No.707792 魔法少女リリカルなのは ExtremeBlazさん 2014-08-10 22:47:17 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1400 閲覧ユーザー数:1360 |
Strikers編 第七十三話 「混迷の夜明け」
- 七課本部 -
マサキ「・・・交通管制はどうなってる。」
カグラ『本局の周囲約数百キロを本局が一方的に行政区として現在各交通機関に本局魔導師の部隊が検問をしている。違反があっても無くても即逮捕だ。』
マサキ「・・・。零人達のポートは。」
カグラ『そっちの心配はねぇだろ。あいつ等は地上本部の方のポートだしな。』
七課本部。そのCICルームではマサキがカグラと共に各地の状況を調べていた。
各地では少しずつ混乱が広がり、状況が掴みにくくなっていた。
本局の情報操作と地上本部に向けてのハッキング。流れを自分の物にしようとしているのは明白だ。
マサキ「・・・フェイトたちの情報は?」
カグラ『三時間前に地上本部テリトリーに入ってそれっきりだ。何処に行ったかははてさて・・・』
マサキ「そっちはそっちでか・・・」
マサキが知る中での現状整理はこうだ。
まず、六課は現在なのはが本局の命令で反抗勢力の鎮圧と言い、その結果はやては役職は追われなかったが傀儡状態。
続いて現在難を逃れているフェイトはリィンツヴァイと共にクロノに連れられて逃走。
場所は地上本部のテリトリーな為、恐らくは上層部関係者か108部隊のどちらかだ。
加え、もう一人の難を逃れているヴィータは現在プリズムにて戦闘状態。相手はシグナムで詳細は不明。
そして、全ての事の中心であるなのはは現在はやてを傀儡として指揮を執る。
対して七課は現在待機状態。指揮官が現在帰還中で戻ってくるには少し時間が掛かる。
ちなみにフォワード三人は暇だ暇だと騒いでいたルカと共に買出しに出ている。
時間的にそろそろ戻ってくる時間の筈なのだが・・・
マサキ「・・・あいつ等、何をしている・・・」
カグラ『さぁな。大方どっかで油売ってんじゃねえの?』
マサキ「・・・・・・。」
カグラ『おっと。こりゃ失礼した。』
マサキ「言う暇があるのならフェイト達でも探して来い。」
カグラ『・・・。全く、デバイス使いの荒いマスターだぜ。』
そう言うとカグラは光を失い、『離席中』と書かれていた。
これはデバイスのAIが何処かにアクセスしていたりした時に表示される物で現在カグラはデバイス本体からAIデータだけで離れて何処にアクセスしているという状態だ。
これは現在のインテリジェンスタイプには搭載されているものでAIならではの機能でもある。
マサキ「・・・。」
マサキはカグラが離れるのを確認すると、椅子に深くもたれかかり、デスクに置かれていたコーヒーを飲む。ココに缶詰になるので前もって持ってきていたコーヒーだ。もうすっかり冷めている。
それでもコーヒーしか飲み物がココには無い為、贅沢は言えない。しかし、何度も繰り返し飲んでいたため、もうコーヒーが無かったのには納得しなかったが。
マサキ「・・・・・・。」
取りに行くかと思い、マサキは一人カップを持って立ち上がる。
CICルームに居る七課の局員は既に数人が眠っている。
時計を確認すると、もう夜が明ける時間だったのだ。
マサキ「夜明けか・・・」
深夜から始まった混乱。それが何時終息するかはわからない。どちらかが勝ち、どちらかが負ける。それだけは確かだった。
マサキ「・・・食堂は開いているか・・・」
そんな事は百も承知。マサキはそのままカップを持って食堂に向うのだった。
そこで借りてきた物なので返す物は向こうで返すのだ。
マサキがCICルームから出ようとした時。自動ドアの方から先に開く。距離的には開く距離ではないのにと思っていたが、それは向こうから誰かが入ってきたという事だ。
ライフ「あ!やっと居ましたぁ!」
マサキ「・・・ライフ看護長?俺に何か?」
ライフ「は、はい!実は玄関に・・・」
マサキ「・・・・・・。」
- 七課本部 正面玄関 -
七課の正面玄関では数人の七課局員が何かで騒いでいた。
其処には七課の警備局員も居ており、新型の銃デバイスを構えて立っていたのだ。
指揮官用に開発されたタイプM90。ミサイル型の魔力弾を装備した正に兵器といってもいい銃デバイスだ。
それを構えている先には、同じ七課の局員であるライラとダイゴが居たのだ。
何故こうなっているのか解らない者も居たのでそれでちょっとした騒ぎになっていたのだ。
マサキ「何事だ。」
其処にようやくマサキとライフが現れ、警備局員達に尋ねた。
局員達の一人が代表してどうしてこうなったのかと言う訳を説明した。
「ハッ。実は、プラチナス曹長と金瀬軍曹の両名が『彼女』を・・・」
マサキ「・・・彼女?」
マサキがそう言いライラとダイゴの方を見ると、其処にこの騒ぎの原因である彼女が立っていた。彼女の姿を見てマサキは納得はしたが同時にどうしてココにと動揺を隠せなかった。
マサキ「・・・取り合えず・・・何故君がココに居る?」
ティアナ「正面向っては初めてでしたね。改めて、ティアナ・ランスター二等陸士であります。」
六課のフォワード。そのまとめ役である彼女が立っていた。局員達が動揺するのも無理は無い。六課の者であり本局側の人間。過剰な者ならば『裏切り者』とも言われそうな者なのだ。それが何故彼女がこうしてココに居る?
それを聞いたマサキだったが、直ぐに彼女が居る理由が解るのだった。
マサキ「何故・・・君がココに居る?」
ティアナ「・・・私も正直どういう事か・・・サッパリです。けど、私も唯遊びでココに来た理由ではありません。知りたいことを知る為に・・・ココに来ました。」
マサキ「・・・だが、その為には色々とセキュリティがあった筈だが?」
ティアナ「それは・・・」
ルカ「私が通した。」
マサキ「・・・ルカ。」
ティアナの後ろからルカが現れる。どうやら後ろで話を聞いていたらしい。
そしてルカの言葉と彼女自身で何故ティアナがココに居るのかがハッキリとした。
本当に彼女がティアナを通したのだ。
ルカ「七課のセキュリティは確かに無法侵入者は消毒される。だが、各部署の責任者が認証すれば、外部の者も入る事は出来る。」
マサキ「・・・確かにな。だが何故だ?」
ルカ「だから言ったじゃろ。この娘っ子は知りたい事があったからココに来た。まぁ私も色々と知りたい事があったからな。」
マサキ「・・・良いだろう。応接間まで来てもらう。ライラ、ダイゴ。エスコートは頼む。」
ダイゴ「ういっす。」
ライラ「了解。」
マサキ「各員、持ち場にもどれ。後は俺が対処する。」
「「「り、了解・・・」」」
ルカ「ランスター二等陸士。デバイスは・・・預からせてもらうぞ。ココは我等のテリトリーだ。我等のルールに従ってもらう。」
ティアナ「・・・解りました。」
ティアナはルカに若干の疑念を抱きつつも相棒であるクロス・ミラージュを渡した。
返さぬならそれもよし。返すなら・・・其れもまた良しと言う事だ。
そしてルカは一人自分の「聖域」に戻り、ライフはマサキと共に付いて行く。
ティアナはダイゴとライラと共に二人の後について行ったのだ。
ダイゴ「・・・あれ、リュウガどうした?」
ライラ「あ、そういえば・・・」
フロンティア『まだ戻ってないみたいだよ、アネサからの連絡では。』
ライラ「・・・何処に居るんだろ・・・」
- 応接室 -
七課の応接室。其処に案内されたティアナはまだ若干の不安を持ちつつ周りを見回していた。応接間と言う事でかなり綺麗な場所で何処かの企業の部屋と間違えるほどの『場違い感』だった。
ティアナ「・・・。」
マサキ「茶などは出さんぞ。」
ティアナ「・・・構いません。それなりに立場は解ってますから。」
マサキ「・・・・・・。」
ティアナ(にしても、本当に場違いね。部屋も隊も・・・)
ココに来てティアナは色々と六課などと七課との違いを知った。隊舎はほぼ瓜二つだが組織構成や部隊運用。局員達の態度等々。規律正しいとは言わず何処かフリーダムな感じがこの隊にはしていたのだ。
マサキ「・・・さて。まずはココに来た理由だ。」
その彼女を差し置き、マサキは話を切り出す。ティアナもマサキの言葉に現実に戻り、マサキの質問に答える。彼女がココに来た理由。それは二つあった。
ティアナ「・・・私が・・・ココに来た理由は二つ。一つは、私の実力試し。そしてもう一つは・・・」
マサキ「・・・。」
ティアナ「なのはさんの過去。」
マサキ「何っ・・・」
ティアナ「なのはさんとシグナムさん。あの二人があそこまで邪見する貴方の司令官。そしてその原因。私は・・・其れを知りたい。」
マサキ「それは局員としてか。それとも・・・」
ティアナ「一個人として。だから私は貴方達の所に行くのを決めた。」
彼女の過去と自分の未来。つまりは彼女が来た理由はそう言う事なのだ。
自分の最も知るべき人の『過去』を知り、自分の『未来』の道を決める。
嫉妬と疑念。この二つが、今の彼女を動かしていたのだ。
マサキ「・・・・・・。」
ティアナ「・・・・・・。」
教えるべきか否か。今この状況で彼女に教えれば、なのはは次に何をするのか解らない。
もしかしたら、昔の彼女には戻れないのかもしれない。
力に溺れ、独裁の力を見誤り、最期には捨てられる。
目に見えている。その結果を考え、マサキは迷っていた。
マサキ「・・・過去・・・か。」
過去を知れば彼女にも何らかの変化が訪れる。それが幸であれ不幸であれ。
教えないほうが良いか?そうは思ったが、それはそれで腑に落ちない。
ならば、答えは一つだけだ。
マサキ「・・・俺でよければ。」
ティアナ「っ!!」
マサキ「だが。一つだけ条件がある。」
ティアナ「え?」
マサキ「これを聞けば・・・恐らく後戻りは出来ない。」
ティアナ「・・・・・・!」
マサキ「それがどう転ぶか。俺にもわからない事だ。それでも・・・お前は聞くか。」
後戻りは出来ない?そんなのは当に知っている。ティアナの結論はたった一つ。
ティアナ「だったら始めからココには来ないわよ。」
マサキ「・・・威勢のいい奴だ。良いだろう。」
其処から一時間。ティアナはなのはの過去を全てマサキから話された。
それを動じず、悲しみもせず、ただ一心に受け止めて。
時を同じくして朝になったので外に出て空気を吸いながら身体を伸ばすラン。先ほどまで気持ちよく寝ていたのだ。地球では色々と用事などで疲れていた為、一人だけ早目に睡眠を取り、体調を整えていた。
ラン「っ・・・うーん!」
精一杯身体を伸ばすラン。それによって蒼の継承者と同じ服が伸び、風が吹けば色々と人の目がいく。その為、ランのスカートは少し長めになっているのだ。
ラン「ふぁっ・・・朝ごはん食べに行こ・・・」
眠気を飛ばし、一人のんびりと朝食を取ろうと考えていた彼女の前にリュウガが戻ってくる。何か考え事をしていたのか目線は少し下を向いている。リュウガは下を見ていたので気づけなかったが、ランは気づき歩いてくるリュウガに挨拶をしたのだ。
ラン「あ、リュウガ君。」
リュウガ「っ・・・ランさんか。どうも。」
ラン「おはよう。今まで出かけてたの?」
リュウガ「ええ。街も厳戒態勢だったので。ちょっと・・・」
ラン「え、厳戒態勢って・・・何があったの?」
アネサ『そうか。ランは昨日寝ていて・・・』
リュウガ「なら、朝食ついでに話しますよ。多分あそこのテレビでも・・・話が持ちきりだと思うし・・・」
ラン「・・・。」
ライラ「あ、リュウガ!」
リュウガ「ん、ライラか。」
其処にランと似た理由で外に出たライラが現れ、二人を見かけると今まで見なかったリュウガに声を掛けたのだ。どうやら話し方からして心配はしていたらしい。
ライラ「ライラか、じゃない!今まで何処ほっつき歩いてたの!?」
リュウガ「すまん。色々とな。」
ライラ「そうやって逃げる・・・隊長もそろそろ戻ってくるって言ってるし、急ぎなよ。」
リュウガ「解ってる。」
ラン「零人さん達、今が帰りなんですか?」
ライラ「うん。向こうで一暴れしたからか帰るって。」
ラン「・・・・・・・・・。」
そして。そこに更にダイゴも現れ三人の許に駆け寄る。
表情は変わらないが、急いでいる感じから何かあったらしい。
ダイゴ「おーい!」
ライラ「あ、ダイゴ。」
リュウガ「何かあったのか?」
レーヴェ『ああ。本局がついにバカになった。』
アネサ『何?』
フロンティア『って事は・・・』
レーヴェ『本局が地上本部に対して無茶振りだしたり、政府の解体を要求してきた。』
ラン「えっ!?」
アネサ『動いたか、あの馬鹿共。』
レーヴェ『ああ。加えて、本局は旧体制の再開と地上本部の解体。それら全てを纏めて・・・』
ダイゴ「『天空の使徒宣言』だってさ。テレビがそんな事言ってた。」
ラン「天空の・・・」
レーヴェ『そのメンバーにはご存知エース様も居たよ。非公式だがな。』
ライラ「ちょっ・・・それって・・・」
リュウガ「一種の宣戦布告。つまりは・・・」
ラン「管理局内部で・・・全面・・・戦争?」
動く世界。澄んだ朝は混沌への切符だったのか。
約百数十年余りの平和は崩れ去る。
ミッドの騒乱。本局の主従宣言。対立するかつての友。
その世界の始まりかと、ラン達は空を見上げるのだった。
- ミッドチルダ西部 ???の屋敷 -
日が昇り、ミッドチルダは朝日を浴びる。
だが、その朝日は人によって様々な顔を見せていた。
和風な屋敷の縁側を四人の人影が歩く。先頭を歩くのは着物を着た女性で、その屋敷で仕える者だ。
その後ろには黒服二人と白服が一人。白服の一人は背丈から子供の背丈だ。
その三人を後ろに女性が縁側の一角で止まる。目的の場所に着いたからだ。
「失礼します。お客様をお連れしました。」
女性が正座で一礼し、用件を言うと、向こうの内側から『入れ』と低い声で返答が来る。
それを合図に女性は片方を少し開け、もう片方を全て開ける。そして少しだ開けた方も全て開ける。
後ろに居た三人は開いた場所へと案内され、前から順番に手前まで入っていく。
そして、女性の後ろに居た『彼』が敬礼をして家主に挨拶をしたのだ。
クロノ「失礼します、レジアス中将。朝早くに申し訳ありません。」
レジアス「・・・。」
地上本部のトップ。レジアス・ゲイズの前にはなのはから逃れた三人、クロノ、フェイト、リィンの三人が敬礼していた。
そう。ココはレジアスの屋敷なのだ。彼が何故和風の屋敷に住んでいるかは解らないが、着ている寝巻きなども和風なので昔の日本にでもタイムスリップしたのかと疑いたくなるほどの雰囲気だったのだ。
「・・・ま、父はこうなので代わりに私が言おう。よく来たな、ハラオウン提督・執務官両名。そしてリィンフォース・ツヴァイ曹長。」
そう言い、レジアスの隣に着物姿で座っていたのは娘のオーリス。それでも階級は三佐で父であるレジアスの副官でもあるのだ。
スタイルも良く、顔つきも良い。オマケにワザとなのかと問いたくなるが僅かに着物をズラしていたり、ももを出している。クロノでも狙っているのかと思いたくなるほど色気を出しているのだ。
フェイト「・・・。」
リィン(フェイトさん!落ち着いて落ち着いて!!)
フェイト(ダイジョウブ、ワタシハレイセイダヨ。シツムカンガコレゴトキデレイセイサヲウシナウトデモ・・・)
リィン(言い方からして明らかにそうなってるんで止めて下さいッ!!!)
オーリス「ああ・・・コレか。すまんな、私は寝起きなのだ。勘弁してくれ。」
クロノ「え、ええ・・・」
オーリス「まぁ・・・隣に居る父は待っていたらしいがな。誰かを。」
フェイト「?」
しばらく黙り込んでいたレジアスだが、やがて目を開けてクロノたちに尋ねる。
だが、その前から彼の覇気に三人は圧倒されていたのだ。
貫禄や態度。その全てが自分達の数歩上の次元をいく。それが彼の力なのだと。
そして、その覇気と共に口を開き、第一声を放った。
レジアス「お前達が遅れた理由・・・それがあれと言うことか?」
クロノ「・・・はい。」
フェイト「あの、ヴィータは・・・」
オーリス「今仕えている医者に診せているが、其処までヒドイ物ではないらしい。」
クロノたちが遅れた理由。それは三人の所々に残っている黒コゲの跡が物語っていた。
ヴィータがココに居る。つまり、彼らは一度プリズムに行っていたのだ。
- シグナムとヴィータの戦いから五分後 -
シグナム「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
荒れた息と共にシグナムは剣を杖代わりに膝を付く。相当の体力を消費したらしい。
彼女の前には咄嗟で編み出した一撃によって倒れたヴィータ。そしてアイゼンがあった。
アイゼンだけでも破壊するか?いや。今の彼女はそれだけで満足はしない。
今の彼女は完全に使命の奥を忘れていたのだ。
唯主に歯向かう者に、死を突きつける為に。
シグナム「ヴィータ・・・貴様は・・・主の・・・敵・・・・!」
虫の息でシグナムは歩き、ヴィータの許に近づく。一歩一歩と確実に近づき、ボロボロの身体だというのにカートリッジを再び消費する。其処まで殺意が湧いていたのか。
違う。彼女は今、我を忘れていた。使命と言う空だけを持ち、中身をなくした者。
何がどうなっているのか。シグナムにでさえもう解らなかったのだ。
ただ縋り付く物がある。それが何であれ、自分の存在理由なのだと。
何が正しいのか。もうそれでさえも失いかけていたのだ。
シグナム「・・・・・・。」
やがて、シグナムはヴィータの前に立つ。彼女は既に意識を失っており、殺傷設定で撃った一撃が彼女の肉をえぐっていた。其処からは赤い鮮血が流れ、彼女の周りに流れ出始めていたのだ。
何もしなくても彼女は出血多量で死ぬ。
だが、今の彼女はそんな事で終わらせる気は無い。
シグナム「・・・残念だ・・・ヴィータ・・・」
片手で剣を構える。力が余り残ってないため、これが精一杯だ。
が。彼女を『殺す』には十分だ。
そして。シグナムは迷い無く、その剣を戦友の上に振り下ろした。
フェイト「バルディッシュッ!!」
バル『フォトンランサー!』
しかし、其処にフェイトが横槍を居れ、間一髪でヴィータへの攻撃は止められた。
シグナム「ッ・・・テスタロッサ・・・!!」
フェイト「アイゼンッ!!」
アイゼン『了解。』
フェイトは直ぐにアイゼンに呼びかけ、自分の手元にアイゼンを引き寄せた。
そしてバルディッシュを待機状態にしてヴィータは直ぐに抱え、その場から離れた。
気づけば、彼女の後ろには彼女の車が止まっていたのだ。
シグナム「っ・・・!!」
ガチャッ
リィン「フェイトさんッ!!」
フェイト「ッ!!」
リィンがドアを開け、其処へとフェイトが滑り込む。そのまま反対側のドアまで突っ込んだが、ギリギリ魔力をクッションにして二人は無事だった。
もしもの事があったらと言うことでフェイト自身がクッションになる二重でヴィータを守ったのだ。
リィン「ッ・・・!」
クロノ「大丈夫か!?」
フェイト「っ・・・出して!!」
クロノ「ッ・・・!!」
運転席にいたクロノは義妹の安否を気遣うが、そんな事は大丈夫らしくフェイトの言葉でクロノは直ぐに車を出した。
リィンがドアを閉め、フェイトが回収したヴィータの容態を窺う。
フェイトも後部でヴィータの状態を確認していたが、かなりヒドイ怪我の為、今にも泣いて死にそうな顔でクロノにヴィータの状態を言ったのだ。
フェイト「どうしよう・・・血が・・・このままじゃヴィータが!!」
クロノ「くそっ・・・近くの病院でもココからじゃ遠すぎる・・・」
リィン「それに行けばまた本局テリトリーに逆戻り・・・どうするんですか!?」
そう。現在居るプリズムから最寄の病院まではかなり遠く、しかもその場所は本局の行政区の中にあった。今行けば確実に掴まる。しかしそれではヴィータは絶対にもたない。
どうするべきかと瀬戸際の状況に立たされるクロノ。
その逆境が功を生んだのか、クロノはある事を思い出す。それは以前、ゲンヤに食事に誘われた際に聞かされた情報だった。
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ゲンヤ「レジアス中将の凄さ?」
クロノ「ええ。聞いてばっかよりかは実際に会ったり、其れが無理なら会った事のある人に聞けばと思い・・・」
ゲンヤ「・・・・・・・・・。まぁあの人は色々な所に顔をが利いてな。確か自宅には執事のほかにも車の整備員とか料理人、『医者』も居たって・・・」
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クロノ「・・・一か八か。行って見るか!」
ノノ「行くって何処に!?」
クロノ「リィン曹長!治療魔法で出来るだけもたせてくれ!!」
リィン「は、はい!!」
フェイト「クロノ、一体何処に・・・!?」
クロノ「レジアス中将の所だ・・・あの人なら・・・!!」
フェイト「えっ・・・!?」
荒々しく車を運転し、レジアスの所に急いだクロノ達。
そのお陰か、夜明け前に彼の屋敷に着き、ヴィータはクロノのゲンヤからの情報通りに専任の医者に預けられたのだった。
その彼女の安否を聞き、彼の許に行くというクロノの提案も叶い、今彼・彼女達はレジアスの前に立つ。
次回予告ッ!!
ノノ「レジアスの許についたフェイト達!そしてティアナはマサキから全てを知る!」
アルフ「過去の因縁。未来の鍵。」
カム「お、ようやく戻ってきたか。」
リィン「次回!『地下からの来訪者』って・・・あれ、サブタイ違うような・・・」
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