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真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第3章 20話

雪月さん

常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと

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2014-06-13 21:10:47 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3308   閲覧ユーザー数:2813

 

第3章 群雄淘汰・天下三分の計編 20話 『 奈落への序章 』

 

 

 

 

「旦那様 当初の計画通り、これから易京を攻めるおつもりなので?」

 

お風呂場で何があったのか存ぜぬが、妻がツヤツヤ、元姫がクタクタという好対照な2人であったので

事情を聞きたいのは山々な所なのであるが、内容を聞けばロクな事に巻き込まれかねないのは

すでに何度か以前に経験済な事から、司馬懿の方からあえて春華の達の行動を聞き出すという事はしなかった

 

ただ、2人が疲れていようといまいと、今後の展開を早急に行わないと

地盤の強化の遅れは、曹操との決戦並びに大陸中央へ進出するのに、大幅なタイムロスが懸念された

タイムロスは孫呉との決戦に、多大な支障を及ぼしかねないと司馬懿は判断していた

 

襄平を落城して迎えた朝であるにも係わらず

一時の休息後、慌しく次なる戦いの準備を、すでに始めていた司馬懿達であった

 

「ああ そのつもりだ 易京占領後、建国宣言の運びと相成ろう

 それでは襄平の城は春華と元姫に任せる こちらの易京占領までに、襄平の完全なる平定と掌握を頼む 

 

部屋の隅に、春華が投げ捨てた公孫度の生々しい首が転がるのも、司馬懿が一向に気にする事無く

淡々と妻の春華、元姫へと命を授ける

 

「承知しましたわ 旦那様」

「はい お義父さま お気をつけて」

 

妻と元姫の承諾を見届けた司馬懿は大きく頷き終えるや・・・

 

「うむ それでは鍾会、鄧艾、次なる獲物を狩るべく参ろうか」

 

「ハッ!!」

「承知!」

 

司馬懿は鄧艾、鍾会の2人を伴い、足早に部屋から出て行ってしまうのであった

 

「皆英気は存分に養えたか? 我らはこのまま、襄平を落した勢いをもって易京を制す! 皆よいな?」

 

「「「オオオォォォォーーーーーーーーーーー!!」」」

 

司馬懿の号令に続き、理路整然と歩き襄平の城を後にしていく

先程まで飲んだくれていた連中とは、到底思えない精悍な顔つきをみせていたのだった

 

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易京を取り囲んでいた風がいた本陣に、司馬懿軍が”東方”から出現という、突然の報せが舞い込んできたのは

易京へと攻撃を加え終えた、その日の夕刻過ぎの事であった

 

司馬懿は本来、曹操配下の者なのだから、普通ならば援軍が現れたと解釈し、喜ぶのが当然といえた

だがこの時の風の表情は、司馬懿軍の援軍が現れ、とても嬉しそうな表情を浮かべているとは思えなかったのだ

 

それよりも、眉をひそめ訝しげな表情を隠そうともせず

う~~と唸りながら、ペロペロキャンディを口にしたまま一切身動ぎもせず、自身の思考に没頭している節であった

 

報告してきた部下も、そんな風の厳しい表情を察したのか

思考を邪魔せず跪いたまま、風の思考が終わるのをジッと待ち続けていた

 

○休さんのとんちのように、”ち~ん”と甲高い効果音が鳴ったのかは定かではないが

苦々しい表情を崩す事無く、風は控える部下へと愚痴るように呟き始めた

 

「むぅ~ 司馬懿さんが何を考えているのか読めませんね

 

 それに、東の方角からやってきたのも解せません 華琳さまが風に内緒で事を進めていた!?

 ・・・それはありえませんしねぇ 秋蘭さんの支援なら兎も角、そもそも包囲している風に秘密にする意味がありませんしね~

 

 ならば、東から現れたという事は~ 海を渡って襄平を落し後方へと回っていたと仮定するならば・・・

 むむむ~ 見事なくらいに辻褄があってしまうのですよ~ この風の嫌な想像が当らなければよいのですが・・・

 

 疲れている事でしょうが、皆さん急いで包囲を解き陣を引き払いますよ~ 

 一度様子をみるべく、南皮にまで軍を後退させま~す!」

 

と、驚くべき指示を風は部下へと命じたのであった

 

風に指示された部下も、暫しの間驚きの表情を隠せず唖然としていたが

風へと一礼を済ませると、皆へと急いで報せるべく、本陣を疾風の如く駆け抜けていった

 

部下が本陣を去った後も尚、風の表情は南皮に着くまで一向に晴れることはなかった

いつもはお惚けな風も、この時の思考と指示は、冴えに冴え渡っていたと言ってもいい

 

司馬懿をして、曹操軍との対決の述懐にて、一番の難敵は主である曹操でもなく、魏武の大剣である夏侯惇や夏侯淵

ましてや軍師である荀彧や郭嘉でもなく、程昱であると言わしめたほどであった

 

易京を包囲していた筈の風の突然の易京の包囲網解除

そのまま南皮方面への撤退の報せを鄧艾より受け取った司馬懿は、舌打ちをして悔しがった

 

「味な真似を・・・ 暢気に包囲しておれば、易京に篭る者共と一緒くたにして一掃できたものを・・・

 

 程昱の奴め! やはり曹操軍の中で奴が一番の曲者、一筋縄ではいかぬようだ・・・

 私の思考に一番近い故に、やって来た方角から先読みされ、半信半疑ながらも我の離反を瞬時に見抜きおったか・・・

 

 邪魔な程昱をここで騙まし討ちにし、早々と退場させてやろうと思っていたのだが

 我に警戒して南皮まで撤退するか、まぁ それもよかろう

 皆軍旗を降ろし行軍速度を緩め、明日の易京攻略へと体力を温存せよ!」

 

風の撤退に対し、見事な肩透かしを食らった格好の司馬懿ではあったが、あくまでも風の殲滅はオマケ事項であり

本命は易京の落城にあったことから素早く頭を切り替え、易京の攻略へと照準を絞るのであった

 

 

 

 

易京がここまでの難攻不落を誇っていた理由

1つ目に天然の要害に拠った点、2つ目に為政者が民衆からの多大な支持があった点

大きく挙げて、この2つの理由によって支えられていた

 

攻城戦において、この時代において、防御側が弩や弓を使用する以上

城外壁の高所などから攻撃するという事は、飛距離、威力の点をとっても優位に働く

 

南皮を制した風も易京の城を包囲したまでは良かったのだが、未だに攻め切れない理由はもそこにあった

 

敵を篭絡させようにも、防衛の兵や民衆の目があり、工作活動が難航を極めた

史実では袁紹が土竜作戦を敢行したが、それでは時間効率が非常に悪いだけに、普通なら悪手と躊躇しそうな所だ

 

この地は白蓮が本拠地と定めているだけに、ここを攻め落すという意義は大きい

それは官渡で抵抗する公孫賛軍の将兵達の精神をへし折る事になるからである

 

その事を曹操軍の面々が承知しているだけに、篭られると実に嫌らしい厄介極まりない

それが敵方からみた白蓮の本拠地、易京の評価であった

 

ただ、この厄介極まりない難攻不落を誇る易京ではあったのだが、如何せんこの世には”相性”というモノが存在する

 

風にとって攻城戦が厄介極まったのは、易京をより良い状況で落し

自軍により良い環境で、その後も統治を維持したいという願望にあった

 

しかし、これから易京を攻める司馬懿に、風のような殊勝な考えなど微塵もなかった 

”この地を制すれば良い”、言い換えるなら将兵、民を含めた事など知ったことではない

 

こうした司馬懿と風の考えの違いが、今回易京で悲劇を生んでしまう

 

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「一斉に矢を門へと射掛けろ!」

 

易京を取り囲んでいた司馬懿軍は、翌日の払暁と共に一斉に攻撃を開始した

陣頭指揮をとる司馬懿は、甲高い声を発し兵へと号令を発する

 

鄧艾がいるのだから、襄平の城同様、閂を抜く作戦を採用するのか?と思った方々も多いのではないだろうか?

前回この作戦が取れたのは、奇襲による門周辺の警備の薄さ、そして城門が比較的小さい事が挙げられる

 

いかに姿を影の中に潜める鄧艾であろうとも、誰も共が出来ぬ為に閂を抜くときは独り・・・となる

難攻不落を誇る易京の門は、普通の城より門は頑丈で巨大、その閂ともなると数人係りで抜き取るのが通常なのであった 

 

そして以前瑠璃との戦いでは、直感を信じて戦い、鄧艾の技の本質にまで気付いてはいなかったのだが

実は影があるところに、鄧艾の本体が存在するという、この技の欠点もちゃんと存在していたのである

 

防衛慣れしてしまっている易京の将兵達と、油断しきっていた襄平の将兵達とでは

本来手薄となる夜に到っても、警護の固さに違いが出ていた

 

この易京の防備が固い状況で、いくら強い鄧艾独りだけが潜入を果たせたとしても

多勢に無勢、しかも数人係りの閂を抜くという、そうした危険を侵してまで実行するには、リスクが高すぎたのである

 

そうした事情を加味した結果、易京攻略は払暁から始まる時間へと改められたというのが背景であった

 

司馬懿の命を受けた弓兵は、なにやら”白い陶器のような物体”をぶら下げた矢を次々と懸命に放ってくる

 

この時代、城の攻略は壁に梯子をかけ登りきり制圧していく、その支援の為に双方が弓矢や落石などで応戦する

攻撃側は城壁の攻略と同時に、衝車を使用して門を破壊するのが通例であった

 

官渡の戦いで公孫賛側が使用した井闌や、曹操側が使用した霹靂車での攻防などは珍しい部類といえた

 

放たれた矢の中には、門へと突き刺さるモノもあれば

地面へと無情にも割れ落ちて、”黒い中身”が出てしまっている矢もある始末に

この呆れた攻撃をみた防衛側の将兵達は、今まで緊張を強いられてきただけに

そのギャップと相まって、包囲する敵方のあまりの情けなさに、指を刺し失笑する者達までいたのである

 

「ぶほっ! アハハハハ なんだ? そのひょろひょろ矢は!

 全然こちらにまで届かぬではないか!」

 

少し前は麗羽達に、昨日までは風達曹操軍の面々に、これでもかと執拗に攻められ

薄氷の思いを抱いて戦っていた経験と比べてしまい、つい本音が口から漏れでてしまっていた

 

防衛側の”油断”

 

この敵側の油断こそ、策士司馬懿が今一番欲していたものであった 

 

城門前に刺さらず転がっていたり、城門の刺さる矢にぶら下がる

多数の不気味な”黒い物体”の正体に気付きもせずに・・・

 

この敵側の油断が、易京攻防戦の戦局を大きく左右し、喉元へと被りつき容易に引き裂き命取りになるとは・・・

嘲笑している易京を防衛する者達にそれを知る由はなかった

 

「第2矢! 火矢を放てぇぇーーーい!」

 

司馬懿の命により攻撃側はもう一度、今度の第2矢は”火矢”を放っていた

 

また懲りずに・・・今度は火矢?・・・少しはマシな攻撃になるのか?

 

防衛側からの侮蔑が混じった嘲笑が未だに巻き起こる中

次の瞬間、今まで見たことも無い信じられないほど巨大な振動と閃光と爆音が辺りを包み

その生じた衝撃の凄まじさに、防衛側一同は何が起こったのか理解ができず

恐怖に襲われ耳を塞ぎ倒れこみ、身体を竦ませる者達で溢れかえるという哀れな結果と成り果てていた

 

「なっ! なっななななな・・・今のは一体、何だったんだ!?」

 

易京防衛に徹する公孫賛の兵達が驚くのも無理はなかった

 

司馬懿がこの度使用したのは、孫呉が以前、反董卓連合時に試験運用した焙烙火矢の”簡易版”であり  

蒙古襲来絵詞に描かれている、蒙古軍が日本襲来時に使ったとされる

陶器に込めた火薬を炸裂させる”焙烙火矢”そのものであった

 

さすがに孫呉のように、導火線を使用し大量の矢を一斉に放つという、同じ運用方法ではないものの・・・

『弩弓砲』の痕跡を消し去ったにも関わらず、痕跡から『火薬』の存在を見抜いた司馬懿は            ※第2章 10話参照 

密かに火薬の製作に着手し、城門の強固さに適していると踏んで、この度の作戦で使おうと決意したのだろう

 

理論的にも事実上全く遜色なく、門へと打ち込み複数を一緒に炸裂させる事で

易京の堅固な城門を易々と、また一瞬のうちに跡形もなく木っ端微塵に吹き飛ばしてしまっていた

 

易京の防衛に就いている彼らのほとんどは、反董卓連合時においても、防衛の為に残された者達が殆どで

孫呉が反董卓連合時に試射した”弩弓砲”の存在を知る者など、大将である公孫越を含めて僅かしかいなかった

 

知っていたからと言って、どうこう出来たという訳でもなく、炸裂した今となってはどうなるモノでもないのだが

ただ、防衛側に与えた衝撃と立ち直りの差が大きく如実に現れていた

 

それは孫呉によって運用された当事に、董卓側の指揮者の1人であった霞が

華雄救出時に間に合わず捕縛されるという、苦い経験を味わわされた記憶の断片でもあった           ※第2章 08話参照 

 

ただ今回の場合、霞とは違い輪をかけて、防衛側は司馬懿軍を舐めきっていた為、その反動がより大きく作用した

 

「ふっふっふ ハッハッハ これでこの威力か! 北郷 一刀との対戦が実に楽しみになってきたな

 鄧艾、鍾会、※ブスの使用を許可する! 抵抗する者あらば遠慮するな! 全て根斬りにし射殺せしめい!」 ※本文最終にて説明記載

 

「「ハッ 司馬懿様 承知致しました」」

 

司馬懿の命の下、武器に毒を塗り終えた者達から次々に、穴の穿った城門から城内へと侵入していった

 

「皆、静まれい! 詳細な状況を報告せよ!」

 

その城門爆破の衝撃は、遠く離れた城内にまで達し

公孫越もまた、事態の収拾と把握に務めるべく、急いで前線へと兵を遣わし情報を集めようとしていたが時既に遅く

易京の城内外共に大混乱を来たしていた

 

「姉上・・・私がいながら・・・申し訳ありません」

 

そう一言誰にも聞こえぬように呟き終えると

 

「私が前線へと赴こう! まだ戦う意思のある者は私について来い!」

 

部下達が撤退してくださいと必死に静止するのも聞かずに、公孫越は前線へと駆けて行くのであった

 

「なんじゃこりゃーーーー それに患部が変色してきてるぞ! 

 ぎゃぁあああーーーーーーーーーーーーーこっこれ! もしかしてどっ毒じゃねぇのか!?

 敵は毒を使ってきているぞ! 気をつけろ!!」

 

前線からそうした絶望ともとれる絶叫が木霊し、立ち向かう公孫賛軍の面々を震撼させた

司馬懿軍が毒を使用した理由に、襄平を平定する為にも兵を割いていた寡兵の不利という窮余の一策に過ぎなかった

 

しかし、易京という都市は、何ヶ月もの篭城に耐えるべく堅固に造られていた為、そこに住まう民達もまた油断していたといってもいい

そして司馬懿軍が用いた毒は、必死に抵抗する兵はもとより、住まう民もろとも根絶やしにしていたのであった

 

前線へと到着した城主である公孫越は、その阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される光景に怒りを露にした

 

「おのれぇーーー! 姉が慈しみ愛した兵や民達に何の罪があるというのかっ! この痴れ者共がっ!!」

 

激昂した公孫越はこう吐き棄てるや、毒を使用していた司馬懿軍の者達を次々と斬り捨てると

 

「すまぬが皆の命を私にくれ! 姉が愛した民達を敵の毒から守れい!」

 

そう周囲に命を下し、公孫越は周囲に部下が居なくなったのを見計らい、皆とは違い尚も更に前線へと歩みを進めていくのであった

 

             ・

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歩む公孫越は吐き気を必死に堪えて前へ前へと突き進んでいた

司馬懿が包囲する前に軍旗を降ろしてしまっていた為に、ここまで包囲した敵に関する詳細が判明しなかったからである

 

「ふむ 勇敢な兵だな この光景をみた者達は踵を返し、皆走り去っていくというのにな」

 

死者達がただただ累々と折り重なる地で、生者としてそこに立っていたのは、公孫越とその声をかけた者だけであった

 

「我は公孫越! 貴様らは何者だ? 易京を!それに何故毒まで使用した!?」

 

周りに死臭が漂い、胃からこみ上げてきそうになるのをグッと堪えながら

尚も鋭き視線を向けつつ、腰から剣を抜き放ち切っ先を向けた

 

「死に逝く者に秘匿し続けるのも酷であろう 教えてやろう 我が名は司馬懿

 易京を攻めたのは、お前の姉が我らと組む事を拒絶することが予想できたからだな

 毒の使用は迅速に易京を制圧する為だな 篭城され時間を稼がれてはこちらも計画に障りが出るのでな」

 

激昂している公孫越とは対照的に、淡々と公孫越の問いを答える司馬懿

 

「ならば何故民にまで使用した! 易京を制圧すればお前の民ともなろう! 民にその責はなかろう!」

 

怒りに身を委ねる公孫越は、もはや漂う死臭を気にする様子もなく、司馬懿へと吐き棄てた

 

「ふむ たしかに 責があるとしたら避難させなかった公孫越、お前の責だろうな」

 

「なっ!?」

 

「我は何も”無抵抗に逃げる者達”まで殺すよう命じてはおらぬぞ?

 我らが必要なのは、この”易京という要衝”であって

 この地を制した後に「傀儡」に属する愚民共が、どうなろうと知ったことではないからな 

 

 それにだ 我は部下達にこう命じた ”抵抗する者あらば遠慮するな! 全て根斬りにし射殺せしめい!”とな

 ここに転がるこやつらは、お前やお前の姉へ変な義理立てをし、転がる破目になったのではないかな?」

 

死臭漂う遺体をぞんざいに扱い足蹴にしている司馬懿へ、さらなる怒りを露にする公孫越

 

「ぐぬぬぬ・・・ おのれ! 我が民を足蹴にしぬけぬけと!」

 

「うん? 先程から可笑しな事を言うな? 抜け殻になった人形に怒りを込み上げるとは面白い奴だな

 さて、この問答も飽きてきた事だし、冥土の土産もくれてやったのだ そろそろ逝くがいい」

 

公孫越は司馬懿が武器を構え向かってくると、公孫越は予想し対処しようと思っていた

しかし、そう発した後も司馬懿は尚も動こうとしなかった為、公孫越は先制を期し司馬懿へと斬りかかろうとしたのだが・・・

何故か自身の身体が一寸たりとも前に動かなかったのだ

 

(なっ! 何故身体が動かない! それに声すら発することが出来なくなるとは・・・一体!?)

 

「影縛・・・か 貴様辺りに漂う死臭で、痛覚まで麻痺していたようだな」

 

(感覚が麻痺していただと!? 一体それr・・・)

 

言葉を発する事が出来なくなっていた公孫越、この思考が最後となり命尽きることとなった

公孫越が前のめりに倒れこむと共に、司馬懿の前にその姿を露にした鄧艾であった

 

「ご苦労だった 鄧艾 迅速に制圧できたか?」

 

との司馬懿の問いかけに対して

 

「ハッ そちらは鍾会に任せており、もう暫くかかるかと思われます」

 

「ふむ 鄧艾も鍾会に加わり急ぎ易京を制圧せよ」

 

主である司馬懿は何をそんなに急いでいるのだろう?と感じる鄧艾であったものの・・・

 

「フフ 何も心配することはない 鄧艾 ”我らの国”を建国するだけの事だ」

 

「よっようやく・・・我らが悲願を・・・」

 

その司馬懿の言葉に、普段笑うことなど少ないこの女が、涙と笑みを浮かべ喜んでいたのである

 

「そういう事だから鄧艾、制圧を速やかに終え、この異臭の元となる遺体を含め、迅速に処理せよ」

 

「承知致しました 司馬懿様」

 

信頼するお前だけに明かしたのだから・・・そう含みを持たせた司馬懿の言葉を受け取った鄧艾は

すぐさま一礼すると、冷たい骸となり果てし公孫越の影にすぐさま溶け込み消えていった

 

 

 

 

「長きにわたる間、全ては為政者の危険視という名目の下、我らの意思に係わりなく漢帝国の名の下に押さえつけられ虐げられてきた 

 我は虐げられてきた者達による楽園の建国、『晋』の樹立をここに宣言する!

 

 今、忍従の時は漸く終わりを告げ、我らをこれまで大いに悩ませてきた痛みを!嘆きを!!そしてこの怒りを!!!

 これまで虐げてきた者達へと倍返しする刻が今ここにやってきたのだ!!

 

 選ばれし優良種たる『晋』兵士諸君に告ぐ!

 我らに逆らいし愚民共どもへ裁きの鉄槌を下し、大陸の永久なる栄光と繁栄をこの手に掴もうではないか!!」

 

「司馬懿様 万歳ーーーーーーーーーーーーー!!」

「晋帝国 万歳ーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

易京を覆う喚声と拍手は、孫呉の建国時と比べても非常に少ない

けれど、この司馬懿の『晋』独立宣言に対し、異を唱える者などこの地にいようはずもなかった

それは建国に対し、異を唱えよう人物は皆、毒により骸と成り果てていたからである

 

司馬懿は今、河北の地である易京にて、ここに華琳の配下から離脱し独立を果たしたのである

 

「我に逆らう者は、『傀儡』は下より、例え『選民』として選ばれた者であろうとも一切容赦はせんぞ?

 投獄し、拷問などの苛烈な手段を使ってでも、必ず弾圧してみせるからな? 死を覚悟して我らに臨めよ?

 

 ただし『傀儡』に落ち属する者達にも、地位向上の機会を与えようではないか

 

 我ら『晋』に尽くし、その働きと功績を上層部に認められた者のみ、待遇を改善し”選民”へと拾い上げてやろう

 だが生半可な事では認めぬからな? そこも覚悟しておくがいい 

 

 我らに抵抗するのも尽くすのも、このまま生き恥を曝し死を全うするのもよかろう 

 好きな生き方を選ぶがいい どうだ? 面白き世になっただろう? クックック」

 

司馬懿はここに、『晋』という恐怖政治を敷く国家を誕生させたのである

こうした『傀儡』という階級制度を敷くと、一番懸念される出来事は”反乱”であろう

 

絶望と一縷の望みを司馬懿が去り際に放ちしこの一言こそ

『傀儡』へと落された者達を支配し、コントロールする上での司馬懿流の”飴と鞭”であった

 

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一方、この易京の城で行われた司馬懿の建国宣言に、南皮で行方を見守っていた風は度肝を抜かれることとなった

流琉と協議を終えた風は、許昌にいる華琳の元へと急ぎ使者を飛ばすのであった

 

突然天より雷鳴が轟き、炎が天を焦がし砂塵を巻き起こし、易京ついに落城す

易京の落城の報は、風が遣わしたこの伝令の言葉と共に、こうして許昌にいる華琳の下へと届けられることになった

 

それは華琳にとっても白蓮にとってもだが、実に悪いタイミングでの伝令といえたのだ

 

司馬懿が襄平、易京を電撃戦で落城させる中、紅による仲介により白蓮の降伏交渉は度々行われていたのだ

 

司馬懿は易京を早期に落す理由を、鄧艾に敢えて”建国の為”とすり替えていたが

司馬懿が強引にかつ迅速に事を進める背景には

この華琳と白蓮との水面下で遣り取りされていた降伏交渉の行方が左右していたのである

 

華琳側が提示した降伏交渉の内容は、河北全土の放棄と白蓮達の臣下が条件となっていた

 

紅が途中で官渡へと立ち寄ってなければ、そこで易京の事情を伝えななければ

もしかしたら意気消沈していた公孫賛軍は、最初に提示した降伏条件に賛同する者が多かったかもしれない

 

事実上の白蓮の敗北宣言とも取れる条件に対して

易京が落ちていないというのに、さすがの華雄や麗羽が声を大にして異を唱え出し、到底承服しかねたのであった

 

だが白蓮の夢の本質は、綺麗事かもしれないがあくまでも”北平に住む民達の幸せの為”であって

白蓮自身が支配する事に拘りや目的があった訳でもなかった

 

打開策があるのなら、このまま官渡城を死守し抵抗するのもやぶさかではなかったが

自身の抵抗が長引き、易京に篭って抵抗する弟の公孫越や民達に迷惑をかけるつもりもなかった

 

華雄や麗羽になんと欲がないことだ、もうちょっと欲を持て!淡白すぎる!と逆に叱咤され

溜息をつかれ呆れるような眼差しを向けられつつも、白蓮としてはただただ苦笑する他なかった

 

実に人の良い白蓮らしい夢といえたのだが、この傾向は同じ塾生であった桃香にも感化されているのかもしれない

桃香の願いもまた、皆が笑顔で幸せに暮らせる世を作りたいという、純粋な願いが発端だったからだ

 

大将である白蓮の意向をくみつつ、紅はその後も粘りに粘った交渉を重ねた結果

 

白蓮の保有する領土に関しての放棄は、早期に合意へと到ったものの・・・

白蓮達将の身柄については、双方で意見が分かれ、尚もつれる経過となっていた

 

華琳側の意思は、自分達をこれだけ悩ませた白蓮達を野放しにしたくない為、自分達の配下として遇したい意向だった

しかし、これには、白蓮や華雄を含めても納得していなかったが、麗羽が異様なまでの抵抗を示していた

 

・・・というのも、麗羽が白蓮に敗れ去った後、牢を出て仲間となった条件が強く関与していたのだった

 

牢を出て白蓮の配下となるる条件として、麗羽が提示した条件が”華琳と戦わせろ”というモノであった

 

それは反董卓連合時の反目が元となっていた 

あの時に生じた麗羽と華琳の亀裂は、連合の長であった麗羽にとって、誇りを多いに傷つけられ許し難く

決定的な亀裂を溝を生じていたのだ

 

白蓮としては、華琳と戦うつもりなど毛頭なかった しかし華琳側は白蓮の思惑など知ったことではないだろう

一刀のあの時の助言が正しいと証明された以上、麗羽を裁く意思がない白蓮にとって

華琳への対処としてという、内外に対する言い訳としては、白蓮にとっては実に都合がよかった

 

だが、麗羽の目的は達し、官渡城での戦いに勝った麗羽であったものの・・・

その恨みまで終に晴れることはなかったのである

 

それから降伏条件は、白蓮の所有する河北全土の放棄は決定したものの・・・

 

お世話になった孫呉へ→X   →華琳側(主に稟と桂花)が、これ以上孫呉が強大になるのに難色を示す

華琳側が臣下の礼をとれ→X  →麗羽が拒否 臣下となるくらいなら戦って死ぬとまで言い出す

臣下がダメなら市井の者として生きればいいだろう→△  麗羽以外は納得するものの、麗羽は華琳と戦いたい為に依然として難色を示す

なら馬騰陣営ならどうか?→X 今度は麗羽より白蓮の方が難色を示す 曹操の包囲に協力的でなかったからというのが理由であった

ならば劉備でどうか?→○  白蓮側全員が納得したのである

 

最初は白蓮達将の行方で双方納得出来ず、こうして交渉は二転三転する格好となってしまったが

華琳としても、河北を制し孫呉との一大決戦を望んでいるだけに、すぐに劉備側と事を構える積もりもなかった

 

また、白蓮、華雄、麗羽の3人も、劉備軍に関してはそれぞれ軋轢も存在していなかった事から

最終的にこの条件で纏め上げられ、双方に受け入れられることとなった

 

桃香へと交渉の推移と共に、事の詳細が書かれた華琳直筆の竹簡を携えた明命が

この交渉の締めくくりとして、成都へと赴く運びとなり

一応の目処がついたことから、事の詳細を伝えるべくすでに一足先に旅立っていた

 

人材が不足していた蜀にとっては行幸といえ、かつ白蓮にとっても桃香や星とも親しい間柄

華雄は月が孫呉にいるので行きたいのは山々な所であったが、友である白蓮に随行することを今は由と考え

麗羽や猪々子、斗詩に到っては、蜀ってどんな所なんでしょうねぇ?美味いものって何だろ?と

すでにはしゃいでいる始末だったりする

 

そうした紆余曲折を経て劉備領への放逐という

華琳、白蓮双方とっての緩衝を得る事により、無難な着陸へと降伏条件は落ち着く運びとなっていたのである

 

華琳の命を受け武装解除へと向けた動きが加速し

春蘭と季衣はそれぞれ、秋蘭、風・流琉の待つ晋陽と南皮へと旅立っていった

 

ただ、こうして降伏への第一歩となる動きが加速する中

麗羽が駄々をこね時間が経過した結果、紅が行き来する時間も増え降伏交渉が長引き

その間隙を縫う格好で、司馬懿によりあっという間に襄平・北平の制圧され

『晋』の建国宣言を許してしまうという、曹操、公孫賛両陣営にとって、実に間抜けな結果をもたらしてしまう

 

そして、風からの伝令が許昌へと到着したのは、なんと降伏交渉の調印を終えた直後という間の悪さで

司馬懿側にとっては、御誂え向き、絶好の機会に到着してしまったのであった

 

この突然の風からの報せに、華琳は風から何かしら?と小首を傾げながらも素早く書簡に眼を通してみると

気高く優雅な華琳の表情がみるみる歪み崩れ、眉間に皺を寄せ、時に苦悶の相ともみえる厳しい表情に変るのであった

 

「華琳さま? いかがなさいましたか?」

 

普段から滅多に表情を変えることなどない華琳なのだが、その鬼気迫る様相に桂花は黙っていられず声をかける

 

周囲に信頼した者達だけならば、書簡に眼を通し終えた華琳は

すぐさま激昂して書簡を床や壁へと投げつけていたことだろうと察するが

この調印を終えた場には、白蓮達首脳陣も参席していた為

桂花の問いかけに対して、憎々しげな表情で書簡を黙って差し出すに止めていた

 

華琳に黙って差し出された書簡へと目を通す桂花と、主の苦悶の様子に只ならぬ気配を察し覗き込む稟

 

「なんですって!?」

「なっ!?」

 

華琳は我慢しなんとか抑えた声音を、桂花と稟の驚愕の声音が、いとも容易く穏やかなに流れる周囲の空気をぶち壊した

降伏が纏まり安堵する書簡の内容を知らぬ白蓮達が知る由もなく

只ならぬ雰囲気を察しつつも、華雄達と共に小首を傾げながら、視線を華琳達へと向けるしかなかった

 

だが華琳達が驚愕する中、その降伏調印を終えた場へと、柱の陰からのこのこと現れた者が只独り居たのである・・・

 

「伝令め 遅かったな 待ちくたびれてしまったぞ どこで道草をくってやがったのやら・・・

 

 まぁ いいだろう ごきげんよう! 魏の諸君! それに馬面の部下達

 魏の首脳陣が苦悶の表情に歪んでいる様子から、今驚愕の事実を知り震えている所なのだろうと察するが・・・

 

 それにしても馬面(=公孫賛)、お前の足掻きとやらはもう終わりなのかね? 

 

 降伏調印? 実にあっけない幕切れではないか 

 観劇者の1人として、物語としての盛り上がりに欠け・・・というか、実に興醒めで面白くもなんともないわ」

 

「失敬な!私が馬面(=うまづら)だと!? それについてはいいとして、お前を面白くさせる為に断ったのではない!」

 

馬面と馬鹿にされたのはいいのか!と、華雄は友に突っ込みそうになるのを抑え

この男は降伏を覆す為に姿を現したのか?と推測し警戒する華雄であったものの・・・

 

「馬臭い奴を馬面と評して何が悪いのだ? それにほほう? 大層威勢がよくなったではないか

 今にも死にそうな面構えだったというのに、少しは言うようになったではないか 馬面

 

 そうだ! 馬面、 実に不満の残る座興だったが見せてくれた俺からの褒美だ 

 お前が切望して止まなかった代物だ これが欲しかったのだろう? 遠慮なく受け取るがいい」

 

最初は自身の前へと不用意に投げられた包みに関し、何か仕掛けられているのかと思い凝視するだけだったのだが

華雄が包みを拾おうとするのを制し、白蓮自身が包みへと歩み寄りった 

 

だがその包みに不信感を拭えぬ白蓮は、包みへと歩み寄ったものの・・・司馬師と包みを交互に見つめるだけであったのだ

 

「じれったい奴だな 罠や発火したりはせんからあけてみろ」

 

司馬師がそう言われ、くいくいと顎を突き出し催促するので

不審の眼差しを向け不本意ながらも、投げられた包みを拾い上げ解き始めようとする白蓮

 

「それと馬面が中身を検めている間に、貴様らに言っておくことがある

 それに今頃アイツ・・・司馬懿も易京にて暢気に宣言を読み上げていることだろうよ・・・ってことで

 ここは俺直々にお前達へと宣言するとしよう! 者共心してきけい!

 

 公孫賛、お前の旧領である易京、襄平を含めた遼東は、すでに我ら司馬一族の支配化に置いた

 これからは司馬師である俺を頭首と定め、『晋』の建国をここに宣言しよう!」

 

司馬師の晋の建国宣言で、許昌の玉座の間は騒然となっていた

 

だが白蓮は、そんな司馬師の建国宣言など耳に入ってはいなかった

それよりも眼前に広がる驚愕の事実の方が、建国宣言などという事実より受け入れ難かったからだ

 

「こっこれは・・・越に・・・陛下!?」

 

所々が赤や黒く茶色に変色した布に包まれた包みを開け放つと同時に

白蓮は息をのみ凍りついた、驚愕のあまり瞳が大きくあけられわなわなと震え、『晋』の建国宣言で城内が騒然とする中・・・

更なる衝撃の事実を白蓮がポツリと呟いた事で、城内は更なる混沌へと誘い、覆い包むことになるのであった

 

「貴方が当主!? 『晋』を建国!? 何を馬鹿な事を・・・ってなんですって!?」

 

春秋の時代をなぞらえて、白蓮の土地を奪って建国ならば「燕」や「趙」が相応しく「晋」というのはおかしい 

そう華琳はとっさにそう反論しようとしたのだが、白蓮の呟きに驚愕し

途中で言葉を失い、見事なまでに疑問を打ち消されてしまっていた

 

白蓮の前に投げられた2つの首はまさしく、易京を任せ守備していた筈の弟の公孫越

そして先程久々に尊顔を拝した献帝の驚愕に歪められた首の2つであったのだ

 

この調印式が終われば、領土は無くなったとしてもやり直せるさ

そんな白蓮のポジティブな思考も気持ちも、一瞬で凍りつかせ無惨に吹き飛ばされていた

 

「へっ陛下、それにえっ越・・・ うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー」

 

驚愕の事実を突きつけられ、絶望に打ちひしがれ、石床へと崩れ伏し咽び泣く白蓮

華琳は白蓮の慟哭する様子をみて、ニヤつく司馬師に怒りをぶつけ睨みつける

 

驚愕の事実を知った者達は皆、司馬師が見せた人にあるまじき狂気に恐怖していた

 

「これで少しは観劇の終わりを楽しめたというものだ 実に愉快! 

 

 ・・・・・・おいおい いつまで何を泣き喚いている? そこに転がるそっ首にどれだけの価値があるというのだ?

 漢王朝はこれにて終焉を迎えた! これからは漢王朝という縛りなく、より強い者がこの大陸を支配する

 新たな時代の幕開けとなったのだ!!  

 

 馬面は弟と共にずっといられ、漢王朝という足枷もなくなり、思う存分覇道をこれから邁進する曹操

 どうだ? さぞかし嬉しかろう? ん? ん~~~?」

 

ん?の度に、少しづつ首を傾け、おちょくる司馬師の仕草に、華琳はもとより周囲の方が怒りを鮮明に露にしていた

 

「このキチガイ・・・ 死して尚、死者を冒涜する行いをするなんて・・・ 恥を知りなさい!!」

 

侮蔑を帯びた視線を遠慮なく司馬師へと向け一喝する華琳に対し

 

「はぁ~?じぃ~? キチガイ?冒涜?とはこれ愉快なり! アハハハ! 笑わせてくれる!! 

 曹操貴様自身も俺もだが、皆キチガイだからこそ、この狂った時代をより面白可笑しく生きようとするのではないか?

 

 そしてこの狂った世界で生きる者達は、我らも含めてだが・・・

 

 お前も・・・そこに控える者達も皆、所詮、時代に操られし『傀儡』にすぎんのだぞ?

 『傀儡』の分際で尊厳だと!? ハンッ! 人形の分際で笑止!!」

 

華琳の視線は愚か周囲のことなどそ知らぬ顔で、司馬師はそう吐き棄てていた

 

「私達が時代に操られた『傀儡』ですって!? 馬鹿を言うのも大概になさい!

 私は私の意志で”覇道”を歩んでいる! それは時代や誰に命令されたからという訳ではないわ!

 死した者達を足蹴にし冒涜しただけでなく、今を生きる者達の尊厳をも踏みにじる行為!許し難し!司馬師大概になさい!」

 

「尊厳?冒涜? 綺麗事抜かしおって!とんだお笑い種だな ならば問おう 似非覇王に馬面長史だったか?

 

 お前達が争い、これまで幾多の戦いで殺してきた兵の総数と、此度俺達が『晋』を建国する際に殺した兵の総数

 失った命の重さとやらに大差があるとは思えんがな? それともお前の言う尊厳や冒涜で総数が変化するのかね?

 

 違うだろう? 所詮俺と貴様らは同類であり、”時代の観劇者”にとっては、どちらも道化に過ぎないのだよ

 

 それにお前達は、そもそもこの世界の成り立ちを知っているのか?」

 

屁理屈を! そんな稟や桂花の声を含む批判の声が周囲からも湧き起っていた

だがそんな中、紅だけが無言のまま、司馬師の語る真実の意図を見抜こうと鋭い視線を向けていた

 

「・・・・」

「世迷言を! この世界の成り立ち? そもそも貴方が言った言葉の意味すら分らないわ」

 

白蓮や華琳が自身の問いに答えるとは、最初から司馬師も思っていなかったし期待もしていなかったのだろう

司馬師はさっさと自身のペースで、淡々と言葉を紡ぎ出していく

 

「世迷言? まぁ 俺の言を理解できる者など、この世界にはそう存在しないだろうから、言った俺の方が愚かだったという事にするか

 それにこの問いに答えられる奴がいるとしたら、アイツか『管理者』くらいのもんだろうさ

 

 それにこれからの世界の有り様は、我らがこの大陸を支配する事で一変することになる

 

 我ら司馬親子に認められた一部の特権階級が組織する支配者層『天上人(てんじょうびと)』と

 『傀儡』と呼ばれる一切の反論を許さない奴隷者階層に分けられた世界へと、我々の手により新生する事になるのだからな」

 

「愚かな! 戯けた妄想を垂れ流して、もう支配した気でいるのか! 華琳さまや我らがそんな勝手を許すと思っているのか!」

 

司馬師の暴言に対し、稟はこうして反論してみせた 

華琳も桂花も稟に同意し頷き、怒気を含めた鋭い視線を司馬師へと向ける

 

だがそんな鋭き3人の視線も、司馬師になんら影響を与える所か

呆れ果てさもうっとおしい、相手にできんとばかりに視線を逸らしていた

 

「たわけ! 公孫賛のような雑魚共を、容易に抑えられもしない輩共が、利いた風な口を叩くな!

 そんな腑抜けた腰抜けの集まりだから、こんな中途半端な時期に我らが直接手を下し

 『晋』建国という茶番行為に走らねばならなかったのだぞ? 分っているのか? この能無しの愚か共めが!」

 

居並ぶ華琳達へ向け指差しながら、逆切れとも取れる内容を、激昂しながら吐き棄てるように罵った司馬師

 

「我らが当初練った計画では、曹操と孫呉、双方が争い終わった後に反乱を起こし、領地共々根こそぎ奪う計画だったものを・・・

 

 それに北郷一刀を倒すのは、曹操お前じゃない! 

 俺がこの世界に”転生”した以上、北郷 一刀をこの手で直接抹殺し、この舞台から引きずり降さないとこちらは気が済まないんだよ!」

 

握り拳をブルブルと小刻みに震わせ、司馬師の怒りのボルテージは最高潮を迎えていた

 

「それにいつまでも我らを目の仇に警戒し、公孫賛と”ぐだぐだ””うだうだ”と戯れているから

 ”つい”手を出し建国してしまったじゃないか! この愚物共めが!」

 

自分達の略奪し建国した卑劣極まりない泥棒行為を棚上げし、さも華琳や白蓮達が悪いように罵り終えた司馬師の発言に対し

華琳を始めとした稟、桂花は呆れ返っていた

 

一方で腰抜けと弾じられた司馬師の言に、華雄や麗羽、猪々子が憤る中

斗詩が泣き引き摺られながらも必死に3人を制していた

 

「それが貴様の本心か! ならば官渡城が落ちる間際に何故、私に誘いをかけた!」

 

泣き崩れていた筈の白蓮が、いつの間にか顔を上げこう反論していたのだ

 

「憶えておらぬか? 馬面 だから俺は確と”余興”と始めに断った筈だぞ?                   ※第3章 18話参照

 

 あの時点で貴様が全てを捨て、素直に俺の指示に従ったならば

 使える者達に関しては軍へと組み込み『天上人』として遇し、それ以外を『傀儡』として生き長らえる方向で考えていた 

 それなりに遇してやるつもりではあったのがな? 

 

 ・・・だがお前は俺の提案に際し、内容を聞きもせず即断った 故に計画を実行に移したまで 

 その哀れな弟の首とやらは、お前が断ったが故に殺され、只その計画の実行の上の”ついで”で起こったことだ 結果に過ぎん」

 

「私のせいだと!? ついで・・・越は”ついで”で命を落したというのか!! おのれ! ゆるさん!

 離せ華雄! 猪々子!」

 

斗詩が華雄、麗羽、猪々子の3人を先程まで抑えていた筈なのだが

涙を流す白蓮の瞳がコレでもかというほど開かれ、憎悪に満ち満ちた眼光を向け、司馬師へと斬りかかろうとする白蓮に対し

華雄と猪々子が抱きついて、司馬師へ突進させないように静止させた

 

「ふんっ 命を無駄に散らさずに済んだな 抑えている者に感謝するのだな 馬面」

 

その様をみてもう興味が薄れてしまったのか、白蓮に対して吐き棄てた後には白蓮達を一顧だにせず

少しも意に介した様子もみられない司馬師であった

 

この世界にて一刀が発案した計とされる『天下三分の計』が、ここにきて”違う意味”を伴ってきたのである

 

本来”天下三分の計”とは、即ち、魏、呉、蜀という大国によって、互いに牽制しあい

三竦みにより争いの種を抑えつつ、長きに渡る平和を維持しようという一刀の当初の目論みは

司馬親子の登場と建国により、河北の情勢はより混沌へと深みに嵌まり

当初に抱いた一刀の思惑は脆くも崩れ去った

 

そして司馬懿親子の河北の地での建国は

魏・呉・蜀という大国による覇権争いで大陸の雌雄を決しようとして計画していた冥琳の予想をも覆す出来事でもあった

 

司馬親子が支配する世界、『傀儡』と呼ばれる司馬親子に服従する者達

そして司馬親子に対抗する者達という、大きく分けてその2つの勢力へと集約されていく

司馬親子が提唱するこの『晋・天下二分の計』へと、世界は歪曲変革され、変貌を遂げていくのであった

 

「ちなみに今の俺達の支援者は烏桓と匈奴の2大勢力だ もう薄々解ってはいるだろうがな? なぁ郭嘉」

 

「ああ やはり此度の風の南皮からの侵攻を遅らせた原因

 裏で横槍を入れ、糸を引いていたのはお前達だったのだな!」

 

「フンッ ご名答! さすが切れ者、郭嘉に程昱、荀彧、曹操には惜しい人材だな 

 ご苦労な事に、烏桓と匈奴の周りをこそこそと嗅ぎ回ってくれたみたいだが・・・

 

 まぁ バラした今となっては、その対策とやらももう遅かろうがな? クックック」

 

「おのれ・・・ぬけぬけと・・・」

 

司馬師のバラした言に対し臍を噛む稟

 

司馬師の言にもある通り、秋蘭による西からの侵攻を鈍らせた原因である

中立から敵対行動へと突然態度を覆した烏桓と匈奴の動向の詳細を掴むべく、稟は部下を至急派遣して探らせていた

 

その過程であわよくば、匈奴と烏桓を牽制させようと画策し、密かに動いていた稟なのであったが

ここで司馬師が関係をバラした事により、あわよくばと考えていた2大勢力の仲違いの策も失敗が確実視され

2大異民族の情報を掴む必要もなくなってしまったという訳なのであった

 

「建国宣言とネタ晴らしも終わった 俺達は晴れて敵同士となった訳だ 

 これから抵抗してくる者に対して一切手加減はせんぞ? 容赦なく叩き潰してやろう!

 いや『傀儡』という名の奴隷で、貴様達が這い蹲り一生飼い殺すのも悪くないな! 嬉しく思え! アハハハハハ」

 

もう用は済んだとばかりに、華琳達から離れようと歩き始めた司馬師であったが

未だ尚自身を見つめる視線に気付いたのか、方向転換し見つめてきた者へと近づき静かに対峙する

 

「お前は確か・・・孫呉の手の者だったな? これまでの事は聞いての通りだ 

 これまで随分好き勝手に、先手先手を打って優位に動いていたようだが、これからはそうはいかぬぞ?

 

 それとこれは建国した『晋』の頂点である俺から

 孫呉の頂点である北郷 一刀への”宣戦布告”だ!! よぉ~く聞くがいい!

 

 これからは北郷一刀をこの世から抹殺すべく我らは動く・・・

 それを邪魔する者あらば、お前も含め纏めて孫呉の者達全てを抹殺せしめ

 地獄の底へと叩き落としてやるから覚悟しておくのだな 

 

 例えこの世界の何処へ逃げようとも、櫓櫂の及ぶ限り追いかけ必ず誅してやるから心しておけ

 そう北郷へと伝えておくがいい いいな?

 

 ああ~それと最後に、馬面のように無様に忘れ、その時になってわんわん駄犬のように無様に泣き叫ぼうとも

 こちらは一向に預かり知らぬからな? クックック アハハハハハハーーー!」

 

「フフフ 弱い犬ほど吠えますわね? 今のお言葉そっくりそのままお返し致しますわ

 そちらこそ 私達と戦う前に、無様に曹操様に敗北し、吠え面をかかねばいいのだけど?」

 

外交に赴いている紅に珍しい大胆不敵な物言いに対して

司馬師は激怒するどころか、強気な紅に対し感嘆してみせたのである

 

「クックック あははははは! ふむ 面白い! いうではないか! その時を楽しみにしているぞ? ”張紘”とやら

 小心者の馬面とは違い、その剛毅さ大いに気に入った! 

 お前にも土産をくれてやろう! 北郷へと手柄を持ち帰り、可愛がられるとよかろう

 

 お前達が今から攻めようとしている”劉琮”も今は我ら晋側の人間だという事を忘れぬようにな? 

 ただ奴らは、何を誤解したのか知らぬが、自分達は「天上人」となり支配者側と思っているようだがな 

 

 曹操と決着をつける合間の、ほんの時間稼ぎに過ぎぬ笑止な存在だというのに馬鹿な奴らよ

 それにしても『傀儡』の分際で、実に愚かしく小ざかしい連中だ さっさと滅せられるが世の為だ

 

 それにしてもいいぞ 女 まるで元姫のような油断ならぬ瞳 益々気に入ったぞ? 

 

 懐に隠す”愛器”とやらで、いつでも俺を嬲り殺しに来るがいい 直々に相手をしてやろう

 貴様はああした愚物にはなるなよ? それではまた戦場にて会おう」

 

司馬師はこの時、劉琮の事を紅へとバラしてみせたが、これで全てを明かした訳でもなく

司馬一族によって張り巡らされた策謀の網は、今後着実に現大陸を制する者達へと

容赦なく研ぎ澄まされた牙を剥く事になるのは必至の情勢となっていた

 

司馬師を追え(いなさい)!逃がすな!と稟、桂花から警備の者達へと命を下す

 

辺りがまた一段と騒然とする中、紅の額から背へと容赦なく嫌な汗が溢れ流れ出ていた

紅は、一刀くんが出て行くまでもない 今私自らが誅してやろう! 

そんな自身の意図する所を、見事に司馬師に突かれ、衣服の下で捕縄を手にしたまま、暫しの間その場から動けなくなっていた 

 

             ・

             ・

             ・

 

「司馬懿達の一連の行動に関して把握していなかったのは、私の監督不行き届き、大変申し訳なかったわ・・・

 それにこれはお気の毒で、非常に残念な事なのだけれど・・・」

 

「あっああ・・・ それは解っているさ 曹操 

 今更降伏合意の約定を反故にするつもりはない 悔しいけどあとは頼む、奴らに一泡吹かし勝ってくれ」

 

頭を下げる華琳の姿に、逆におろおろしながら、そう華琳へと激励の言葉を投げかける白蓮に

 

「ええ 承知しているつもりよ 身から出た錆ですもの 当然排除してみせるわ」

 

華琳は初めて白蓮へと苦笑混じりの笑顔をみせていた

2人は自然と握手を交わし、互いのこれからの健闘を称え合うのであった

 

華琳には、弟や将兵を無惨に殺された白蓮の気持ちを察する事は出来たが

これ以上かける言葉がみつからず、握手しつつも2人の間に沈黙が支配するに到り

その沈黙に耐え切れなくなった華琳は、それとなく自身から握手を解きさっと踵を返すと

今度は仲介してくれた紅へと近寄り、礼の言葉を述べ終えるや

そこに今まで穏やかな表情をした華琳はもう失われていた

 

すでに華琳の視線は、『晋』を建国した司馬一族、背後にいる烏桓や匈奴という2大異民族へと視線は注がれており

さすがは巷で”乱世の姦雄”と呼ばれし華琳に隙などありはしなかった

もう次なる戦いへと全神経を研ぎ澄まし集中させ、河北を制するべくすでに歩み出していたのである

 

「至急、晋陽と南皮へ伝令を飛ばし、ここで起こった遣り取り全てを秋蘭と風に聞かせなさい いいわね?

 

 その上で、秋蘭、風、2人の判断に委ねるけれど、司馬懿が支配する範囲はまだ狭くとみているわ

 ならばこの混乱に乗じて、少しでも空白地となる河北の領土を切り取ってみせなさい

 

 秋蘭と風の2人ならら大丈夫とは思うけれど、春蘭と季衣が暴走せぬよう手綱は緩めないようになさい

 今後の失敗は確実に大陸制覇への遅れへと跳ね返ってくるわ

 着実に一歩づつでいいから、事を進めるよう言い含めなさい いいわね?」

 

「「ハッ 華琳さま 委細承知しました」」

 

それから華琳は、桂花や稟へと何やら二言三言、指示を与え終えると

許昌城奥へと一足先に足早に去っていくのであった

 

司馬師や華琳が去し後も、部屋の雰囲気が回復することもなく、自然と散会する運びとなっていた

だが公孫賛側の将兵達の中には、納得できず降伏を白紙に戻すべきと非難する者達もいたが

白蓮の意思を尊重した華雄や麗羽に一喝された為、それ以上拗れることもなく、ここに許昌での降伏交渉は閉幕と相成った

 

河北では白蓮と華琳の戦いに一応の終焉を迎えたものの・・・人々が希望する平和な暮らしは、遠き彼方へと追いやられ

今度は曹操軍の内紛とも取れる新たな戦いへと、河北の地は巻き込まれていくことになるのであった

 

 

 

 

「おう星か 先程、呉の周泰殿が参られたとか? 何用だろうな?」

 

「さぁ? さすがに読めぬな 荊州攻めに関することかもしれぬがどうだろうな」

 

玉座の間へ急ぐ愛紗は、途中ばったり星と出くわし

目的地が同じという事もあり、共に肩を並べて先を急ぎ歩いていた

 

「・・・という事情によるのですが、いかがでしょう?」

 

愛紗、星の2人が、玉座の間に到着した時にはすでに遅かったようで

明命の説明がちょうど終えた所だったようである

一礼を終えた2人は、急いで玉座の間の自身の立ち位置へと移動し、桔梗から情報を素早く得ていた

 

「白蓮ちゃん達が蜀に?」

 

「はい お忙しい所、御迷惑かと存じますけれどどうか!」

 

愛紗と星が桔梗から内容を聞いている間にも話は進行しており

桃香には珍しく驚きの声を発し、前のめりとなって明命へと問いかけていた

 

「そっか・・・白蓮ちゃん達、曹操さんに負けちゃったのか 残念だったね 

 でも、全然迷惑と思ってないから! むしろ受け入れに関しては大歓迎だよ!」

 

桃香の即答に、明命の表情が一瞬で和らいだものの・・・

呉では軍師である冥琳達の意見参考にし、雪蓮が答える事が多く、心底とは違う答えが多かった事を思い出し

軍師である朱里や雛里に相談しないで大丈夫なの?と思い、そちらへも恐る恐る視線を向ける明命

 

蜀では主従というより、仲間意識が高かった為、呉よりそうしたしきたりという縛りの垣根は緩く

朱里と雛里2人に苦笑されつつも、大丈夫ですよ?と頷かれ、無事任務を果たせたとの思いが込みあがってきていた

 

「そっそうでしたか! 事後承諾となりました事、仲介の使者たる張紘より

 大変申し訳ありませんとの言伝も預かっております 

 

 私は急ぎ許昌へと受け入れ承諾の旨を伝えに戻りたいと思います それでは皆様!」

 

無事自身の任務を遂行できた明命の声は、見事普段通りの元気さを取り戻し

深々と美しき黒髪を垂らし一礼を終えると、少しゆっくりしていけば?と思う蜀の面々の想いも届く暇もなく

明命は元気よく疾風の如き速さで足早に玉座の間を立ち去っていった

 

「いえいえ わざわざ遠い成都の地までご苦労様でしゅた はぅ!」

「朱里・・・カミカミだな」

 

朱里が明命へと労いの言葉も発するも・・・言葉を紡ぎ終える頃には、明命の姿はすでにそこになく

場が締まらないことこの上ない状況に、星が場の雰囲気を和ませようと茶化してみせた

 

玉座の間は、白蓮達が蜀へとやってくることへの嬉しさからか、桃香と星が事のほか饒舌だった

場が自然とお開きとなる中、今度は明命の部下が、入れ替わるように飛び込んできたのである

 

駆け込んできた呉の使者のただならぬ様子に、先程までの和やかなムードは一変して空気が張り詰めていたのである

 

「主・周泰の命にて急ぎお知らせに参りました次第です」

 

「どうかしましたか?」

 

使者の慌て様に、只ならぬ気配を察する桃香を始めとした朱里達は

使者が少しでも落ち着いて話せるようゆっくりと問いかけた

 

「はい これはまだ未確認な情報なのですが、周泰が交渉の為ここへ参るまでに

 どうやら曹操軍の配下であった司馬懿が、降伏交渉中の隙を狙い公孫賛様の領地を略奪せしめ

 河北の地にて独立し、『晋』という名の国を建国したようなのです!」

 

「司馬懿さんが!? ・・・って誰だっけ?」

 

「とっ桃香様! もうちょっと緊張感をお持ちなってください!!」

 

このほんわかした天然さが桃香の良さであり悪さなのだろうが

皆が桃香の様にズッコケそうになるのを、愛紗がいつものように引き締めるのだった

 

「アハハ ゴメンナサイ 愛紗ちゃん 反省シマス・・・」

 

「司馬懿なる人物は確か、曹操殿の配下だったと記憶しておるが?」

 

玉座でシュンとなり縮こまる桃香を尻目に、星が司馬懿に関する自身の記憶を引っ張り出していた

 

「星さんのおっしゃられた通りですね 黄巾征討時に何度か曹操陣内でお会いしました

 その頃には私と同じく、必要以上に語らず思慮深く物静かな方との印象しかなかったのですけど

 ・・・ってどうかしたの朱里ちゃん?

 

雛里も星と同じく、自身が知っていた司馬懿という人物像を語っていたのだが

隣にいた朱里の顔色が優れない事が妙に気になり、心配となり自然と朱里へと声をかけていた

 

「え? ううん なんでもない ただ司馬懿・・・ですか・・・・・・

 

 どうしてか自身にも未だにハッキリと解らないんだけど

 司馬懿という、見ず知らずで会った事もない人の名前の筈なのに、名前を聞いた途端になんというか、ちょっと寒気を・・・」

 

「朱里ちゃん・・・」

 

皆が朱里を心配する中、明命の部下がモジモジしているのを星が気づいた

 

「御使者殿 いかがなされた?」

 

「いっいえ! そっそれが・・・その・・・実はまだ報告内容はまだございまして

 陛下が崩御あそばされたとの報せを急ぎお伝えせよとの命を受け、こうして罷り越しました次第です」

 

「陛下が!?」

「ええっ!?」

「なんと!?」

 

司馬懿の建国など蜀の面々にとっては、朱里を除いて遠い国の出来事くらいの薄い関心しか示していなかった

だが、桃香は漢皇室に連なる者であった為、帝が崩御されたという報せを聞いた一同にとって驚天動地の大事件となった

 

その数日後、成都にある魯家支店を通して詳細を伝えられ

首謀者と目された司馬師の手によって、陛下が殺害されたと記された書簡が

秘密裏に桃香達の下へともたらされることとなった

 

また献帝殺害という驚愕の事実は、孫呉を介して馬騰陣営へも伝えられ

 

「なんですって! うそ・・・陛下が何故!? うっ・・・・」

「母さま!?」

「叔母さま!」

 

事情を聞いた翡翠は、気を失って倒れ込み、数日間意識を取り戻さないほどのショックを受け

今まで内政に取り組み平穏だった涼州を震撼させる一大事となった

 

それはそうだろう、方や皇帝に連なる者であり、漢の臣を自負していたのだから・・・ 

それだけに、後継もなく崩御されたという事実は、長く続いた漢帝国の滅亡を意味していた

 

そして献帝の崩御は、桃香や翡翠だけでなく、華琳もまた、絶対的優位な後ろ盾を失ってしまったことも意味していた

 

司馬師による献帝殺害という事実は、世間一般へは公表されず

事実を伏せられたまま、華琳の手によって粛々と葬儀は執り行われたのであった

 

 

時代が急激に加速し始める中、蜀の軍師である朱里と雛里が動き出した

 

 

「一刀さまがくれたこれを使うときが・・・ まさかこんなに早くやってくるなんて・・・

 ホント思いもよらなかったね 朱里ちゃん」

 

朱里が大事そうに持つ『箱』を覗き込みながら、朱里へと話しかける雛里に

 

「そうだね けれど今が”これ”を友好的に使う時だと思うの!」

 

決意を漲らせた朱里の言葉にうんうんと頷く雛里

 

朱里が持つ『箱』 実は一刀が同盟調印時に朱里に渡していたモノだったのだ

 

その『箱』の中身とは、月が司馬懿に襲撃された際に、懐へと密かに忍ばせていたモノであり            第2章 18話参照

その時霞は、月の懐の膨らみを錯覚と思って込んでいたようなのだが

実は錯覚などではなく『箱』を隠し持っていたのだった

 

そうして『箱』は一刀の手を経て、同盟締結時に朱里へと手渡され                         第2章 19話参照

この度、『箱』の中身は蜀漢を興す切り札となり、桃香の血筋と共に”象徴”へと変じたのである

 

象徴とも言われる『箱』の中身とは、一体何だというのだろうか!?

 

『箱』の中身、それは古くは始皇帝が使用したとされ

以後、漢の歴代の皇帝のみが使用していたとされる『伝国璽』であった

 

洛陽の宮廷の焼失と共に失われたと思われていた『伝国璽』を

漢王朝後継の象徴の証として、朱里と雛里は使うことをこの時決意していたのである

 

朱里と雛里の間に交わされた会話の数日後

桃香は漢王朝の正統後継を宣言し皇帝を名乗り、献帝を最後に滅亡したかに思えた漢王朝であったが

見事ここに”蜀漢”を再興してみせたのであった

 

そして桃香のこの動きに呼応したように、献帝という後ろ盾が無くなった華琳もまた、許昌の地にて『魏』を興したのである

 

だが、長安にいる翡翠だけは、早期に桃香を漢王朝の後継として認めないと宣言し

他勢力が動静を探る中、桃香へと対抗姿勢を鮮明に打ち出したのである

 

翠や蒲公英、合流を果たした紫苑が、蜀と一触即発の緊張を心配し見守る中

頑なに、我は今も尚”漢の臣”であると、周囲へ憚ることはなかったのである

 

以後大陸の覇権抗争の構図は、一刀率いる『呉』VS荊州北部の劉琮、華琳率いる『曹魏』VS司馬師率いる『晋』、

桃香率いる『蜀漢』VS長安を制する翡翠という新たな対立構図を生み出した

さらに今後上庸の恋がこれに加わって争われることが予想され、益々大陸の情勢は際限なき混沌の闇へと嵌まっていくことになった

 

 

 

 

注※ ブス=トリカブトの毒をさす、漢方薬として塊根を使った場合は”附子=ぶし”と呼ばれる強心作用、鎮痛作用があると言われる

 

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●『真・恋姫†無双 - 真月譚・魏志倭人伝 -』を執筆中

 

※本作品は【お気に入り登録者様限定】【きまぐれ更新】となっておりますので、ご注意を

人物設定などのサンプル、詳細を http://www.tinami.com/view/604916 にて用意致しております

 

上記を御参照になられ御納得された上で、右上部にありますお気に入り追加ボタンを押し、御登録のお手続きを完了してくださいませ

お手数をおかけ致しまして申し訳ありませんが、ご理解とご了承くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします<(_ _)>

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

  春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

  『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた

  優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

  容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である

  祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

   呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

  容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである

  髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが

  その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである

  服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

  普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

  発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

  このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

  ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

  容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている

  背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

  容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである

  眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から

  姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

  緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

  祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

  部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

  真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

 

  容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている

  均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ) 

 

  荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

  知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

  以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま

  呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている

 

  容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

  (背丈は朱里や雛里と同じくらい)武器は不撓不屈(直刀)真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

  ○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)

 

  『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族

  槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす

 

  容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ  

  胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている  

 

  ○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)

 

  弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが

  一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で徐々に頭角を現し

  後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる 

 

  容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである 

  二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える 

 

  ○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)

 

  朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される

  その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される

  天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為

  未熟であった一刀の補佐にと転属させられる 

 

  初期には転属させられた事に不満であったが、一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に(わだかま)りも消え

  一刀に絶大な信頼を寄せるようになる

  後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している

 

  容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである

  服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・

  と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)  

 

  ○太史慈 子義 真名を桜(サクラ)

 

  能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者  桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し

  騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)

  本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という

  両者の良い処をとった万能型である

 

  武器:弓 不惜身命

  特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く

  隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった

   

  容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子

  眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める

  一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる

 

  真剣に話している時にはござる口調であるが、時折噛んだりして、ごじゃる口調が混ざるようである

  一時期噛む頻度が多く、話すのを控えてしまったのを不憫に思った為

  仲間内で口調を指摘したり笑ったりする者は、自然といなくなったようである

 

 ○高順

 

  「陥陣営」の異名をもつ無口で実直、百戦錬磨の青年 

  以前は恋の副将であったのだが、恋の虎牢関撤退の折、霞との友誼、命を慮って副将の高順を霞に付けた

  高順は恋の言いつけを堅く守り続け、以後昇進の話も全て断り、その生涯を通し霞の副将格に拘り続けた

 

 ○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)

 

  緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし

  緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある

 

  この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・  

  正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして

  気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっているが

 

  この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・

 

 ○孫紹 伯畿 真名を偲蓮(しれん)

 

  一刀と雪蓮の間に生まれた長女で、真名の由来は、心を強く持つ=折れない心という意味あいを持つ『偲』

  ”人”を”思”いやる心を常に持ち続けて欲しい、持つ大人へと成長して欲しいと2人が強く願い名付けられた

  また、偲という漢字には、1に倦まず休まず努力すること、2に賢い、思慮深い、才知があるという意味もある

 

  緋蓮、珊瑚、狼をお供に従え?呉中を旅した各地で、大陸版・水戸黄門ならぬ

  ”偲”が変じて”江東の獅子姫様”と呼ばれる

 

 ○孫登 子高 真名を桜華(おうか)

 

  一刀と蓮華の間に生まれた次女で、子供の扱いが分らぬ蓮華の犠牲者1号となり

  早々に侍従長の咲と思春の手により育てられることとなる

 

  そんなエピソードがあるのにも関わらず、聡明な娘で人望も厚く育ち、王となってからは自身の才能をいかんなく発揮させる

  一刀や蓮華に似ているというより、姉である雪蓮に似ているとの蓮華談有り

  後年孫呉の王として、天皇となりし姉・偲蓮を支えることとなる

 

 ●その他武将

 

  蒋欽ー祭の副将、董襲ー楓の副将

  歩シツー珊瑚の副将、朱然ー昔は瑠璃、現在子虎の副将、丁奉ー昔は子虎、現在は桜の副将 周魴ー瑠璃の副将

 

 ○青(アオ)

  白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前 

 

  白蓮から譲られる前から非常に気位が高いので、一刀以外の騎乗を誰1人として認めない 

  他人が乗ろうとしたりすれば、容赦なく暴れ振り落とすし蹴飛ばす、手綱を引っ張ろうとも梃子でも動かない

  食事ですら・・・一刀が用意したモノでないと、いつまで経っても食事をしようとすらしないほどの一刀好き

 

  雪蓮とは馬と人という種族を超え、一刀を巡るライバル同士の関係にある模様

 

 ○狼(ラン)

  珊瑚の相棒の狼 銀色の毛並みと狼と思えぬ大きな体躯であるが

  子供が大好きでお腹を見せたり乗せたりする狼犬と化す

 

 

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【あとがき】

 

常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます

いつも大変お世話になっております 

 

この度の話、随分長くなりましたけれど、いかがでございましたでしょうか?

 

白蓮さんファンの皆様には本当に申し訳ないのですが

健闘はしましたが意に副えず、この度河北の争いから脱落する運びとなりました

今後白蓮達4人の落ち着く先は、孫呉・・・ではなく、本編通りの蜀という運びとなっております

 

また『伝国璽』の正体を一切記さずに、ここにきてようやく伏線共々回収し終えました

いや~正直回収出来るのか不安でもありましたけれど、荷が下り安堵いたしております ハイ

 

さて固い話が本編ずっと続きましたし、そろそろゆるい外伝話を挟んでから

次の劉琮や蔡瑁との決着である荊州編へ進もうかなと考えております

 

まだまだこれは随分先の話となるのですが、今回の第3章となる拠点話の事なのですが

今まで皆様からの多くの投票を戴きました訳なのですが、この度は”無し”の方向で考えております

 

・・・と申しますのも、私に今までのような1週間で書き終える制作時間が取れない事から

挑戦と訓練の一環であるアイデアの「即興」性の意味が薄れてしまっている・・・というが最大の理由であります

 

ただ他にも理由もございまして、今まで惜しくも順位にも届いていないキャラにも

今回はスポットを当てた拠点話も加え制作したいと、無謀にもそんな野望を持っておりまして

 

通常メイン2+5位、計7キャラ分の制作予定だった訳なのですが

第3章の拠点で制作する数は、詳しい話数は控えますけれど

現状の見積もりでは大幅増になるのでは?と思われます(また無茶で無謀な事を。。。

 

投票がなくなり、私としても楽しみが減り、非常に残念な所なのですが

この無茶ぶりに関し、御了承くださいますよう、何卒よろしく御願いいたします<(_ _)>

 

これからも、皆様の忌憚のない御意見・御感想、ご要望、なんでしたらご批判でも!と何でも結構です

今後の制作の糧にすべく、コメント等で皆様のご意見を是非ともお聞かせ下さいませ 

 

それでは完結の日を目指して、次回更新まで(´;ω;`)ノシ マタネ~♪

 


 
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