No.695063

真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三爸爸†無双』 其の五十六

雷起さん

得票数37の☆雪蓮②のお話です。
おまけ壱 『北郷二刃奮闘記』其の二十一 リクエスト:呉の子供とお風呂 11票
おまけ弐 『聖刀くんの日常』其の二十 リクエスト:魏のメンツで魚釣り 7票
おまけ参 リクエスト:天の国講座 其の二
となります。

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2014-06-19 05:47:53 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:4073   閲覧ユーザー数:3144

 

 

第二章  『三爸爸†無双』 其の五十六

 

 

本編Aパート

本城 孫呉館 雪蓮母娘私室            (時報:桂花七女 柊 生後九日)

【雪蓮turn】

 

「媽媽!弟を産んでっ!」

 

 外から戻った私へ、冰蓮(ぴんれん)が発した第一声がこれだった。

 私はひとつ大きな溜息を吐いてから両手を腰に当てて、しかめっ面を冰蓮の顔の間近まで近付ける。

 

「こぅら、その前に言う事があるでしょ。」

 

「お帰りなさい♪媽媽♪」

「はい、ただいま♪冰蓮♪」

 

 うんうん、素直でよろしい♪

 

「言ったから、媽媽は弟を産んでくれるのよね!」

 

 あ~、もう。期待に満ちた顔しちゃって。

 聖刀ちゃんが産まれてから毎日見に行ってるしねぇ…………そろそろ言い出す頃だと思ってたわよ。

 

「私としても産んであげたいんだけどねぇ~………神様がなかなか授けてくれないのよねえ。」

 

 私は言いながら冰蓮を抱き上げて椅子に座り、膝の上に冰蓮を座らせた。

 

「神様が?」

 

「ほら、一年前に言ったでしょ。妹が欲しくないかって。あれからずっと、爸爸たちと神様にお願いしてるのよ♪」

 

 あの日の川での約束から、もう一年経っちゃったのねぇ。

 

「冰蓮、今は妹じゃなくて弟がほしいんだもん!」

 

 ありゃ…………ここは教育的指導が必要だわね。

 

「あのね、冰蓮。赤ちゃんは生まれるまで男の子か女の子か分からないでしょ。それは冰蓮が生まれる時もそうだったのよ。」

 

「?」

 

「冰蓮が生まれた時に、もし爸爸たちが『冰蓮は男の子じゃなかったのか、嫌だなあ』って言ってたらどう思う?」

 

 私が芝居掛かって言うと冰蓮の顔が見る見る泣き顔になっていく。

 

「勿論、爸爸たちはそんな事言わないし、誰もそんな事思ってないわ。

だから冰蓮もこれから生まれてくる赤ちゃんに『男の子じゃなきゃイヤだ』なんて考えちゃ駄目よ。」

 

 私は優しく言い聞かせて、冰蓮を抱きしめる。

 

「…………うん……わかった………」

 

 涙声で返事をした冰蓮の頬にキスをしてあげる♪

 うん、これでこの子は大丈夫でしょ。

 

「………ねえ、媽媽…………冰蓮も爸爸といっしょに、媽媽に赤ちゃんがさずかりますようにって、お願いしていい?」

 

「ええ、いいわよ♪それじゃあ、媽媽のお腹に手を当てて………」

 

「そうじゃなくって!爸爸といっしょにしたいの!」

 

 真剣な目をしてるわねぇ………教育が上手く行ってるんだから、ここは仕上げを一刀たちに協力してもらいますか。

 

「はいはい♪じゃあ今から爸爸たちの所に行って神様にお願いしましょう♪」

 

「え?神様にお願いって、ベッドの上でするんじゃないの?」

 

「はい?」

 

「この前に媽媽がお寝坊したときに言ったんだよ。夜おそくまで爸爸とお祈りしてたからって。」

 

 あ~~~~、そんな事も言った気がする…………。

 

「そ、そうね。とにかく爸爸に今晩も来てくれる様にお願いしましょう。」

 

「うんっ♪」

 

 まあ、なんとかなるでしょ♪

 

 

 

 

本城 皇帝執務室

【赤一刀turn】

 

コンコン

 

 書類に目を通していた俺たちは、ノックの音に顔を上げる。

 もう直ぐ今日の仕事を終える時間だ。

 丞相室の誰かが処理の終わった書類の確認に来たのかな?

 

「「「はい、どうぞ。」」」

 

 扉が開いて現れたのは………雪蓮っ!?

 

「「「ええっ!?雪蓮が書類の確認に来る筈無いよな!?………という事はもしかしてっ!!」」」

 

 俺たちは雪蓮が懐妊の報告に来たのかと期待を込めた目で立ち上がった。

 

「違う違う!今日は駕医と二刃は朝から街の病院の日よ。凪も兵の調練してるから検診はお休みよ。」

 

 雪蓮の言う通り、今日は検診が無いので俺たちはこの部屋で仕事に没頭していたのだ。

 それに夕方近いこの時間に懐妊の報告って普通は無いんだけど、相手は雪蓮だからなぁ。

 この自由人なら仕事を抜け出して駕医や凪の所に行って来たとしても不思議ではない。

 え?俺たちも似たような物だって?…………………………今は、俺たちの事は置いといてくれ。

 

「爸爸ぁ、お願いがあるの♪」

 

「「「冰蓮!?」」」

 

 雪蓮の後ろから現れた冰蓮が、俺たちの机の前に走って来る。

 

「「「雪蓮!子供達は特別な時以外、この執政区画に入れちゃダメな規則だろう!」」」

 

「……………うん。今の一刀たちを見て、私も改めてそう思ったわ。」

 

 俺たちは一瞬で冰蓮の所に移動し抱き上げ、午後の仕事で消費した娘成分を頬擦りしながら補給し始めていた。

 自分でも無意識の行動なので歯止めが効かない上に、心は『甘やかし』にすっかり侵食されてしまっている。

 

「「「さあ、冰蓮♪どんなお願いかなぁ?爸爸たちが叶えてやるぞお♪」」」

 

「あのね♪今日の夜にね、媽媽に赤ちゃんがさずかります様にって、冰蓮も爸爸たちと一緒にお祈りしたいの♪」

 

「「「そうかそうか♪…………………夜に?」」」

 

 夜にする赤ちゃんが授かるお祈り………それは俺たちが子供達に言っているアレの言い訳のひとつだ。

 他にはマッサージをしてるとか、格闘技の修練をしてるとか。

 実は俺たちが子供を寝かしつける時、母親も一緒に寝台に居る事が殆どなんだけど、最近は子供が寝たらそのまま一戦に交えてしまう事が多い…………慣れって怖いな。

 だけど冰蓮は勘が鋭いから、必ず雪蓮の部屋に移動してるぞ!

 あ………そう言えばこの間は寝坊した言い訳に『朝まで媽媽の部屋で神様にお願いしていた』と言った気がする。

 う~~~ん…………六歳の子に性教育はまだ早すぎるよな。

 お祈りっぽい芝居をして誤魔化すのが妥当なんだろうが、冰蓮なら見破る可能性が高いぞ…………どうしよう…………。

 

 俺たちが返答に困って冷や汗が出てきた所で、また扉が開いた。

 ノックも無しに入ってきたのは

 

 

「雪蓮!話が有るっ!」

 

 

 怖い顔をした冥琳だった。

 だけど冥琳は部屋の状況を見て怒りの表情が収まった。

 

「雪蓮。私の話よりも先に、お前が冰蓮をここに連れてきた理由を教えてくれ。」

 

 てっきり雪蓮が冰蓮をこの部屋に連れて来た事を怒っているのかと思ったのだが、どうやら違うらしい。

 冥琳のあの顔は何か策を講じている顔だな。

 そして雪蓮が答えるより早く、俺に抱っこされた冰蓮が冥琳を真剣な顔で見て答えた。

 

「冰蓮が媽媽にお願いしたの!夜に爸爸たちと一緒に神様にお祈りさせてって!」

 

「ふむ、成程。」

 

 言葉足らずの説明だが、冥琳はそれで理解したに違いない。

 俺たちが窮地に立たされている事も含めて。

 

「確かにそれは大切な用事だな。だが、もうひとつ冰蓮に教えておきたい重要な話が有ってな。」

 

 冥琳は冰蓮に近付き、真面目な顔で冰蓮の瞳をしっかりと捉えて話をした。

 

「重要なお話?」

 

「二刃が半月程前に、蜀館の風呂に招かれたそうだ。」

「ええーーーーーーーっ!!」

 

 ああ、そう言えばそんな事が有ったって桃香から聞いたな。

 蜀の子達には『他の子達が騒ぎ出すと二刃に迷惑を掛ける』という理由で内緒にさせたらしい。

 大人達には全員に伝えてあるとも言っていた。

 半年ちょっと前に曹魏の風呂から始まった『二刃争奪戦』とは、二刃の状況が変わっているからな。

 

「蓮紅様と烈夏、冥龍が桃香媽媽から聞いた話だ。」

「香斗おねえちゃんも愛羅ねえちゃんもズルいーーーっ!」

 

 桃香が口を滑らせた……訳では無いな。

 いつまでも隠し通せる訳は無いし、こんな子供の時から姉妹間で内緒が有るのも良く無い。

 冥琳の態度から見て、何か上手い解決方法が現在進行中といった所か?

 それに冰蓮の意識を二刃と風呂に入る事へと向けられれば、俺たちは今の窮地を脱する事が出来るのでは?

 

「そこでな、冰蓮。私は二刃が今晩にも孫呉館の風呂に入ってくれる策を考えた。」

「ホント♪」

 

 おおっ!見事に食らいつかせた!

 

「冰蓮は二刃が帰って来たら、さっきの『爸爸たちとお祈りをする』話をするんだ。」

 

 え?何で?折角冰蓮の意識が逸れたのに………あ、雪蓮の目が冥琳に任せろって言ってる。

 

「それで二刃おねえちゃんがお風呂に来てくれるの?」

「その時に、『今から(みそぎ)の為にお風呂に入る』と言うんだ。」

「みそぎって何?」

「神様にお願いする前に身体を綺麗にする事だ。どうだ、言えるか?」

 

「うん♪大丈夫だよ♪」

 

「よし!それでは門まで二刃を迎えに行きなさい。もう直ぐ帰って来る時間だ。」

 

「はーーい♪」

 

 元気な返事と同時に、冰蓮は弾かれた様に部屋を飛び出して行った。

 あまり来た事の無いこの執政区画でも、冰蓮なら道に迷う事は無いだろう。

 

「ねえ、冥琳。どういう計画なのか教えてくれる?♪」

 

 雪蓮の顔は期待に満ちて、実に楽しそうだ。

 対して俺たちは不安満載…………どうやって冰蓮を納得させるんだ?

 何よりも今の二刃を相手するのがメンドクサイんだけど…………。

 

 

 

 

おまけ壱

『北郷二刃奮闘記』其の二十一

リクエスト:呉の子供とお風呂 11票

 

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)七歳

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)七歳

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)六歳

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)六歳

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)六歳

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)五歳

40)亞莎の長女 呂琮(りょそう) 茜(ちぇん)三歳

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)三歳

51)穏の長女  陸延(りくえん) 毬(ちう)二歳

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)一歳七ヶ月

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)一歳一ヶ月

 

本城 正門

【二刃turn】

 

 あたしと駕医さんが腕を組んでお城に戻って来ると、正門の前にたくさん人が集まっていた。

 雪蓮さんに蓮華さんに小蓮さん…………あれ?孫呉の人達ばっかりだ。

 子供達も蓮紅ちゃんを先頭に孫呉の子が勢ぞろい。

 これはもしかして………お風呂のお誘いかなぁ。

 蜀館での出来事は他の子には内緒ってなってたけど、いつまでも隠し通せるハズないしね。

 でも、兄さんたちも揃ってるのが引っかかる…………。

 

 それでもあたしは片手を大きく振った。

「ただいまあ♪」

 

『おかえりなさい、二刃おねえちゃん♪駕医せんせー♪』

 

 子供達が声を揃えての返事に、あたしは心が温かくなって駕医さんの腕を強く抱きしめた。

 あたしも早く子供が欲しいなぁ♪

 

「二刃おねえちゃん!冰蓮とお風呂に入ろう♪」

 

 おわっ!冰蓮ちゃんが突然目の前に!?

 

「冰蓮ね、みそぎをして爸爸といっしょに媽媽のお腹に赤ちゃんが来るお手伝いをするの♪」

 

「え?」

 

「冰蓮だってもう子どもじゃないんだから、お手伝いできるも~ん♪」

 

 得意気に胸を張って「どやぁ」とか言いそうな顔してるけど…………まさか兄さんたち、本当に冰蓮ちゃんを手伝わせるなんて事は無いわよね…………いや、美以ちゃん達という前科の有る兄さんたちだしもしかしたら…………。

 

「ぴ、冰蓮ちゃん………ちょっと待っててね♪」

 

 あたしはそう言って優しく笑い掛けた後、ダッシュで兄さんたちに詰め寄った。

 

「(兄さんたち!冰蓮ちゃんにナニをするつもりなの!)」

 

「「「二刃、イントネーションがおかしいぞ。」」」

「まあまあ、落ち着いて、二刃♪」

 

 雪蓮さんがあたしの肩に手を置いて笑ってる。

 

 

「(別に二刃と駕医が毎晩してる事をするわけじゃないから♪)」

 

 

 左の耳元で囁かれた言葉に、あたしの顔が瞬間的に火の出るくらい熱くなった…………。

 

「ここは私が説明しよう。」

 今度は冥琳さんが雪蓮さんとは右の耳に口を寄せてきた。

 

「(半月前の蜀館での風呂の事が孫呉の子供達の耳に入ったというのは想像が付くだろう。)」

「(は、はい………)」

「(冰蓮はそれを知る前に、雪蓮に弟を産んで欲しいとせがんでな。)」

 冰蓮ちゃんなら言い出しそうだ

 ここでまた右の耳に雪蓮さんの声。

「(冰蓮には産まれた子が女の子だった時に『残念だ』みたいな事を考えない様に言い聞かせたの。)」

「(あ、冰蓮ちゃんは分かってくれたんですね。)」

「(ええ。で、そうしたら今度はアレを言い出した訳よ。)」

「(雪蓮と一刀たちは冰蓮に『神様に赤ちゃんを授けてくれる様にお祈りをしている』と説明していてな。)」

「(ああ!それで『お手伝い』なんですね!)」

「(そういう事だ。そこで神様にお祈りするには『禊』をする必要が有ると教えたら……)」

「(成程………冰蓮ちゃんはあたしをお風呂に誘う口実にもなると思ったんですね。)」

「(二刃、悪いけどお願い出来ないかなぁ?冰蓮の教育の為に♪)」

「(事情が分かりましたから協力しますよ♪でも…………)」

「「(でも?)」」

「(実際の『お祈り』方はどうするんですか?)」

「(そっちも問題無い。既に手を打ってある。別にこれで絶対に懐妊しなければならない訳では無いしな。)」

 

 それもまた教育って事なんだろうな。

 

「ねえ、二刃おねえちゃん!ひとりで孫呉のお風呂にくるのがさびしいなら、駕医せんせーもいっしょでいいんだよ♪」

 

「ええっ!?」

 いつの間にか冰蓮ちゃんが後ろに!

 

「そうだ♪爸爸たちもいっしょに入ろう♪」

 

 に、兄さんたちもっ!?

 

「ねえ!蓮紅おねえちゃん!烈夏ねえちゃん!冥龍!宴!八倻!爸爸たちもいっしょがいいよね♪」

 

 冰蓮ちゃんが止める間も無く走って行っちゃう!

 

「待ちなさい!冰蓮!爸爸たちと駕医はお話する事が有るから駄目よ!」

 

 ほっ………雪蓮さんが止めてくれた…………。

 

「え~~~~!?」

 急停止した冰蓮ちゃんが走って戻って来る……と思ったら、兄さんたちに抱きついた。

 

「ねえ、爸爸ぁ!爸爸たちもいっしょにはいろうよ~。さっきお願いきいてくれるって言ったよねぇ!」

 

「「「爸爸たちも冰蓮たちとお風呂に入りたいんだけどね……………」」」

 

 あたしは兄さんたちを思いっきり睨んでやった。

 

「「「今日は我慢しような…………」」」

 

 

 

 

本城 孫呉館 露天大浴場

【二刃turn】

 

 という訳で、あたしは孫呉館のお風呂にやって来た。

 脱衣場から既にあたしの周りは、姪っ子達が取り囲んで服を脱いでいる。

 孫呉のお義姉さん達とお風呂に入る時は、この状況が実にありがたい………胸的な意味で………。

 茜ちゃんから下の子は媽媽に服を脱がせてもらってる。

 

「二刃おねえちゃん♪早く入ろうよ♪」

 

 冰蓮ちゃんが早くも脱ぎ終わってあたしを見上げてきた。

 その後ろからパンツ一枚の蓮紅ちゃんが怒った顔で冰蓮ちゃんの頭を掴んだ。

 

「冰蓮!ちゃんと脱いだ服をたたんでカゴに入れなさい!」

 

 無理矢理首をひねって脱ぎ散らかされた服に顔を向けさせている。

 さすが蓮華さんの子だな♪蓮紅ちゃんの籠には綺麗に折りたたまれた服が入っていた。

「え~、メンドくさいよ~」

「冰蓮ちゃん、今日は禊をするんでしょ?神様はこういう所も見てるんだよ。」

 あたしがこう言うと渋々ながら服を拾い集めてたたみ始めた。

 あたしと蓮紅ちゃんは顔を見合わせてクスリと笑い合う♪

 その時、視界の端に烈夏ちゃんがたたんだ服を頭の上に乗せるのが見えた………。

「烈夏ちゃん………何してるの?」

「あ……………水練の時とまちがえた。」

 ええと…………それって服を濡らさない様に川を泳いで渡る練習だよね?

「「二刃おねえちゃん、まだぁ~?」」

 今度は宴ちゃんと八倻ちゃんが準備を終えて待っていた。

「ごめんごめん♪直ぐに脱いじゃうから♪」

 あたしも残すのは下着だけなので、ブラを外しにかかる。

「……………あの………宴ちゃん、八倻ちゃん………なんでそんなに見てるの?」

「媽媽が二刃おねえちゃんのおっぱい、大きくなった気がするって言ってたから♪」

「八倻の媽媽は二刃おねえちゃんが虫にさされて赤くなってるところがあったらおしえなさいって♪」

 

 宴ちゃんはまだいい……………八倻ちゃん…というか七乃さん!

 

 七乃さんを探して視線を巡らせ………………。

 うぅ…………おっぱい山脈が目に入ってしまった……………。

 

「二刃………」

「二刃ちゃん…………」

 

 落ち込むあたしの肩に手を置いて声を掛けてくれたのは、妊娠八ヶ月のお腹を抱える思春さんと、藍華ちゃんの手を引いた明命さんだ。

 言葉は無くても二人の気持ちが伝わって来る……………同志!

 

 

 

 湯船に浸かった所で最初に話し掛けてきたのは、意外にも冥龍ちゃんだった。

「二刃お姉ちゃん。お祈りってどんな風にするの?かか様は教えてくれないの。」

 いきなり困った質問をされちゃったなぁ…………冥琳さんとそのあたりは打ち合わせてないよ………。

「二刃お姉ちゃんも駕医先生とお祈りしてるんでしょ?」

「え!?…………ええ、してるわよ♪」

 事が終わった後だけど……………。

 

「で、でもね!お祈りは、やり方よりも心が大事なのよ!」

 

「二刃お姉さま。仰る事は分かりますけど、わたしは呉王の姫として儀式には精通しておく義務があると思います。」

 

 せ、精通!?………………ああ、詳しく知る方ね…………。

 だけど、蓮紅ちゃんって蓮華さん譲りで真面目だわ。こういう時は………。

 

「蓮紅ちゃんが教わってないのはその年齢に達していないからよ。蓮華さんもそう言って無かった?」

「それは…………でも…冰蓮が教えてもらえるのに、わたしが教えてもらえないのは………」

 

「たぶん冰蓮ちゃんには略式の物を教えると思うわ。あたしも詳しくは冥琳さんから聞いてないし、蓮華さんの許可が無いと教えられないの。」

 

 真実を伝えるにしても、母親の許可無く性教育はできないよねぇ。

 

「分かりました!今からお母さまの許可を頂いてきます!」

 

 蓮紅ちゃんが立ち上がって蓮華さんの方へザブザブとお湯をかき分けて行っちゃう。

 あ、蓮紅ちゃんのお尻って香斗ちゃんより大きい………。

 

「烈夏お姉ちゃんはその儀式を覗いたことって無いの?」

 

 冥龍ちゃんの発言に、焦って烈夏ちゃんを見てしまう。

 普段から隠密修行をしている烈夏ちゃんだ。

 偶然兄さんたちの誰かがシテる所を見てしまっている可能性も…………。

 

「ないよ。夜の修行は媽媽と一緒にするけど爸爸たちの所に行かないから。」

 

 ふう…………思春さんが一緒なら大丈夫ね………………。

 と思っていたら、思春さんがこっちにやって来る。

 

「ほら、お前達は体を洗ってきなさい。特に冰蓮さまはこの後お祈りをしたいのでしょう?しっかり洗わないとさせて貰えませんよ♪」

 

『はーい♪』

 

 素直に返事をする子供達…………今までのパターンだと…………。

「二刃おねえちゃんも洗いっこしよう♪」

 やっぱり冰蓮ちゃんが言って来た。

 

「二刃は雪蓮様とお話が有ります。代わりに私が洗って差し上げましょう♪」

「ええっ!?だ、だいじょうぶ!冰蓮は冥龍たちと洗いっこするからっ!」

 

 子供達が慌てて洗い場に向かって行く……思春さん、前に何かしたのかな?

 とにかく、いつもの触られまくる事態は回避できて助かったわ。

 

「さて二刃、今からは大人の時間だ。」

 

「へ?」

 

 思春さんを見ると、自分の背後を指差している。

 視線をそちらに向けると孫呉巨乳艦隊がお湯をかき分け接近して来る所だった………。

 

「二刃、無理を言って済まなかったな。」

 

 冥琳さんがそう言ってあたしの正面でお湯に浸かった………但し、上半身は水面上………。

「冥琳!そんな前置きはいいわよ!」

 前のめりで突っ込んで来たのは小蓮さん。

「時間が無いんだから!ねえ、二刃!わたしの教えたアレ♪どうだった?」

 蕾蓮ちゃんを抱っこしたままその話題に突入するんですか!?

「小蓮、アレとは何じゃ?二刃に何を教えたのじゃ?」

 小蓮さんの隣で美羽さんが、こちらも優羽ちゃんを抱っこして訊いている。

「えっとねぇ………………」

「ふむふむ………………そ、それはまだ早いじゃろ!」

 うん…………確かにアレはハードル高い…………でもいつか駕医さんに♡

「美羽さまの言う通り、アレは覚えたての二刃ちゃんには早いですよ。あぁ♪でも、アレを一刀さんにしている美羽さまの姿はとても健気で素敵でしたぁ~♡」

「七乃!?おぬしはいつ見ておったのじゃ!?」

 七乃さん…………覗いてたんだ…………。

「二刃、儂の教えた手管はどうじゃ?役に立ったじゃろう♪」

「ちょっと、祭。二刃に何を吹き込んだの?」

「蓮華様、吹き込むとは人聞きの悪い!昔、蓮華様にもご教授差し上げた手管ですぞ!」

「も、もしかして………た、確かに一刀は喜んでくれたけど………」

 祭さんが教えてくれたのって数が多いからどれの事だか………。

「亞莎、私も二刃さんに何か教えて差し上げた方が良いのでしょうか?」

「明命のは特殊すぎるので参考になりませんよ…………二刃さんも教えられた事を無理に実践しなくてもいいんですよ。私みたいに恥をかく羽目になりますから…………」

 明命さんは猫の霊を憑依させるんだっけ?確かにそれは無理っぽい。

 亞莎さんは一体何をしたんだろう…………茜ちゃんと藍華ちゃんがお二人の膝の上に居るから詳しく聞くのをためらっちゃうな。

 

「ねえねえ、二刃♪私、詳しく聞いておきたい事が有るんだけどなぁ~♪」

 

 ここで遂に艦隊旗艦の雪蓮さんがあたしの隣にやって来た。

「な、何でしょう……………」

 

「モチロン、初夜の、は・な・し♪」

 

「え、え~と………それは…………………」

 

 いくら何でも恥ずかしいよ……………ど、どうやって回避しよう……………。

 

「二刃ちゃん♪後学の為に詳しく教えて下さいねぇ~♪」

 

 いつの間にか背後に穏さんがっ!!退路を絶たれた!!

 

 

 

 

 

本城 孫呉館 屋内浴室

【華佗(駕医)turn】

 

 俺は一刀たちに誘われて、孫呉館の浴室に来ていた。

 今回の一件のあらましを聞き、父親の大変さという物を改めて感じている。

 まあ、二刃がまだ懐妊していないのに、気が早いとは思うが。

 

「「「こうして駕医と風呂に入るのも久しぶりだな。」」」

 

「そうだな、一昨年の赤壁以来か。」

 

 毎年恒例になっている赤壁調練大会の賞品となる一刀たちは、期間中に奥さん達と風呂に入れない事になっていた。

 そこで毎年俺が誘われて入っていたのだが、去年は二刃がここにやって来るのを待ち構えた為に赤壁での調練が中止になったのだ。

 

「「「吉祥が二刃の予言をして、一年しか経ってないんだな。」」」

「あの時は自分が結婚するなんてまるで考えて無かった…………人生とは本当に不思議なものだ。」

 

 この不思議な親友たちを義理の兄と呼ぶ事に成るとは…………その一刀たちが俺の背中を押してくれたのだから、感謝の気持ちはとても言葉で言い表せない位だ。

 

「「「なあ、駕医。こんな機会だから聞いておきたいんだが…………」」」

「ん?どうしたんだ、改まって?」

 

「「「二刃はちゃんと“女”としてお前の相手が出来ているのか?」」」

 

「兄としてそれを俺から聞くのは、あまり良い気分では無いんじゃないか?」

 一刀たちは揃って複雑な顔をしている。

 父親の代わりだと言っていたのだから当然だろう。

「「「正直に言うとその気持ちも有る。だけど、親友のお前に迷惑を掛けてないかも気になるんだよ…………」」」

 

「迷惑だなんて事は無いぞ!自分で言うのも何だが、俺みたいな朴念仁に尽くしてくれて、とても有難いと思っている!」

 

「「「そ、そうか……………」」」

 

「ああ♪俺もこの歳になって初めての………その……女性経験だから色々と戸惑うんだが、二刃はお義姉さん達から教えて貰って、積極的に行動してくれているぞ。」

 

「「「二刃が………………………なあ、駕医。」」」

 

「うん?」

 

「「「精力剤の材料を多めに仕入れておいてくれないか?」」」

 

「それは構わないが…………………使う事になりそうなのか?」

 

「「「ああ、多分…………………………(お前もな…………)」」」

 

 

 

本城 孫呉館 露天大浴場

【冰蓮turn】

 

「聖刀ちゃんのおちんちんって爸爸たちのとちがうよね♪」

 

 烈夏ねえちゃんの背中を石けんでアワアワになった手ぬぐいでこすりながら、頭の中で思い出したから言ってみた。

「うん、違う。」

「爸爸たちのってぶら~んとしてて」

「冰蓮!そんな恥ずかしい話をしないの!!」

 烈夏ねえちゃんが背中を洗ってる蓮紅おねえちゃんにおこられた。

「だって、ぜんぜんちがうんだもん……」

「聖刀ちゃんは赤ちゃんなんだから当たり前でしょ!女だって大人になればおっぱいが大きくなるんだから、男の人のおちんちんだって大きくなるわよ!」

「蓮紅おねえちゃんはおっぱいふくらんできたからおとななんだ♪」

「え、宴!わたしはほんのちょっぴりだけでしょ!香斗ちゃんはわたしの倍あるんだから!」

「そのかわり、お尻は蓮紅おねえちゃんが一番大きい♪」

「嬉しくないわよ!」

「烈夏はペッタンコ………………」

「おねえちゃん、燃秋ちゃんは弟かな?妹かな?」

「八倻、そんなこと考えちゃダメなんだよ!元気に生まれれば弟でも妹でもいいの!ちがった時に『ざんねん』って思っちゃったら、赤ちゃんがかわいそうでしょ!」

「わあ!冰蓮がいいこと言ってる!!また、変なキノコ食べたんでしょっ!!」

「食べてないよっ!媽媽に言われて冰蓮もわかったんだも~ん♪」

「ねえ、蓮紅おねえちゃん。まさとちゃんが宴たちとおふろに入れるのっていつ?」

「来月の爸爸たちとのお風呂のときだと思うわ。」

「そのときに爸爸たちと聖刀ちゃんのおちんちんをくらべよう♪」

「冰蓮はそこから離れなさい!冥龍も冰蓮に言ってあげなさい!」

「え?かか様から観察は大事だって言われてたから、記録をしようかと思ってたんだけど…………」

「聖刀ちゃんが大きくなった時に悲しむから止めなさい!」

「「「「「ちんちんが?」」」」」

 

「聖刀ちゃんが物心ついたときって意味よっ!!」

 

 

 

 

本編Bパート

本城 孫呉館団欒室               (時報:桂花七女 柊 生後九日)

【赤一刀turn】

 

「「「みんな大丈夫か?」」」

 

 雪蓮を始め俺たちの奥さん全員がのぼせてダウンしてしまった。

 メイド隊の応援を要請して、俺たち三人も一緒になって団欒室に運び込み、縁台に寝かせて涼ませている所だ。

 

「少し休めばダイジョウブ…………湯中りじゃないから………」

 

 冷水で濡らした手拭いを額に乗せた雪蓮が、木の縁台に寝そべり、下着姿で手をヒラヒラさせて答えた。

 どうもみんなで二刃から何かを聞き出したらしいのだが。

 

「二刃の惚気(ノロケ)がここまで強烈だとは予想外だったわ…………」

 

 二刃を風呂に誘った最大の目的が、新婚生活の話を聞き出す事だった様だ。

 いい加減みんなもしびれを切らしてたし。

 それで返り討ちに遭っていれば世話がないけど………。

 母親達はこんな状態だし、冰蓮との約束を果たさねばいけないので、打ち合わせの為に子供達は別の部屋でメイド隊や後宮組に任せて世話をして貰っている。

 打ち合わせの助っ人もこの部屋に来てくれていて、その内のひとりがこの状態を見て目を吊り上げていた。

 

「呼ばれて来たのに何やってるのよ、あんたたちはっ!」

 

 仁王立ちで怒鳴ったのは桂花だ。

 その横には困惑顔の炙叉と、妊娠六ヶ月の吉祥も来ていた。

「御子様、何が有ったの?」

「あら?駕医くんと二刃ちゃんは?」

「「「駕医と二刃はみんなの治療が終わったから先に帰らせた。ここに駕医が居ると二刃が嫉妬で暴れらしそうだったし…………この惨状の原因も二刃なんだけどね。」」」

 俺たちは事情を頭から説明した。

 

 

 

「それで子供達が居ないのね。冥琳!あんたが居ながら何やってるのよ!」

「面目ない……桂花……」

「それに思春!あんたお腹の子に何かあったらどうするの!落ち着いたら後宮に戻って今日は寝なさい!」

「い、いや、これから雪蓮様と打ち合わせを…」

 

「問答無用!後宮を預かるこの私に、妊婦である以上、口答えはさせないわよ!」

 

 お腹の子を思っての強権だけに思春も逆らう事が出来ず、大人しく従った。

「穏も居ないけど何処に行ったの?」

「「「穏は自室に隔離された。」」」

「………………賢明な処置ね。それで私達は何をすればいいのかしら?」

 桂花としても上の子達を誤魔化すのが苦しくなって来てる為か協力的だな。

「「「計画立案は冥琳がしてくれてたんだけど………」」」

 雪蓮と同じ様に身体を冷ましている冥琳を見ると、腕を振って手招きをしていた。

「桂花と炙叉と吉祥には司祭役をして貰いたかったのだ………子供達にも私がやるより説得力が有ると思ってな………」

「説得力って!…………ああ、もう!どうせ私は子だくさんよ!で?具体的な祝詞(のりと)とか手順とか考えて有るの?」

「そこは吉祥に知恵を借りようと思っていた……」

 

「取り敢えずの略式でいいのよね?それなら直ぐに思いつくけど♪」

 

 吉祥、お前楽しそうだな。

 

「時間も無いから言ってちょうだい、吉祥。」

「そうね、柊ちゃんを懐妊した時にみんなが奉納したした物を使うのはどうかしら?」

「ちょっと、それって!」

「ああ、パンツと枕ね。」

 炙叉の言ったパンツと枕って………ああ、子宝祈願の。

「「「子供達も知ってるから、確かに説得力は有るな。」」」

「どうやって使おうかしら…………桂花ちゃんがパンツを被って、玉串の代わりに枕を振り回すとか?」

 

「あんた私を変態にしたい訳!?」

 

「御子様たちが被ったら本当に子供が出来そう♪」

「「「くっ…………否定しきれない!」」」

「却下よ!却下!パンツと枕は祭壇にでも上げとけばいいでしょ!」

「え~、面白くないなぁ~…………なんなら雪蓮ちゃんが被る?」

「そんなの私だって嫌……………冥琳のパンツなら♡」

「馬鹿な事を言うな!」

「そうだ♪子宝飴も使っちゃおうか♪」

 

「「「冰蓮が居るんだから駄目に決まってるだろうっ!!」」」

 

「あの子にあの飴見せたら、面白がって普段から持ち歩くわよ。」

 雪蓮の言う通り、冰蓮なら有り得る…………。

 

 

 

 

本城 孫呉館 雪蓮私室

【雪蓮turn】

 

 なんとか手順を決め、冰蓮を呼んで私の部屋に移動した。

 私と一刀たち三人、そして司祭役の桂花と炙叉と吉祥の七人で打ち合わせ通りに準備を始める。

 桂花が冰蓮を座らせて話し始めた。

 

「いい?冰蓮。普段は私みたいな司祭役が居なくてもいいのだけど、今回はあなたの為に私がやってあげるわ。」

 

「あれ?いつもは冥琳媽媽がしてるんじゃないの?」

 

 あらぁ~、最初から(つまず)いたわねぇ…………。

 うわ!桂花に睨まれた!

 

「こ、今回は特別よ♪さあ、始めましょう!」

 

 桂花に引っ張られて、私は寝台に横になった。

 寝台の枕側に祭壇を用意し、そこに私の畳んだパンツが置いてある。

 ちゃんと洗濯したやつだからね!

 仰向けに寝た私のお腹に、一刀たちが手を置いた。

 

「「「さあ、冰蓮も媽媽のお腹に手を置いてごらん。」」」

 

 一刀たちは寝台の外からだけど、冰蓮では届かないので、寝台に上がって私の隣に座る形で手を伸ばしてきた。

 

「さあ、冰蓮。雪蓮のお腹に赤ちゃんを授けて下さいって、心の中で神様にお願いするのよ♪」

 

「うん♪」

 

 桂花の指示に元気よく返事をする冰蓮…………私は目を閉じて四つの手の温もりを、穏やかな気持ちで感じていた。

 桂花と炙叉と吉祥の氣も感じ取れる。

 そして吉祥と同じ場所にもうひとつ……妊娠六ヶ月になった吉祥の赤ちゃん。

 これくらいになってくれれば私にも判るのよね♪

 

 あれ?何だか周りが明るく………違うわ!

 

 

 何か強い氣の流れ!それが私の中に!

 

 

 

 

 

 私が目を開けると、既に夜が明けていた。

 昨日はあのまま寝入ってしまったのね…………こんなの初めてだわ………。

 意識が途切れたのはほんの一瞬の様なのに、頭も体もスッキリしてる。

 体に触れる温もりに目を向けると、冰蓮が抱きついて可愛い寝息をたてていた。

 意識が途切れる直前に感じた氣の流れ………あれはもしかしたら…………。

 夜が明けているとはいえ、この時間に駕医と二刃の所に行くのは気が引けるわね。

 そうだ!凪ならもう起きて濤ちゃんと鍛錬を始めてる筈♪

 

「冰蓮、起きなさい♪」

 

「んにゅ………ままぁ?」

 

 

「朝のお散歩に行きましょう♪」

 

 

 

 

 

 この日の昼前には、私の懐妊がみんなに知れ渡っていた。

 

 そして蓮華達が桂花を祀る社を建設しようかと本気で会議を始めてしまったわ……………。

 

 

 

 

 

おまけ弐

『聖刀くんの日常』其の二十

リクエスト:魏のメンツで魚釣り 7票

 

61)北郷聖刀 真名:輝琳  六歳

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん) 十三歳

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん) 十三歳

7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい) 十三歳

18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ) 十二歳

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん) 十二歳

31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい) 十一歳

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん) 十一歳

43)桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい) 十歳

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん) 十歳

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな) 九歳

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真梫(ましん) 九歳

48)桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう) 九歳

50)稟の長女  郭奕(かくえき) 貞(てい) 九歳

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ) 八歳

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい) 八歳

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい) 八歳

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら) 七歳

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう) 六歳

 

兄者と徐晃[真名:雲雀(ひばり)]の娘 徐蓋 真名:朱雀(すざく)六歳 

弟者と張郃[真名:豹牙(ひょうが)]の娘 張雄 真名:白虎(びゃっこ)六歳

 

荀攸 真名:素英(そえい) 十四歳

 

房都近郊河川 特設水練場

【聖刀turn】

 

 初夏の渓流はとても静かで、流れるせせらぎの音が心地いい。

 この川は夏になるとぼく達が水練をする場所であり、桂花媽媽が父上から泳ぎを教わった場所でもあるそうだ。

 そして父上たちや雪蓮媽媽と冥琳媽媽が釣りをしに来る場所でもあり、ぼくも連れてきてもらって釣りを教わった。

 そして何より、この間ぼくが眞琳お姉ちゃんと約束をした場所だ。

 今日は紫の父上と母上と眞琳お姉ちゃん、そして曹魏のみんなと釣りをしに来た。

 だけど今日の本当の目的は、荀攸さんとの親睦会だ。

 

「聖刀さ~ん♪本日はよろしくお願い致しますね~♪」

 

「ぼくこそよろしくお願いします、荀攸さん♪」

 初めての街で出会った時も感じたけど、荀攸さんの話し方って穏やかだな。

 

「私の事はお預けした真名、素英(そえい)で呼んで下さい♪」

「あ!そうでした!えっと………素英さん、釣りはできますか?」

「はい~♪許都の近くの川で、よくしていました~♪」

「許都の川ですか♪ぼくは許都に一回しか行った事がないからその辺りの話を、今日は聞かせて下さい♪」

 許都の街の話ってよく聞くけど、周囲の話ってあまり聞けないから楽しみだなあ♪

 

 

 

【濤turn】

 今日の主旨を理解しているので、私は聖刀ちゃんの行動を黙って見ている。

 だけどこの子達は………。

 

「濤様!朱雀はもう我慢できません!」

「白虎もです!光琳様もですよね!?」

「モチロンだ!モチロン………なのだが………後ろ姿だけ見てると桂花媽媽と輝琳ちゃまが並んで歩いてる様にも見えて…………」

 

「朱雀。白虎。お前達に与えた任務は『聖刀ちゃんと素英さん』を守る事だ。」

 私は朱雀と白虎を睨んで黙らせる。

 

 私は曹魏組の姉妹の中で、武官では最年長だ。

 華琳媽媽から武官の妹達をまとめる隊長職を任されている。

 聖刀ちゃんの親衛隊であるこの二人も、正式には私の部下だ。

 そして光琳…………このおバカの手綱が一番やっかいだった………手っ取り早くヘッドロックで動きを封じておくか。

 まあ今、光琳が言った事は私も感じていた事だけど。

 

「鈴蘭、悪いがいつもの様に光琳は任せる。」

「了解した、濤姉。」

 鈴蘭が光琳を受け取ってヘッドロックを引き継いだ。

「所で鈴蘭。素英さんの事なんだが、光琳の言う通り後ろ姿が桂花媽媽に似ているのは確かだが…………それ以外にも何か感じないか?」

「濤姉も感じていたか。実は私もさっきからそこが気になっていたのだ………」

 

 鈴蘭も同じだったか……………一体何だろう?

 

 

 

【紫一刀turn】

「ようし!これから釣り大会を始めるぞ♪一番沢山釣った人と一番大物を釣った人にご褒美をあげよう♪」

 

 川原に集まった子供達と母親達の何人かが目の色を変えた。

 その中の春蘭にはハッキリ言っておかないとな。

 

「他人の邪魔をしたら即失格にするからな!」

 

「うむ!ズルはいかんぞ、ズルは!曹魏の者ならば正々堂々と勝負に挑め!」

 

 春蘭…………相変わらず自覚無いのな…………判ってたけど。

 俺が秋蘭に目配せすると、笑って頷いてくれた。

 これで春蘭の事は大丈夫だろう。

 

「自信のない子は爸爸の所に来なさい。しっかりと教えてあげるぞ♪それでは開始っ!!」

 

 俺の掛け声と共に子供達が釣竿を持って一斉に動いた。

 全員が川に向かって……………………………………………………。

 

 

 その場に立ち尽くして見送る俺の前に、桂花がやって来る。

 

「泣いてないで、あんたも釣りに行きなさいよ。」

 

 

 

【金桂turn】

「嵐姉さんは数と大きさ、どっちを狙うの?」

 

 川に糸を垂らしてから右に居る嵐姉さんに訊いてみた。

「そうですねぇ~、嵐はお母さん譲りののんびり屋さんですからぁ、数をこなすのは大変なので大きいのが欲しいですねぇ。」

 そう言いながら、釣り針に着けている餌は………魚卵の塩漬け!?うわ!よく見たら針も大きい!

「大胆に誘うのねぇ………でも、そんな大きのに食いつかれたらひとりじゃ大変でしょ。その時は私も手伝うわ♪」

「ありがとうなのですよ♪仲良く一緒にすれば、爸爸さんも喜んでくれるのです~♪」

 

「「お姉ちゃん達、なんか会話がエッチよ………」」

 

「え?」「ほえ?」

 

 銀桂と丹桂の言葉に、今の会話を思い出してみる……………………………あ。

 

 

 

【聖刀turn】

「素英さん、また釣れたの!?」

 

 これでもう十匹目だ!

「本当に釣りが上手なんですね♪」

「ふふ♪ありがとうございます♪でも聖刀さんだってお上手ですよ♪」

「ぼくはまだ五匹しか釣れてないよ。」

「それは私と聖刀さんの歳と経験の差です♪私が聖刀さんの歳の頃はもっと下手くそでしたから、聖刀さんの才能はとても素晴らしいですよ♪」

「そ、そうかな?父上たちと冥琳媽媽から教わってるからだと思うけど…………そう言えば素英さんはどうしてそんなに釣りをする様になったの?」

 

 素英さんの笑顔が素敵でドキドキしてしまう。

 そんな自分を隠したいのと、素英さんの事が知りたくて、つい訊いてしまった。

 

「斉太公の逸話を知った時からですね♪」

「それって六韜と三略の勉強の時?」

「はい♪六韜と三略を書かれた斉太公が文王と出会った時の話を知った私は、その二冊を持って毎日の様に釣りをしながら読んでいました。」

「でも、その時の太公望は真っ直ぐな針を付けて、しかも水の中に入れないで釣竿を持ってたんだよね?」

「ええ♪私も最初はそうしてたのですが、折角だからと普通に釣りをする様にしたんです。そうしたら釣りも軍略に通じる物が在ると気が付きまして。」

「地形や気候を読んだり、相手の心理を読んだりする所だよね♪」

「聖刀さんも気が付いてましたか♪もうそれに気付いてからは釣りにのめり込んでしまって♪」

「あはは♪その気持ちも解るなあ♪」

「でも、今日は釣りを始めた頃に見た夢が叶いました。こうして聖刀さんとお話が出来たのですから♪」

「え?それってぼくが文王で素英さんが太公望って事?」

「はい♪それに………」

 

 素英さんは静かに後ろを振り向いた。

 ぼくも同じ様に振り向くと、そこに眞琳お姉ちゃんが竿と魚籠(びく)を持って立って居た。

 

「素英。竿の動きが止まってるけど、今から私に追い付けるのかしら?」

 

 眞琳お姉ちゃんが見せた魚籠には、素英さんの釣った倍は入っていた。

 お姉ちゃん……何か機嫌が悪そうだな?

 

「私は既に目的の物を釣り上げましたので、今日はもう釣りを終わりにしたいと思います♪」

「それは…………聖刀ちゃんの事かしら?」

「聖刀さんもそうですが、眞琳様にこうしてお声を掛けて頂きました♪」

「私に?」

 

「私、聖刀さんの様に可愛い男の子が好きなんですけど、眞琳様の様な年下の女の子にその様な目で見られて、いじめられるのも大好きなんです♪」

 

「なるほど、そういう事♪それじゃあ、素英。貴女には私という大物を釣り上げたご褒美をあげるわ。今夜、私の閨に来なさい♪」

「あ、ありがとうございます、眞琳様♡」

 

 う~ん?お姉ちゃんと素英さんの会話の意味が途中から分からなくなっちゃった………。

 眞琳お姉ちゃんと素英さんが母上と桂花媽媽にダブって見えるのは何でだろう?

 

 

 

【華琳turn】

「一刀、貴方もいい加減腹を括りなさい!」

 

 私達は紫一刀を取り囲んで説得に当たっている。

 一刀ったら、怒りと悲しみと困惑が混じった顔してるわ。

 

「そんな事言ったって!実の姉弟なんだぞ!その結婚を認めろって言われても………」

 

「眞琳も悩んだ末に出した答えなのよ。これで貴方たちが反対だと言うなら、子供達から嫌われるわよ!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!それだけは嫌だああああああああああっ!!」

 

 一刀が頭を抱えて川原を転がり出した。拳より大きな石がゴロゴロしてるのに………ホント、体だけは頑丈になったわね。

 

「昔、斉の襄公と文姜の夫婦が異母兄妹だったのは有名な話だし、最近でもそれほど珍しい話でも無いわ。」

「だから眞琳と聖刀は!」

「ええ!だからっ!!」

 起き上がった一刀の目を見据えて私は言う。

 

「眞琳は聖刀の正式な妻とは認めないわ!」

 

「…………………………………え?それじゃあ眞琳が可哀想な気が………」

 

 一刀の態度に桂花が声を荒らげた。

「あんた!眞琳様と聖刀様の結婚を認めるの!?認めないの!?はっきりしなさいよっ!!」

「い、いや…………他の子は認められるのに、眞琳だけ駄目っていうのも………」

「こうなった原因はあんたにも有るんだからね!散々『娘は嫁に出さん!』って暴れるから、何処からもその手の話が来ないのよっ!!」

 

「……………………………………………………………………………」

 

「今の貴方の態度で、世間の同情も得られると確信したわ。何年かすれば民の声に応える形で正式に妻と認める事になるでしょう。」

「何年かすればって…………そんなのいつになるか解らないじゃないか。」

「だから!眞琳はその覚悟もしてるのよ!私の娘なんだからそれくらい耐えてみせるわ♪」

 

 上手く紫一刀を誘導できたわね。帰ったら緑一刀と赤一刀も納得させちゃいましょう♪

 

 今のやり取りを見ていた何人かの子供達が不思議そうな顔をしてるわね。

「なあ、母ちゃん。結局どないになったん?」

「雰も聖刀のお嫁さんになれる様になったっちゅう事や♪」

「ホンマ!?ホンマなん!?」

「媽媽!紗那も!?」「オカン!ウチもなんか!?」「母さま!貞もですか♪」「媽媽!枦炉と華衣も!?」「決まってるじゃん!そうだよね、母ちゃん♪」

「連翹、黄梅、來羅、柊、あなた達は聖刀様と眞琳様にしっかり仕えるのよ!」

「「「「うん、媽媽♪」」」」

 

 はしゃぐ子供達を見ても一刀はまだ困った顔をしている。

「これで丸く収まるんだから納得しなさいよ。」

「いや、この子達については……………時間を掛けて納得するけど………素英とか白虎、朱雀とか、どうするんだ?他にも学園にやって来た子達だって聖刀が好きだろ?」

「そんなの、みんなまとめてお嫁さんにしちゃえばいいのよ♪」

「……………………………聖刀……………保つかな?」

 

「貴方たちと私の息子よ、平気でしょ♪」

 

 

 

 

 

おまけ参

リクエスト:天の国講座 其の二 9票

 

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)九歳

70)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)二歳

 

本城 後宮中庭              (時報:桂花 十人目 秦翹 生後二ヶ月)

【赤一刀turn】

 

「「「雨が降ってきたなぁ。」」」

 

 今日は朝から曇っていたけど、午後になって遂に降り出してきた。

「雨季に入ってもいい時期だもんな。」

「早く冰蓮と水蓮を探さないと。」

「どこで遊んでいるのか………」

 

 俺たちは降り出した雨の中、後宮の中庭を走って回る。

 冰蓮と水蓮がまだ遊んでいると桂花に言われて飛び出して来た。

 早く見つけて連れ帰らなきゃ…………雨が本降りになってしまった。

 雨宿りが出来る場所もあっちこっちに有るから、何処に居るのか探すのに大変だぞ。

 普段は広いのが自慢のこの庭も、こんな時は恨めしく思ってしまうのだから、我ながら自分勝手だな。

 

「あ、爸爸だ♪ここだよー♪」

「ぱーぱー♪」

 

 二人の声が聞こえた先には、一軒の純和風な家が建っている。

 駕医と二刃の暮らす家だ。

 その縁側に冰蓮と水蓮が揃って座っていた。

「「「ここに来てたのか、お前達。」」」

 

「ちょっと、兄さんたち!ずぶ濡れじゃない!」

 

 部屋の奥から二刃が姿を現し、驚かれた。

「「「そりゃまあ、雨の中を走っていたからな。」」」

 取り敢えず、俺たちは軒下に入って雨を凌ぐ。

「傘を差すとか、笠を被るとかすればいいじゃない。」

「「「談話室を出た時はまだ降ってなかったんだよ。それよりも冰蓮と水蓮はずっとここに居たのか?」」」

「ええ、ずっと二人で祉狼を見てたのよ♪」

 

 部屋の中に敷かれた布団には生後二ヶ月の男の子の赤ちゃんが眠っていた。

 俺たち初の甥っ子だ。

 

「「「冰蓮、お前は聖刀が産まれた時も同じ事してただろ。」」」

 

「だって、聖刀ちゃんの後も妹ばっかりなんだもん。」

「「「そんな事言ってるとまた媽媽に怒られるぞ。」」」

「大丈夫だよ~。水蓮だって可愛いもんね~♪」

「んね~♪」

 二歳の妹を抱きしめて可愛がる九歳の姉。

 うん、仲良きことは美しきかな。

 

「兄さんたち、お説教はその辺にして着替えたら?風邪引くよ。」

 

「「「着替えが無いだろ。」」」

 言いながら俺たちは、濡れた上着を脱いで絞った。

「義替えくらい出してあげるわよ。」

「「「駕医の服を?」」」

「貰い物で袖を通して無いのが有るから…」

 

 二刃の言葉が途切れたのでどうしたのかと思い顔を見ると、その視線は降りしきる雨の中に注がれていた。

 バシャバシャと水たまりを跳ね上げる音が聞こえ、誰かが雨の中を走って来ていると判った。

「「「雪蓮!」」」

「なかなか戻って来ないから迎えに来たわよ。ごめんね、二刃。迷惑掛けちゃって。」

「い、いえ…あたしも二人とお話が出来て楽しかったから………それよりも、なんで雪蓮さんまで傘を差さないんですか!?」

「へ?…………う~ん、楽だから?」

 俺たちはその理由を知っているから特に何も言わない。

 それに今の雪蓮は、正に『水も滴るいい女』だ。濡れた服が張り付いて、いつも以上に扇情的である♪

「なんで疑問形なんですか!」

「雨に濡れるのを気にしてたら、戦場で遅れを取るじゃない♪」

 雪蓮は軒下に入り俺たちの隣にやって来たが、濡れた髪も顔もそのままにして、まるで気にしてない。

「ここは戦場じゃありません!……はあ………雪蓮さんが傘を差して冰蓮ちゃんと水蓮ちゃんを迎えに来てくれたら、歌と同じで素敵だったのになぁ。」

「なになに?天の国の歌♪」

「ええ♪」

 ああ、あの童謡か。

「二刃お姉ちゃん!その歌、歌ってよ♪」

「えっと……それじゃあ………」

 二刃は少し恥ずかしそうにしていたが、冰蓮の顔を見ると微笑んで歌い始めた。

 

「雨 雨 降れ降れ 母さんが ジャノメでお迎え嬉しいな

  ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン♪」

 

「「「懐かしいな♪二刃が小さい頃に雨が降ると、この歌を歌って母さんと出かけてたよな♪」」」

「よく覚えてたわね。」

 二刃は拗ねた口調で言うが、顔は少し微笑んでいた。

 俺たちがその事を覚えていたのが嬉しいんだろう。

「「「ジャノメって言えば俺が小学生の頃に、母さんが本当にジャノメで迎えに来た事が有ってな。」」」

「それはあたしも初耳だけど?」

「「「あの時、母さんは和服で来たんだよ。まるで『極道の妻』みたいで友達がみんなビビってたぞ。」」」

「それでお母さん、あたしに教えてくれなかったのね…………本当は『機動隊の妻』だけど。」

 雪蓮と冰蓮は面白そうに俺たちと二刃の話を聞いていた。

 

「ねえ、所でジャノメって何?」

 

 知らないで面白がってたのかよ!

「「「この歌では俺たちの国の傘の種類のひとつだ。同心円の蛇の目模様ってのがあって、それを傘に描いたのを蛇の目傘って言うのさ。俺たちの時代のじゃ美術品の意味合いの方が強くなってたけど。」」」

 正確には外人向けの観光土産だけどな。

「へえ、それじゃあ天の国では傘を使わなくなったの?」

「「「いや、単に蛇の目傘よりも安くて大量生産できて、保管も簡単な傘が開発されたから淘汰されたんだよ。むしろ使われなくなったのは笠と箕だな。」」」

「ああ、私も笠は視界を遮るし、箕は腕を振り回すのに邪魔だから嫌なのよね♪」

 

 そう…………結局雪蓮にはそこが重要なんだよな。

 だから手を塞がれる傘も持ちたがらない。酒の入った徳利は持つのに…………。

 

「ねえ、兄さんたち。雨合羽とゴム長靴みたいな雨具って作れないかな?」

「「「ゴムの精製方法なんか俺たちは知らないぞ!」」」

「そっかぁ………あれなら雪蓮さんも剣を持つのに邪魔にならないと思ったんだけどな。それに冰蓮ちゃんと水蓮ちゃんが黄色い雨合羽着て、赤い長靴を履いてる姿を見てみたかったんだけど………やっぱり無理か♪」

 

「「「黄色い雨合羽に赤い長靴…………だとっ!!」」」

 

 想像したら無性に見たくなってしまったじゃないかっ!!

 俺たち三人は顔を突き合わせた。

「なあ、龍の革なら作れるんじゃないか?」

「いや、あれは水着の為の貴重な資源だ。」

「いや待て、ゴムの木だったら交州や南蛮にも自生してた筈。」

「いやいや、南米原産のゴムの木の方が天然ゴムとしては良質じゃ無かったか?」

「ジャガイモが有るくらいだ。そっちの苗木も手に入れられる可能性が………」

 

「爸爸たち、難しい話を始めちゃった………ねえ媽媽、今度は傘でお迎えに来てよ♪」

「なに?二刃の歌が気に入ったの?それじゃあ明日は傘を買いに街に行こうか♪」

「うん♪」

「でも、今日は雨の中を走って戻りましょう♪」

「しぇ、雪蓮さん!傘ならお貸ししますよ!」

「いいのいいの♪戻ったらお風呂に直行するから♪一刀たちも一緒に入らない?」

 

「「「さあ!急いで戻ろうかっ!!」」」

 

 未来の黄色い雨合羽と赤いゴム長靴も大事だが、今は目の前の家族風呂の方が重要だ!!

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

『本編』&『北郷二刃奮闘記』

今回は初の試みで、本編の間に二刃の話を挟み込んでみました。

お風呂シリーズもこれで一段落…………すると思いますw

 

雪蓮の『フリーダム』と『母の顔』と『女の顔』を出す事を念頭に置いて書きました。

大変でしたがとても楽しかったですw

 

二刃は結婚した事で浮かれていますが、いずれ落ち着きを取り戻す予定です。

その時に自分のしていた行動を思い出して、恥ずかしさにのたうち回ると思いますw

 

雪蓮の懐妊について補足しておきますと、冰蓮に寝坊の言い訳をする原因となった夜に仕込みが終わっていたのです。

決して桂花のお陰ではないですよw

 

そろそろ紫苑と約束をした海に行く話の伏線を出したいですね。

 

 

『聖刀くんの日常』

こちらも聖刀以外の視点を入れないと話を進められなくなって来ました。

荀攸は桂花の従姉妹だけに、やっぱり変態になっちゃいましたねw

真名の『素英』は中国での素馨(モクセイ科ソケイ属)の呼び名のひとつです。

鼠径じゃないですよw

 

現在の研究では六韜と三略を書いたのは斉太公(太公望)では無いというのが有力だそうです。

この外史では敢えて斉太公が書いた事にしました。

 

補足ですが、子供達は十歳になった時に性教育を受けています。

十歳以上の子と九歳以下の子の意識の違いを今後はもっと出していきたいです。

 

 

『おまけ参:天の国講座 其の二』

季節に合わせて雨に関するお話にしてみました。

雪蓮の次女の名前は孫堅の弟から頂きました。

真名の水蓮ですが、発音を『シュイレン』と『シュェイレン』のどっちにするか迷ったのですが、言いやすい方にしました。

 

蛇の目傘を差す雪蓮というのも格好良さそうですよね♪

 

 

《次回のお話》

 

次回は

☆翠②   36票

 

【北郷二刃奮闘記】

妹―ク 12票

【聖刀くんの日常】

黄乱   7票

【おまけ参】

「男装喫茶」へようこそ 12票

を、お送りいたします。

 

※『天の国講座』は一回置きに其の四までを予定しています。

 

 

《現在の得票数》

音々音②&音々さん②&恋②

     35票

小蓮②  30票

ニャン蛮②29票

秋蘭②  24票

蓮華②  19票

桃香②  16票

月②   14票

季衣②  13票

冥琳②  12票

桂花③  10票

璃々③  10票

鈴々③  9票

紫苑③  8票

炙叉②  6票

真桜②  6票

二喬②  6票

風②   5票

凪②   3票

詠②   3票

華琳④  2票

沙和②  1票

 

【北郷二刃奮闘記】

璃々や小蓮ら年代が近い者たちのガールズトーク 12票

真桜のからくり話其の二 6票

紫苑と月、璃々たちによる夜の勉強会 5票

いい大人になるための漢女☆講座~女の子編~ 4票

華蝶連者 1票

 

【聖刀くんの日常】

北郷親衛隊とその子供達② 6票

昴    6票

聖刀さま♥親衛隊 6票

炙叉   5票

いい大人になるための漢女☆講座~男の子編~ 4票

新入生と 2票

聖刀と祉狼の昆虫採集 1票

 

 

【おまけ参】

天の国講座 9票

騎乗訓練その後 11票

超英雄大戦(華蝶連者×サン・アルジオン×見捨てない人)10票

紫苑、璃々、音々+子供によるキノコ狩り 10票

親子鍛錬(五虎将編)9票

眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 6票

いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 4票

「女装喫茶」へようこそ 4票

恋姫麻雀大会 4票

眞琳の金桂達いじり 1票

 

リクエスト参戦順番→冥琳② 風② 凪② 小蓮② 翠② ニャン蛮族② 音々音② 月② 詠② 愛紗② 沙和② 秋蘭② 桃香② 蓮華② 音々② 季衣② 炙叉② 桂花③ 真桜② 二喬② 紫苑③ 鈴々③ 璃々③ 華琳④

 

おまけ壱リクエスト参戦順番→真桜のからくり話其の二 いい大人になるための漢女☆講座~女の子編~ 璃々や小蓮ら年代が近い者たちのガールズトーク 紫苑と月、璃々たちによる夜の勉強会

 

おまけ弐リクエスト参戦順番→いい大人になるための漢女☆講座~男の子編~ 黄乱 螢 炙叉 北郷親衛隊とその子供達② 昴 聖刀さま♥親衛隊 新入生 聖刀と祉狼の昆虫採集

 

おまけ参リクエスト参戦順番→天の国講座 騎乗訓練その後 親子鍛錬(五虎将編) 北郷親衛隊の結婚生活  超英雄大戦 紫苑、璃々、音々+子供によるキノコ狩り いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 「男装喫茶」へようこそ 「女装喫茶」へようこそ

眞琳と蓮紅と香斗の街で「はじめてのおつかい」 恋姫麻雀大会 眞琳の金桂達いじり 

 

 

【子供達一覧】

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)

38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)

39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)

40)亞莎の長女 呂琮(りょそう) 茜(ちぇん)

41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)

42)華雄の長女 華剛(かごう) 树莓(しゅうめい)

43)桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい)

44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)

45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)

46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)

47)真桜の長女 李禎(りてい) 真梫(ましん)

48)桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

49)猪々子の長女 文獬(ぶんかい) 虎々(ふーふー)

50)稟の長女  郭奕(かくえき) 貞(てい)

51)穏の長女  陸延(りくえん) 毬(ちう)

52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)

55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)

58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)

61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)

62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)

63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)

64)思春の次女 甘瓌(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)

65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)

66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)

67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)

68)星の次女  趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)

69)愛紗の次女 関興(かんこう) 愛絽(あいろ)

70)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)

A)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)

B)桂花の九女 荀燾(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)

C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)

D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)

E)桂花の十二女 荀旉(じゅんふ) 橄欖(かんらん)

 

【その他のオリジナル設定】

華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華旉(かふ) 真名:祉狼(しろう)

陳越(音々音の母) 真名:音々

インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう) 

追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(メンフォン)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)

尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご) 

董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく) 

兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく) 

弟者⇒呂翔 嫁⇒張郃 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)

黄乱 真名:明兎(みんと)

馬良 真名:鷲羽(わしゅう)

馬謖 真名:耶麻(やま)

荀攸

魯粛 真名:命佐

董雅(月の父) 董陽(月の母) 真名:日(りい)

曹嵩(華琳の父) 曹静(華琳の母) 真名:蝶琳(ちょうりん)

喬玄(大喬と小喬の母)

劉玄(桃香の母)

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。

2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。

 例:「二刃視点で貧乳党」  という感じでお願いします。

3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。

 例:「聖刀視点で三羽烏」  という感じでお願いします。

4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。

 シチュエーションのリクエストも大歓迎です。

以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、

よろしくお願いいたします。

今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。

 

ここで絵師の皆様へ

この小説『三人の天の御遣い』の挿絵に皆様のイラストを是非お願い致します!

新たに描かれた作品、過去に描かれた作品を問いません。

TINAMI上で挿絵として使用しても良いという方はショートメールにてご連絡下さい。

また、こちらから使用許諾のお願いをさせて頂く事も有ると思いますので、その時はよろしくお願い致します。

お願いしたいイラストは恋姫達は勿論ですが

成長したちびっ子組やオリキャラ達

立ち絵、シーンイラストを問いません。

重ねてお願い致しますm(_ _)m

 

 

ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。

誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw

 

 

 

 


 
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