No.707101

真・恋姫†無双 裏√SG 第7.5話

桐生キラさん

こんにちは
Second Generations雪蓮視点
雪蓮&思春VS謎の襲撃者

2014-08-08 19:36:24 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1543   閲覧ユーザー数:1379

 

 

 

 

 

舞踊大会祭りが始まり、踊りや出店などで街が賑わう中、

私はひと気のない裏路地へと入っていく。奥に行けば行くほど、

表とは打って変わって静かに、そして重々しい雰囲気になっていく

 

思春「こちらです、雪蓮様」

 

裏路地の最奥、その突き当たりにある古びた民家の前には思春が立っていた

 

雪蓮「ここで間違いないの?」

 

思春「尋問に掛けた者が、嘘を言っていなければ」

 

この祭りが行われる数時間前、警邏隊の一人が徐福の一員を名乗る者を捕らえた。

そしてそのものを尋問にかけた結果、建業に潜伏している徐福の隠れ家が判明した。

それが、今私と思春がいるこの場所だ

 

雪蓮「ずいぶん入り組んだところだったから、迷うところだったわ」

 

思春「はい。確かにここなら、今まで徐福の連中が見つからなかった事にも頷けます」

 

思春の言葉に、私は頷いて見せる。こんな裏路地、私でも把握していなかった。

まったく、ねずみは本当に厄介ね

 

思春「では、早速乗り込みます。よろしいですか?」

 

思春は武器を取り出し、扉に張り付いた。私は頷き、同じく剣を取り出して備える。

南海覇王は蓮華に譲ったから使えないが、零士が作ってくれた剣なら同じように動ける。

年老いたが、まだまだ問題はない。援軍は来ない。私と思春の2人がいれば十分ということもあるが、他の兵士は城や民の警備に全力を当てている。まず優先すべきは、民の安否なのだから

 

雪蓮「………」

 

それにしても、さっきからこの違和感はいったい何かしら?

確かに、当初の目的通り徐福の隠れ家を突き止め、摘発しようとしている。

だが、上手く行き過ぎてはいないか?

徐福を捕らえた事も、その徐福が隠れ家を吐いた事も、

そして何より、ここまで来るのに徐福と遭遇していないことも。

あの、今まで巧妙に足跡を残さなかった徐福が今になって…

 

思春「雪蓮様?」

 

思春の声に、思わずハッとなる。少し考え過ぎてしまったようだ

 

雪蓮「大丈夫よ。思春とこうして作戦行動に出るのが久しぶりで、少し緊張してるみたい」

 

思春「あの大戦以来ですからね。私はあれからもこうして戦っていますが、

雪蓮様は既に軍を引いた身。この作戦行動も、雪蓮様が出る必要はありませんが?」

 

雪蓮「いいのよ。どれだけ第一線から退こうとも、『晋』で自由に暮らそうとも、

私は変わらず呉の人間よ。その平和を脅かすものがいるなら、私が粛清してあげるわ」

 

思春「そうですか。ふふ、変わりませんね。では、お願いします。行きますよ!」

 

 

 

 

私が微笑むと、思春はそれを確認して扉を蹴破った。そして素早く家の中に突入すると…

 

雪蓮「誰もいない…ガセネタ捕まされたかしら」

 

家の中はしんと静まり返っていた。人の気配がまるでない。

誰かが生活していた形跡はあるが…

 

雪蓮「!?思春!」

 

少し奥に進むと、四人の男が倒れていた。

私はすぐ様思春を呼び、男達の様子を確認させる。すると思春は、首を横に振った

 

思春「このもの達は確か、うちの警邏隊のもの達です。既に脈はありません。

まだ少し温かいので、つい先ほど殺されたというところでしょう。

死因は…窒息死ですね。首に何かで締められた後があります」

 

思春は次々と調べて行き、死体の状態を確認していく。

死体の身包みは全て奪われていた。鎧から武器から、何から何まで

 

思春「徐福が今さら強盗などするでしょうか?」

 

思春の疑問には私も同意見だ。今さらあいつらがこんなチャチな事をするとは…

 

雪蓮「ん?これは…」

 

そんな事を考えながら辺りを見渡すと、棚の上に数枚の紙が置いてあった。

私は気になり、それを手に取り内容を確認していくと…

 

雪蓮「これは!?祭りの警備案!?」

 

書かれた内容は、この祭りの警備案だった。どこに警備している兵士がいるのか、

警備交代の時間、零士と祭の狙撃位置など、全てが書かれたものだった。

これは呉の軍部のみが所持していたはずなのに何故…

 

「最優先殺害対象、孫策、甘寧だな」

 

雪蓮・思春「!?」

 

いつの間にか、入ってきた入り口を塞ぐように女性が一人立っていた。

長身細身の黒髪で整った顔立ち。年齢はうちの娘より少し上かな?

それにしてもこの子、なかなかの強者ね。雰囲気はさることながら、隙も全くない。

こんな子が、この大陸にまだ居たなんて

 

雪蓮「あなたが徐福かしら?」

 

私は剣を握り、いつでも動けるように構える。

室内と言うこともあり、戦うには少し狭すぎる。向こうは一人だが、少し動き辛いわね

 

「いや、私は徐福に雇われただけだ。呉の兵をおびき出し、ここで仕留めるために」

 

女は矛を取り出し、私達に相対する。あの武器、鈴々の蛇矛に似ている。

身の丈程の長い矛、こんな狭い空間では不利でしかないが…

 

雪蓮「徐福に雇われたと言ったわね?と言うことは、あなたが最近、

うちの兵士を殺し回っている張本人かしら?」

 

相手が誰であれ、今は情報が欲しい。雇われとは言え、何かしらの情報はあるはずだ

 

「あぁ。彼らには何の恨みもないが、これも仕事だ。

我々は如何なる仕事であっても、雇われたからには貫き通す」

 

ッ!?大した威圧感じゃない。目付きが鋭くなったかと思ったら、氣まで重くなるなんて

 

思春「お前に殺られた兵の為にも、ここでお前を仕留める。覚悟しろ、賊」

 

「これも仕事だ。お前達には死んでもらう。覚悟!」

 

 

 

 

お互い殺気を剥き出しにし、狭い空間の中を全力で駆け抜ける。

そして振る舞われた私と思春の剣が敵の矛とぶつかり、火花を散らせた

 

「ッ!」

 

敵が苦い顔をするやいなや、敵の矛から来る力が一瞬弱まった。

その一瞬を突き、私と思春の剣が敵を後方に吹き飛ばす。

敵は家の壁を壊しながら外へと飛び出た

 

雪蓮「あれはわざと吹っ飛ばされたわね。追うわよ思春!」

 

思春「ハッ!」

 

私と思春は敵を追いかけ、外に出る。

薄暗い屋内にいたせいか、外に出た瞬間、太陽が照らす明るさに一瞬視界を奪われる。

そして敵は、その一瞬の隙を容赦無く突いてきた

 

「フッ!」

 

矛の一撃が私の頭上に振り下ろされる。私はそれに何とか対応し、防御することが出来たが…

 

雪蓮「ッ!?重い!」

 

矛のしなりを利かした振り下ろしは、まるで巨大な岩がのし掛かって来たのかと思うほど重たかった。防御する剣が悲鳴を挙げている気がする。足が地面にめり込んで行く。

この私が、純粋な力で押されている?

 

思春「雪蓮様!」

 

身動きできなかった私を助けるべく、思春がすぐさま割って入って来た。

敵は思春の攻撃に気付き、矛を戻して思春の攻撃を防いだ。

たった1秒程耐えただけだったのに、敵の攻撃を受け止めていた間が何十秒にも感じられた。

こいつ、強い

 

雪蓮「思春!合わせなさい!」

 

私の声に思春は反応し、敵の矛を押し返して一旦下がる。

それと入れ替わるように、今度は私が前に出て渾身の一撃を叩き込んだ

 

雪蓮「ハァッ!」

 

「ッ…」

 

ガキンと鉄同士が混じり合う音が鳴り響く。

敵は私の剣を最小限の動きで止め、即座に反撃に出ようとする。

だがそこへ、今度は思春の剣が敵を襲った。

思春は速さを活かし、翻弄するように剣を振っていくが、ことごとく防がれる。

思春が生む僅かな攻撃の隙を突こうと敵もうかがっているようだが、それを私は許さない。

思春の隙は私が、私の隙は思春が埋めるように、何度も何度も交互に攻撃し合った。

結果、敵からの攻撃は飛んでこない。その現状に、敵も徐々に焦りつつあるようだ。

だが、それは私たちも同じだった。

 

雪蓮「ッ!?」

 

思わず舌打ちをしてしまう。私と思春の二人掛かりなのに、敵の防御を崩せない。

何合も何合も打ち合っているのに、向こうは疲労の様子もない。対してこちらは…

 

雪蓮「はぁ…はぁ…」

 

うー!私ももう歳かしら?たったこれだけの打ち合いで息が上がり始めるなんて!

 

思春「せぇい!!」

 

私と共に攻撃してくれる思春はまだまだ余裕と言った様子だった。

ちょっと待って。なんで思春はそんなにも余裕なの?まさか歳のせい!?

私より少し若いだけじゃない!いや、私もまだまだ若いわよ!?

 

思春「…私は、変わらず全線で鍛え続けていたので」

 

なぜか思春に気を使われてしまった。

いやそりゃ、昔に比べたら鍛錬とかしてないけどさ…

 

雪蓮「あぁもう!鬱陶しい!!」

 

私は業を煮やし、敵を思い切り打ち上げる。

敵が空中に上がったところを、思春が追撃を仕掛け、横振りからのするどい一閃を決める

 

「クッ…」

 

敵はこれも完璧に防ぐが、その衝撃に少し飛ばされ、そして民家の屋根の上に着地した。

私と思春も追いかけるように飛び、家の屋根に飛び乗る。

その直後…

 

ヒュン

 

敵の背後から矢が飛んできた。敵は矢が直撃する直前で気づき、頭を下げて回避した

 

祭「無事か思春、策殿?」

 

雪蓮「祭!」

 

祭が弓を担いで、遠くの民家からゆっくりやって来た

 

祭「まったく…いい加減、儂もそろそろ引退したいのじゃがな」

 

祭は、回数こそ激減したが、変わらず孫呉の武将の一人として戦うことがある。

歳のせいで思うように体が動かなくなったらしく、前線で戦う事は無くなったが、

今回のような遠くからの要人の警備、後方支援を時々引き受けてくれる。

うちには優秀な弓兵がいないという問題もあるが…

 

祭「よし決めた。この事件を解決したら引退しよう」

 

雪蓮「あーら、それはまだちょっと早いんじゃない?祭ならまだまだ余裕でしょ?」

 

祭「無茶を言わんでくれ…」

 

確かに、矢を一本射っただけなのに、少し疲れた表情を見せている。

確かにもういい歳だし、こりゃ本格的に引退かもね

 

雪蓮「祭に引退される前に、あそこの女だけでも倒さないとね」

 

私は剣を構えなおす。敵はこちらの様子を伺っていた。

流石に3対1では分が悪いのか、敵の額に微かに汗が流れていく。

そして腕に付けていたものを見て、何かを確認した。あれは、腕時計?

 

「孫策、甘寧、そして呉の宿将黄蓋、悪いが時間のようだ。この勝負、預ける。

だが、梁山泊の名において、お前たちは必ず私が倒す!」

 

そう言って敵は反転し、屋根から屋根へと飛び移り逃亡を図った。

チッ!逃がすか!

 

 

ドカーーーン!!!

 

 

雪蓮「な!?」

 

突如、すぐ後ろで爆発が起こった。どうやら民家が吹き飛ばされたようだ。

確かあそこは、徐福が使っていた隠れ家?

 

思春「チッ!証拠を消されたのか?」

 

祭「まったく…派手にやってくれるのう」

 

あの民家が爆破されたという事は、あの場にまだ敵が潜んでいたということ?

そんな気配、全くなかったのに…

 

雪蓮「あいつ、梁山泊、とか言ったかしら?いったい何者?」

 

間違いなく武将級の強さを持ち合わせた雇われの暗殺者、梁山泊

 

その強者を雇った組織、徐福

 

そして徐福が使っていた隠れ家にあった警備案

 

いったい、徐福はどういう組織なの?私たちの中にも、内通者がいるという事?

だとしたら誰が?なぜ今になって?目的は?少し、徐福について真面目に考えるべきか?

 

私は先ほどの爆発音で戸惑っている民を見ながら、徐福に対しての評価を改めていた

 

 

 


 
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