No.687585

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 四十二話

XXXさん

仮面編

これぞわんわんパワー

2014-05-18 11:20:01 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1355   閲覧ユーザー数:1240

蜀の国境付近…蜀の兵達は見張りをしていた。

―――今日も何事もない…

一人の兵がそう思い欠伸をしているほど、何もない“日常”だ。

だがふと耽っていると遠くから鈍く、重い……足音のような音が聞こえてくる。

空耳か…と、その場にいる誰もが思うがだんだんとその音がはっきりと聴こえて…

 

――――巨大な鉄の腕に潰された。

 

 

 

 

「巨人が出た?」

「うん、国境の近くで出たんだよ!」

 

次の目的地、魏に行くときのお土産を買おうとしていたリトだが、桃香にあることを聞く。

何でも山のように大きい巨人が見掛けられているそうだ。

最初は誰かの冗談だと思っていたが、桃香の言うように国境付近で現れたのを見掛けたらしい。

その目撃者は国境警備の兵の一人…彼が言うことには、自分以外の仲間は全て殺されたとのこと。

それを聞いたリトは顔をしかめ、思い当たる存在を脳裏に浮かばせた。

 

「巨人……まさか、キングダークか?」

「きんぐだーく?」

「GODって言う組織の幹部…と言っても実際には人が乗り込んでたロボットだけどな。そいつだと思う」

 

だがおかしい…キングダークが現れたと言うことは間違いなく都心を破壊するはず。

なのに何故国境付近で…と、思考を張り巡らしていたリトだが、それを止めざるを得ない事態となる。

 

「お姉ちゃーーーーん!!お兄ちゃーーーーん!!」

「りんr…ゴフッ!」

「鈴々ちゃん!?どうしたのそんなに慌てて?」

「いや桃香、無視しないで」

 

遠くから土煙が舞い、鈴々がリトの顔面に抱き付く。

桃香はそれを気に止めなかった……ツッコミがいないのはけっこう痛手だ。

 

「大変なのだ!遠くからおっきな人が歩いてきてこっちに来るって見張りが言ってたのだ!」

「大きな人……まさかさっき言ってた巨人か」

「それで鈴々ちゃん、今誰が対処しているの?」

「今愛紗と翠、それに蓬も行ってるのだ!」

「そうか。俺もすぐに向かう。………、」

 

早足で巨人が来ると言う方向に向かおうとするリトだが、数歩歩いた時に急に止まった。

どうしたのか…と、桃香がリトの顔を除くと、リトは建物の影を見ていた。

そして、リトは鈴々に桃香を連れて早く行くように言う。

 

「…悪い、鈴々。桃香を連れて先に行っててくれ」

「?どうしてなのだ?」

「ちょっと用事ができたんだ…終わったらすぐに行く」

「…分かったのだ。お姉ちゃん、早く行くのだ!」

「え…あ、うん…」

 

鈴々はリトの雰囲気から悟ったのか、特に理由を聞かないで桃香を連れていく。

リトは桃香達が見えなくなった途端、オードライバーを腰に付け振り向いた。

――――振り向いた先にいたのは、白い服装の口の裂けた怪人とまるで蛇のような女の怪人。

 

「こそこそとするなんて、らしくないな。お前なら堂々と来ると思ったが…」

「なに、未知の敵との戦闘には情報収集が必要だろう?」

「だから呉の時も岩石男爵を使ったのか?それに最近の怪人達や隊長ブランクも」

「御名答。そこそこ勘がいいようだな」

「そりゃどうも。全くうれしくないけどさ」

 

白い怪人とリトは互いに隙ができないようにしながらも会話を進める。

隙を作らぬように、隙を見つけようとしていた。

 

「それで、今回はどういう事だ。キングダークを使って何をしようとしている?」

「―――何も」

「…何?」

「私はこの世界に生を受け、餓え、そして渇いていた。より刺激的な者を求め幾人も殺したが私を満足させる者はおらん」

「テメェ…!」

「誰にも邪魔されぬ環境を作るには目を引くような餌が必要だ。あれは役に立つ…誰にも邪魔されず貴様と戦うにはな」

「それだけの為に…アイツを暴れさせてるのか…!」

 

裂けた口を吊り上げ笑う怪人。

その一方でリトの表情はだんだんと険しくなり、最終的には怒りで顔が歪んだ。

―――目の前の怪人はリトと戦うためにわざと遠くからキングダークを呼び寄せた。

周囲の目を引き、リトの周りから武将達を遠ざける為に。

蛇の怪人は一歩下がり、白い怪人は自身の剣…シャドウ剣を抜き、リトに向ける。

 

「さあ!このジェネラルシャドウと血涌き肉踊る死闘をしようではないか、異界の仮面ライダーよ!」

「死闘?違うね、これから始まるのは一方的な殺戮だ!!」

 

リトはメダルをオードライバーに装着しようとした。

…だが、その時

建物の上から高笑いが聞こえてくる。

そこを見ると…リトにとっては見慣れた服装の仮面を付けた美女がいた。

 

「は~~~っはっはっはっ!!そこまでだ、そこの怪人!!」

「…は?」

「む?何者だ、貴様」

「ある時はメンマ好きの旅の武芸者、またある時は露天風呂に花を添える謎の美女…しかしてその実態は!…とぉ!」

 

美女は建物から華麗に地面に着地する。

そして、ヒーロー物でよくあるポーズを決めながら名乗った。

 

「大陸に舞い降りた一匹の蝶!美と正義の使者、華蝶仮面!推参!!」

「……何やってんだ、星?」

「それは趙雲将軍の事か?生憎だが私はあのような美しく気高き者ではないのでな」

「……うん、メンドイ。もういいや」

 

疲れるわ…と言った表情をしたリトは肩を落とし、正面を向く。

せ…華蝶仮面は胸元から予備のオードライバーを取りだし装着。

何で持ってるのか…と言おうとしたリトだが『趙雲将軍に貸して貰ったと』言われ、黙ってメダルを渡した。

 

「私が足止めをしよう。その内にあの巨人の元へ行くのだ!」

「そうやすやすと行かせるとでも?…ヘビ女」

「ハッ!あの小娘の相手は私が」

 

そう言ってヘビ女は鞭を地面に叩きつける。

その一連の動作を見て、華蝶仮面は一筋縄では行かないと判断した。

そして、二人はそれぞれメダルを装着し、変身の構えを取る。

 

「「変身!」」

 

「ほう…」

「仮面ライダー…BLACKッ!!」

「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!!」

 

華蝶仮面とリトはそれぞれ仮面ライダーBLACKと仮面ライダーBLACK RXに変身する。

ジェネラルシャドウはそれを見て感心し、ヘビ女は闘争心を高めた。

互いが向かい合い、風が吹いた瞬間…四人は駆け出した。

「リボルケインッ!」

「まずは小手調べだ!」

 

RXはリボルケインを取りだし、ジェネラルシャドウのシャドウ剣と刃を交わす。

火花が散り、RXは足払いをしようと足を出すがジェネラルシャドウはそれを跳躍で回避。

逆にRXに飛び蹴りを当てようとするが、空いた手で防御された。

だが完全に防御できた訳ではなく、腕が痺れていると言う隙を作られることに。

すかさずジェネラルシャドウはトランプを投げつけ、RXに当たった瞬間に爆発させた。

 

「ぐああああああ!!」

「まだまだ行くぞ、トランプフェイド!」

 

爆発の反動で地面に転がるRXの周りに巨大なトランプが複数出現し、回る。

回転は速くなりトランプがだんだんと近づき…そこから分身したジェネラルシャドウがシャドウ剣を突きつけた。

 

「「「喰らえッッ!!」」」

「…喰らうかよ。…俺は怒りの王子!バイオライダー!」

「「「何ぃ!?」」」

 

RXは途中“バイオライダー”に変身…液状化して攻撃を回避。

何だと、とジェネラルシャドウが驚く前にバイオブレードで分身ごと攻撃、さらに液状化しジェネラルシャドウを捕まえると上空へ投げ飛ばした。

 

「ぬおおおおお!?」

「俺は悲しみの王子…ロボライダー!ボルティックシューター!」

 

バイオライダーはさらにロボライダーへと変身…銃撃でジェネラルシャドウを怯ませるが途中、カードで防がれ不発に。

地面に着地したジェネラルシャドウはロボライダーに接近するが、RXに戻り再び刃を交えた。

 

「やりおる…!」

「そう思うならさっさと殺られろよ…!」

 

 

一方のBLACKは苦戦していた。

鞭に気を取られ、左腕からでる火花の餌食となり不利になっている。

龍牙では遠距離で攻撃ができず、かといって無闇に近づけばやられると言う状況。

ヘビ女は余裕と言った感じで高笑いし、BLACKを見下す。

 

「イィィヒッヒッ!最初の威勢はどこに行ったのかしら、無様なバッタちゃん?」

「ふっ…口が大きければ口数も多いとはな」

「ほざけ小娘が!」

 

感情に任せ、ヘビ女は鞭を振るうがBLACKはそれをバックステップで回避。

近くの壁を利用し、空中へ跳ぶと太陽を背に【キングストーンフラッシュ】をヘビ女に浴びせる。

太陽と【キングストーンフラッシュ】…目を焼かれるような痛みにヘビ女は地面を転がり回った。

だが、BLACKが地面に着地する音を聞き、音が聞こえた方向に鞭を放つ。

鞭は正確にBLACKの首を捕らえ、まるで蛇のようにBLACKの首を締め付ける。

 

「ぐ…っがっ…!」

「よくも…やってくれたな、小娘がっ…!苦しみながら死ねッ!」

「…あ、ライダ、…ー…パンチッ!」

BLACKは少しでも鞭を緩めようとしながらも【ライダーパンチ】を放つ。

しかしそれが当たったのは…龍牙。

龍牙はまるで矢のようにヘビ女目掛けて放たれるが、彼女はそれを避ける。

にやり、と笑いながらヘビ女はさらに鞭の力を強めた。

 

「苦し紛れも無様ね…でも死ぬときは少しましかしら?」

「く…くく…私が苦し紛れを…するとでも…?」

「強がり言っちゃって…さっさと死――」

「…ぬぅ!?」

 

さっさと死ね、と言うはずだったヘビ女は聞き慣れた声に振り向く。

そこには…さっきBLACKが飛ばした龍牙がジェネラルシャドウの太股に深々と突き刺さっている光景が。

そう…BLACKの狙いは初めからこれだった。

華蝶仮面はどうだか知らないが、星と言う人物は大陸二の恋の達人…ヘビ女がジェネラルシャドウにそう言う感情を持っていたのは確認できている。

当然ヘビ女は振り向き、悲鳴に近い叫びをあげてBLACKに隙を見せた。

 

「シャドウ様ッ!?」

「―――ライダーキックッ!!」

「きゃああぁああぁああ!?」

 

後ろを振り向いた瞬間、BLACKの【ライダーキック】を背中に喰らい大きく吹き飛ばされるヘビ女。

ジェネラルシャドウはそれを確認しながらも龍牙を抜き、RXを再び見据える。

だが、この隙をRXは見逃さなかった。

大きく跳躍しジェネラルシャドウに近づきリボルケインをジェネラルシャドウの右脇腹に突き刺す。

【リボルクラッシュ】…突き刺した相手に光のエネルギーを注入し、倒す技だ。

 

「リボルクラッシュッッ!!」

「ぐぅ…!ぬぅおお…!!」

「終わりだ、ジェネラルシャドウ!」

「くく…ククク…終らせてなるものか!」

 

不気味に笑うジェネラルシャドウ…次の瞬間、ジェネラルシャドウはシャドウ剣でリボルケインが突き刺さっている場所の周囲を切り出す。

右脇腹がほとんど無くなったジェネラルシャドウはその部分を押さえながらも笑ってヘビ女の元に行く。

―――さすがに改造魔人…致命的なダメージでもまだ動けている。

 

「も、申し訳ありません…シャドウ、様…」

「よい。私も十分楽しめたからな」

「俺は全然だ。それで?まだやんのか?」

「…止めておこう。楽しみはまた次回にとっておく事にする」

 

俺は今終わらせたいんだが、と言いながら再びリボルケインを構える。

しかし、ジェネラルシャドウは自分の影を通りヘビ女と共に消え始めた。

ただ一言…RXにとって厄介な事を残して消えていった。

 

「あれを止めたければ早くしたほうがいい。RS装置を搭載しておるからな」

「何!?」

「魔神殿…さっきの言葉は一体…?」

「…RS装置…いや、エネルギー物質変換装置は核爆発を自然的に起こさせる装置…つまり、かなりヤバイって事だ」

「でりゃあああああ!!」

「…………ッッ!!」

 

成都から数キロ離れた場所…そこでは蜀の将達が巨人、キングダークを相手にしていた。

と言っても、恋と蓬がキングダークの上に乗り切りかかっているだけだが。

しかし何度も切りかかっているがたいしたダメージが与えられない。

それどころか怯みさえもしないのだ。

恋と蓬は汗をかきながらも攻撃し続ける…が、とうとうキングダークによって振り落とされてしまう。

 

「………あっ…」

「うおおお!?落ちるうう!?」

「恋殿!」

「母様!」

 

二人が落ちる瞬間、その場にいた将や軍師は息を飲む。

だが、彼女達の頭上を越え助ける者がいた。

―――トライチェイサーを変化させたアクロバッターに乗ったRXだ。

 

「無事か二人共!?」

「あ、ああ…大丈夫…って何だこの黒バッタ!?」

「…………ご主人様、ありがとう」

 

リトなのか!?と驚く蓬を軽くスルーしRXは将達のいる場所へ彼女達を連れていく。

二人をおろした後、RXは全員にもっと下がるように言い…なんと変身を解いた。

その場の全員はその行為にさすがに驚きを隠せない。

 

「りりりリトしゃん!?」

「ちょ、おいリト!何で元にもどんだよ!?」

「そうだよ勝てっこないって!」

「いや、これのほうがいいんだ。あと、久しぶりにやりたいし」

 

そう言ってリトはゼウスの仮面を取りだし、それを右腕に纏わせる。

纏った腕は黄金に輝き、手の甲には“Z”の文字がある。

数人それに見とれていたが、リトは刄金を抜きキングダークに突きつけた。

そして当のキングダークはというと、目の前に現れ手を振り上げている。

 

「い、いつの間にここに!?」

「撤退!撤退じゃ!」

 

撤退を指示する桔梗だがもう遅い……今逃げても怪我は確実だろう。

キングダークは腕を一気に下に向け、そして――――

 

 

「卍解 黒縄天譴明王」

 

 

――――突然現れた巨大な鎧武者に殴られた。

 

「なっ!?巨人がもう一人!?」

「安心しろ。あれは味方だ」

「味方!?もしかして平沢が呼んだのか!?」

「大体合ってるな。黒縄天譴明王…とある死神の力さ」

 

巨人…明王はリトの構えと同じ動作をしてキングダークを見据える。

キングダークはさっきの一撃で地面に横たわりながらも起き上がり、RS装置を発動しようとしていた。

だが明王は一気に近づき頭部の角を片方斬る。

そしてもう片方を空いてる手で掴み、顔面を膝で蹴りながら折った。

 

「す、すごいのです…」

「ふはははは!強靭、無敵、最強!これぞ黒縄天譴明王!これぞわんわんパワー!…だけど疲れるから終わらせるか」

 

頭を抱え、苦しんでいるキングダークに向けて刀を両手持ちにする明王。

そして、キングダークの身中線に沿って相剥切りをした。

体が左右に切られ火花を散らすキングダークの足を掴み、明王は空へと投げる。

そして雲に届きそうになったとき、キングダークは跡形もなく爆発した。

 

「ふぃ~…疲れた」

「―――お~い!!」

リトは明王を戻し、一息ついていると、遠くから馬に乗って星がやってくる。

どうやら、忙しくて後から来た…事にしたいらしい。

 

「あ、星ちゃん!も~どこいってたの!こっちは大変だったのに」

「すみません桃香様。ですが町で華蝶仮面に会いましてな」

「えっ!?華蝶仮面様に!?」

 

華蝶仮面と聴いてテンションが上がる桃香。

…何でもいいから早く休みたい。

そう思い、ため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「作者と!」

一刀「一刀の!」

X一「「後書きコーナー!」」

XXX「はい、今回はVSジェネラルシャドウ編でーす」

一刀「脇腹切って攻撃回避はさすがにグロいな」

XXX「改造魔人だからモーマンタイだろ」

一刀「どうでもいいけど、出たな華蝶仮面」

XXX「いやー出さないといけない気がして。ちなみにジェネラルシャドウは華蝶仮面の正体に気づいてません」

一刀「しかも変身したのが…てつを系統って」

XXX「今回ぐらいしか出番ないからねー。それとさ」

 

リト「  」←ダイイングメッセージに『犬の死…』

 

XXX「あれ何?」

一刀「本来の天譴明王の使い手が来て制裁したみたい。理由は“誰が犬だ”だってさ」

XXX「ふーん。でも犬じゃ…」←明王にプチっ

一刀「作者ーーーー!?」

リト「いや、自業自得だって」←もう再生

 

XXX「グフッ…さーて次回はー?」

一刀「はいはい、次回の真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神 四十三話は!」

XXX「仮面編 “セクハラするぞ”。ちなみにタイトルと内容は全然違いますんで」

一刀「不安すぎる!」

リト「…なあ、これって俺のセリ」

XXX「と言うわけで軽いネタバレをリトどーぞ!」

リト「おい、人の話聞けよ!」

XXX「はーやーくー」

リト「…次にお前は『再見』と言う!」

 

再見…ハッΣ・Д・


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
5
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択