No.695545

義輝記 蒼穹の章 その二十

いたさん

義輝記の続編です。 よろしければ読んでください!

2014-06-21 13:40:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1218   閲覧ユーザー数:1052

【 緊急の想定外 の件 】

 

〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地跡 にて 〗

 

雪蓮「亞莎、穏! 周辺の確認と警戒、袁術軍の残党の探索をお願い!」

 

穏「分かりました~!」

 

亞莎「お任せ下さい!!」

 

雪蓮「冥琳……ごめん。 後の事……任せて『 心配するな……。 明日になれば、容赦なく叩き起こしてやる!』 ……ありがとう………」

 

冥琳「颯馬! そして……董卓軍の方々! 安全が保障出来る場所に寝床と食事の準備が出来ている!! 案内の者に着いて向かってくれ!!」

 

祭「愛紗、星、華琳も休め!! あのような強敵を相手にして……命が残るなど儲け物じゃ!! 今のうちに休んで……明日から動いて貰うぞ!!」

 

愛紗「………………」

 

星「……すまない! ほら! 愛紗! 行くぞ………!!」

 

華琳「はぁ……曹孟徳ともあろう者が…こうも振り回されるなんてぇね……。あら? 朱理は───?」

 

バタバタッ! バタバタッ!!

 

朱理「た、た、大変でしゅ───ぅ!! い、今、情報を集めて、整理していたのですが──! 袁術軍の兵数が───かなりの数が残存し、襄陽に集結している事が判明───!!」

 

雪蓮「───どれくらいなの!?」

 

朱理「はっ、はいっ!! えっと──六十万近くで来た袁術軍ですが、天城様の火計で……約三万の荊州水軍を壊滅! そして、続く包囲戦術で十万以上の兵を打ち破る成果を挙げています!!」

 

蓮華「────────!」

 

祭「………とんでもない軍師じゃわい。 火計だけでは無く、大規模な戦略まで行っておるのだからのう………」 

 

穏「そうですねぇ~! あの要害堅固の益州を……大軍で攻略するように見せて……内乱で攻略。 益州に向けた兵を、荊州に水運を利用して送り込み、伏兵として配置し、火計の奇策をも利用して大軍を一カ所に集結させ、別働隊を動かし、完全なる包囲作戦!! アァ~ン! 身体が熱いぃぃい~!!」

 

亞莎「……そ、そんな策を考える……天城様も天城様ですけど……! だけど、その包囲網から……あそこまで被害を抑え……早期に撤退を決断した司馬懿も……司馬懿ですよ……!?」

 

朱理「───その事なんですよ! 周辺の捜索、捕虜からの証言によりますと『司馬懿の冷静な指揮が功を奏し、四十万の無傷の軍勢を保持して…襄陽に到着! 糧食や武具を補充し……冀州へと向かう気配あり!』との事なんですぅ!! 

 

─────で、で、ですがあぁぁぁぁ!!!」

 

冥琳「────!! それだけの人数があるなら……洛陽に向かわれると…非常に厄介だ!!! 洛陽軍の主力である董卓軍は、益州攻めと我らの援軍で動いている!! かなり……手薄になっているはずだ!!

 

………冀州に素直に向かうならまだしも……洛陽を攻められれば、瞬く間に落とされる!! しかも…袁術が……皇帝を宣言すれば……我らが朝敵になるの可能性も!?」

 

雪蓮「う、嘘ぉ──!? 颯馬達が助けに来てくれたのが……逆に……洛陽側の首を締める事になるの──!?」 

 

愛紗「な──────っ!!」

 

星「────────!!」

 

華琳「颯馬──! 貴方、何か策は考えているんでしょう!? 次の策があるんでしょう!! ───有ると言いなさい! 颯馬!!!」

 

颯馬「……助言はしてある。 ……だけど…策までは……考えていない!! もう少し減らしておくつもりだったのに……誤算だった……!!!」

 

信廉「……颯馬! 弱気な事を言っている暇など…ありません!! まずは現状の確認! それから、援軍を送る手配を整えてなければ……! 

 

稟や風、詠達も名の知れた軍師、『三人寄れば靴職人の知恵』と言いますし! 必ず司馬懿……いえ……久秀達を止めてくれますよ!! 

 

それに……公孫殿も援軍で来てくれています!! 信じましょう!!」

 

謙信「……信廉殿! 留守居で本陣を守る伊達勢を動かし……救援に向かわせよう! 丁度、霞達が乗ってきた馬がある! それで行けば───!!」

 

信玄「………謙信。 貴女は性急し過ぎです。 この場合、雪蓮殿にお伺いを立て、命じて貰うのが肝要ですよ? で……雪蓮殿!」

 

雪蓮「………皆まで言わなくて良いわ! 直ぐに使いを送り出発させる!! 冥琳!! 頼むわね!!」

 

◆◇◆

 

【 残りし者の決意 の件 】

 

〖 洛陽 宮殿内 執務室 にて〗

 

《 颯馬達の相談から二日後の夜 》

 

詠「………狼煙が上がり、斥候を出してみれば……袁術軍数十万が近付いてきている! かなり離れているから……後二日ぐらい猶予があると思うの……」

 

月「詠ちゃん…………」

 

稟「……………………」

 

風「……………………」

 

華雄「…………………」

 

白蓮「…………………」

 

翠「……………………」

 

蒲公英「………………」

 

ーーーーー

 

詠「………はっきり言って……この戦、勝ち目は薄いわ。 兵を対比すれば…袁術軍が数十万。 それに対して……私達は五万。 しかも……洛陽の守備に廻すと……四万弱しか……用意出来ない……」

 

風「しかも~相手は…曹孟徳を壊滅状態に追い込み、孫呉を潰しにかかり、颯馬お兄さんの策まで…くぐり抜けた知謀の士ですー!」

 

稟「確かに………勝ち目は………薄いですね………」

 

ーーーーー

 

翠「……でも、あたしは逃げないぞ! 洛陽の軍勢が腰抜けばかりの惰弱の兵だと言われたら……母さんに殺されちまうぜぇ!!」

 

蒲公英「………お姉様が行くなら…蒲公英も!!」

 

翠「馬鹿! お前は西涼へ戻れ!! 死ぬの……あたし一人で充分だ!」

 

蒲公英「………蒲公英だって、勇猛で鳴る西涼の馬一族の一人だよ!! 蒲公英だって……蒲公英だって! 怖いけど………頑張るよ!!」

 

翠「…………蒲公英」

 

ーーーーー

 

白蓮「……しかし……あの颯馬が、この状況に気付かないなんて……おかしいじゃないか? 主である月殿を……何時も大事にしていたのに……」

 

華雄「……理由が二つ。 一つは、袁術軍出立の報告を受けたのが、長安だったから。 もう一つは………関羽が対戦を…颯馬に申し込み、受けた颯馬が寝込んだ為……策の準備が……間に合わなかったのだ………」

 

白蓮「はぁぁ──!? 愛紗が喧嘩を売って、颯馬が受けただぁ!? ……寝込んだと言うのは………やはり……ボロボロに負けて……だよな……?」

 

華雄「───ったよ! 天城は勝ったんだ……! だが……戦う事を禁じられていたのに……無理して戦い……圧倒的な強者に…それでも勝ったんだ!」

 

白蓮「おいおい……。 なんと……まぁ……無茶を双方やるなんて……」

 

華雄「だから……私も逃げん!! 圧倒的な不利? 颯馬を上回る軍師? それがどうした! そんなモノ……犬にでも食わせてやれ!! アイツは……実力で…数多の将に認められ……ここまで……これたのだ!! 

 

それに……月様の居場所を守らずして……私の矜持が許さん──!!!」

 

白蓮「私の考えは……異質だと思っていたが……この中では『普通』のようだな……。 私も白馬義従の皆も……逃げる選択は…とうに捨てている!! 天城に借りを返すのは今!! この時しかない!!! 私達も行くぞ!!」

 

ーーーーー

 

月「詠ちゃん……私も今回……出陣する! 皆に守られる『董仲穎』なんか……嫌!! 皆だけ傷付けて…私だけ守られているなんて……嫌!! 皆と共に……自分に自信を持って……天城様の傍に……居たいの!!」

 

詠「月……………」

 

ーーーーー

 

風「……………グゥ」

 

稟「……………」

 

詠「アンタ達は……どうするの? この戦……逃げても恨まないわよ! 私達は……私達の思いを貫いて行く!! 例え……強敵だろうとも、自分に偽りたくないのよ!! 私も……司馬懿に勝って……自慢してやるんだから!! 

 

『天城』を超えたと……思いきっり……自慢してやるんだからね!!」

 

稟「逃げる? ──誰がですか?」

 

『……………………………』

 

風「稟ちゃんー! 風達が、弱音を吐いていると、思われちゃてますよー?」

 

稟「あぁ……なるほど。『勝ち目が薄い』と発言した為ですか。 申し訳ない……誤解をさせてしまって……。 私達も戦せて下さい! こんな好機なんて……二度と無いでしょうから!」 

 

詠「………だって……この条件で勝ちを得るのは……難しいわ! そうなれば……逃走するのも戦術の一択よ? ボクは……月を置いて逃げれないから……ここに居るけど……!!」

 

稟「兵法三十六計《走為上》ですか……。 しかし、この場合は……逃げるのではなく……戦うが正解! 私達にとっても…好機なんですよ!!」

 

風「簡単に言いますと……お家に泥棒が侵入! 怖くて逃げ出せば……お家を取られて路頭に迷いちゃいますー! ですから、皆で撃退して追い返しましょうとなるのですよ~! 洛陽は、大陸の中心部ですからねー!!」

 

稟「孫臏兵法に曰く『敵が積なるが故に疏(そ)なるべし』! 敵が我が軍より優勢となれば……必ず油断が付き物。 それに……敵は、あの『天城殿』と戦い、休む暇もなく此方へ向かって来た様子。 

 

天が我らに……『司馬懿を討て!』と命じているようなものですよ!」 

 

風「むふふふ……風は、策も出来てますよー?」

 

稟「奇遇ですね? 私もですよ?」

 

詠「わ、私だって──出来てるわよ!!」

 

風「ではでは、掌に主要な一字を書いて~、一斉に出してみましょうか~!」

 

稟「そうですね!」

 

詠「わかったわよ………」

 

φ(._.)カキカキ カキカキ カキカキ……

 

詠「いくわよぉ! ───ハイ!」

 

稟「────!」

 

風「─────ほぅー?」

 

詠「……三人共に……『火』……なんて……ね!」

 

◆◇◆

 

【 久秀の企み の件 】

 

〖 司隷 洛陽周辺 にて 〗

 

順慶「…………酷い目に遭いましたわ! あの百足の足の数の多さ、蛙やナメクジの滑りが……あぁああ……考えただけでも震えが止まりませんわ!! ──油虫以外は!」

 

久秀「久秀は……順慶より大丈夫だけど……油虫だけは……駄目よ……」

 

順慶「貴女は陰湿だから……あのような虫達は、好みだと存じていたのに…まさか…油虫が苦手だなんて………」

 

久秀「普通は……どのおなごも、苦手とする物よ? それが平気だなんて……異常よ! 変態よ! 貂蝉よ!」

 

順慶「なんですの! あの厳つい筋肉と一緒にされたくないですわ!!」

 

久秀「………なんとなく……油虫に似てない? 貂蝉って?」

 

順慶「油虫が………急に苦手になりましたわ…………!」

 

ーーーーー

 

順慶「ところで……何故、私達は洛陽を攻め立てる為に、向かうのです? 久秀……貴女は……冀州へ戻る……と申しませんでした?」

 

久秀「ただの気紛れ………と言いたいけど……洛陽に颯馬の現主君になる『董卓』がいるからよ。 今の洛陽は……益州攻めと孫呉の救援で、かなりの兵が遠征で出ている。 

ならば……この事態を好機と捉え、向かえばいいじゃない!?

 

それに、今回の戦で……士気もかなり下がったから……帰国の命令を出して士気を上げ、その勢いを持って洛陽を落とす!! 孫呉を落とす成果はなかったけど……洛陽攻略した成果は……そんな事を上回るほど大きいわよ!!!」

 

順慶「………その知謀の働きには……正直、敵いませんわ………」

 

久秀「ふふふ……簡単よ。 相手の嫌がる事を…実行すればいいだけ。 敵の愛する所を攻めよってね? そうすれば……どんな敵だって動くものなの」

 

順慶「はぁ~~! 聞いた私が──お馬鹿さんでしたわ!」

 

★☆☆

 

《 数刻後…… 》

 

袁兵「伝令! 敵影発見! 牙門旗は『董』、『馬』、『華』、『郭』、『程』、『公孫』! 兵数約四万────!!」

 

久秀「───董卓! ふふふ! あははははっ!! この人数で絶望して出て来たの? それとも、自分の命を犠牲にして……洛陽を攻めないように懇願しに来たの? ……どちらにしても……無事には……すまさせないけど?」

 

順慶「私達が………四十万以上! 十倍の敵に勝算なんて……あるのでしょうかねぇ?  まあ、私達に対峙すれば倒すだけですけど。 

 

……で……陣形は………ハッ? 本気ですの!? この大兵力相手に『鶴翼の陣』ですって!? 確かに鶴翼でしたら……包囲をするに適した陣形。 しかし、周りの翼や本体が薄くなり、包囲を解く事など、造作もありませんわ!」

 

久秀「ふ~ん、だけど………ただの馬鹿が陣形を組んだのなら、納得もするけど………名軍師と名高い『郭奉孝』や『程仲徳』が加わったのなら……何かあるわね! とりあえず『魚鱗の陣』を取りなさい!!」 

 

順慶「どのような策か…分かりませが…。 私達が『魚鱗の陣』で押しつぶして……さしあげますわ!!!」

 

◆◇◆

 

【 颯馬…失策の理由 の件 】

 

〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地跡 にて〗

 

《 カンウ戦終了直後より数刻後 》

 

冥琳「政宗殿に頼み……一万の軍勢で救援をお願いした! 道案内役に思春を付けたので、早めに到着してくれるだろう!!」

 

雪蓮「颯馬………ごめんなさい。 孫呉の為に……ここまで親身になってくれたのに……恩を仇で返すことになって……」

 

颯馬「いや……俺の未熟さだ。 策が破られた後の事を……考えていなかったんだ。 無事に事が終われば……月様に謝罪しよう!!」

 

朱里「あ、あの………天城様! 本当に……考えてなかったのですか? もしかしたら……事情があって……策を考慮する事が出来なかったのでは?」

 

颯馬「……………何故、そう思うんだい?」

 

朱里「私達『軍師』は、策を一つ編み出すに付き……その策の破り方や対処方法を考えます……完璧な作戦にするため。 その原則を……天城様が忘れる筈が無いと思っているんです!! 

 

あの策の精度、規模の大きさからして……必ず準備を考慮してあったと思うんです! だけど……命じる間がなかった……。 誰かの為に…………」

 

天城「……………朱里。 一つ、教えよう。 

 

策の失敗は……絶対に責任転嫁しては…いけない! どんな事があろうとも……それは、己の失敗だ!! 厳しいようだが……慢心が策を殺し、兵が無駄死となり、国が滅ぶ!! よくよく……覚えておくんだ!!」

 

朱里「天城様…………!」

 

ーーーーー

 

愛紗「………私の行いが……ここまで………」

 

星「………いや、今回は天城殿の仰る通り……天城殿の責任だ。 お主は提案をし、天城殿がそれを受けた。 天城殿は……断る事も出来たのにな。 後の結果も……天城殿の自己責任だ……」

 

愛紗「……………………」

 

ーーーーー

 

───────スッ!

 

三太夫「──天城の旦那!! 耳に入れて欲しい情報が入ったんだ!」

 

颯馬「─────何があった!?」

 

三太夫「五胡の勢力が……活発化しているようなんだよ! 同盟を組んだ鳥丸も一枚岩じゃなくなり、内乱が勃発している状態だと……!」

 

華琳「おかしいじゃない……公孫や劉虞の働きがあって友好的関係に持ち込んだのでしょう? それは、上が決めた事なのに……上下関係が厳しい鳥丸で内乱なんて頻繁に起きる訳がないじゃない!!」

 

冥琳「その報告、裏付けが付いてる。 先程……緊急の報告と言う事で、明命と思春の配下の者が……同じ知らせを貰っているのだ! 

 

『我々周辺の五胡が……一人の道師により……煽動されている!』…とな!」

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

今度は、三方ヶ原の戦いをモデルにした……戦いです。 兵数の差がかなり激しいですが……小説内の話という事で……笑って許してください。

 

文章内に出てきます『三人寄れば靴職人の知恵』が中国の諺です。

 

でも……不思議とこの諺の元?の話が…検索しても出て来ないので、オマケで出しておきます。 

 

出典も示せればいいんですが……二十年近く前に寄った図書館の蔵書故、不明なんです。 

 

勿論、作者なりに色々と盛りましたが…………。

 

また、よろしければ……読んでください!!

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

此方は本編と関わりはありません!

 

三国志演義の『赤壁、孔明、十万本の弓矢を集める』場面ですが、中国の民間伝承の話です。

 

◆◇◆

 

【 三个臭皮匠,賽過諸葛亮 の件 】

 

〖 荊州 赤壁 孫呉陣営内 にて 〗

 

冥琳(配役…周瑜)「………朱里(配役…諸葛亮)よ! 我が孫呉には矢が足りない! 貴女の知謀で十日以内に十万本の矢を調達するんだ!!」

 

朱里「はわわわ! 無理、無理でしゅ~!!!」

 

冥琳「………上手く出来たら……孫呉で限定の八百一本を進呈しよう!」

 

朱里「そ、そそそんな話で……う、うううう動く………」

 

冥琳「五冊セット……作者のサイン入りだ!」

 

朱里「十日もいりません! 三日で充分です!」キリッ!

 

冥琳「そ、そうか。 では……よろしく頼む!」

 

ーーーーーー

 

朱里「あ~うぅぅ!! また、無理を引き受けちゃったよ……! 何か考えないと…………『閃け! 私の知謀☆!!』 ……って無理か……。 

 

でもでも……あの八百一本……市場で出回る事って少ないし……セットでサイン入りだなんて超貴重品──!! 断るのは失礼ってものだよ! 

 

でも……どうしよう? どうやれば……あっ! この手で行こう!!」

 

☆☆★

 

朱里「………そんな訳で、船と藁を用意して欲しいんです! 魯粛さん(代理役…島津義久)! 霧が夕刻になれば出てきます! 藁人形を作り、兵に見立て配置! 曹操軍は、遠く人影がはっきりしない私達に矢を射るはずです!」

 

魯粛(義久)「う~ん、冥琳さんから、朱里さんの手助けするように言われているしね~。 分かったわ! お姉ちゃんに任せなさい~!!」

 

朱里「………あ、ありがとうございます!」

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーー

 

朱里「やっと……出来た!! 藁人形も配置したし、床にも敷き詰めたし! これで……完成!!」

 

スタッ スタッ スタッ スタッ

 

靴職人1(代理役…織田信長)「───おぉ! 主が責任者か!! 主の策に一つ不備があるのが分かったのでな!! 有り難く耳を傾けるが良い!!」

 

靴職人2(代理役…明智光秀)「の、信長…様!? 駄目ですよ! 今回、私達は一介の靴職人! そのような偉そうな態度は───!!」

 

靴職人3(代理役…島 左近)「まあまあ…光秀殿。 作者の話では、『口調はそのままで面白いから!』と言われているんだ。 だから……黙って様子をみていよう……。 おかしければ……我らが補足すればいいだけだ!」

 

靴職人2(光秀)「……仕方がありません………」ハァ~

 

朱里「………ものすご~く偉そうな職人さんですが、どのような意見ですか? もし……とんでもない事を言うのでしたら………」 

 

靴職人1(信長)「ほぉ~!? いい度胸だ!! この私を、お前如きに罰する事など…出来るのかぁぁ!!!」ゴゴゴゴ

 

朱里「………天城様に奏上して───厳罰を願います!!」

 

靴職人1(信長)「……ふ、ふん! 颯馬など……怖くない! こ、怖くはないが…い、いいだろう! 私達の意見を聞いて恐れ戦けぇ(おそれおののけぇ)!!」

 

靴職人3(左近)「………偉そうな物言いですまない。 

 

だが……単純にして簡な話なんだ! 知っての通り、私達は靴職人。 そのため革細工を生業としているのだが、その為に気付く事が出来たんだ!」

 

靴職人2(光秀)「……戦を起こす兵達は、普通『甲冑を着用』する。 これは、当たり前ですよね?」

 

朱里「は、はい! そうです! どの兵士さん達も……命は大事。 生きて帰りたいと思うもの。 ────当然ですよ!」

 

靴職人1(信長)「………それなら、何故……藁人形は甲冑も付けず『裸』なのだ? 曹操は卓越した知謀の将だ!! そんな細かい事をしておかないと、痛い目を見ることになろう!!」

 

朱里「はわああぁぁぁ────!!」

 

靴職人3(光秀)「ですから………私達が革細工で、甲冑を準備します。 それを藁人形に着用させてから出発して下さい! 付ける場所は、曹操軍に見える所だけでいいですからね?」

 

朱里「あ、あ、ありがとうございますです! はい!!」

 

ーーーーー

 

こうして………靴職人の助言により、策が成功した。

 

諸葛亮?「我が策も万の策に一つの失策あり!! 靴職人も三人で考えると万の策に一つ、我が策をも超える物あり!」

 

後に語り………その功績を伝えるため……『靴職人、三人寄れば諸葛亮の知恵』と言われるようになったとか。 

 

『 中国民間伝承より 』

 

(記憶違いがありますが……大体こんなお話です!)

 


 
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