No.681017

喧嘩番長がまいた世界 第一話

自称日本一の喧嘩番長、大門大。ある日、ケンカにあけくれていた大が「まきますか まきませんか」と書かれていた紙を見つけ、軽い気持ちで巻いたらいいんじゃねーのって呟いてしまう。すると帰宅後、自分の部屋に謎のかばん、そしてその中に美しいアンティークドールが収まっていた……。
※作品の設定上、ほとんどのドールが殴られます。不快に思う方は閲覧しないことをお勧めします。

2014-04-23 22:16:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1209   閲覧ユーザー数:1196

 

とある大都市の河川敷……。

 

ここは大都市の都内ながら、草木などの自然が多く、また気温の変化が穏やかなため、人々の憩いの場となっている。ただし、憩いの場を利用する人達の中にはヤクザやチンピラなどの不良共もいるわけで……。

 

「今度こそケリをつけてやるぜ!大門!」

 

大門と呼ばれた、セミロングの髪を少しだけポニーテールにしていて、ジーンズにオレンジのシャツの少年は、周りに大量のモヒカンだのピアスだの金髪だのスキンヘッドだの、一目で不良とわかる男達に囲まれているにも関わらず、勝てる見込みが一見ないようにも見れるにも関わらず、こう言った。

 

「いつでもいいぜ。かかってきな!」

 

大門がそう言うと、不良共はいっせいに大門に襲いかかった。

 

 

数分後、喧嘩は終わった。大門の圧勝で…。

 

「日本一の喧嘩番長、大門大(まさる)様に喧嘩を売ったのが運が悪かったな!」

 

大門大(まさる)と名乗った少年は、自称喧嘩番長で200連勝記録がある、よくよく考えてみたらどう考えてもぶっ飛んだ記録を持っているのである。もっとも、彼がこれだけ喧嘩しているということは、大自身も不良と捉えることができなくもないが、ただ単に梅雨払いをしていたとも考えられる。

大は倒れた不良共を放置して、河川敷から去って行った。

その直後、大は何か土以外のものを踏んだ感触がしたので、地面を見る。

 

「なんだ……この紙?まきますか?まきませんか?」

 

大が踏んだ紙には、ただ、まきますか まきませんか の単語のみが書かれてあった。正直不自然である。

 

「手巻き寿司の広告か?」

 

大は「手巻き寿司ならまいたらいいんじゃねーの?」ってつぶやき、自宅へと向かう。

 

「ただいまー。って誰もいないのか?」

 

大の家は三人家族。母親の小百合と、小学生の妹の知香がいるが、父親の英は行方不明となっている。そのためか、家のサイズは若干大きく見える。

いつもは小百合と知香がいるが、今日はいなかった。

 

「ま、買い物にでも行ってるんだろ。」

 

と妥当な予想をし、大は自分の部屋に入る。

 

「さて、一眠りするか……ってなんだこれ⁉︎」

 

そこには、革製の茶色い直方体の金メッキを角に装飾した鞄が置いてあった。それは大のものではない。明らかに中近世のヨーロッパのものだ。かといって、大門家の人間が持っていそうにもない。小百合はこういう趣味はないし、知香には大きすぎる。

大はとりあえず鞄を開けてみる。鞄の中には薇と、綺麗な長いゴールデンブロンドのツインテールに、真っ赤なドレスとボンネットの少女が胎児のような姿で白いビロードの上で体を丸めていた。大は、その少女をおもむろにとりだしてみる。

 

「なんだこりゃ?人形か?しっかしまあ、よくできてるな。」

 

その人形は見た目といい、質感といい、まるで本物の少女のようにつくられている。おそらく自分で動いていれば、完全に人間と見間違うであろう。その曖昧な感覚は、好奇心と不気味さの両方をそそる。大は人形をあまりまさぐらずに、そばにあった薇を取り、なにも考えずに人形の背中に見つけた穴にさしこみ、ねじ巻いてみる。

その数秒後、人形は動き始めた。

 

「う、うわぁ!な...なんだ!?」

 

大は思わず人形を投げ捨てた。そして人形の少女はぎこちなく、まるで産まれたばかりの仔馬のように足がガタガタしていながら立ち上がり、しばらくすると、人形は綺麗に直立立ちし、目も完全に開いた。

 

「う...動いた...」

 

動いた人形に感心する大をよそに、人形は大に当たり前かのように近づき、大を叩いた。

 

「まったく、投げ捨てるなんて。人間のオスはやっぱり下劣ね。」

 

その人形は凛とした声を発した。人形は、大のことを上から目線で見ている。

一方の大は、眉間にしわが寄っている。人形が喋ったことも、動いたことも、それ以前にこの人形が自分の部屋になぜあったのかも、大にとってはもう二の次となっている。大は、人形に叩かれたことを、人形が喧嘩売ってきたととらえていたのである。

 

「い...い...いってぇなこの野郎!!!」

 

大は人形に思いっきり殴りかかる。今の人形の行動により、大の喧嘩魂に火がついてしまったのあろう。

人形は華麗に大のパンチをかわし続けるが、カス当たりしてしまった。

 

「っ...このローゼンメイデン第5ドール、真紅に攻撃を当てるなんて...あなた、なかなかやるわね。」

「俺は大門大だ。」

「聞いてもいないのに名乗るなんて、いい家来ね。」

「相手が名乗ったら、こちらも名乗るのが漢だからな。って、勝手に人を家来にすんな!」

「仕方ないでしょう。あなたに巻かれてしまったんですもの。不本意だけどここに住まわせてもらうわ。」

「ああ...俺が起こしたからか...。仕方ねぇ、住まわしてやるよ。」

「家来として口のきき方がなっていないわね!」ビシバシ

「いてて!だから、勝手に決めつけんなっつてんだろ!」

 

このようなまるで漫才みたいな会話をした直後、空気が変わった。部屋には何故か正体不明の黒い羽根が落ちている。

 

「もう来たのね...まったく、お茶を楽しむ時間もないわね。」

 

真紅がそう言った途端、突然ガラスが割れる音がし、ピエロの人形が現れた。そのピエロの人形は、いきなりトランプのカードを大と真紅に投げつける。二人はとっさにかわしたが、大の服は切れ、カードは見事に部屋の壁に刺さってる。

 

「大、この子はお前を殺しに来たの。お前はここで死ぬわ。それが嫌なら誓いなさい。」

 

真紅が警告した。この人形は大を殺そうとしているらしい。にわかには信じがたい話だが、事実上トランプは刃物のような切れ味をしており、今度は包丁まで構えている。大から見ても、殺そうとしてることは明らかである。

 

「この大門大様に喧嘩を売ろうってか、いい度胸じゃねえか。なら、こっちからいくぜ!!」

 

そう言うと、大はピエロ人形に殴りかかる。が、ピエロ人形はかわす。大は舌打ちしたが、あきらめずに、拳を振るう。

そんな大に、真紅が警告する。

 

「やめなさい。そんなバカなことしてると死ぬわよ!」

「漢の喧嘩は常に命掛け!死ぬ事恐れた時点でそいつはすでに負けてるんだよ!!」

 

大は拳を振るうのをやめない。そう、今まで喧嘩は常に命がけでやってきたのだ。喧嘩をするなら死ぬことは喧嘩を決めた時点で大の中で決まっていたのだ。だから、相手が人間だろうと、人形だろうと、またいかなる状況だろうと構わない。ただ、死を恐れたら負けという信念を持っているのである。

そうピエロ人形と喧嘩しているうちに、真紅がピエロ人形の攻撃を食らう。

真紅はピエロ人形のトランプを食らい、床に倒れこむ。

 

「真紅!真紅!おい起きろ!!!」

 

大の中で何かが切れた。今日突然であった人形が、自分を狙っている奴にやられた。それが大は許せなかった。大の怒りと熱き喧嘩魂は、さらに燃える。

 

「よくも...よくも!よくも俺の仲間を!許さねぇ!!」

 

大は怒りを行動にまかせ、ピエロ人形に拳を叩きこむ。ピエロ人形は殴り飛ばされる。

殴った大の手からは、赤いオーラが漂っている。

 

「なんだこりゃ!?」「この薔薇に誓いの証を...。」

 

倒れた真紅が手を出し、大は速攻でオーラを纏った手で握りしめた。

 

「いい子ね...大。」

 

そう真紅が言うと、オーラは激しく発光、真紅は立ち上がる。大の左手の薬指には、薔薇の指輪が形成されていた。

 

「これだ、あなたは私のミーディアムになった。」

「ミーディアム?なんだそりゃ?」

 

こう話している最中、ピエロ人形は再び立ち上がり、おもちゃの拳銃を構えている。真紅は椅子を蹴り飛ばし、ピエロに命中、ピエロは再び倒れる。

 

「おいたはダメよ。」

 

真紅は手から薔薇の花びらを舞わせ、ピエロに浴びせる。ピエロはもがき苦しみ、蒸気を発して、動かなくなった。

 

「すげぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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大門大

 

3度の飯よりケンカが好きな中学生。強そうな相手を見つけるとケンカを売らずにはいられない。

http://www.toei-anim.co.jp/movie/2006_digimonS/img/chara04.jpg

 

 

真紅

 

ローゼンメイデンシリーズの第5ドール。女王様気質でプライドが高い。不思議な力を持つ。

http://www.tbs.co.jp/rozen-maiden/part2/04chara/images/shink.jpg

 

 

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あとがき

 

 

この小説を読んでいただき、ありがとうがございます。

まあ、わかる人には展開が読めるんでしょうけどねw

 

それでは、次回も、大門大兄貴の活躍を期待してください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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