No.68645

俺の大事な人を奪いに来たのは、俺だった(完全加筆修正版)

4989@さん

終わった…。

初の一万九千字越えです。

収拾がつかなくなったんで最後も結構強引にまとめました。

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2009-04-14 03:00:16 投稿 / 全23ページ    総閲覧数:3637   閲覧ユーザー数:3021

俺の大切な人を奪いに来たのは…俺だった。

 

 

外史は無限、人の思いの数だけ外史は生まれていく。

 

 

その中には魏の北郷一刀が帰らない外史もある。

 

 

それは形を変え、複数個あるのかもしれない。

 

 

北郷一刀が春蘭よりも強い外史もあるのかもしれない。

 

 

一つの外史に北郷一刀が二人いる外史もあるのかもしれない。

 

 

外史の中に新たな外史が生まれることもあるのかもしれない。

 

 

まさしく無限。

 

 

だが、最初の外史では無限の可能性はなかった。

 

 

決められたストーリーがあり、そのストーリー通り進み、そのストーリーに従い終端に向かう。

 

 

そう言う物語だった。

 

 

しかし、その物語に一つのイレギュラーな存在が生まれた。

 

 

そして、その存在は世界の終端を否定した。

 

 

その存在こそが北郷一刀だった。

 

 

彼は認めなかった。

 

 

外史の終焉を

 

 

愛したものと別れることを

 

 

守った民や土地のことを忘れることを

 

 

そうして、新たな外史が生まれた。

 

 

しかし、ここに問題があった。

 

 

本来生まれるはずではなかった外史の存在は許容量の限界をもたらす。

 

 

それが、この事件の発端であった。

 

 

 

~洛陽周辺~

 

 

「早く、ダーリンに伝えないと大変なことが起こってしまうわ」

 

 

そう言ってこの外史にやってきたのは貂蟬その人であった。

 

 

外史の管理者とも言えるこの人物がここにやってきたことはこの事件を加速させることとなった。

 

 

~洛陽城内~

 

 

今日も魏は平和である。

 

 

ここ洛陽では、魏の御使いである北郷一刀と魏の覇王である華琳とその仲間たちが暮らしている。

 

 

「平和だな~。春蘭の無茶な鍛錬以外は…」

 

 

こう話すのは魏の御使いである北郷一刀である。

 

 

裸の大男の退治の件が城中に知れ、春蘭の手加減なしの鍛練が始まってしまっているのである。

 

 

「そうね、春蘭の間違った内政以外は…」

 

 

こう話すのは魏の覇王、華琳である。

 

 

平和な世の中になり、春蘭にも少しは内政のことをさせようと思って簡単な仕事を任せた華琳であ

ったが、その簡単な仕事をどう曲解したのか、内政が兵の鍛練に変わっていた春蘭を叱ったのが三刻前である。

 

 

春蘭曰く「畑の開墾をするのは民ですが、兵の大半は民なので兵の鍛練をすれば畑の開墾もたくさん、早くできるはず」という理論を持ち出したのである。

 

 

「そうだな、相変わらず姉者はかわいいな」

 

 

こう話すのは春蘭の双子の妹である秋蘭である。

 

 

この間当の春蘭は正座で話を聞いている。

 

 

かなり小さくなっているがこれがでも魏武の大剣である。

 

 

「まぁ、否定はしないけど、春蘭ももう少ししっかりしてほしいよな」

 

 

「そうね、この先、春蘭が親になることになっても、それじゃあ子供がかわいそうだわ」

 

 

「私が人の親になることなどありえません。私は華琳さまに一生をささげております」

 

 

「でも、だれかさんのせい、いや、この場合はおかげで人の親になる可能性はあるのだが、それについては理解しているのか姉者?」

 

 

「そうね~ご主人さまの●●を●●の中に出されちゃったらできるものもできるわよん」

 

 

こう話すのは洛陽一の漢女貂蟬である。

 

 

「って誰だ!貴様は?」

 

 

「衛兵‼衛兵はどうした?」

 

 

春蘭も秋蘭もさすがにこの闖入者には驚き、あわてている。

 

 

「落ち着きなさい、二人とも。一刀、これが以前の変質者でしょ?」

 

 

一刀はあわてている。

 

 

しかし、華琳は落ち着いている。

 

 

一刀のあわてぐあいにも理由がある。

 

 

華琳に嘘をついたとあっては、命があったものではないからだ。

 

 

「なにか此処にいるか?」

 

 

そのため、一刀は存在を否定した。

 

 

その漢女を

 

 

怪物を

 

 

忌むべき存在を

 

 

パンツ泥棒を

 

 

毎晩寝る前の自己嫌悪の根源を

 

 

否定した。

「大丈夫よ、一刀。あなたが裸の大男を倒せていないことくらいはわかっているから」

 

 

「えっ…?」

 

 

「気づいてないのは春蘭くらいよ」

 

 

確かに、警羅隊の三人組で倒せなかった人物相手に一刀が一人で倒せるはずはないということは魏の武将なら誰でもわかっていたことではある。

 

 

だが、一刀の血の涙のことを兵士から聞いていた武将たちは何も言わないで「あげた」のである。

 

 

「ええっ、北郷は倒してはいないのですか?」

 

 

唯一気づいてなかったのが春蘭である。

 

 

「あなたも、うすうすはわかっていたのでしょう?」

 

 

魏武の大剣が気づいていないはずはないというのも当然である。

 

 

「まぁ、ありえないかなぁとは思っていましたが、本当ならうれしいなぁと思っていたのも事実でして…」

 

 

その葛藤が過酷な鍛錬につながったのである。

 

 

鍛練についてこられれば倒せたと認め、褒めてやる。

 

 

ついてこられなければ倒せてなかったということで、叩きのめす。

 

 

実に春蘭らしい判別法である。

 

 

「では、別にこの男は大丈夫なのですか?」

 

 

だからと言って、秋蘭が戦闘態勢を解くはずもない。

 

 

「大丈夫でしょう、そうよね一刀?」

 

 

「ダカラ、カリンサン。ココニナニカイルンデスカ?」

 

 

一刀は白目を向いている。

 

 

「秋蘭、目を覚まさせなさい」

 

 

溜息をつきつつも、目の前の危険物質を見て、同情を覚える華琳であった。

 

 

「一刀、大丈夫だ。華琳さまはお前に対して罰を与えたりはしない」

 

 

「ソンナやさしいコトヲするわけガナイヨ」

 

 

一刀は半白目を向いている。

 

 

「多少荒くなってもいいから早く起こしなさい。何やら重大な用みたいだし」

 

 

約束を違えてまで貂蟬がここに戻ってくるのは確かに重大な用である。

 

 

外史の存続にまつわる類の…

 

 

「ふう、少し痛いぞ、一刀」

 

 

そう言うと、秋蘭は一刀に近づき、唇が触れる位置まで近づき…

 

 

キスをした

 

 

 

 

 

のではなく

 

 

 

 

 

頭突きをした。

 

 

「ぶほっ、何をするんだ秋蘭?」

 

 

「とりあえず、罰はないから安心しなさい一刀。でもこの男の話はしてくれるのが条件だけどね」

 

 

「罰がないのなら話すよ。俺ももうあの大淫具~でやられるのは嫌だからな…」

 

 

そう‼すでに一刀の貞操は華琳によって散らされていたのである‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼

 

 

「この人は貂蟬さんっていって、俺がこっちに帰ってくるときに助けてくれた人なんだ」

 

 

外史の終焉を迎えたこの外史をまた存続させることとなったのは一刀と魏の皆の想念だが、その途中で一刀の想念を強くさせたのが貂蟬である。

 

 

「そうなの…。では、曹操個人としてお礼を言わせてもらうわ。私が愛する人を返してくれてありがとう」

 

 

一国の王、しかも魏の覇王が身分も知れない不審人物に礼を言ったのだ。

 

 

周りに衛兵がいないとはいえども、知られたら魏の風評にもつながるが、そこを無視してまで華琳は礼を言ったのだ。

 

 

愛するものと再び歩めることをさせてもらった礼を…。

 

 

「わ、私も礼を言うぞ。ありがとう」

 

 

将軍である、あの春蘭でさえも礼を言ったのだ。

 

 

愛したものとまた併せてくれた礼を…。

 

 

「一刀を我らのもとに返してくれて本当にありがとう」

 

 

秋蘭も素直に自分の気持ちを言葉にして礼を述べた。

 

 

華琳も春蘭も秋蘭も一個人としてお礼を言った。

 

 

それは、初対面の者同士とはいえ、友となるには十分な条件だった。

 

 

恩に愛して謝義で答える形である。

 

 

それに貂蟬も答え、話を進めていく。

 

 

「じゃあ、今から非常に大事な話をするから、魏の武将と軍師を集めてくださる?」

 

 

「わかったわ。秋蘭、春蘭、武将と軍師、あと天和たちも集めて頂戴」

 

 

「「はっ‼」」

 

「ありがとね~ん。さすが魏の覇王はだてじゃないわね」

 

 

「神仙である貂蟬に褒められるのは悪い気分ではないわね」

 

 

「あら、知ってたの?」

 

 

「文献で読んだのよ。神話の時代の文献だったからあまり信じてはなかったけど、一刀の話とあなたを実際に見たら、確信に変わったわ。あなたが神仙だっていうね…」

 

 

「じゃあ、こうしてみんなが集まってくれたところで話の前に一つ二つ聞くけど、いいかしらダーリン?」

 

 

魏の武将と軍師、あと三姉妹が集まっているのは玉座の間である。

 

 

此処には彼女らしかいない。

 

 

貂蟬は一刀をこの世界に連れ帰る手助けをしてくれた人物ということで紹介した。

 

 

そして、皆が一刀を返してくれたことに礼を言い、凪、真桜、沙和は礼と同時に以前の無礼を詫び、許された。

 

 

「いいけど、ダーリンはやめてくれ…」

 

 

しかし、まだ一刀は下着泥棒を許せていないらしく、目を合わせようとはしない。

 

 

「ダーリンとはなんだ北郷?」

 

 

「簡単に言うと俺と春蘭みたいな関係だよ…」

 

 

確かに愛を誓い合った関係というのならば春蘭にとって一刀はダーリンであろう。

 

 

「なるほど、上司と部下か」

 

 

が、春蘭はこういう人物である。

 

 

「春蘭、今の一言は結構傷ついたよ」

 

 

軽い意思確認が思わぬボディブローになった一刀はまた貂蟬に対する怒りを覚えた。

 

 

八つ当たりではあるが…。

 

 

「まぁ、夫婦漫才は置いておいて。質問その①北郷一刀は此処にいる人物たちを愛していますか?」

 

 

「なんだか恥ずかしい質問だな。答えは、『心の底から深く愛している』だよ」

 

 

即答である。

 

 

「質問その②この他に愛している人物はいますか?」

 

 

その瞬間、部屋の温度が10度は下がったような気がするが気のせいではなく、浮気?をしていたらたたき斬るという武将たちからのメッセージである。

 

 

「いないよ」

 

 

しかし、そんなことに気づく前に一刀は答えていた。

 

 

その瞬間、部屋の温度が逆に上がったような気がするが、これは安堵の気持からである。

 

 

「わかったわ、ということは、該当者はここにいる子たちだけね…」

 

 

該当者、この言葉ものちに重要な意味を持つことになる。

 

 

「それで、どういうことなのか説明して頂戴。まずはあなたの役割から教えてもらえるかしら?」

 

 

こう質問したのは、いつの間にか絶を取り出していらっしゃった華琳。

 

 

「いいわよ~ん。私はこの外史の管理者で、今日もそのことで話をしに来たの」

 

 

と、簡潔に説明をする貂蟬であったが、そんな簡単な説明でわかる人間はどこにもいなかった。

 

 

「なぁ秋蘭、外史とはなんだ?」

 

 

その筆頭が春蘭である。

 

 

困った時の秋蘭頼みをする春蘭だが、今回ばかりは知らないようで、首を振るしかない秋蘭であった。

 

 

「風たちはわかるか?」

 

 

秋蘭でさえ分からないとなると頼るのは軍師しかいない春蘭であった。

 

 

「すみませんがわからないですね~。外史のほかに内史または正史がありそうかな~くらいのことしかわかりません」

 

 

「私もわからないから、まずはそこから教えてくれるかしら?」

 

 

さすがの華琳といえどもわからないようである。

 

 

「さっきの説明で大体あってるわ…。正史の反対の世界が外史よ」

 

 

「いや、それ説明になってないから。もう少し噛み砕いて教えてくれないかな」

 

 

天の御使いの北郷一刀でもわからないのである。

 

 

「正史というのはダーリンが知ってる三国志の世界よ。外史というのは簡単に言うとフィクションの世界よ」

 

 

「三国志というのは前に一刀が言っていた私たちが全員男で進む物語のことね?」

 

 

「あれは気持ちが悪かったな」

 

 

「まぁ、その物語のおかげで私は助かったんだがな…」

 

 

「じゃあ最初から話をするからしっかり聞いて」

 

 

それから貂蟬は話し始めた。

外史とは人の想いによって作り出されるものであることや、最初の外史での新しい外史への分岐の話。

そしてここも外史の一つであること、本来の北郷一刀はあのままあの空間に存在し、そのまま消えることになったであろうこと等である。

 

「ということは俺たちは物語の中の登場人物ってことか?」

 

 

当事者である北郷一刀でさえ認められていない状況である。

 

 

もちろん他の皆も納得ができていない。

 

 

自分が物語の中の存在などと言われたら、確かに困惑するだろう。

 

 

自分の存在意義や、やってきたことでさえ物語をなぞるものであったとしたら…。

 

 

そう考えると何もできなくなってしまうのかもしれない。

 

 

しかし、ひとりだけ違う人物がいた。

 

 

 

 

 

春蘭である。

 

 

「皆、何を悩んでいるのだ?」

 

 

「あのね、春蘭今の話を理解してたかしら?」

 

 

さすがに華琳もため息がとまらない。

 

 

「私たちが作られたものかもしれないということですよね?」

 

 

「そうだが、姉者は気にしないのか?」

 

 

「何を気にする必要があるのだ?私は私だし、華琳さまは華琳さまですし、私が一刀のことを好きでいるのも私の意志です。それが誰かの意志であったとしても、別に気にすることはありません」

 

 

そう言う春蘭はいつもの何かがわからない時の顔ではなく、一対一の鍛練などのときと同じ迷いのない顔をしていた。

 

 

このとき呼び方が「北郷」ではなく「一刀」になっていたのは気持ちの表れであろう。

 

 

その発言に皆、驚きはすれども(春蘭的な意味で)反対するものなどもいなく、むしろ吹っ切れたようだった。

 

 

「ふふふ、春蘭に教えられるとはね。そうね、そうだわ春蘭の言う通りだわ」

 

 

「で、今回はそれがどう関係しているんだ?」

 

 

本調子になった一刀が話の続きを促していく。

 

 

「今も言ったけど、外史には無限の可能性と無限の話があるのよ。でも、本来の話はひとつだったでしょ?それが問題なの」

 

 

「本来の話からずれているということか?いわゆるオリジナルキャラクターとかとんでも設定とかか?」

 

 

「いいえ、それも外史よ」

 

 

「では何かしら?」

 

 

話の主導権を持とうとする姿勢はもう魏の覇王である。

 

 

「外史の量よ…。外史が外史を作り、その外史の中でさらなる外史が生まれる。外史は無限といえど世界の許容量がいっぱいになったの」

 

 

「パソコンみたいなものか?」

 

 

「そうね、でもいまはHDDを増設した状態だからもう大丈夫なんだけどね」

 

 

「ぱそこん云々の話はわからないからいいけど、何が問題なの?」

 

 

「外史は結局は終わるものなの、長いか短いかは置いておいたとしてもね…。その中の一つの物語が問題だったのよ…」

 

「どんな物語なんだ?」

 

 

「この外史とかなり似てはいるのよ。でも最後が違う。あなたを残してみんなが死ぬのよ」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、自分のことではないにせよ、その北郷一刀のことを思うと同情を禁じ得なかった。

 

 

「どう死ぬの?」

 

 

やはり、自分ではない自分といえども魏の覇王としては死にざまは気にはなるようだった。

 

 

「五湖の大軍勢と北方の騎馬民族によって攻められて終わるのよ。呉と蜀の人たちも死んでしまう

外史よ」

 

 

「で、なんで俺は生きていたんだ?そいつが俺なら…」

 

 

華琳たちのために体を張って役に立たずとも戦場で死ぬはずだとはこの場では言えなかった。

 

 

「他の子も他の子と一緒なのよ。あなたを生かせるためにあなたを気絶させ、船にのせて逃がしたのよ…」

 

 

そこにいた皆がその場面を想像してみるが、やはり同じ考えに至ってしまった。

 

 

「それで、その俺が問題なのか?」

 

 

「そのダーリンはすべてに絶望したの、すべてに…」

 

 

「確かに、そうなってしまったら俺はもう生きるだけだな。生かしてもらって死ねるわけがない。かといって違う人物を愛せるわけもない。生ける屍ってやつになると思うよ」

 

 

「それでも、生きていてくれるだけで私たちは満足よ。それが私たちの自己満足だったとしてもね…」

 

 

表だってうなずく者はいなかったが、反対をする者もいなかった。

 

 

つまり、皆がそう思っているということである。

 

 

一刀はうれしくもあり、また悲しくもあった。

 

 

一個人としてはこれ以上うれしいことはない。

 

 

だが、男として、北郷一刀という人物としてはまったくうれしくはなかった。

 

 

「だから、私はその北郷一刀にその外史を終焉させることを提案したの…。最初の頃のことだから容量の削減という意味もあったんだけどね。まぁ、その判断が今の状況をもたらしたんだけどね…」

 

 

外史の終焉。

 

 

それは世界の終りを意味する。

 

 

読んでいた本を閉じて記憶から消す作業。

 

 

人々の記憶から消し、想いが届かなくさせる行為。

 

 

鏡の破壊。

 

 

こちらからあちらを覗くレンズである鏡の破壊は世界の終焉を意味する。

 

 

「それで、俺はその世界を終わらしたのか?」

 

 

「そうよ。終わらせることで五湖も、五湖に虐げられる民も、死んでしまったものたちのことも無くそうとしたの」

 

 

無為に生きるのでもなく、

 

 

生かしてもらった恩を忘れて死ぬのでもなく、

 

 

すべてを無くす

 

 

第三の選択肢

 

 

絶望から逃れる唯一の方法

 

 

「…………………………………」

 

 

言葉が出なかった。

 

「あらましはわかったわ。それで、結局何が問題なの?」

 

 

一人の男の活躍と帰還、そして絶望の物語

 

 

そしてその終焉

 

 

「その外史は終わってなかったの。いえ、正確に言うと外史は終わったけど、その想念だけが残ったの…」

 

 

鏡を壊して、こちらとあちらとのつながりを断ち切っても残る想念。

 

 

絶望

 

 

「絶望だけが残ったのか?」

 

 

「そうよ。絶望だけを抱き、新たの外史への道も開けず、ただ漂うだけ」

 

 

絶望から逃げるための選択肢でも逃げられない絶望

 

 

「そして、その北郷一刀は…」

 

 

 

 

 

 

「華琳さま‼‼」

 

 

 

 

話の続きをしようとする貂蟬だったが、その話を遮るように玉座の間にいた華琳へ向けて矢が放たれていた。

それにいち早く気づき、華琳を守ったのは親衛隊の季衣であった。

 

 

「季衣‼大丈夫か」

 

 

一刀や天和たちが駆け寄る。

 

 

武将たちは華琳を囲むように円陣を組んでいる。

 

 

「季衣は大丈夫です。この矢は刃先がつぶされていますから」

 

 

流琉の的確な処置のおかげで季衣の無事は確認されたが、闖入者がどこにいるのかが分からず、武将たちも焦り始める。

 

 

「どこからだ?」

 

 

話が始まる前に間者が入っていないかなどということは調べているし、玉座の間の扉はひとつしか

ないので進入者がいないこともわかりきっている。

 

 

なのに、矢が飛んできたのである。

 

 

「来たわね…。北郷一刀」

 

 

貂蟬も戦闘態勢をとって、円陣の外で構えているが闖入者の気配はない。

 

 

「おいっ、俺が来たってどういうことだ?」

 

 

名前を呼ばれた当の本人は困惑しているが貂蟬は答えられない。

 

 

「あんたじゃなくて、外史の北郷一刀よ‼この非常時に馬鹿な質問をするんじゃないわよ。帰ってきたチ○コの御使い‼」

 

 

「ああ、来たさ。俺はすべての外史を壊すからな

 

 

「俺…………か………?」

 

 

俺がそこにいた。

 

 

ただ、何かがちがった。

 

 

オーラというのか、雰囲気というのか。

 

 

暗かった。

 

 

ただひたすらに…。

 

 

 

「ああ、俺だよ。北郷一刀だよ。この世界の北郷一刀」

 

 

その俺はそう言って俺に近づいてきた。

 

 

「隊長‼下がってください」

「隊長‼さがりぃ」

「隊長‼さがってー」

 

 

「無駄だよ。凪、真桜、沙和」

 

 

「「「真名で呼ぶな‼」」」

 

 

そういって殴りかかった三人であったが、その北郷一刀はその場から消えてしまった。

 

 

「まぁ、また来るよ。それまでに…」

 

 

捨て台詞の途中だが、気にせず秋蘭の矢と凪の氣弾、貂蟬の拳が迫っていた。

 

 

「まてっ‼」

 

 

追おうとする武将たちだが、その北郷一刀はその場所から消えてしまった。

 

 

「もういいわ、それよりも季衣の手当てをしなければならないわ。医者を呼んできなさい桂花」

 

 

「はい華琳さま」

 

 

「貂蟬。話の続きをお願いできるかしら?」

 

 

敵を知り己を知れば…ということである。

 

 

情報が乏しければ負ける。

 

 

個人戦でもそれは同じである。

 

 

「いいわ。その北郷一刀は自分の元であるこの外史の世界をすべて壊すつもりなの。楽しい外史も、悲しい外史も、笑っちゃうような外史もすべて壊すつもりなのよ…」

 

 

「で、お前は外史の管理者だからそれを防ぐというわけか…」

 

 

「でも、どうやってこの外史を終わらせるつもりなの?」

 

 

鏡を壊す。

 

 

しかし、鏡を壊しても新たな外史が始まるだけである。

 

 

根源を断ち、鏡を壊せばその世界は終わる。

 

 

「この世界の重要人物である、ダーリンと曹操ちゃん、あなたたちがいなくなればこの世界は終わるわ。」

 

 

外史は想念が作る。

 

 

想念は主人公に向けられる。

 

 

今回の外史の主人公は一刀と華琳。

 

 

「俺と華琳の物語だからか?」

 

 

覇王の物語は三国統一とともに終わり、物語は終焉を迎え、人々の想念により新たな外史として二人の外史が出来上がった。

 

 

「そう。この外史はダーリンと曹操ちゃんの外史なの。そしてこの外史の破壊は他の外史の破壊も意味するわ。この外史が破壊されればこの外史の発生源への道が開かれるわ」

 

 

外史の崩壊は新たな外史を作るために元となった外史への道を開く。

 

 

「そうして、戻っていけば根源の外史への道が開かれるというわけね?」

 

 

「そう、根源の外史が壊されればすべての外史はなくなるわ。そしてあの北郷一刀の元の外史はこの外史よ」

 

 

元がないスピンオフは存在しない。

 

 

「とりあえず、あいつがどうやってここに入って来たのかを教えてくれないか?」

 

 

密室に入るなんて人のなせる技ではなかった。

 

 

「あの北郷一刀は外史の管理者である私と同等の力を持ってしまったわ。管理者ならあのくらいは簡単よ」

 

 

「じゃあ、普通に寝ている時にでも俺たちをやればいいんじゃないか?」

 

 

「それじゃあ外史が終焉を迎えないの」

 

 

暗殺をされたところで、影武者や死んでなかったという想念により外史が続くことがあり得てしまう。

 

 

「衆人環視の前で、間違いなく私たちがいなくならなければ意味がないということね…」

 

 

間違いなく、一刀と華琳がいなくならなければならない。

 

 

「でも、私がいる限りそんなことをさせないつもりだったのに…」

 

 

「でも、どうやってあいつはあんな力を手に入れたんだ?」

 

 

北郷一刀はあくまでもただの人である。

 

 

ただの人がなぜあのよう力を手に入れたのかが問題だった。

 

 

「私にもわからないの。だから私の仲間たちがそれを調べているのよ」

 

 

「そういえば、なんで季衣が防いだ矢は刃先がつぶされていたんだ?」

 

 

「多分、あの矢には眠り薬がしみこませてあったんだろうな。その証拠に、まだ季衣が起きてこないし、何より…」

 

 

「すぴー、すぴー」

 

 

「寝てるなぁ~」

 

 

安心してしまった一刀はついほっと一息ついてしまった。

 

 

「寝てますね」

 

 

さっきまでは親友が矢で撃たれたショックで動揺していた流琉も安心したようだ。

 

 

「多分曹操ちゃんを連れていくつもりだったんだと思うわ。ここは近似値の外史だから曹操ちゃんもあの北郷一刀の外史の曹操ちゃんとほぼ同じなのよ」

 

 

「「そんなことはさせん‼」」

 

 

こういきり立つのは春蘭と一刀である。

 

 

「私だって行く気はないわよ。あんな暗い北郷一刀は嫌よ」

 

 

「その意気よ。ありきたりだけど、絶望に勝てるのは希望や愛といったそういうありふれたものよ」

 

 

「こっぱずかしいことを言うわねこの人外は…。でも、地和たちもこの人外と同じね…」

 

 

そういう彼女らが歌に乗せるのも希望や愛であった。

 

 

「そうね、私たちは私たちでできることをしましょう。いくわよ天和姉さん」

 

 

そう言って三人組は玉座の間を出て行った。

 

 

「いいのか、あれ」

 

 

「大丈夫、あの北郷一刀は全員がいる前で何かをするはずだから…」

 

 

あの北郷一刀の理念は少したりとも新たな外史の可能性は潰すということである。

 

 

あとからだれかに登場されて自分が倒されたらしゃれにもならないからだ。

 

 

そして、あの北郷一刀は新たな外史を生むことをしたくはなかった。

 

 

どんな外史ができるかはこちら側では決められないからだ。

 

 

自分が経験した外史と同じような外史ができるなんてことはできないからだ。

 

 

『すべての外史を壊す』

 

 

この言葉には確固たる彼なりの理念があるのだ。

 

 

可能性は無限

 

 

マイナスもプラスもある

 

 

だが、マイナスでは誰もそのおとぎ話の続きを描かない

 

 

救いようがないからだ

 

 

永遠に終わらないおとぎ話などはない

 

 

ならば、これ以上、自分と同じような北郷一刀は作らない

 

 

しかし、それをするには外史そのものを壊すことになる

 

 

それもわかったうえで

 

 

プラスの話も壊すことを知った上で

 

 

『すべての外史を壊す』つもりなのである。

 

 

「わかった。ということは俺たちが全員集まらなければあいつは来ないってことか…」

 

 

「でも、放っておくわけにはいかないわ。とっ捕まえて性根をたたき直してやるわ」

 

 

そう言った華琳の顔は笑っていた。

 

 

どす黒く…。

 

「そうだ、ダーリン。手を出して」

 

 

「ん、なんだ?」

 

 

そう言いながら手を出した一刀であったが、未だ目は合わせない。

 

 

「自分の望む武器を念じてくれるかしら」

 

 

「望む武器?」

 

 

「餞別よ。あなたが心に思い浮かんだ武器なら出してあげられるわ」

 

 

外史の管理者ならこれくらいできるとでも言いたいらしい。

 

 

「そうか?じゃあ…」

 

 

そして一刀は望んだ。

 

 

自分の武器を…。

 

 

「これがダーリンの望んだ武器ね…。ダーリンらしいわね。銃とかでもよかったのに…」

 

 

そこにあったのは刀だった。

 

 

「いや、これでも剣道をやってた身だからな…」

 

 

「なんだ、その細い剣は?」

 

 

やはり武人としての血がそうさせるのか、武将たちが集まってきてしげしげとその武器を眺めている。

 

 

といってもやはり興味があるのは同じ剣を使う春蘭であったが…。

 

 

ちなみに沙和はそこまで興味はないようであるが…。

 

 

「これは刀って言って、俺の国の昔からある武器だよ」

 

 

「この細さでは折れはしないのか?」

 

 

当然の疑問である。

 

 

「あ~、この剣は鎧を切るというよりは鎧の間を突いたりするものなんだ。それを介者剣法って言うんだけどね」

 

 

「なるほど。で、その介者剣法をお前は使えるのか?」

 

 

「いや、使えないけど…」

 

 

「だめではないか‼」

 

 

まぁ、戦国時代の剣法を未だ教えているところなどは天にはない。

 

 

「まぁ、それでも他の槍や、棒よりは使いやすいかな」

 

 

「ええい。一刀、来い。鍛え直してやる」

 

 

「いや、その前にやることがあるだろ?華琳」

 

 

「そうね、天和たちの準備?が整うまでにやることは山ほどできたわね」

 

 

「そうですね~」

「そうね」

「では三国合同での軍議を開かせますか?」

 

 

三軍師はしっかりと理解をしているようだ。

 

 

「そうね、早ければ早い方がいいわね」

 

「といっても俺が壊すから意味はないんだがな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「華琳‼」

「「華琳さま‼」」

 

 

そこに現れたのは北郷一刀だった。

 

 

「なんで、このタイミングで?」

 

 

貂蟬はあわてている。

 

 

自分の予期したタイミングとは違ったからだ…。

 

 

その北郷一刀は華琳を捕まえている。

 

 

「北郷一刀‼泰山で待つ。何人できても構わない。俺にしたら多ければ多いほどいんだがな…」

 

 

「「「待てっ‼」」」

 

 

春蘭たちが華琳のもとへ駆けつけようとするが、その北郷一刀は消えてしまった。

 

 

「おい、貂蟬。どういうことだ?」

 

 

全員が集まり、新たな外史の発生を阻止する状態で二人を消す。

 

 

それが外史の消失条件の一つだった。

 

 

そして泰山の鏡を割ることで外史の破壊を行う。

 

 

「多分…。いえ、でもそれは…。」

 

 

貂蟬は何やら考えているようだが、他の皆は気が気ではない。

 

 

「どういうことだ?説明をしろ」

 

 

「泰山へ行きましょう。曹操ちゃんは無事よ。少なくともダーリンがつくまではね…」

 

 

「どういうことかしっかり説明してくれ。お願いだ…」

 

 

初めてここで一刀は貂蟬の眼を見て嘆願した。

 

 

愛したものを失わないために

 

 

自分があの北郷一刀にならないために

 

 

大陸のために…。

 

 

「多分、曹操ちゃんを誘拐して、ダーリンを呼び出して死んでいる状態ではなく、瀕死の状態の死骸を見せびらかすことによって、さっきの条件を満たすつもりなのよ。でも、仮にも自分が愛した人物を死後も辱めるとは思ってなかったのよ。」

 

 

さいごに貂蟬は一言加えた。

 

 

「もう、あの北郷一刀はダーリンじゃないわ」

 

 

「わかった。魏全軍で泰山へ向うぞ‼」

 

 

そう意気込む春蘭であったが、一刀と三軍師は私情を捨て、冷静であった。

 

「魏全軍では行けないわ」

 

 

桂花が口惜しそうに述べた。

 

 

「ですね~」

 

 

「口惜しいですが、今までの情報を統合すると魏全軍での泰山行きは無理ですね」

 

 

「どういうことだ、桂花!?」

 

 

春蘭は納得がいかないといった感じで三軍師と一刀を見ている。

 

 

「五湖よ…」

 

 

「あいつの外史と俺たちの外史が似ていて、あいつの外史の元はこの外史なんだよ春蘭…」

 

 

「多分ですね~あの話通りならそろそろ五湖が攻めてきちゃうんですよ。そして、まっ先に戦場になってしまうのがここ魏なんですよ。かねてからそんなような噂もあって、長城の警備兵は増員しましたし、長城の舗装もしたので、北方の騎馬民族は龐徳さんや徐晃さん、張郃さんや荀攸さんといった方々にまかせておけば大丈夫でしょう。あくまでも、二方面からの奇襲でなければ問題はないですからね…。」

 

 

「今、魏全軍で泰山に行き、国を開けているすきに五湖に攻められて大陸を奪われてしまっては、結局この外史もあの北郷一刀の外史と同じになってしまうのです」

 

 

「じゃあ、皆さんの役割を決めるのです」

 

 

こう発言をしたのは風だった。

 

 

「私は誰が何と言おうが華琳さまのところへ向うからな‼」

 

 

てこでも動かないといった様子で春蘭はその場に座り込んでしまった。

 

 

「そのつもりです。秋蘭ちゃんと春蘭ちゃん、あとお兄さんと貂蟬さんは泰山へ向ってください。霞さんは部隊を率いて五湖の近くの太守さんたちを率いて準備を整えて、季衣ちゃんと流琉ちゃんにはそれぞれが春蘭ちゃんと秋蘭ちゃんの代わりをしてほしいのです。桂花ちゃんは魏でのすべてを行ってもらいます。凪ちゃんたちは軍の準備をお願いします。稟ちゃんは呉に向かって補給と兵の準備、策の立案などをお願いします。そして私は蜀に向かって朱里ちゃんたちと一緒に準備をします。」

 

 

一兵たりとも兵は割けないという三軍師の説得に渋々ながらも納得した春蘭だが、納得はいっていないようだった。

 

 

「じゃあ行くわよ、ダーリン以下残り二名‼」

 

 

「わかった、行くぞ、一刀‼」

 

 

「じゃあ、みんな行動を開始しよう」

 

 

こうして、行動が開始された。

 

 

しかし、五湖に気づかれてはならないので霞は視察、他の皆もそれぞれ気づかれないように行動をすることに決まった。

 

 

泰山行き当日

 

 

「じゃあ、みんな行ってくるよ。霞と稟、風にもよろしく言っておいてくれ」

 

 

泰山に向かうのは春蘭、秋蘭、一刀、貂蟬である。

 

 

「あの、兄様。これ…道中で食べてください」

 

 

そう言って流琉が渡したのは弁当だった。

 

 

「ありがと流琉。みんな、魏のことを頼むな」

 

 

そう言って四人は泰山へ向った。

 

~泰山~

 

 

俺はたぶん、これから最悪なことを行おうとしている。

 

 

 

人としても

 

 

 

 

北郷一刀としても

 

 

 

 

天の御使いとしても

 

 

 

 

最低最悪な行為、人を殺し、その瀕死の死骸を見せつける。

 

 

それも、自分自身と自分の愛した人物に対してだ。

 

 

しかし、こちらの方が遥かにリスクが少ないのも確かなんだ。

 

 

新たな外史が生まれることはこの外史の北郷一刀が愛した人物の前でその該当者に瀕死の死骸を見せつけ、該当者を殺してしまえば問題は解決する。

 

 

一番残虐な方法だが、このやり方が一番いいのだ。

 

 

それに、時間もかけてはられない。

 

 

他の外史肯定派の神仙に止められないとも限らないからだ。

 

 

此処にいる華琳も殺さなければいけないのだ。

 

 

だが、最後にこの外史の北郷一刀と戦ってからでも遅くはない。

 

 

万が一ということがあるからだ。

 

 

この華琳を瀕死の状態にして、この外史の北郷一刀が怒ってパワーアップなんてこともあり得なくはないからだ。

 

 

あり得ないことでさえ否定できないのが外史だ。

 

 

もう、そんなのは終わりにする。

 

 

この外史を壊し、もう一つの外史を壊せば根源の外史に行きつく。

 

 

もう一つの外史は華琳を殺せば済む外史だから比較的楽だし、根源の外史は誰か一人さえ該当者を殺せば新たな外史への派生はなくなる。

 

 

さて、そろそろ来るはずだから準備をするとするか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「増」

~泰山~

 

 

「着いたな」

 

 

「空飛ぶ筋肉だるまが噂にならなければよいがな」

 

 

一向は貂蟬の驚異的パワーで吹っ飛んできたのである。

 

 

貂蟬にしがみついて…。

 

 

春蘭と秋蘭が腕に

 

 

荷物は背中に

 

 

そして一刀は

 

 

前から体に抱きつくかたちで飛んできたのである。

 

 

ト●ロスタイルで…。

 

 

「ニドトゴメンダヨコンナコト」

 

 

「ダーリンったらあんなに強く前から抱きしめてくれるなんて……か・ん・げ・き‼」

 

 

「その、なんだ一刀。すべて終わったら秋蘭と一緒に慰めてやるから、今は元気を出してくれ」

 

 

「華琳さまも一緒にな、姉者」

 

 

「わかった。今は華琳のことを済ませよう」

 

 

「あの神殿の中に鏡があるからあの中に曹操ちゃんはいると思うわ。」

 

 

「だが、あれはなんだ貂蟬?」

 

 

四人の前には数百人の白装束の人間がいた。

 

 

「神仙が使える能力の一つよ。私は力が強いんだけど、術が強い神仙もいるのよ。本物の神仙ならあの軽く百倍は出せるわよ」

 

 

「このくらいなら私が何とかするからダーリンたちは先に…」

 

 

「「「わかった」」」

 

 

食い気味で三人が答えたことに多少納得が行かないようだったが、貂蟬が道を開け、そこに三人が入るということにした。

 

 

「術にだけ気を付ければただの武将くらいの力しかないから大丈夫よ。行きなさい」

 

 

「行こう二人とも‼」

 

 

「人の恋路を邪魔する奴ぁ漢女に蹴られて地獄に落ちろ~~。ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 

そうして貂蟬が開けた道を三人が通って行く。

 

 

そして、神殿の前で貂蟬が白装束を中に入れさせない形で頑張っている。

 

 

「任せたわよ…」

 

神殿の中は鏡と何本かの柱のほかには何もない作りだった。

 

 

その中の柱の一つに華琳が括り付けられていた。

 

 

そして、鏡の前には北郷一刀がいた。

 

 

「一刀は華琳さまを頼む、私と姉者であの北郷一刀をやる」

 

 

「わかった、絶対全員無事に帰ろうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「操」

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュッ

 

 

 

 

 

 

 

北郷一刀に切りかかろうとした春蘭に秋蘭の矢が襲いかかる。

 

 

「何をする秋蘭!?」

 

 

「…………………………………………………」

 

 

「無駄だぞ、夏侯惇。夏侯淵は俺が操っているからな」

 

 

「春蘭!」

 

 

「私は大丈夫だから華琳さまを解き放てっ」

 

 

「くそ」

 

 

そういいながら一刀は華琳のもとへと進む。

 

 

「華琳。大丈夫か?」

 

 

くくりつけられていた縄を切っても華琳は返事をしない。

 

 

「おい、華琳?」

 

 

一刀は恐る恐る華琳の心臓の音を聞いてみるが心臓の音はあった。

 

 

そして、華琳は目を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、違った。

 

 

 

 

 

 

 

シュッ

 

 

「ぶほっ」

 

 

華琳は一刀に殴りかかっていたのだった。

 

 

「なにすんだ華琳?まさかお前も?」

 

 

「そうだよ、北郷一刀。この世界の終焉にするならばこれ以上に言い終わり方はないだろう?」

 

 

そう言うと華琳の前に絶のような鎌を放り投げた。

 

 

それを拾い上げると華琳は躊躇なく一刀に襲いかかってきた。

 

 

「華琳さまっ。くそ、助けに行きたいのは山々だが、今後ろを見せれば間違いなくやられてしまう」

 

 

「くそったれが、やってやるよ。もともと剣道なんてもんは不殺が理念なんだから」

 

 

そういうと一刀は刀を抜いた。

 

 

しかし、その刀は少し普通の刀とは違った。

 

 

逆刃刀だったのだ。

 

 

「貂蟬、サンキューな」

 

 

そう言って一刀は華琳と対峙した。

 

 

とはいっても華琳は並の武将より強いという人物なのだから当然一刀は防戦一方である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガキン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然真後ろで音がしたので振り向いて確認したいのだが、全神経を総動員しなければ防戦することも厳しいのでふり向けない。

 

 

そして、それは春蘭も同じである。

 

 

「だれだ、お前は?」

 

 

「通りすがりの北郷一刀嫌いだ」

 

 

そう言って後ろから一刀もろとも華琳を殺そうとしていた北郷一刀を止めたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

左慈であった。

 

 

 

 

 

 

神仙である左慈の話も貂蟬から聞いていた一刀は、話を聞いていただけに驚いた。

 

 

最初の外史に北郷一刀というイレギュラーを持ち込んだ神仙であり、そのイレギュラーを徹底的に排除しようとした人物ということを聞かされていたからだ。

 

 

そして、その結果が外史の繁栄を招いたということも

 

 

今はこの三国志の外史には入ってこられないということも

 

 

驚きを増加させている。

 

 

「抜けてくるのに力を使いすぎたが、お前を倒すくらいは造作もない」

 

 

そう言って佐慈は戦いを始めた。

 

~神殿前~

 

 

ここでは貂蟬と白装束の集団が戦っている。

 

 

しかし、数はまったくと言っていいほど減っていない。

 

 

「誰なの?この外史には私以外の神仙はいないはずなのに…。というか、人数を絞ってその分一つ一つの力をあげるなんて、ものすごい裏ワザ使うのね、あの北郷一刀は…。ちょっとまずいかも」

 

 

貂蟬はあまりの数と、思うように戦わせない相手の陣形に手こずっている。

 

 

 

 

 

 

「甘い‼甘いぞ、貂蟬っ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 

 

 

 

 

ズガ――――ン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆音とともに空から現れたのは…

 

 

卑弥呼だった。

 

 

「あなたは…」

 

 

貂蟬が振り向く。

 

 

「流派…」

 

 

卑弥呼が問いかける。

 

 

「漢女道は」

 

 

それに貂蟬が答える。

 

 

「王者の風よ‼」

 

 

お互いが氣を高めていく。

 

 

「全新‼‼」

 

 

二人の周りに氣の竜巻ができていく。

 

 

「系列‼‼‼」

 

 

そして卑弥呼が貂蟬のもとへ近づいていく。

 

 

「天破侠乱‼‼‼‼」

 

 

卑弥呼の周りの白装束が行く手を遮るが、歯が立たない。

 

 

「見よ‼‼‼‼‼」

 

 

そして、卑弥呼が貂蟬のもとへ辿り着いた。

 

 

「「外史は煌びやかに萌えている‼‼‼‼‼‼‼‼‼」」

 

 

「あれをやるぞ貂蟬‼‼‼」

 

 

「わかったわ卑弥呼‼‼‼」

 

 

そう言うと貂蟬は卑弥呼を抱えあげた。

 

 

「「超級漢女電・影・弾」」

 

 

そして、投げた。

 

 

「ぶるああああああああああ」

 

 

貂蟬の氣と自分の氣をまとった卑弥呼が意思をもった弾丸のように周りの白装束を倒していく。

 

 

「ふう、終わったわね。」

 

 

「神殿内に入るぞ貂蟬」

 

 

そうして、二人も神殿に入っていく。

 

~神殿内~

 

 

「くそ、早く一刀を助けに行かなければならないというのに…」

 

 

春蘭は秋蘭と戦っている。

 

 

秋蘭は矢で

 

 

春蘭は大剣で

 

 

普通なら次の矢が放たれる前に間合いに入ってたたき切ればいいのだが、秋蘭の矢をつがえる速度は並の兵とは比べ物にならないくらい早いのだ。

 

 

そして、矢の残量も北郷一刀の術によって残量はあってないようなものである。

 

 

「これでは埒があかん」

 

 

先ほども弓をたたき斬り、秋蘭を気絶させるチャンスはあったものの、弓をたたき斬ろうとした瞬間に秋蘭が弓の前に首を出してきたので、あわてて剣を止めたところである。

 

 

これも北郷一刀の術である。

 

 

「八方ふさがりとはこのことだな…」

 

 

この八方ふさがりな状況を打開したのは…。

 

 

 

 

 

 

「その術は心に訴えることで解ける。早く解いてこっちを助けろ」

 

左慈だった。

 

 

 

 

「わかった」

 

 

心に訴えかける。

 

 

「そうか…。これがあったか…」

 

 

春蘭は持っていたあるものを秋蘭の前で踏みつぶした。

 

 

「すまん流琉っ」

 

 

それは、流琉が出掛けに渡してくれた弁当だった…。

 

 

そこからはものすごくおいしい匂いがしている。

 

 

だが、もう食べられない。

 

 

「…」

 

 

食べ物を台無しにした怒り

 

 

弁当が食べられなくなったかなしみ

 

 

流琉が一生懸命作ってくれた弁当が…

 

 

「姉…者…?」

 

 

その思いが、秋蘭を正気に戻した。

 

 

「秋蘭、戻ったのか?」

 

 

「何をしたんだ?」

 

 

秋蘭は明らかに怒っている。

 

 

「いや、これはだな…」

 

 

それに対し春蘭は慌てている。

 

 

そんなおびえた姉を見てまわりを見渡した秋蘭はすべてを理解した。

 

 

傷ついている姉の姿とそこら中に散らばっている矢の残骸。

 

 

「まぁ、見ればわかる。私が操られていたか何かしたんだろ?」

 

 

弁当のことは確かに許し難いが、自分のせいで姉が傷ついたということはかなり秋蘭といえどもショックを受けていた。

 

 

「そうだ。とりあえず華琳さまのもとへ」

 

 

しかし、そんなことを気にせずに春蘭は次にすべきことに意識が向いている。

 

 

こんな姉が今は心の底からありがたく思えた秋蘭であった。

 

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

「こっちを助けろよ!」

 

左慈が何かを言っているが、二人は無視して華琳のもとへ向う。

 

「「華琳さま」」

 

 

「二人とも無事だったのか?」

 

 

一刀が安心したように声をかけるが、目線はしっかり華琳を見据え、必死に受け流している。

 

 

これが関羽だったらこうはいかなかったかもしれない。

 

 

一刀が華琳の太刀筋を知っていたからこそここまで耐えきれたのだ。

 

 

二人が華琳を両側から押さえつけることで華琳の暴走は抑えた。

 

 

しかし、操りは解けていない。

 

 

「一刀、華琳さまを正気に戻せ」

 

 

「どうやって?」

 

 

「キスでも頭突きでも好きな方法で起こせ」

 

 

ここに来ても春蘭の無茶っぷりは変わらない。

 

 

「じゃあ、一番効果のある方法で起こすぞ…」

 

 

「うむ、やってくれ。華琳さまは私と姉者でしっかりと押さえている」

 

 

「華琳…」

 

 

一刀は華琳に近づき…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「華琳のペチャパイ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 

 

思いっきり悪口を言った。

 

 

「な…」

 

 

「「華琳さま」」

 

 

横にいる二人が華琳の意識が戻ったことを確認する。

 

 

「ぬぁんですって~~~~~‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 

 

「よしっ、元に戻ったな。あとは任せるよ二人とも…。あいつは俺がやらなきゃいけないから…行ってくる」

 

 

そう言うと一刀は華琳にキスをして北郷一刀のもとへ向った。

 

 

「どういうことか説明して秋蘭」

 

 

秋蘭は華琳がとらえられてから先の話をした。

 

 

「なら、私たちも行くわよ」

 

 

華琳は近くに落ちていた鎌を取り上げてふたりにそう言った。

 

 

「それは駄目です。華琳さま…」

 

 

しかし、華琳の言葉に対して、春蘭も秋蘭も動こうとはしない。

 

 

「臆したの春蘭?」

 

 

「違います。一刀が武人として、自分自身と勝負をつけに行った以上は私は武人としても一刀の恋人としても手助けはできないからです」

 

 

「私も姉者と一緒です。」

 

 

「それでも、行くのよ。何もしないとしても、すべての決着がつくまでは一番近くで見届けるの。それならいいでしょう?」

 

 

「「はいっ」」

 

 

こうして、三人も北郷一刀のもとへと向かうのだった。

 

「左慈っ。大丈夫か?」

 

 

「俺の名前を呼ぶんじゃねぇ」

 

 

左慈は傷つきながらも答えた。

 

 

「さがってくれ左慈。そいつとの決着は俺がつける」

 

 

「無理だ」

 

 

一刀の提案を一蹴した左慈だったが、確かにその北郷一刀の強さは一刀とは比べ物にならないくらいであった。

 

 

「でもやるんだ」

 

 

しかし、一刀もだからといって引けないのである。

 

 

「わかった」

 

 

左慈も納得してくれたようである。

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 

「だが断る」

 

 

「んな、何だよ」

 

 

これから死闘をするという出鼻をくじかれた一刀は不審に思っている。

 

 

「安心しろ、まだ変わらないってだけだ。今このままお前と変わっても、お前が勝つ見込みはゼロ以下だ。その確率を今から俺が数パーセントまで引き上げてやる」

 

 

そう言うと左慈は氣を開放して一気に放出し、北郷一刀の右手を狙った。

 

 

「あとは任せた。俺はこのくらいできれば満足だ」

 

 

「わかった、ありがとう左慈」

 

 

「お前に礼を言われると気持ち悪いからやめてくれ」

 

 

そう言うと左慈はその場に寝転んだ。

 

 

「じゃあ行くぞ北郷一刀っ‼‼」

 

 

そういうと一刀は逆刃刀を握りしめ北郷一刀と対峙した。

 

 

まだ、一刀は逆刃刀のまま握っている。

 

 

「「「一刀」」」

 

 

丁度、そこに華琳たちも駆け付ける形になった

 

 

「そこで見ていてくれ。左慈に手伝ってもらってまで勝てないんじゃ立つ瀬もないしな…」

 

 

そうして、北郷一刀対一刀の戦いが始まった。

 

カンカン

 

 

金属同士がぶつかる音がしている。

 

 

北郷一刀は何の変哲もない剣を使い、一刀は逆刃刀を使用している。

 

 

北郷一刀は片手ということもあってか、打ち込みの力は春蘭に比べると弱く、一回一回の打ち込みで手がしびれるということもない。

 

 

が、一刀の打ち込みは流され、その隙に素早い打ち込みが入るので、どうしても一刀は守りの姿勢になってしまっている。

 

 

お互いに決め手が打てないまま10分経った。

 

 

「大丈夫ですよね華琳さま?」

 

 

春蘭も心配そうに戦いを見つめているがついこんな言葉を吐いてしまう。

 

 

「一刀を信じなさい。そして一刀を信じる自分を信じなさい」

 

 

華琳はいつか一刀に言われたセリフを春蘭に伝えた。

 

 

「そう…ですね。ふう…。一刀~~~~~~~負けたら殺すからな~~~~~~~~~~生きてれば華琳さまと秋蘭と私とでかわいがってやるから、早くそんな偽物倒してしまえ~~~‼‼‼‼‼‼‼」

 

 

春蘭は今の気持ちを応援という形で一刀に伝えた。

 

 

「一刀、私も姉者と同じでお前を信じている。だから、早く倒して私を抱きしめにこい」

 

 

秋蘭も華琳がいる前というのにもかかわらず一刀に対して告白混じりの応援をした。

 

 

「一刀、あなたが負けたら私は自分で自分の命を絶つわ。でも、あなたが勝ったら真逆のことをしてあげるわ。だから勝ちなさい」

 

 

すべてが下ネタに回っているのは一刀が魏の種馬だからです。

 

 

「そんなことはない。お前は死に、この外史は終焉を迎える」

 

 

「そんなことはさせないよ。そんなことをさせたら帰ってきた意味がない。そして、華琳たちに生かしてもらった意味もわかってないようなヘタレな俺に負けるわけがない」

 

 

「終焉を迎える以外の選択肢は…ないっ」

 

 

二人の間に緊張が走る。

 

 

一刀は逆刃刀を上段に構えている。

 

 

対する北郷一刀は剣を正眼に構えている。

 

 

 

「選択肢は作るものだろ」

 

 

そして、二人は打ち合った。

 

 

一刀は面を打ちに行った。

 

 

 

北郷一刀は受けの姿勢目の前で剣を横に寝かせ面を受け流した。

 

 

 

そして、そのまま剣を真一文字に払いに行った。

 

 

 

 

「「「一刀‼‼‼‼‼‼‼‼‼」」」

 

 

しかし、一刀は終わってはいなかった。

 

 

北郷一刀が受け流してくるということを予測していたのだ。

 

 

一刀はそのまま踏み込み逆刃刀を逆袈裟に切りかかった。

 

 

刃が付いている方が北郷一刀の体に迫る。

 

 

しかし、このままでは相打ちである。

 

 

この時点で北郷一刀はすでにあきらめていた。

 

 

一刀は

 

 

あきらめてなかった。

 

 

一刀は

 

 

目の前に迫ってきた剣を…

 

 

歯で受け止めた。

 

 

「ありがぢだろ?」

 

 

一刀は歯で剣を受け止めながらそうしゃべった。

 

 

一刀の刀はしっかりと北郷一刀の体を切っていた。

 

 

「言っただろ選択肢は作り出すんだって…」

 

 

決着はついた。

 

 

「そう…だな…ゴフッ。最後に…すまないが華琳が俺を生かした意味を教えてくれるか?」

 

 

「ああ、華琳は自分の代わりに大陸を収めてほしかったのさ…」

 

 

「私にも教えてくれるかしら一刀?」

 

 

「ああ、北郷一刀は天の御使いだ。華琳たちが生き残ったとしても、再び勝てる見込みはないと他の人も手伝ってはくれないと思う。でも、俺は違う。さらに箔が付くだけだよ。また天の御使いさまは帰ってこられたってさ。そして、その名前は人々に希望を与え、再起への可能性も広まるってことだと思うよ。華琳は死んでも一人の愛した男よりも大陸のことを思うはずさ…。」

 

 

「そう言うことか…。貂蟬、いるんだろ?」

 

 

北郷一刀はそう鏡のある方へ声をかけた。

 

 

「さすがは神仙ね…。用件は何かしら?」

 

 

「俺を滅してくれ。俺の体には鏡が埋め込まれている。これのおかげで神仙の力を得ていたんだ…。」

 

 

「ええ、卑弥呼から聞いたわ」

 

 

「じゃあ、頼む」

 

 

「わかったわ、あなたがこの外史を壊さなかったお礼に引導を渡してあげるわ」

 

 

貂蟬はそう言って北郷一刀に近づいた。

 

 

「北郷一刀,夏侯惇、夏侯淵、曹操。もうすぐ五湖と北方の騎馬民族が攻めてくる。絶対に大陸を守り切れ‼約束しろ」

 

 

「わかった、絶対に守る」

 

 

「この剣にかけて私も誓おう」

 

 

「私も魏の将の一人として約束を違えないことをここに誓う」

 

 

「あなたに言われるまでもないから、ゆっくりおやすみなさい。一刀…」

 

 

「ありがとう」

 

 

そして、貂蟬が何やら呪文を唱え、北郷一刀の体は光になって消えていった。

 

 

「じゃあ、行こうか華琳、春蘭、秋蘭。五湖が待っている」

 

 

「ええ行きましょう。貂蟬、帰り道も頼むぞ」

 

 

「いいわよ~ん。でもそこにいる左慈ちゃんをどうにかしなきゃ…っていない‼‼‼‼‼‼‼‼」

 

 

左慈がいたところには一枚の紙が落ちていた。

 

 

『さらばだイレギュラーと筋肉だるま』

 

 

「だ~~~~~~~~~れが筋肉だるまですって~」

 

 

怒る貂蟬をなだめすかして、帰ることにしたのだが、今度も両腕に夏侯姉妹、背中に華琳そして前には一刀だった。

 

 

「モウイヤダコノガイシ」

 

 

そうして、この話は終了した。

 

 

~同じころ五湖~

 

 

「「「戦争なんてくだらない。私たちの歌を聴け~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~‼‼‼‼‼‼‼‼‼アンコール行くわよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~‼‼‼‼‼‼‼‼‼」」」

 

 

 

「「「「「「「「「「ほわっほわっほわあぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」」」」」」」」」

 

 

 

「「「「「「「「「「ヤックデカルチャー‼‼‼‼‼‼‼‼‼」」」」」」」」」」

 

 

 

こうして五湖との戦争が回避され、すべての軍備が無駄になることを知らされたのは一刀たちが帰ってすぐのことであった。

 

 

 

卑弥呼がいなかった理由。

 

「おぬしもやっとこちらの道に目覚めたのか?左慈よ」

 

「違う。俺は北郷一刀が嫌いなだけだ」

 

「ならば、お主を倒さねばならないが、我が同士、于吉に免じ、帰してやる」

 

「儂はこれから倭に帰るが、お前たちもどうだ?この先、倭は面白いことになるぞ」

 

「それもいいが、いまの外史が心地いいんでな、俺は帰らせてもらう」

 

そう言って左慈は消えた。

 

後に一枚の紙を残して…。

 

儂も倭に帰るとするか…。

 

「あと千年もすれば倭も戦乱の世になる。そうすれば新たな外史が生まれるだろう。それまではこの外史を眺めていてもいいかもしれない」

 

 

 

どうも九十九十八号です。

 

今回も見ていただき、ありがとうございました。

 

今回はノエ●ンのパロを元に書いていったんですが、思いのほか量が増えてビックリしましたね。

 

さらに、このページも書いたのが二回目になります。

 

何らかのエラーで本文が途中から抜け落ちてしまったんですよね。

 

なので、最後の卑弥呼の言葉とここは一回目とは違う内容になってしまいました。

 

ちなみに、

 

ユウ役=一刀

 

ノエイン役=北郷一刀

 

鴉役=貂蟬

 

鴉のイメージが崩れましたねww

 

アトリ役=左慈

 

となっております。

 

では、また次の外史があればそこでお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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