No.694489

がちゆり-古谷向日葵誕生日SS-2014

初音軍さん

ひまっちゃん誕生日おめでとう。
なぜか京ひまです。
普段書いてないようなの書きたかったのですがどうなんでしょうね。
若干かわいそうな内容になってしまった、誕生日なのにw
ま、まぁいつもと違うカップリングということで一つ←

2014-06-16 15:14:49 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:695   閲覧ユーザー数:695

がちゆり-向日葵誕生日SS 2014-

 

「ねぇねぇ、ひまっちゃん。今日空いてる?」

「はい・・・今のところは特に何もありません」

 

 生徒会のことを職員室に報告しに行ってから出てくると、いきなり歳納先輩に

声をかけられて一瞬びくっと体が反応してしまった。

 

 普段あまり接する機会が少ないからちょっとだけ緊張してしまう。

その時、いきなり胸に変な感触が私を襲った。

 

 もにゅっ

 

「おぉ、指が沈むぞ!」

「揉まないでください!」

 

「いやー、ひまっちゃん緊張してそうだから解そうとして」

「胸を解してどうするんですの…」

 

「あはは、でも少し解れたみたい」

 

 不思議な人。櫻子にちょっとタイプが似ていると思っていたけれど

要所要所で気遣いが出来ていて一緒にいて安心できるというか。

 

 そこが櫻子とは違う部分だと思えた。

最近…櫻子との距離が空いてしまった気がしてから少し寂しくて。

 

「じゃあ、私の家に遊びに来てくれる?」

「はい…」

 

 寂しくて…歳納先輩に甘えたくなってしまったからか、そう答えてしまった。

ほとんど無意識に…。

 

 

「いらっしゃーい、ひまっちゃん」

「お、おじゃまします」

 

「今日は両親休みとって旅行行ってるんだ。だから私たち二人きり」

「え、他の方たちは?」

 

 赤座さんや吉川さん船見先輩や杉浦先輩など私よりも身近な存在はたくさんいるのに。

なんで私だけ?

 

 そんな疑問を抱かせる間もなく歳納先輩は私の後ろに回って背中を押した。

時間がもったいないと急かせるように。

 

 先輩の部屋に案内された後、ジュースとお菓子を用意されて長話の準備万端っていう

空気になってお喋りを始めた。他愛のないこと自分たちの周りのこと。

 

 お互い立場が違うから同じ学校なのに見えない部分が話をしていることにより

色々見えてきて楽しかった。

 

 その後に話の中に櫻子のことが入ってきて、反応しなくてもいいのに私はびくっと

なってそれまで軽く開いていた口が急に重くなって黙ってしまった。

 

「さくっちゃんのこと気になる?」

「べ、別に櫻子のことなんか…」

 

 それまでの優しい先輩の笑顔から少し意味を含めたような笑いに変わっていて

背筋が寒くなる。

でも聞いちゃいけないと思っていても気になってしまう心のほうが勝ってしまって。

 

 聞いてしまった…。

 

 櫻子は最近赤座さんと雰囲気が良いようでデートを目撃したことも楽しそうに

語っている。

 

「意外に二人ってお似合いだよね」

「そうです・・・わね・・・」

 

「んー、ひまっちゃん。顔色悪いぞ~」

 

 歳納先輩の言葉が上手く頭の中に入らずにごちゃごちゃして混乱していた。

櫻子が誰と過ごしてもかまわないはずなのに…だけど…。

 

 ぺろっ

 

 思いつめたような気持ちになった直後に私の目元を湿った何かが触れる。

びっくりして視線をそっちの方に移すと歳納先輩が舌を出していて、もしかして

それで私をな…舐め…。

 

「涙がこぼれそうになったから、舐めとった!」

「先輩は隠すこともしないんですか!」

 

「え、いやいくら私でも下の方はちゃんと隠すよ」

「誰も下の話なんてしてませんわ!」

 

「いや、もったいなくてさ」

「え・・・」

 

「私ひまっちゃんのこと好きなんだ」

 

 

 いきなりの告白の後にお風呂に入りたがる先輩に押されて私も一緒に

入ることになった。

 

 普段から綺麗に整っている金髪が水を含むと輝くようにそして黙っているとより

その綺麗さが強調される。普段は騒がしさの影に隠れてしまっているようで

何とも勿体無い気がした。

 

「ひまっちゃんのおっぱい気持ちいい~」

「揉まないでください…」

 

「や、これだけ育ってるのを放っておくのは勿体ないって。私好きだなぁ…」

「胸がですか?」

 

「うん、まぁ正確にはひまっちゃんのおっぱいが」

 

「なっ!」

「そういう色んな反応してくれるのも好き」

 

 しばらく揉まれながら一緒に湯船に浸かっていると次第に不満そうな顔をする先輩。

 

「さくっちゃんはうらやましいよ。ひまっちゃんの全部を知ってるから」

「そ、そんなことないですわ」

 

「あるって。ひまっちゃん、今私に遠慮してるもん」

「どうしてそう思うんです?」

 

 会話をしている中、時折天井から落ちる水滴が湯船に落ちて波紋を広げる。

それはすぐに私たちに触れると何もなかったかのように消えていく。それの繰り返し。

 

「さくっちゃんといるときのひまっちゃんの表情が違うから。

本当に愛おしい人を見る目をしている」

「…」

 

「今元気のないひまっちゃんに言うのはずるいと思うけど、私じゃだめかな?」

「だ、だって私と歳納先輩そんなに接点ないし」

 

「付き合いの長さより気持ちの繋がりだよ」

 

 揉み終わった手で拳を作って私の胸元に軽く触れるように当てて言う。

先輩の言葉が気持ちに沁みるように入っていって…。

 

「そうですわね…」

「ひまっちゃん?」

 

「それもいいかもしれませんわね…」

 

 正直もやもやしすぎて何がいいのかわからないけれど、櫻子が以前より

冷たい態度を取るところからして心当たりはあった。

 

 だから、求められない恋よりもまだいいのかもしれない。

 

「そんな悲しまないでよ、まだ確定したことじゃないんだし。

だから私とも友達から仲良くなっていこ?」

「はい…そうですね」

 

 落ち込んでいく私の気持ちを紛らわすためなのか、静かに私の手を握る

先輩の手が暖かくて頼もしく感じられた。その時私の中で何かが変わったような気がした。

ほんの少しだけね。

 

 

「やー、ひまっちゃん元気ー?」

「歳納先輩!?」

 

 それから二人で会う機会が増えていき、学校でも生徒会室に来る回数が増えていった。

そのたびに杉浦先輩が喜んで少し騒がしくなるけれど、私も静かに喜んでいた。

 

 櫻子とはあれからぎくしゃくすることもなく、だけど前よりも近づくこともなくて。

ちょっと寂しかったけれどお互いに気負いしない関係を作っていた。

 

「なぁ、向日葵。こんどクッキー作ってくれよ」

「あ、さくっちゃんずるい!私も私も!」

「はいはい、ちゃんとみんなの分も作りますから」

 

 少し忙しくなったけれど、余計なことを考えずに済むようになったから

これはこれで心地の良い日々だ。そして、あまり進展はないけれど先輩とは

人の少ない場所で恋人繋ぎをして歩いたり、一緒に買い物デートをしたりして

充実している。

 

「ひまっちゃん、いい顔してるね。よかった」

「歳納先輩のおかげですよ」

 

 悩む暇も与えないほどの明るさを振りまいて、赤座さんとは別の天使のような

存在でそんな人に見てもらえるのはとても幸せなことだった。

 

「先輩これからもよろしくお願いしますね」

 

 私は、私の顔を覗き込む先輩に向かって自分の中でとびっきりの笑顔で応えたのだった。

 


 
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