得物を持つ絶頭に中々状況がよくならない一刀は自ら得物を作り出した
それは響窃がかつて作り出し、一刀を苦しめた
あの『死の剣』だった………
九節 〜北郷流と邪龍蛇流〜
卑弥呼『ご主人様の剣術の流儀はどの様なものかの?』
卑弥呼の発言………これは修行中時に言われた
一刀『俺?俺は代々受け継いでいる【北郷流】だよ
俺はその三七代目の継承者』
思春『そうだったのか?それにしても…………』
焔耶『お館は武術にはこれっきりだったではないか
あの蒲公英にも劣るほどの』
稟『真桜や凪にも敵わないとお聞きしましたよ、一刀殿』
一刀『ううぅ…………そんな直球で言わなくても…………
色々と【北郷流】は複雑なんだよ』
一刀は涙目で訴えた
桔梗『複雑とは…………どういう意味ですかな?』
凪『隊長、教えて下さい』
一刀『実はね……………』
回想はここできれる………
一刀「俺の得物は即興性にあふれ、使い勝手のよい『死の剣』だ」
絶頭「中々ない考えだ
今この場で自ら得物を作り出すなんて……………流石『聖なる魔人』といったところか」
絶頭の瞳には敵意というよりは尊敬の眼差しが見受けられていた
一刀「こっからは剣術勝負だ
お互いの剣への強さが一発で分かるぞ」
絶頭「そりゃあいい!僕と北郷………
どちらの剣術が強いか………」
ゴオッッ!!
絶頭「白黒つけようぜ!!」
絶頭は『龍終』を構え直し、『龍走』をしてきた
一刀「北郷流継承者………北郷一刀、参る!!!」
絶頭「そりゃそりゃそりゃあっ!!!」
フォン!!
フォン!!
フォン!!
絶頭は次々と『龍終』を振るっていく
一刀「はっ!!でいっ!!せやぁっ!!」
ガキンッ!!
ガキンッ!!
ガキンッ!!
一刀はその斬撃を『死の剣』で受け止めていく
絶頭「流石だね、北郷!
でも、勝負はこれからだーーー!!!」
絶頭は『龍終』を大きく振り上げた
一刀「『北郷流』…………」
一刀も静かに『死の剣』を構え
フォン!!
ガキンッ!!
絶頭「うわっ!!!?」
一刀「『神速狩り(しんそくがり)』!!」
目にも止まらぬ速度で斬りかかり、絶頭の『龍終』を弾き飛ばした
明命「お見事です!一刀様!!」
春蘭「しかし、あれが一刀か?
得物の使い方がまるで我々の知る一刀と別人だぞ」
愛紗「確かに…………ご主人様は剣術にお世辞にも長けているとはいえなかった……」
星「私や紫苑との鍛錬でも逃げてばかりだったのに…………何故だ?」
星や愛紗が首を傾げる
そこへ稟と卑弥呼が近寄ってきた
卑弥呼「それに関しては仕方がない事なのじゃ」
明命「??どういう意味なのです?」
卑弥呼の言葉に明命も首を傾げる
稟「一刀殿の話によれば『北郷流』とは門外不出の秘密の剣術…………
例え関係者や王達である華琳様、桃香殿にさえ話すことは許されていないらしいのです」
卑弥呼「だからご主人様は演義をしてまで隠し通す必要があったのじゃ」
秋蘭「……………ならば、一刀は実際には………」
秋蘭が静かに聞く
稟「えぇ…………一刀殿はとてつもなく強いのです
その強さは『気力破』や『斬蹴』を使わなくとも恋殿や春蘭殿、愛紗殿に匹敵する程です」
稟は真剣な表情なのだがそれは嬉しそうな表情で語った
星「なんと……………」
風「ふむぅ………お兄さん、演義が上手なのです……風は全く分かりませんでした」
風は眉間に皺をよせていた
凪「この話を聞いた時、自分も驚きました
隊長がそこまで強いなんて……というふうにですけど……」
蓮華「けれど話をしてよかったの?
そんな門外不出なことを私達に………」
蓮華の言うことは最もである
門外不出だと言ったのにも関わらず稟と卑弥呼は話したのだ
何故話せたのかというと
稟「実は一刀殿から許可は得ていて………その……あの……………」
稟の歯切れが途端に悪くなる
その顔色はかなり赤くなっていた
華琳「??どうしたの稟…………」
卑弥呼は肩を竦め話始める
卑弥呼「『北郷流』について外部に話せられるのは身内………つまり妻や家族、次期継承者のみなのじゃ」
華琳「…………っ!!そういう事ね、稟………
…もう、一刀ったら……♪」
華琳は頬を赤く染まらせニッコリと笑う
卑弥呼「つまりお主達を自分の妻として認めたという事じゃろうな
これはめでたいのぅ〜ガッハッハッハっ!!!」
全員「「「「っ!!!」」」」
卑弥呼の発言にその場にいた皆は驚き、照れて顔が赤くなっていった
左慈「全く…………戦闘中に話す内容か?」
左慈の溜息は誰にも聞こえる事はなかった………
絶頭「やるねぇ、北郷!!一本とられたよ!
まさか僕の『龍終』を弾き飛ばすなんてね!」
絶頭は益々笑顔になっていく
一刀「まだまだ………『北郷流』はこんなもんじゃないんだぜ!」
一刀は再び『死の剣』を構える
絶頭「剣くらい握らせてくれ、」
ゴオッッ!!
絶頭「よっ!!」
絶頭は『龍走』を行い、『龍終』の元まで駆け出した
一刀「ふうぅぅぅっ!!はっ!!」
フォン!!
ピュンッ!!
一刀は追撃として『死の剣』を横に振り、絶頭に向かって『死の閃光』を放った
宝鈴「『死の閃光』まで…………響窃の力がここまで侵食していたとは……」
宝鈴は苦虫を噛み潰したような表情をした
絶頭「およ?」
絶頭は一刀の放った『死の閃光』に気づいた
絶頭「よっと!それっ!!」
フォン!!
ガキンッ!!
絶頭は素早く『龍終』を拾い、一刀が放った『死の閃光』を叩き落した
絶頭「危ねぇ危ねぇ………でりゃあぁぁぁっ!!」
絶頭も再び『龍終』を構え直し一刀に向かって突っ込んでいった
一刀「よっ!!はっ!!」
フォン!!
ピュピュピュピュピュンッ!!
一刀は今度は指先から『死の光波』を放った
絶頭「おっ?今度は『死の光波』か!!
それなら………『邪龍蛇流・大蛇塒の舞(おろちとぐろのまい)』!!!」
フォン!!
フォン!!
フォン!!
フォン!!
ガキンッ!!
ガキンッ!!
ガキンッ!!
ガキンッ!!
絶頭は踊るように『龍終』を振り回し、次々と『死の光波』を叩き落していった
一刀「『北郷流』………」
絶頭「ん!?」
一刀は絶頭にあった僅かなスキをみて『死の剣』を構えた
一刀「『桜吹雪(さくらふぶき)』!!!」
フォン!!
ザシュッ!!
ザシュッ!!
ザシュッ!!
ザシュッ!!
絶頭「ぐっ!!?」
絶頭の胸元には無数の『紅い華』が無残に咲かせられていた
……終……
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一刀が『死の剣』を出現させ
絶頭との剣術の勝負が始まった!!
絶頭の会得している『邪龍蛇流』、一刀が継承した『北郷流』
果たしてどちらが強いのか?