ガオウと音々音、そして天和達は驚いていた。
突然現れた青年、北郷一刀がリトと共に変身したことに。
一刀の変身するウィザード・フレイムスタイルとリトの変身するソーサラーを見てマシーン大元帥は冷静に分析する。
逆に狼長官は今にでも飛び出しそうなほど怒りで我を忘れかけていた。
「フム…記憶に無いライダーだな。改造人間…では無さそうだが」
「どうでもいい!あの黒いのは私がやる、手を出すな!!」
「好きにしろ。今回は手を出さん」
譲る、という行為はデルザー軍団の中では極めて珍しい。
ソーサラーは少々警戒するが、ウィザードFSは自身を眺め、感心していた。
「うわぁ~…本当に変身してるよ、俺」
「おいおい、戦闘初心者か?」
「まあね。て言っても、俺の世界の武将達にしごかれてるし」
「じゃあ安心だ。それと、やばくなったら…」
と、言いながらソーサラーはコモンウィザードリングを付け…
問答無用で怪人達に雷をぶつけた。
不意打ちだが、相手は意思の無い怪人だ、文句も言えないだろう。
〈ライトニング!ナウ!〉
「「「ギャアアアアアアア!!」」」
「こんな風に魔法でぶっ飛ばせ」
「分かりやすいな。上等だ!」
〈コネクト!プリーズ!〉
ウィザードFSはコネクトによりウィザーソードガンを召喚する。
マシーン大元帥はさらに怪人達を呼び寄せた。
ウィザードFSは怪人達に突撃…一応剣術をたしなんでいるのか、太刀筋に無駄がない。
そうしていると、ウィザードFSは炎の斬激を放つ。
〈フレイム!スラッシュストライク!ヒー!ヒー!ヒー! ヒー!ヒー!ヒー!〉
「おらああああああ!!」
「「「ぐあああああああああああ!!」」」
今ので十数の怪人がやられた…が、まだまだいる。
ウィザードFSはガニゴウモルの攻撃を避け、左の指輪を変え、姿も変えた。
〈ウォーター!プリーズ!スィ~、スィ~、スィ~、スィ~!〉
〈リキッド!プリーズ!〉
「卍固めぇぇぇぇっ!!」
「がああああああ!?」
ウォータースタイルとなったウィザードはリキッドによって液体化しガニゴウモルに卍固めをする。
間接部分をやられたガニゴウモルはダウンし、さらにウィザードは姿を変えた。
〈ハリケーン!プリーズ!フー!フー!フーフーフー!〉
〈エクステンド!プリーズ!〉
「そらぁああああああ!!」
「「「ぎあああああああああ!!」」」
ハリケーンスタイルとなったウィザードは腕を伸ばし、手頃な怪人を掴む。
そして飛行しながら自分ごと回転させ、掴んだ怪人と地面にいる怪人をぶつけさせ蹴散らした。
さらに怯んだ所で追い討ちをかける。
〈ランド!プリーズ!ドッドッドドドン、ドッドッドドン!〉
〈エキサイト!プリーズ!〉
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ランドスタイルとなり、エキサイトで身体強化したウィザードは怯んだ怪人達を殴り、蹴飛ばす。
かなりの威力のようで一撃で倒れていたのだがやはり数は減らない。
「数が多い…なら!」
〈フレイム!ドラゴン!ボー!ボー!ボーボーボー!〉
〈ドラゴタイム!セットアップ、スタート!〉
ウィザードRSはフレイムドラゴンに変わり、右腕にドラゴタイマーを付け、起動させる。
そして時間が経つとウィザードFDはドラゴタイマーのスイッチを押した。
すると、魔方陣から現れたのは…他の三色のウィザード。
〈ウォータードラゴン!ハリケーンドラゴン!ランドドラゴン!〉
〈〈〈チョーイイネ!スペシャル!サイコー!〉〉〉
「「「はぁあああああああ!!」」」
ウィザードFDとウォータードラゴン、ランドドラゴン、ハリケーンドラゴンはスペシャルの指輪を使い、それぞれのドラゴンの力を引き出し、残りの敵を殲滅していった。
「ふっ!はぁっ!」
一方、ソーサラーは魔法を使わず肉弾戦をしていた。
急所を狙い、喉を裂く…そこに慈悲などない。
そんな中、ソーサラーに何体かの怪人が群がってくる。
だがソーサラーは動かない。まるで待っているかのようだ。
そして、ヒートの力で怪人達を焼き焦がす。
〈ヒート!ナウ!〉
「「「があああああああ!!」」」
焼きこがれた怪人達はじたばたともがくが、ソーサラーは気にせず、怪人達の集中する場所を見つけ新たな魔法を放った。
〈イエス!バニッシュストライク!アンダースタンド?〉
「そぉらっ!!」
「「「ギャアアアアアアア!!」」」
魔力でできた光球はそこに打ち込まれ、大爆発を起こす。
大幅に削れた大地と怪人を見て次の場所に行こうとしたソーサラーだったが、その前に狼長官が襲いかかる。
「グルアアアアアアア!!」
「おっと!…こりゃぁ、狂犬のお出ましか」
すでに武器も頭も使っていない狼長官の攻撃を意図も簡単に避けソーサラー。
半場舐めているのか、軽口が出てくる。
が、次の狼長官の発言で一気に雰囲気が変わった。
「貴様は許さん!貴様だけはぁああああああ!!」
「…許さない?」
狼長官の発言に眉を上げるソーサラー。
突撃してくる狼長官に対して、ソーサラーは何も動かず魔法を使う。
〈リキッド!ナウ!〉
「な、ご…!?……ががが…!!」
リキッドにより液体化し、狼長官の口から体内に侵入する。
デルザー軍団と言えど、体内に侵入されてはひとたまりもない。
ソーサラーは体のあちこちの器官を潰し、血管を破壊、さらには四肢の骨を粉々に砕き再び口から出てくる。
「ぁ、がぁ…」
「やっぱり幹部級なだけあるな、しぶとい」
〈コネクト!ナウ!〉
ソーサラーはコネクトにより大斧・ディースハルバートを召喚する。
そして両足をほぼ壊され身動きがとれない狼長官の頭にそれの刃を添えた。
と、同時に…狼長官の頭にそれを少しずつめり込ませる。
「ぐ、ひぃ…!?」
「許さないって?そりゃこっちの台詞だ。何普通に孕むって言ってんだよ。笑えねぇ」
刃は皮を越え、頭蓋に到達する。
ソーサラーは面倒になったのか、もはや足で刃を押し付けている。
そうこうしている内に、刃は脳に到達した。
感触で分かったのか、ソーサラーは器用にディースハルバートを使い頭の中をかき回す。
「盛ってんじゃねぇぞ、駄犬が。…まぁ、お前らデルザーは何度でも甦るからな。たぶんまた同じことするんだろうよ」
だから、と言ってソーサラーは軽く足を上げて
―――力を込めて、ディースハルバートを踏んだ。
まるで薪割りをしたかのように、狼長官は左右に割れる。
ソーサラーはディースハルバートを血を払うように振ると、冷ややかな目で肉の塊を見た。
その姿、さながら魔王…
「…また殺してやるよ」
「……ほぉ…」
マシーン大元帥は笑い、感心していた。
ソーサラーの戦闘ではなく、その行動…そして、それを行わせた心の影。
深く、広く…そして脆い影を…その奥の闇を見たのだ。
「……使えるな」
また笑う。体を震わせ、狂気が湧く。
それは素晴らしく、飽きることの無い玩具を見つけたかのように。
そうしていると…横からウィザードFDがウィザーソードガンで斬りかかって来た。
マシーン大元帥は避け、ウィザードFDの腕を掴み、腹を蹴る。
「ぐ、ふっ…!」
「そうだったな…貴様もいたのだったな」
「お前…仲間が死んだのに何で笑ってるんだよ…!」
「仲間?…むしろ同類と言うべきだ。同じデルザー軍団の改造魔人、半機械人のな」
そう言ってマシーン大元帥はレーザーを発射。
ウィザードFDに向かうそれはあらかた怪人を倒したウィザードRDの数枚のディフェンドによって防がれる。
そして空から飛翔してきたウィザードHDと走ってきたウィザードWDがマシーン大元帥に攻撃を仕掛ける…が、軽くあしらわれてしまった。
「「ぐああああああ!!」」
「…そんなことよりいいのか?こんな場所で戦って」
「何…?」
「私だけに構っていていいのかと言っている」
―――瞬間、街の遠く離れた二つの場所で爆発が起きた。
ウィザード達はそこを向き、隙を作ってしまう。
それを見逃さず、マシーン大元帥はレーザーの嵐を放つ。
避けきれず、ウィザード達は大きく吹き飛ばされ、地面に転がった。
「「「うう…」」」
「すでに私が放った他の組織の改造人間共は暴れている。他にもライダーがいるのだろうが、間に合うかな?」
そう、マシーン大元帥はここに来る前に何もしなかった訳ではなかった。
デルザー軍団の最終的な目的は世界征服。
この外史が消滅することを知らない彼らだが、この目的は変わらない。
ただ単に仮面ライダーを倒すことが目的ではないのだ。
ただ…
「…間に合うかって?」
「うん?」
「間に合うさ。お前が何もしないでここに来るわけないように…」
ウィザードFDはウィザーソードガンを持ち変え、立つ。
仮面の奥で笑いながら。
「俺
数分前…
「ぶるあああああああああああああああああああッッ!!」
「「「イィー!?」」」
とある場所でショッカー戦闘員がとある存在から尻を押さえて逃げていた。
その存在、貂蝉は奇声を発し、どこまでも追いかけてくる。
そこから少し離れた所では、四つの影が向き合っていた。
『いやー、ちょうどいいんだか悪いんだか。いきなり戦闘に入っちゃうとはねー』
「北郷一刀にはベルトの使い方は教えたけど、心配いらないかしら」
『大丈夫だって。助っ人君いるし…俺達はこっちやんなきゃいけないし』
そう言って男…白い魔法使いは司馬懿に目前の怪人達に目を向ける。
怪人…アポロガイストとメガール将軍は未だ警戒を緩まずこちらを見ていた。
それを見て、司馬懿はとあるベルトを巻く。
「肉弾戦は専門外なんだけど…仕方ないわね」
『それどっちかって言うと後方支援だけど…ていっても司馬懿腕っぷし強いじゃん』
「五月蝿い…変身」
『standing by complete』
司馬懿はデルタフォンをデルタドライバーに付け変身…仮面ライダーデルタとなる。
デルタはそのままデルタムーバーを構え、白い魔法使いは不意打ちとばかりにエクスプロージョンを放った。
同時刻…
「はぁああああああああ!!」
「ふんぬううううううううううう!!」
「「「キキィ!?」」」
迫り来るデストロン戦闘員を体術でねじ伏せる二人がいた。
一人は確実に急所を捉え即死させ、もう一人は…なんか手付きがヤバイ。
そんな彼らを遠目で眼鏡をかけた青年…于吉は見ていた。
「やれやれ、何故卑弥呼まで来てしまったのでしょうね。沙慈といちゃつけないではありませんか」
「知るか!白魔がそうしようと言ったからだろう!あと気色悪い事を言うな!」
「やれやれ。儂と貂蝉のような漢女に囲まれてどきがむねむねするからじゃろう?」
肉だる…ゲフン!…卑弥呼がそう言うが、青年…沙慈は顔をしかめる。
―――鏡を見てから言え!
とでも思っているのだが、実際に見たとしても台詞は変わらないだろう。
そう思いながらも、沙慈は蹴り続けるが…とある存在を見て足を止める。
そして沙慈と于吉はベルトを腰に巻く。
「卑弥呼。後の雑魚はお前がやれ」
「わかった」
「やれやれですね。私も戦闘をするとは。どうせならペアルックの方がいいのですが…」
「この戦闘が終われば殺す」
「ツンデレ乙です」
二人は目の前にいるデストロン四大幹部…ドクトルG、ツバサ大僧正、キバ男爵、ヨロイ元帥を相手に軽口を言い合う。
そこまで余裕なのか…いや、そうではない。
ここで終われば役目が果たせないからだ。
「「変身!」」
『Henshin Change Kick Hopper』
『turn up』
沙慈と于吉はそれぞれキックホッパー、ギャレンへと変身する。
キックホッパーは構えだし、ギャレンは宣戦布告言わんばかりに銃弾を放った。
「なるほどな…」
マシーン大元帥は遠くからだが戦況が大体確認できた。
自分の放った怪人と別の存在が戦っている。
その事に驚きはしたが、すぐに前に集中し出した。
ソーサラーも合流し、ウィザード達とマシーン大元帥の戦闘が始まる…と思うが、それは中断される。
ソーサラー達の足元に数枚のトランプが刺さり、行く手を阻む存在がいた。
…ジェネラルシャドウだ。
「ジェネラルシャドウ!」
「新手か…!?」
「…マシーン大元帥。いつまで遊んでいる」
「すまんな。だが収穫はあった」
どうやら戦いに来たわけでは無いらしい。
むしろ連れて帰る気だ。
ソーサラーは逃がさんと言わんばかりに走るが、ジェネラルシャドウは一枚のトランプを投げつける。
ディースハルバートでガードし、そこにトランプが突き刺さる…その間にマシーン大元帥とジェネラルシャドウはすでに消えていた。
そして響き渡る声…
―――置き土産をくれてやろう…
「―――グオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「って、なんだあのドラゴン!?」
「ネオショッカー大首領…」
突如上から叫びが聞こえ、上を向くと…そこにはこの大陸に存在しない姿の巨大なドラゴンがいた。
ネオショッカー大首領…その名の通り、ネオショッカーと言う組織の大首領だ。
「一刀、アイツの弱点は右足の裏だ。そこ以外に攻撃してもダメージは与えられない」
「じゃあ右足を狙いながら戦わなきゃいけないのか?」
「ああ。俺が隙を作る…ドラゴンにはドラゴンだ」
〈デュープ!ナウ!〉
ソーサラーはそう言うと、五体に分身しネオショッカー大首領の元へ走り出す。
そして各指輪の魔法を使い、囮になっている中、ウィザード達は一つとなる。
〈オールドラゴン!プリーズ!〉
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
〈トルネード!ナウ!〉
〈イエス!グラビティ!アンダースタンド?〉
〈ブラスト!ナウ!〉
〈〈チェイン!ナウ!〉〉
「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
各部分にドラゴンの意匠が付いたウィザード・オールドラゴンに変わり、ネオショッカー大首領の元に飛び出す。
ソーサラーは魔法を酷使し、地面に這いつくばせてはいるが、なかなか難しい。
ウィザードADはオールドラゴテイルでネオショッカー大首領の右足裏を攻撃、さらにオールドラゴクローで追い討ちをかける。
悲痛な叫びがこだまするなか、ソーサラーは一人に戻り、必殺の指輪に嵌め変えた。
「決めるぞ!!」
「おう!!」
〈イエス!ファイナルストライク!アンダースタンド?〉
グラビティで上空まで上がったネオショッカー大首領に向かって飛び上がる二人。
【ストライクドラゴン】と【ストライクソーサラー】は的確にネオショッカー大首領の右足裏を捉え、撃破した。
空中で爆発する中、二人は地面へ着地し変身を解除する。
「はぁ…初めての戦闘だけど、うまく言ったよ」
「…そうか。なぁ、一刀」
リトは先程刺さっていたトランプを眺め一刀に話しかける。
その表情は戦闘後にしては暗い…そして、これから何かを覚悟するような顔だ。
一刀はそれに気付きながらも返事をする。
「どうしたんだ?」
「…俺がいなくても、沙慈達と一緒にあいつらを守ってくれ。どんな敵が来ても。それが例え…」
「―――リト兄ィー!」
遠くから音々音達が走ってくる。
どうやらあっちも戦闘が終わったようだ。
リトはそれを見て…以前見た夢と重ねてしまった。
一歩足を引き、リトは再び一刀の方を見る。
ただその顔は…悲しく笑っていた。
「―――それが例え、俺だとしても」
〈テレポート!ナウ!〉
リトは未だに付けていたベルトを使い、瞬間移動する。
突然消えたリトに一刀と音々音達は驚く。
後で帰ってくるだろう、何かあるんだろうと思うが、やけに胸騒ぎがする。
…そしてその日、リトが戻ることはなかった。
前回の反省点:アメイジングマイティの出番
あ、後書きです。
・出番増やしたかったウィザード
一刀ってかウィザードの戦闘は今回含めて三回なんですが…
ちょっと苦戦(今回)→やっぱ無理☆→ダメージ残りすぎ
なんですよ、はい。
だから今回活躍して欲しかった…んですけど俺の文章力orz
・狼長官バイバイ!
ソーサラーのキレ具合もうちょっと上げたかったんですけど、規制がどうとかグロがどうとかで我慢しました。
え、何をするかって?
…したいことをコメントに書いてください(投げやり)
・肉だるま(主に貂蝉)のせいで存在霞む
ぶるああああああ…あれ、絶対掘りに行ってますよね。
そんな肉だるまで薄くなったけど、管理者変身しました。
沙慈→インペラー、キック、パンチホッパー
于吉→ギャレン、吹鬼、ドレイク
司馬懿→デルタ、キバーラ
な感じです。
・家出(?)したリト
別に悪夢だけじゃないんです。
次回の最初で明らかになります。
さて次回予告
リトを探す恋姫達!
そこに管理者+一刀が来て…
そして、望まない力が目覚める…!?
五十五話 “幸せになるんだ”
コメント…文章力…orzΟmΟノシ再見
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三巡編
それが例え