No.712736

【獣機特警K-9ⅡG】サザルの村を守れ!(後編)【交流】

古淵工機さん

2014-08-31 23:49:37 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:846   閲覧ユーザー数:808

「オマエたち、今すぐここから去れ!!」

戦場と化したサザルの村に、ナディの怒号が響き渡る。

「あ!?なんだァテメーはァ?」

「…サザルの戦士ナディだ!この村、ナディたちの故郷…故郷荒らすやつ許さない!!ナディが相手だ!!」

 

「へっ、ジャマすんじゃねえ…おい、こんなガキ一人さっさとやっちまえ!弱らせて売りさばいてやれ!!」

スレイはひとつため息をつくと、部下に命令する。

すると右から左から、黒尽くめのサイボーグギャングが次々に出てきた!

「ナディさん!!」

思わず叫ぶマイ。だが、ナディは軽やかな動きで飛んでくる銃弾を片っ端から回避すると、すばやく弓矢を射る。

一発、そして相手の右腕に命中したのを見るや、再び矢を込めもう一発!

「ぐわっ!?」

「ぎゃぁっ!?」

倒れた敵を睨み付けながら、ナディはなおも怒号を飛ばす。

「オマエたち、踏み入れてならないところ踏み入った。ナディたちの村荒らした。おとなしく立ち去るか、裁き受けるか、好きなほう選べ!!」

「ナディ姉!後ろだ!!」

アビィの叫びに振り返ると、後ろからもギャングスターが数名。

ナディはとっさに黒曜石のナイフを取り出し、襲い掛かるギャングスターたちの腕を斬り付ける!!

「ぐわぁぁ!!!」

「もう一度言う!立ち去るか!それともサザルの裁き受けるか!!」

 

そのとき、モンドの叫びが響き渡った。

「…おっと、どっちもイヤだね。なぜならテメーらは…ここで死ぬからだァ!!」

モンドがナディに飛び掛ろうとしたその時だった。

 

「ぎゃっ!?て、てめえ何しやがる!?」

何者かに突き飛ばされ、尻餅をついてしまったモンドが見上げた先には…。

「たった今、ANCFのマイ・シューティングスター隊員から連絡があった。陸軍のニコ・タカハラだ」

「同じく陸軍のアルマ・ヴァルターだ!」

「陸軍だと!?」

「そうよ、警察を呼んだように見せかけて、実は軍を呼んでおいたの!」

と、マイがスレイに向かって叫ぶ。

「ここまで大規模な戦闘となるとあたしらの出番かと思ってね。さて、覚悟は出来てるんだろうね…あんたらのしている行動は立派なテロ行為だ!!」

「テロだぁ?ハン、笑わせやがって!!」

と、スレイが指を鳴らすと、軍用車両が次々に爆発したではないか!!

 

「お、おいっ!しっかりしろっ!!」

爆風に巻き込まれた兵士をゆすり起こそうとするニコ。だが、兵士の息は既になかった…。

「…き、貴っ様ぁぁぁぁぁ!!」

「おっと動くな。動けばテメーのかわいい兵隊さんたちが死ぬことになるぜ。テロを制圧できずに帰ったらどうなるだろうねえ?ん?」

「…クソ…軍をバカにしやがって…!」

絶体絶命の状況に陥ったサザルの住民と陸軍ラミナ司令部の特殊部隊…。

 

「さぁ、茶番はここまでだ!軍の兵士もろともやっちまえ!!」

と、スレイが総攻撃を仕掛けようとしたその時だった!!

突如爆音が響いたかと思うと、ギャングスターや黒い装甲車が一瞬にして吹き飛んだではないか!

「ブラッドファミリー!ここまでだ!!」

「クソッ!今度は何だ!!」

スレイが目をやった先には、軍艦から上陸してくるホバークラフト。

先頭を切っていたのはニコ・タカハラの双子の妹、海軍のミコ・タカハラだ!!

 

「海軍海兵隊のミコ・タカハラだ!貴様らは完全に包囲された。小細工してもムダだ!おとなしく撤収しろ!!」

「ミコ!来てくれたんだな!!」

「チッ…おいどーするスレイ…」

「クッソ…陸軍だけでもメンドいのに、海軍まで来ちゃあまりに戦力が違いすぎる。おい、ズラかんぞ!!」

スレイは胸ポケットからボールのようなものを取り出すと、地面に思い切り叩きつけた。

 

「うわっ!?た、大佐、煙幕と電磁妨害です!!」

「おのれっ!待ちやがれーっ!!」

だが、ニコの叫びもむなしく、煙が晴れた頃にはブラッドファミリーはどこかへと消えうせていたのであった。

それから数時間後。

「ありがとう、ニコ、ミコ。おかげでナディたちの村救われた」

「お礼なら、我々を呼んだ小さな救世主に言うんだね」

「そうだよ、ねえニコ姉?」

と、ニコはマイを指差して言った。

「え!?わ、わたしが…ですか!?」

「ほら、マイちゃんのお手柄よw」

「もう、舞お姉ちゃんまで…」

「ちっちゃい方のマイ姉!ありがと!」

「ザニからも礼言う。ありがとう!」

「アビィ、ちっちゃい方のマイ姉も好きだ!大きい方のマイ姉の次、好きだ!!」

「もう、みんなったら…」

しばらく談笑していた一同。だが、ナディは村に転がる村人の亡骸を見つめてつぶやいた。

 

「ラグ、バド、ディタ…。ナディ、死んだみんなの分も生きる。だからみんな、ナディのこと見守っててくれ…」

「ナディ姉…」

ただ、見つめているしか出来なかったアビィ。その視線の先のナディの頬には涙がこぼれていた。

「…ナディ、悲しいのはあんただけじゃないんだよ」

「レルカ姉、オレもだ…。アイツら、どこまでも好き勝手しやがって…!」

「レルカ姉もトジャ兄も、悲しいの一緒…悔しいの一緒…。ナディ姉だけ悲しい違う、みんな悲しいの一緒」

「…チェト…そうだな、ありがとうみんな!」

 

いつしか日は傾き始めていた。オレンジの陽光が戦いの終わった草原を照らしていた。


 
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