだ」

 

 

 

そのような甘寧の様子に目を怒らせて猛襲をかける張遼だが、それが見苦しかったのか、

 

甘寧は鋭い表情はそのままに、半ばあきれたような口調で張遼に言葉を返した。

 

とはいうものの、どちらも実力が伯仲しているせいか、

 

あと一歩踏み込んだ痛打というものが与えられず、ただ時間が過ぎていくばかりである。

 

しかし、このまま永遠と戦い続けるのではと思えてきたその時、事態が動きだした。

 

この二人の戦いの場に近づいてくるものが現れたのだ。

 

その人物は、黒髪に入った白のメッシュと手にした巨大な金棒な特徴的な女性であった。

 

 

 

甘寧「――――――っ!」

 

 

 

ここに来て初めて甘寧の表情が揺らいだ。

 

その女性は、先ほど孫権らが逃げた方向と同じだったからである。

 

ここにきてのまさかの新手。

 

甘寧のこめかみあたりから一筋嫌な汗が垂れた。

 

 

 

魏延「霞、すまない。孫権を逃がしてしまった」

 

 

 

魏延は心底残念そうな表情で張遼に詫びた。

 

 

 

張遼「さよか。まぁけど、ぎりぎりまで追い詰められたんやし、雛里の策はこのまま成功するやろ。雛里も言っとったけど今回は侵攻戦

 

やのーてあくまで防衛戦やねんし深追いは不要やろしな。ほんで、くっついとったちっこいのも逃がしたんか?」

 

 

魏延「いや、ヤツ、周泰ならワタシが討ちとった」

 

甘寧「――――――ッ!?」

 

 

 

魏延の周泰討ち取り宣言に、甘寧は目を大きく見開き、猛禽類の如き鋭い眼光を血走らせながら魏延を睨み付けた。

 

 

 

魏延「と言っても、入りが甘かったのだが、吹き飛ばして川に落としてしまった。おそらく助からないだろう」

 

甘寧「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

しかし、孫権の安全と、周泰の窮地の二つの情報を同時に得た甘寧は、すでに元の鋭い眼光を宿した無表情に戻っている。

 

そして、魏延が話し終えるのとほぼ同時に、甘寧は張遼に対して渾身の強攻撃を繰り出し、吹き飛ばした。

 

 

 

張遼「うわっ!?」

 

 

 

甘寧の突然の不意打ちに対応しきれなかった張遼は、何とか受け身をとってすぐさま戦闘態勢に入ったのだが、

 

張遼が戦うべき相手を探しても、すでにその場に甘寧の姿はなかった。

 

 

 

魏延「・・・・・・どうやら、逃げられたようだな・・・」

 

張遼「っだァーーーもォーーーッ!!決着つかずかいなァーーーッ!!」

 

 

 

張遼は途中から素で戦いを楽しんでいたのか、甘寧との戦いで決着がつかず、頭を抱え、天を仰いで絶叫した。

 

 

 

 

 

 

【揚州、合肥・孫策軍本陣】

 

 

孫兵「伝令、伝令!伝令です!!孫権様只今ご帰還なさいました!!!」

 

 

 

孫策軍の本陣では、孫権の帰還を伝えるべく、兵士が転がり込むように本陣に駆け込んできた。

 

 

 

陸遜「よかったですぅ~、無事でしたかぁ~♪」

 

 

 

陸遜はニコニコしながらうれしそうな声を上げたが、しかし、無事帰還したはずの孫権本人が非常に焦った様子で陸遜に詰め寄った。

 

 

 

孫権「隠!すぐに動ける兵全員集めて部隊を編成して!思春と明命を助けるのよ!」

 

陸遜「―――っ!?一緒ではないのですかぁ~!?」

 

 

 

陸遜はニコニコ顔から一転、再び真剣な表情に戻った。

 

 

 

孫権「私を逃がすために今も敵と戦っているわ・・・!」

 

呂蒙「ですが、もはや我が軍の兵たちの士気は著しく低下しております。これ以上無理に兵を出陣させたら・・・」

 

 

 

確かに、現在まともに動ける兵としては、戦闘がなかった呂蒙率いる次軍3万と、凌統隊の1万ほどが残ってはいたが、

 

それでもそれ以外の訳6万にも及ぶ兵たちは、死亡、或は負傷しているのである。

 

それも兵力が千にも満たない相手にである。

 

もはや精神的に万全の状態の兵士など、孫策軍には残っていなかった。

 

しかし呂蒙の申し出は、孫権にとって到底受け入れられるものではなかった。

 

今ここで動かなければ、甘寧と周泰を見捨てることになる。

 

つまり、

 

 

 

孫権「何を言っているの!?このままじゃ、思春と明命が危ないのよ!早くしないと死――――――!」

 

 

 

しかし、孫権が最後まで言い終わる前に、すっと孫権の前に出てきた黄蓋が、孫権の右頬に平手打ちを喰らわし、言葉を遮った。

 

この場の時がとまった。

 

 

 

黄蓋「いいかげんになされい!!あなたはいったいどれだけ将兵を馬鹿にすれば気が済むのですか!!!」

 

呂蒙「祭様落ち着きいてくだ―――!」

 

黄蓋「亜莎は黙っておれ!」

 

 

 

しかし、呂蒙の静止を黄蓋は黙れの一言で退ける。

 

黄蓋は今にも孫権の胸ぐらをつかまんとするほどの勢いで孫権に迫り、今までため込んでいた不満を一気に爆発させた。

 

 

 

黄蓋「よいか権殿!あなたの我が儘な采配が!身勝手な行動が!太史慈や陳武、大切な兵たちを殺し、思春と明命の命を危ぶめておるの

 

ですぞ!なのにそれだけでは飽き足らず、今度は新たに部隊を編制して思春や明命を救出して来いですと!?権殿はさらに将兵を無駄に

 

殺せと仰せか!!??」

 

 

孫権「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

黄蓋の言うことはすべてまぎれもない事実であった。

 

孫権は何も言い返せなかった。

 

ただ、俯きながら下唇を強く噛みしめ、己の愚行を悔いることしかできなかった。

 

そんな孫権の様子を見た陸遜が、すぐにいつものニコニコした表情に戻ってフォローを入れた。

 

 

 

陸遜「・・・・・・ですが、今回は蓮華さまが初めて総大将にお就きになったということもありますし、10万という大軍を扱うのはそう

 

でなくてもとても難しいことですぅ~。それに、今回の場合は私がもっと知恵を絞っていれば、戦況は変わっていたかもしれませんし、

 

太史慈さまは敵を侮ったということもありますぅ~。陳武さまがお亡くなりになったのも―――」

 

 

黄蓋「皆まで言うでない、もちろん分かっておるわ」

 

 

 

黄蓋もまた、陸遜が言うことが事実であることを認識しており、途中で言葉を遮った。

 

 

 

黄蓋「少なくとも陳武のことは全面的に儂の責じゃ。儂が張遼などにひと時でも恐れを抱いてしまったせいで、冷静な対処が出来なんだ。

 

結果、陳武他多くの兵を失ってしまった」

 

 

 

黄蓋もまた、俯き加減で下唇をかみしめながら、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

 

 

 

黄蓋「じゃから、戦場での失態は戦場で取り戻す。興覇と幼平は儂が助けに行こう」

 

 

 

そう言うと、黄蓋は迷うことなく本陣から出ていこうとした。

 

 

 

呂蒙「お、お一人で行かれるのですか!?」

 

黄蓋「無論じゃ。これ以上兵たちに負担をかけるわけにはいかぬからな」

 

 

 

しかし、黄蓋の返事に、再び呂蒙が物申した。

 

しかも、今回は今までとは違い、秘めたる底知れぬ力を宿した眼差しを黄蓋に向けている。

 

 

 

呂蒙「でしたら、せめて私の部隊をお使いください!私たちは戦闘を行っていないので余力が残っています!」

 

蒋欽「私たちはまだまだ戦えます!」

 

韓当「水臭いぞ、祭殿」

 

 

 

そして、呂蒙の言葉に呼応するように、蒋欽と韓当も同調した。

 

 

 

凌統「いやぁ~、だったらここはイッチバン仕事してないアタシの部隊を使ってくださいなぁ~☆」

 

 

 

さらに、今回遊撃隊としての準備だけにとどまっている凌統までもが、黄蓋への同行を申し出た。

 

 

 

黄蓋「主ら・・・・・・権殿、もう少し、将兵のことを考えて行動していただきたい。ご覧のとおり、我らは皆、あなたのためなら、命を

 

投げ打つ覚悟なのですから」

 

 

 

黄蓋の静かな言葉に、やはり孫権は何も答えられず、ただただ俯いている。

 

 

 

黄蓋「・・・ふむ、じゃが皆で行っては権殿が殴られ損じゃ。じゃからここは――――――」

 

 

 

しかし、黄蓋が同行を頼む者を指名しようとしたその時、

 

 

 

甘寧「その必要はありません」

 

 

 

甘寧がずぶ濡れで本陣に戻ってきた。

 

その背中には周泰を背負っている。

 

 

 

黄蓋「興覇!無事であったか―――おい、まさか幼平は・・・!」

 

 

 

黄蓋は甘寧の帰還に喜んだが、背中にいる周泰がぐったりして動かない様子を見て、最悪の事態を想像し恐る恐る尋ねた。

 

 

 

甘寧「腹への打撲が少々深手かと。あと川に落ちた際に多少水を飲んでしまったようで意識はありませんが、命に別状はありません」

 

 

 

甘寧はゆっくりと周泰を下ろしながら周泰が生きていると答えた。

 

 

 

呂蒙「よかった・・・!」

 

黄蓋「よかったですな、権殿、二人とも無事ですぞ!」

 

孫権「・・・ええ・・・・・・思春、明命が連れていた、兵士たちは・・・?」

 

 

 

周囲が二人の生存を喜ぶ中、しかし、孫権は未だ俯いたままぽつりとつぶやくような小さな声で甘寧に問うた。

 

 

 

甘寧「は、残念ながら、皆敵にやられてしまいました」

 

孫権「・・・そう・・・・・・・・・」

 

 

 

周泰が連れていた兵士は300人、対して張遼隊は700人強。この場に兵士が一人も帰ってきていないことからも、

 

甘寧の答えは大方予想通りのものあったが、それでも、先ほどの黄蓋の話を聞いてからだと、孫権に与える影響は計り知れなかった。

 

 

 

陸遜「では蓮華さま、これからいかがいたしましょ~?」

 

 

 

陸遜の質問に、孫権が答えるべきことは一つだけであった。

 

 

 

孫権「・・・すぐに全軍に撤退を伝えてちょうだい」

 

 

 

こうして、合肥における孫策軍と曹操軍の戦いは、10万対7000、実質800という圧倒的兵力差であるにもかかわらず、

 

張遼の見事な神速の用兵術と、鳳統の知恵が合わさり、孫策軍が撤退、曹操軍が勝利を収めることとなった。

 

 

 

【第四十七回 第三章B:合肥救援編⑦・決着!合肥の戦い 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第四十七回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

いやはや、この御遣い伝説はいつからside孫呉になったのでしょうか、、、笑

 

最近ちんきゅーが全然出てこないのでとても寂しいです。あぁ、ちんきゅー分が足りない、、、

 

 

ところで史実でも有名な孫権の小師橋飛騎のお話。本当は橋の大きさは1丈、3mほどなのですが、

 

それだと恋姫なら楽々跳び越えられそうだなぁと思い、思い切って3倍にしてみました。

 

走り幅跳びのギネスが確か8m強ですし、10mあったら恋姫でもキツイ数字かなと思うのですが、

 

これでも玄人さん方なら余裕で跳び越えられそうなので怖いですよね、、、汗

 

 

さて、長かった第三章も次回のエピローグを残すのみとなりました。

 

まだ南蛮とのいざこざはなんだか絶体絶命な感じですが、ちゃんと次回でまとまるはずですのでご安心を。

 

ちなみに恋が普通に南蛮兵に対して攻撃しているのは、藤甲を装備していて容姿が分からないためですので。

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

若手中心の呉軍の中に祭さんが従軍していたのは、つまり冥琳がこういう役割を想定していたという、、、

 


 
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