No.714138

【獣機特警K-9ⅡG】新たなる伝説の始まり【交流】

古淵工機さん

焼肉以外にセリアさんが食べそうなのといったらラーメンじゃないかなあ。
食の権化VS味の巨匠の対決、今ここに開幕!

■出演
セリア:http://www.tinami.com/view/704414

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2014-09-06 23:15:03 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:882   閲覧ユーザー数:835

《Scene.1》

ドラコニア星・ウィバーニア市内の小さなバー…。

「え?お一人でファンガルドにですか?」

ウィバーニア警察署特殊部隊・D-9隊の隊長アリエル・トキワは目を丸くした。

酒の席、話している相手はドラコニア議会最高議長のセリア・M・ウィスタリア。

「ええ、久しぶりの休暇だし、たまには一人でどこか行ってみようと思ってw」

「しかしセリアさん…護衛もなしでお一人なんて」

「護衛をつけると逆に目立っちゃうでしょ?それにたまにはそういう堅苦しいのナシでゆっくり羽を伸ばしたいものw」

と、背中の翼を広げて大きく伸びをするセリア。

「ですが、セリアさんの身に何かあっては…」

「わたしは大丈夫。こう見えて結構強いのよ?この間なんかマシンガン持った相手を投げ飛ばして気絶させちゃったんだから!」

「はぁ…ですが…」

「大丈夫よ。議会にも軍にも話はつけてあるし。何かあったとしても私は戦えるしね…そこぉ!!」

と、セリアが振り向きざまに裏拳を一発。するとセリアに近づいていたトリケラトプス形レプターの男が、顔面にその拳を喰らいゆっくりと倒れた。

どうやら男は、セリアのサイフを盗もうとしていたようである。あと履いているパンツも。

 

「…はぁ、ここまでお強いとは…ですがもうひとつ心配がですね…」

と、アリエルはため息をひとつ。その後ろでは、駆けつけたD-9隊の石山リュウゴ・ちる姉妹によって先ほどの男が確保されていた。

「ん?なに?」

「…いろいろなお店に立ち寄られるでしょうけど、あまり店の人に迷惑かけんでくださいよ。特に食べ物の店では」

「わかってますってばwじゃ、明日は速いから私はお先に失礼するわね…あ、リュウゴ君にちるちゃん、ご苦労様」

「お疲れ様ですセリアさん。危ないトコでしたね!」

「どうかお気をつけて!…ほら、窃盗の現行犯よ!キリキリ歩きなさい!!」

と、犯人を確保しながらセリアに敬礼を返すリュウゴとちる。

その言葉を受けて立ち去るセリアの背中を見つめていたアリエルは、ドアが閉まった直後に深くため息をついた。

(不安だ…果てしなく不安だ……!いったい今度は何軒つぶされるんだい…!)

セリアが立ち去ったあとのテーブルの上には、飲み代の硬貨が置かれていた…。

《Scene.2》

それから翌日。ファンガルド・ラミナ市、ル・ブラン宇宙港でセリアを出迎えていたのは、背の高いピューマ形のロボットの女性。

「あら、セリアちゃんじゃない、久しぶり!」

「お久しぶりですアイヴィーさん」

セリアを出迎えたそのロボットの名はアイヴィー・ヒルトン。ファンガルド司法省刑事局の長官である。

 

宇宙港から都心に向かうリニア鉄道・スペースライナーの車内にて。

「それにしても、セリアちゃんも大変じゃない?この歳でドラコニアの国家元首なんて」

「そうなんですよ…毎日毎日会議で、今日だってやっと休みが取れたトコでw」

「実は私もなのよ。やっぱりヘタに偉くなるもんじゃないわねw」

「ホントですよねー。あ、そろそろ着くみたいですよ」

会話する間もなく、列車はラミナ中央駅の地下ホームに滑り込んだ。

二人はここで地下鉄ゴールドラインに乗り換え、マーゲイ大通りの駅に向かう。

 

やがて駅の出口から地上に出ると、二人の鼻を香ばしい匂いが刺激する。

「いやぁ、一度来てみたかったのよねーここ!」

「あら、セリアちゃんは初めてなの?」

「ええ、おいしいものがいっぱいあるので、前々から来てみたかったんですよ」

二人が降り立ったのは食堂街。さまざまなジャンルの料理店が軒を連ね、あたりにおいしそうな匂いを漂わせる。

「じゃあ、オススメのお店があるわよ。ついてきて!」

アイヴィーに手を引かれながら、セリアはあとをついていく。そして、二人はある店の前で立ち止まった。

《Scene.3》

「さ、ついたわよ。ここが巷で噂のラーメン店『雅覇破(ガハハ)』よ」

「うわー、もうよだれが出てきちゃったぁ!えーっと…『ジャンボ背脂ラーメン 60分チャレンジ』?」

「とにかく入ってみましょ」

「はい!」

 

…ラーメン雅覇破・店内。

「へぇ、二人とも大変だなあ!」

「そうなんだよ。フゥキーンと最近始まった機動婦警フローラとでダブルで撮影が入っちゃったからね」

「ホント。わたしなんかアイドル活動の以来が舞い込んじゃってw」

店内で話をしているのは室見 冴と、その恋人である地行浜もも、そしてその共演者にして親友であるチヒロ・ブレンテン。

「はいよっ!とんこつチャーシュー特盛り三人前だ!」

と、元気のいい声が響く。この店の店主にして冴の姉である室見 豪だ。

 

「いただきまーす!…うん、やっぱ姉貴の作るラーメンは最高だな!」

「お、そうかい?」

「豪さんって本当にラーメンのプロなんですね」

「ホントホント、撮影の後に食べるラーメンは最高です!」

「あんがとよ。それにしても、三人ともいい食いっぷりだなァ!」

「…ところで姉貴、また筋肉ついた?」

「いやー、なんでかなw俺の筋肉はまだまだここからが成長期みたいだハハハwww」

と、一同が談笑していると入り口のドアが開き、二人の女性が入ってきた。

《Scene.4》

「おう、らっしゃい!」

「こんにちは豪さん。二人いいかしら」

 

入ってきた二人の女性客を見て、ラーメンを食べていた常連客がざわつきだす。もも、チヒロ、冴の三人も…。

「ねえ冴くん、あの人たちって…」

「片方はアイヴィーさん…それにもう片方は、ドラコニア星の首相セリアさん…?」

「…そういえば噂によると、セリアさんはなんかすごい食べっぷりって話だけど…」

そんな空気をよそに、いつもどおりの接客をしていく豪。

 

「こりゃまたずいぶんとスゴそうなのが来たもんだぜ。…ドラコニア星の最高議長さんか?」

「初めまして。セリア・M・ウィスタリアと申します」

「セリアさんねえ。ま、客であることに変わりはねえわな。何にするんだ?」

 

その言葉を受けたアイヴィーは、カウンターに身を乗り出して注文をかける。

「…ジャンボ背脂とんこつラーメンを一つ」

「はいよ、アイヴィーさんが背脂とんこつのジャンボひとつ。相変わらずの食いっぷりだ。さすがレコードホルダー!…セリアさんは?」

「あ、じゃあ私はこの60分チャレンジングコースで…」

 

その瞬間、豪の目つきが鋭く変わった!

「…ほう?さてはあんた、表の張り紙見てやってきたクチか…」

「あら、わたしはドラコニア最高議長である前に、ひとりのグルメチャレンジャーなんですよw」

おおおおおっ!対峙する豪とセリアの背後から、闘志のオーラが出ているッッ!!

…かくして、熾烈なフードファイトの火蓋は切って落とされたのだった。

《Scene.5》

セリアの目の前には、ざっと6人前はあろうかという巨大なラーメン。

普通の人間だったらその圧倒的な量と、スープに浮かんだ脂分の前に撃沈してしまうであろう。

「ルールはいたって簡単。今から1時間以内にこの6人前のラーメンを完食したらアンタの勝ちだ。賞金の10ホーンはアンタのものになる」

と、ルールの説明をしていく豪。セリアの隣では、アイヴィーがすでに同じ量のラーメンを食べ始めていた。

「…ただし60分以内に食べ切れなかった場合は、10ホーンを払ってもらう。いくら最高議長でもルールはルールだぜ」

「ふふ、わたしを甘く見てもらっちゃ困りますよw」

豪はストップウォッチを取り出すと、スタートの掛け声をかける。

「…それじゃあ用意はいいかぁ!?用意…始めぇぃ!!」

 

15分後。

「そんなにいきなりがっついて大丈夫なのかな…?」

と、セリアの様子を心配そうに見つめるもも。

「最初にがっつくと、あとが苦しいのよね…わたしも一回経験あるし…」

と、チヒロも自身の体験談を語る。

「それにしてもセリアさん…なかなかの食べっぷりだな…」

と、ただあっけにとられる冴。

 

32分後。

セリアのラーメンは残り3分の1までに減っていた。

さすがにセリアも疲れの色が見えてきたのか、要所要所でサイドメニューを頼んでは口にほおばっていく。

(…ふふふ、さしものセリアさんでも6人前はきつかったか…?)

と、自信満々の豪。…だがこの後、信じられないことが起きたのである!!

 

48分後。

「ふーっ、麺はこれでクリアね。…すいませーん!ライスくださーいっ!!」

「ライスな!ちょっと待ってくれ!」

この時点で焦りの色を見せ始めていたのは豪のほうだった。

 

「…あーぁ、だいぶ焦ってるな姉貴…」

「一体何者なのセリアさんって…」

と、冴たちまでもが唖然としている間に、セリアの目の前にライスが届けられる。

そしてそれを待ってましたといわんばかりに、セリアはライスを残ったスープの中へ入れると、一気に口の中へと流し込んだ!!

 

…チャレンジ開始から、タイムリミットの60分が経過した。

「そこまでっ!…っておい、ウソだろ!?」

…豪は驚きのあまり、言葉を失った…。

《Scene.6》

「…マジかよ…こんな戦法があるとは…」

6人前のラーメンが入っていた丼の中はすでに空。スープの一滴すら残っていなかった。

「あら、なかなかやるじゃないセリアちゃんw」

「ふふふww」

セリアの隣では、アイヴィーがねぎらいの言葉をかけていた。

その様子を見ていた豪はしばし冷や汗をかいていたが、やがて一つため息をつくと、笑顔で返した。

 

「ふう…負けたよ、アンタの勝ちだ。ほい、賞金の10ホーン」

と、セリアの手に10ホーンが入った紙袋が手渡された。

そしてその瞬間、店内の常連客からは惜しみのない拍手がセリアに向けて贈られた。

「ありがとう…本当、何ていったらいいか…」

セリアはその暖かなムードの前に、嬉し涙を流していた。

 

「あーあ。また制覇されちまったな姉貴」

「心配すんなって。制覇されたぐらいでつぶれるほどウチの店はヤワじゃねえさw」

と、室見姉弟が語らっていると、豪の前にセリアが歩み寄ってきた。

「…ごちそうさまでした。とっても美味しかったわ」

「そうかい、ありがとな。そして…おめでとう!」

豪とセリアはしばし見つめあった後、がっちりと硬い握手を交わした。

その瞬間、店内は再び暖かい拍手に包まれたのだった。

《Epilogue》

その後、ラーメン雅覇破の店内には、セリアのサインが飾られていた。

「…で、また制覇されたってわけか…」

と、ラーメンをすすっているのはラミナ警察署K-9隊所属のジョナサン・ボーイング。

「そうなんだよ。ま、世の中一人や二人勝てねえ相手はいるってことさw」

「そりゃご苦労だな。…で、そのチャレンジは続けるつもりなのか大将?」

「もちろん。制覇されてるとは言ってもそれは一部の大食いにだけだ。ただ…」

「ただ?」

「今度からは2コースに増やしてみようと思う」

 

と、豪は一枚のチラシを取り出した。

「…なんだこりゃ」

「『5倍バリ辛ラーメン6人前・60分チャレンジ』だけど?」

「……マジでやるつもりなのかよ…」

 

その後、相次ぐチャレンジャーが『5倍バリ辛ラーメン6人前・60分チャレンジ』の前に玉砕していった。

もっとも、一部の通には制覇されたようであるが、それはまた別の話である。

そして、ラーメン雅覇破の知名度はますます上がり、行列の長さが2倍以上になったとのことである。


 
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