No.709643 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2014-08-18 19:21:32 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1573 閲覧ユーザー数:1443 |
同日、17:00――――
~ガレリア要塞~
「―――それでは今からお前達を”列車砲”の格納エリアへと案内する。軍の機密事項に属するのでくれぐれも他言は無用にな。」
「了解しました。」
「な、何だかドキドキしてきたね。」
「ええ……そうね。」
「昨日見せてもらった戦車や飛行艇を超える兵器……どのような兵器なのでしょう………?」
今から見学しに行く兵器の存在にリィン達が緊張した眼差しをしている中、セレーネは不安そうな表情をしたが
「どうせ、唯の鉄屑だって。エヴリーヌが本気になればいつでも壊せるから、そんなに不安がる事もないと思うけど?」
エヴリーヌの発言を聞き、リィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「……わかっているとは思うけど、メンフィル帝国の客将であるあんたが万が一”列車砲”に何かしたら、国際問題に発展するわよ。そうなったらプリネ達の今までの努力が水の泡になるんだからね?」
「別に注意されなくてもエヴリーヌは何もする気はないよ。興味ないし、リウイお兄ちゃん達からもよっぽどの事がない限り絶対に壊すなって言われているし。」
サラ教官の指摘を聞いたエヴリーヌは興味なさげな様子で答えた。
「んー、列車砲かぁ。ボクは前にも見えてるからちょっとメンドウかなー。」
そしてミリアムの発言を聞いたリィン達は再び冷や汗をかき
「……オライオン。お前に関しては例外扱いだ。」
「あのねぇ。アンタだけは待ってても構わないのよ?」
ナイトハルト少佐とサラ教官は呆れた表情で言った。
「うそうそ!仲間はずれはやだよー!」
「まったく……」
態度を変えたミリアムの様子にサラ教官が呆れたその時、ナイトハルト少佐が持つオーブメントに通信が入った。
「む……失礼。こちら、ナイトハルト。ワルター司令でしたか。……自分に通信ですか?ええ!そのまま繋いでください!どうした、ミュラー。こんなタイミングに―――……………何だとっ!?」
(なんだ……?)
(へえ、どこかから来た通信をARCUSで受け取ってんのか?)
(ええ、そうみたいね……)
(…………………)
通信内容を聞いて血相を変えているナイトハルト少佐をリィン達は真剣な表情で見守っていた。
「―――わかった。こちらでも備えておこう。ああ……ああ。くれぐれも気を付けるがいい。」
「……クロスベルで異変が?」
「ああ、その通りだ。……つい先程会議が開かれている超高層ビルを”帝国解放戦線”が襲撃した。」
サラ教官の質問に答えたナイトハルト少佐の話を聞いたリィン達は血相を変えた。
「襲撃には飛行艇を使用……幸い、何とか撃退してオリヴァルト殿下や宰相も全員無事だったそうだ。しかし予断は許さない状況が未だに続いているらしい。」
「クッ、本当に襲ったのか……」
「……愚かな……」
「お姉様達が無事だとよいのですが……」
「大丈夫だと思うよ。ツーヤ達があんな雑魚に後れを取る訳がないし。」
ナイトハルト少佐の話を聞いたマキアスは唇を噛みしめ、ラウラは静かな怒りを纏い、不安そうな表情をしているセレーネにエヴリーヌは静かな口調で言った。
「それだけじゃない……他にも気になる事があったみたいですね。何ですか、それは?」
「ああ―――テロリストたちが”導力ネット”を不正に操作して隔壁をコントロールした。その上で、”機械の魔獣”を繰り出してきたらしい。」
「機械の魔獣……!」
「それって、リィン達がレグラムで遭遇した……?」
「ああ、街道に現れた魔獣だ!」
心当たりのある魔獣の存在まで現れた事にエマは真剣な表情になり、フィーの疑問にリィンは頷いた。
「それと”導力ネット”ですか。―――少佐。ガレリア要塞にはどの程度導力ネットが使われていますか?」
「ああ、現時点では整備班などの備品管理に限定されているが……」
そしてサラ教官の質問にナイトハルト少佐が答えかけたその時、強い衝撃が要塞内を襲った!
「な、なに……!?」
「今の地響きは……」
「真下からだわ………!」
「真下……格納庫か!」
異変に気付いたリィン達が格納庫に急行すると、”アハツェン”の軍団が外へと去って行った。
「な、なんだ!?」
「アハツェンが……!?」
「う……」
突然の出来事に仲間達と共にマキアスとアリサが驚いている中、呻き声を聞き、重傷を負って地面に倒れている整備士達に気付いたナイトハルト少佐は整備士に近づいて状況を尋ねた。
「おい、何があった!?」
「……か、勝手に……誰も乗っていないはずなのに……戦車が動き出して……」
「Cユニットの暴走……?……そんなのありえない……」
「Cユニットというのは!?」
整備士達の話を聞いて仲間達と共に血相を変えたサラ教官はナイトハルト少佐に尋ねた。
「軍事演習の標的に使われる自動操縦ユニットだ……!クッ……どうして最新鋭の主力戦車に!?」
そしてナイトハルト少佐が唇を噛みしめたその時、外から銃撃や砲撃の音が聞こえて来た!
「こ、これって……」
「……ヤバイかも。」
「くっ……―――様子を見てくる!お前達は消化と整備員の救護に当たれ!」
「イ、イエス・サー!」
「どうかお気をつけて!」
兵士達に指示をしたナイトハルト少佐がⅦ組の面々と共に外に出ると暴走している”アハツェン”の部隊が自分達を撃墜しようとしている戦車と歩兵の混合部隊を相手に圧していた。
「くっ……」
「メチャクチャだねー。」
「おいおい、自動操縦ってのはあんなに高度に動けんのか?」
「昨日のエヴリーヌさん達との戦いを見た時と比べると明らかに動きがよくなっている気がするのですが……」
外の惨状を見たナイトハルト少佐は唇を噛みしめ、ミリアムは呆け、クロウとセレーネは信じられない表情で見つめながら呟き
「あ、あり得ないわ……!あんな複雑な制御が今の技術でできるはずが……」
アリサは驚きの表情で二人の疑問に答えた。
「でも、機械の魔獣……いえ―――”人形兵器”の技術を応用すれば不可能じゃないわね。」
「……!?」
「教官、まさか例の”結社”が……!?」
「ええ、一枚噛んでる可能性は高そうね……」
「!?なんだ……!?」
外の部隊と戦っていたアハツェンの部隊は突如一斉に方向転換し、演習場の方へと向かった。
「あれは……昨日の演習場の方面!?」
「くっ……何のつもりだ!?」
アハツェンの行動を見たリィン達はアハツェンの後を追って行った。
「ええい!一体何が起こっている!?どうして無人の戦車が勝手に動き始めるのだ!?」
一方その様子を高い場所から見つめていたガレリア要塞の司令―――ワルター中将は怒りの表情で声を上げ
「そ、それが……昨夜、この司令部から整備班にCユニット搭載の命令が送られたらしく……」
「馬鹿な……!そんな命令は出していない!と、とにかく一刻も早く鎮火と混乱収拾を行うのだ!それから第四機甲師団に応援要請を――!」
部下の報告を聞いて驚いた後慌てた様子で指示をした。
「くっ……!」
「どうしますか……!?」
自分達の追跡を振り切ったアハツェンの部隊にナイトハルト少佐は唇を噛みしめ、リィンは判断を促し
「さすがに馬でもないと追いつけなさそうだが……アルバレア号ではせいぜい二人くらいしか乗せられん。」
ユーシスは真剣な表情で考え込んでいた。
「でも……どういうつもり……?」
「んー。何か狙いがありそうだけど。」
「だ、だがこのまま放っておくわけにも……!」
「―――ここは我らに任せよ!」
「この声は……」
「と、父さん!?」
リィン達が判断に迷っていると逞しい声が聞こえ、声を聞いたリィン達が振り向くとアハツェンの部隊を率いたクレイグ中将率いる第四機甲師団が現れた!
「閣下……!」
「要塞司令部から状況は聞いた!暴走している戦車どもは我らの方で何とかしよう!陽動の可能性もある!お前達は留まるがいい!」
「!了解しました!」
「助かります……!」
「父さん、気を付けて!」
クレイグ中将の指示を聞いたナイトハルト少佐とサラ教官は敬礼をし、エリオットは応援の言葉を贈った。
「おお、エリオット!お前こそ気を付けるのだぞ!―――第四機甲師団、前進!暴走中の戦車部隊を鎮圧する!相手は無人操縦だ!遠慮なく叩きのめしてやれ!」
「イエス・コマンダー!」
そしてクレイグ中将率いる第四機甲師団は暴走するアハツェンのの部隊を追って、演習場に向かった。
「……凄いな、エリオットの父さんは。」
「とても頼りがいのある方ですね……」
「えへへ……うん。ああいう所は格好いいかも。」
リィンとセレーネの言葉を聞いたエリオットは嬉しそうな表情で頷いた。
「これで暴走した戦車は何とかなりそうだが……」
「……でも、何が狙い?」
「ええ……まだ油断はできないわね。少佐、いったん要塞内に戻りませんか?」
「ああ、敷地内の被害状況を確認してから――――」
「ん?なにあれ。」
「あれは……」
サラ教官がナイトハルト少佐とこれからの方針を話し合っていると何かに気付いたエヴリーヌとガイウスは空を見上げ
「え……」
「……!」
リィン達もつられるように空を見上げると何と漆黒の飛行艇が二隻現れた!
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第206話