第十三話 獅子と麻帆良祭・幕間
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト!
ここはエヴァンジェリンの別荘のとある世界
見渡す限り海であるこの世界で、ネギとウルは格闘大会前の仕上げとして模擬戦をしていた
ネギが放った雷を纏った暴風と、ウルが放った蒼い雷を纏った吹雪が拮抗して消滅する
弾けた氷の結晶によって周囲の視界が悪くなる
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト!『
その氷に紛れる形で、ウルが大量の氷の魔弾を発射する
「ちょッ!?多すぎないかな!?」
愚痴を漏らしつつもネギは虚空瞬動で襲いくる魔弾を華麗に回避していく
幾つか当たるものもあったが、それは『
「ええい、厄介ですね!その再生能力は!『
「ウル君も持ってるでしょう!使わないだけで!」
二人はそのまま近接戦闘に入る
ウルは無詠唱で上位身体強化魔法を発動し、ステータスをブースト
ネギは素の身体能力でウルに相対する
「まったく!そんな能力を持ってる相手にッどうやって勝てって言うんだか!」
「無敵ではないッから、突ける隙は必ずあるよ!ラス・テル・マ・スキル・マギステル!『桜華崩拳』!!」
「ぐぁっ!?」
ネギが光の矢を込めた拳でウルの鳩尾を抉る
ウルは込められた威力から吹っ飛び、海水に突っ込んでしまう
「(…うーむ。やっぱり、あの再生能力がある限り10カウントをとって勝つのは至難の技なんだよなぁ…。となるとギブアップを狙うか判定勝ちか、リングアウトか…よし!)」
海底に座り込み顎を撫ぜながらウルは考え込む
何か妙案を思いついたのか、笑顔を浮かべながら海底で目を見開く
そして瞬動を使って勢いよく海面から飛び出していく
「ネギさん!次の魔法で決着にしませんか!?」
「良いよ!このままじゃ千日手になりそうだしね!」
お互いが了承し、最後の手のために魔力を高めていく
海が振動し、二人の直下の海面が波紋を浮かべている
「―行きます!ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト!契約に従い、我に従え風の帝王!来たれ全てを切り裂く凄烈なる暴風!吹き荒べ!巻き上げよ!轟々たる滅びの風神!『
「ああ、来い!ラス・テル・マ・スキル・マギステル!契約に従い、我に従え高殿の王!来たれ巨神を滅ぼす燃ゆる立つ雷霆!百重千重と重なりて走れよ稲妻!『
再びウルとネギの魔法が激突する
しかし先ほどとは規模が比べ物にならない
それはそうだろう、今回二人が使ったのはともに『
周囲の海が蒸発して海水が巻き上げられている
二人の付近など海底の地面が見え、円形に海水が無くなっている
その中心にいた二人はというと―
「けふっ。海水飲んだ…!(でも、策は思いついた。これが通用するかは分からないけど…)」
「大丈夫かいウル君?」
服こそ破けているものの、五体満足な二人であった
ウルの思いついた妙案とやらは、格闘大会まで温存しておく腹積もりのようだ
「じゃ、皆のところに戻ろうか。なんか…リアスさんたちは唖然としてるけど」
「あー…うん、あんまり派手な魔法とかは見せたこと無かったですから」
そして二人は、リアスたちが観戦していた孤島へと向かっていった
★
「何なんだ!?ウル何なんだあれ?!トリックとかじゃないよな!?」
「落ち着いてください響さん…どこかのMr.
島に降り立った瞬間に響に質問攻めをされているウルは少し疲れて見える
模擬戦とはいえ全力で魔法戦闘した後にあれでは無理も無いだろう
「それにしても、あそこまでとは恐れ入ったわ…。人間の魔法も侮れないわね」
「私の雷よりも威力が大きそうでしたものね、ネギ君の魔法は」
「Hmm…戦ってみたいデスねェ…」
一人物騒なことをいってる気もするがスルーして、リアスも朱乃も魔法の威力に言葉が続かないようだ
「…ところで、そろそろリアスさん達の正体を教えてくれてもいいんじゃ無いですか?マスターは知ってるようですし、あなた方の発言から考えると人間以外の種族らしいですが…」
「お、あたし達もそれ気になってたんだよー。良い質問するね、ネギ君!」
メモ帳とカメラを携えた和美がネギに向かってサムズアップをする
どうやらこの孤島には1-Aのメンバーが勢ぞろいしているようだ
あやかなど『ネギ先生とウルさんの雄姿…!とっても雄雄しく格好良かったですわッ…!』などと言って感涙しているし、ハルナなど『キタキタキター!ネタの神が降りてきたー!ふはははははは!』など高笑いしながら筆を走らせている
「…そうね、そろそろいいかしら?朱乃」
「私は部長の決定に従うまでですわ」
「それなら遠慮は要らないわね。私達の正体、それは―」
ゴクリ、と誰かがつばを飲み込む音がやけに大きく聞こえる
誰もが緊張している中で、リアスと朱乃はその背中に生える異形の証を大きく広げる―
「―悪魔。聖書などに出てくる、悪の化身。それが私達の正体よ」
今度は息を呑む音が聞こえる
その中でネギが言葉を発しようとしたが…
「あ、ちなみに金星の魔族とは違うからね、ネギ先生?」
「何で言う前に分かったんですか!?」
「それはほら、ウルにも聞かれたからね」
「あれ、そうなると響ちゃんは…?」
和美の一言に一同の視線が未だにウルを質問攻めしている響に向く
さすがの響も視線とその意味に気づいたのか、なんとなく躊躇っているような雰囲気がある
「大丈夫ですよ、響さん。この人たちは響さんを傷つけるような人では無いですよ。むしろ仲良くなれると思いますよ。特に千雨さんとか」
「はあ!?おいウル、何であたしなんだよ!」
「いやぁ、だって昔から周囲とのギャップに辟易していたんでしょう?ネギさんから聞きました」
キッと千雨が赤面しながらネギを睨み付けるが、本人は口笛を吹いてとぼけている
「うん、大丈夫…さ。ウルに励まされたら、逃げるなんて出来ないもんな!すー…はぁー…よし!」
響は深呼吸をして気分を落ち着かせる
不思議と先ほどのように気分は落ち込まない
そして、自信のスタンドの名前を叫ぶ―
「ゴールド・エクスペリエンスッ!!」
瞬間、響の背後に金色の異形のヒトガタが現れる
幾人かは突然現れた異形に警戒し、戦闘態勢をとったが直ぐに警戒を解く
なぜならそのヒトガタは何もせず、響の背後に付き従っていたからだ
「…これが自分の異能、スタンド『ゴールド・エクスペリエンス』さ。コイツがいたから自分はオカルト研究部にスカウトされたんだ」
一瞬呆ける1-Aのメンバー
響は『やっぱりやめとけばよかったかな…』と内心で思いつつも反応を待つ
と、数秒の後に好奇心旺盛なメンバー―和美や鳴滝姉妹、ハルナが響に突撃した
「おお!そんな能力持ってたんだー!」
「すごいすごーい!」
「ねね、何が出来るの!?」
「ネタとして使わせて欲しいから詳細希望!」
「あ、あわわわわわ!?」
響はいきなりの質問攻めに慌ててしまっている
それをウルやネギは苦笑いで見つめている
「あはは、やっぱり皆は相変わらずですね…」
「君もそのメンバーだろ、ウル君」
「…そうですね。ありがとうございます、ネギさん」
「ウールー!たーすーけーてー!?」
いつの間にか美空や明日菜、聡美やなんとエヴァンジェリンまで響を揉みくちゃにしている
そこで響はウルに助けを求めたのだ
「はいはい、今行きますよー!」
騒がしい日常に若干の気疲れと大きな幸福を感じながら、ウルは響を救出しに走っていった
今回はちょっとクオリティ低いです。深夜のテンションで書き上げるもんじゃ無いですね!
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第十三話 獅子と麻帆良祭・幕間