No.678965

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズ・クリード~番外編 

okakaさん

番外編その2、後編 ※注意、今回めちゃくちゃ長いです。

2014-04-15 06:03:45 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:608   閲覧ユーザー数:553

番外編2 調査記録【仮面の覚悟】後編

 

 

――――――――――大ショッカー地下アジト・首領の間―――――――――――

 

 

「ぐぅぅぅぅ・・・おのれぇ・・・仮面ライダー・・・」

 

 

玉座に座りながらショッカーグリードは先程の戦いの傷に苦しみあえいでいた。

V3の最後に放った【V3逆ダブルタイフーン】はファイズが作った僅かな傷に入り込み、ショッカーグリードの体内に予想以上の深手を追わせていたのだ。

更に、【アクセル・クリムゾンスマッシュ】のフォトンブラッドがコアメダルを侵蝕し、ショッカーグリードの体を蝕んでいた。

ショッカーグリードは玉座の隣においたセルメダルのタンクを掴むと、その中身を自身にぶちまける。全てのセルメダルは一度吸収されたが、すぐにまたポロポロと剥がれ落ちていく。メダルのエネルギーを制御できていない証だった。

 

 

「困っているようだね、ショッカーグリード?」

 

「!?何者だ!」

 

 

突然の声にショッカーグリードは立ち上がり、あたりを見回す。

すると、眼下に銀のオーロラが現れ、中から一人の中年男性が現れた。その男はショッカーグリードに一枚のメダルを投げ渡す。

ショッカーグリードが掴んだそれは、自身の核となる【ショッカーコアメダル】によく似ていた。男は口元に笑みを浮かべ、告げる。

 

 

「それは、【ゲルショッカーコアメダル】君の力を増幅させるはずだ、使ってくれたまえ」

 

 

男の話に半信半疑になりながらも、ショッカーグリードは自身の体にメダルを取り込んだ。

その瞬間、ショッカーグリードの全身が輝き、剥がれ落ちたセルメダルが吸い寄せられショッカーグリードに取り込まれた。

 

 

「おお・・・なんという力だ!勝てる、これなら仮面ライダーに勝てるぞぉぉぉぉぉぉ!フハハハハハハハハハハハ!我が世の春が来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

自身に漲るこれまで以上のパワーにショッカーグリードは歓喜した。

それを見届けた男性は、玉座の間を後にする。

 

 

「これでいい、首を洗って待ってろよ、ディケイド」

 

 

その男、【鳴滝】は口元に笑みを浮かべたまま、オーロラの中に消えていった。

 

 

―――――――――――ちょうどその頃okakaの次元航行船内――――――――――

 

 

「助かったよ、あいつ思ったより重かったから」

 

「全く、面倒だなぁ改造人間ってのは・・・」

 

 

あの後、okakaと士は急に気を失った耕也を船内に運び込んでいた。

中にいた緑川親子に事情を説明すると、彼の治療をかってでてくれたので、サイバネティックスの専門家の二人に任せておくことにした。

耕也を緑川親子に預けると、二人はラウンジのソファーに体面に腰を下ろした。

okakaは、サイドチェストに入れておいたオロ○ミンCを2本取り出すと、栓を開け、片方を士に手渡した。士はそれを受け取ると、一気に飲み干した。

 

 

「ふぅ、それで?アンタの名前は?」

 

 

士の問いにokakaは名乗る。

 

 

「岡島一城だ、作戦行動中はokakaって名乗ってる」

 

「随分と適当な偽名だな」

 

「案外バレないもんさ、それで?アンタは何のためにここに来たんだ?」

 

 

okakaの問いかけに、士は一瞬顔を曇らせると話し始めた。

 

 

「・・・落とし前を付けに来た」

 

 

そして士は自身が大ショッカーの大首領だったこと、側近に裏切られたこと、そして今は仮面ライダーとして大ショッカー残党と戦いながらあらゆる世界と旅していることを話してくれた。

あまりに予想外な答えにokakaは驚くも、士の言葉が真実であると悟り、謝罪した。

 

 

「随分と立ち入ったことを聞いてしまったな、すまん」

 

「いや、いい・・・お前達は知っておいてくれたほうが良さそうだ。しかし・・・ファイズとV3とは珍しい組み合わせだな。それにあのバイク、俺のにデザインが似ている・・・」

 

「ああ、俺のファイズとアレはさっき手に入れたんだ。ぶっちゃけ俺はライダーになってから一日経ってねぇ。V3の方はわからん。基地内で会っただけだからなぁ」

 

 

今度は士が驚く番だった。彼は身を乗り出し、okakaに問う。

 

「さっき!?」

 

「ああ、これと一緒にな」

 

 

そう言うとokakaは懐からプロトディケイドライバーを取り出し、士に見せた。

 

 

「プロトタイプ!?残ってたのか・・・」

 

 

okakaが見せたドライバーに士は驚き、自分のドライバーを見せる。それは、白く、プロトディケイドライバーと全く同じデザインだった。

今度はokakaが驚く番だった。思わず立ち上がり、身を乗り出す。

 

 

「同じ!?・・・そうか、お前・・・ディケイドか!」

 

 

okakaの問いに士は軽く笑うと、ドライバーをしまいながら答える。

 

 

「ああ、そうだ。俺がディケイドだ」

 

「・・・そうだったのか」

 

 

okakaもドライバーをしまうとソファーに座り直した。

少しの沈黙の後、唐突にokakaが振り向かずに後ろに声をかける。

 

 

「もういいのか?」

 

そこには耕也が立っていた。

okakaはサイドチェストからもう一本オ○ナミンCを取り出すと、耕也に投げ渡す。受け取った耕也はそれを飲み干すと空き瓶をokakaに投げ返しながら答えた。

 

 

「ああ、久しぶりに専門家のメンテナンスも受けたからな。もう万全だ」

 

 

okakaは瓶を机に置くと耕也に向き直る。

 

 

「もう少し休んでけよ、逆ダブルタイフーンのせいで後2時間ちょいは変身できないんだろ?」

 

「V3以外のライダーに変身すればいい、俺は複数のライダーに変身できるし、いざとなればMSに変身して戦える」

 

 

その言葉に士が反応した。

 

 

「だいたい解った。だが、ショッカーグリードは一人では倒せんぞ?」

 

「それでもなんとかするさ、じゃあな」

 

 

そう言うと耕也は一人で出て行ってしまった。その背中はまるで、ショッカーと戦うのは自分だけ、こんな思いは自分だけでいい、そう言っているようだった。

その姿にokakaは視線で士にどうする?と問う。士は肩をすくめると立ち上がった。

 

 

―――――――――――大ショッカーアジト入口前―――――――――――

 

大ショッカーは撤退したライダー達を探すため追撃部隊を編成していた。

追撃部隊の隊長格である【アラクネワーム】【マンティスオルフェノク】【ガニコウモル】【ザンジオー】を先頭に砕石場跡に偽装したアジトから出撃しようとした瞬間、いきなり超高温の火炎放射が襲いかかり、戦闘員の一部を焼き殺した。

 

 

「ぐぅぅぅ・・・何者だ!?」

 

 

アラクネワームの叫びに、襲撃者は更なる奇襲で答える。ジェット推進の生み出す轟音とともに超高速で突っ込んできたバイクが、戦闘員の隊列をなぎ倒しながらとまった。

その襲撃者は、自身のバイク【Vマシン】の高速形態である【Vジェット】から降りると【赤心少林拳】の構えを取り、名乗った。

 

 

「仮面ライダースーパー1!」

 

 

それはスーパー1に変身した耕也だった。

仮面ライダー、その名に一瞬たじろいだ大ショッカーだが、すぐに闘士をむき出しにすると、一斉に襲いかかる。

 

 

「怯むな!数はこちらが上だ!数で押せ!」

 

 

マンティスオルフェノクの叱咤に反応し、群れを成して襲いかかる戦闘員と怪人を前に、スーパー1が突っ込もうとした瞬間、無数の赤いマーカーが戦闘員と、ザンジオーを拘束した。

 

 

「!?な、なんだ!?」

 

「アレは・・・」

 

 

見覚えのあるマーカーに耕也が反応した。

だが、そこから先は耕也の知っているものとは大きく違っていた。

 

≪Final attack ride Fa,Fa,Fa,FAIZ!≫

 

謎の音声が響くと同時に、真紅の光線がマーカーで拘束された敵に降り注いだ。

 

 

「ギャァァァァァッ!」

 

 

そして、更にザンジオーにはダメ押しと言わんばかりにもう一撃加えられる。

最後のダメ押しが効いたのか、ザンジオーは瞬時に灰化して消滅した。

その場にいた全員が光線が飛来した崖の方を向く。

そこには、オートバジンを連れ、長大な銃【ファイズブラスター】を構えたマゼンタの仮面ライダー、【仮面ライダーディケイド】が立っていた。

 

 

「おい!【俺達】も加勢するぜ?」

 

 

そう言うとディケイドは持っていた銃を崖の下、大ショッカー目掛けて放り投げた。

突然の行動に不審がる大ショッカー、だがその疑問は次の瞬間解決された。

 

 

≪Exceed Charge≫

 

「オラァッ!」

 

 

突如として空中で銃がファイズに変身し、あらかじめ右手に装着しておいた【ファイズショット】をマンティスオルフェノクに叩き込んだ。

空中から降ってきたファイズショットの【グランインパクト】を受けたマンティスオルフェノクは叫びを上げる暇もなく灰化、消滅する。

それを尻目にファイズは、スーパー1に向き直るとファイズショットを外し、隣に並ぶ。

 

 

「・・・ったく・・・目的は同じなんだから置いてくなよ」

 

「・・・」

 

「そういえば本名で名乗ってなかったな。一城だ、岡島一城」

 

「俺は・・・」

 

「まぁ・・・なんだ・・・同じ【ライダー】なんだ。【助け合う】のも悪くねぇだろ?」

 

 

ファイズの言葉にスーパー1、耕也は仮面の奥で目を見開いた。

そうだ、自分は一人じゃない、長い転生の中、いつだって隣には仲間がいた。大切に想う人がいた。そして今、自分と同じように強大な力に抗う者達がいる。ならば、と耕也はファイズ、そして崖から降りてきたディケイドの二人と並び立つ。

 

 

「!・・・本郷耕也だ。一城、士、手を貸してくれ」

 

「ああ、任せろ」

 

「当然だ」

 

 

二人の返事に耕也は仮面の下で口元に笑みを浮かべた。そして二人の【仲間】とともに駆け出す。

 

 

「いくぞ!」

 

 

ディケイド、士も仮面の奥で笑みを浮かべ、答える。

 

 

「ああ!」

 

 

そしてファイズとなったokakaは空中のオートバジンが投げたトランクケース型の武装、【ファイズブラスター】をキャッチすると叫んだ。

 

 

「さぁ!こっからは俺達のステージだ!」

 

 

3人の【仮面ライダー】が戦闘を開始した。

 

「まずは雑魚からだ!」

 

 

ファイズはベルトの【ファイズフォン】を取り外すと、【ファイズブラスター】の【トランスホルダー】に装填、変身コードを入力しスーツを再起動させる。

 

≪Awakening≫

 

システム音声とともにスーツが再起動、全身にフォトン・ブラッドが行き渡り、フォトン・ストリームが【ブラックアウトストリーム】に変化、上半身の装甲が新しくなり背面には、【PFF(Photon Field Floater)】が装備される。

ファイズVer.2、通称【ブラスターフォーム】と呼ばれるファイズギアの最終形態になったファイズは、ファイズブラスターに1・0・3のコードを入力しENTERを押す。

 

≪Blaster Mode≫

 

システム音声がコールし、トランクケース型だった本体がショットガンのような【ブラスター】モードに変形、ファイズブラスターフォーム(以下ファイズB)はブラスターをコッキングすると、眼前の敵に向けて射撃した。

 

 

「「「「「イーッ!?」」」」」

 

 

一度の射撃で5人の戦闘員を粉砕、その威力に軽く驚くもファイズBはそのまま戦闘員を優先的に駆逐していった。―――――――――――

 

 

―――――――――――ディケイドはアラクネワームを相手に戦っていた。

 

 

「ワームがいるなら・・・まずはこいつだ!」

 

 

敵がワームだと判断したディケイドは腰の【ライドブッカー】から【仮面ライダーカブト】のカードを取り出すと、ドライバーに装填する。

 

≪Kamen ride KABUTO!≫

 

ドライバーの中央にある【トリックスター】がカードのエネルギーを変換、そのエネルギーに反応したスーツが変化し、ディケイドは【仮面ライダーカブト】に変身した。これがディケイドの最大の特徴である【他のライダーへの変身】機能である。

【ディケイド・カブト(以下Dカブト)】は更にライドブッカーからカードを取り出し、装填する。

 

≪Attack ride Clock up!≫

 

Dカブトがベルトにカードを挿入すると、Dカブトの周囲に【タキオン粒子】が充填され、Dカブトは通常の時間軸から切り離された。途端に周囲の全てがスローモーションのようにゆっくりとした動きになる。

 

 

「キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・」

 

 

しかし、アラクネワームだけは同じ速度のまま、Dカブトに飛び掛ってきた。これが、【クロックアップ】である。

Dカブトはライドブッカーをソードモードに変形させると、そのままアラクネワームに突進、右側を通りぬけるように一閃、アラクネワームの左腹部を大きく切り裂いた。

 

 

「キュルゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

 

苦悶の声を上げたアラクネワームが振り返ると、Dカブトは振り返りもせず、棒立ちしていた。

これをチャンスと思ったアラクネワームはDカブトにまた飛び掛かる。

しかし、Dカブトは既に次の一手を終えていた。

 

≪Final attack ride KA,KA.KA,KABUTO!≫

 

Dカブトがベルトに新たなカードを挿入すると、ベルトから大量のタキオン粒子が発生、一度頭部の【カブトホーン】に集中すると、右足に流れる。

 

 

「ハァッ!」

「キリュゥゥゥゥゥゥ!」

 

 

Dカブトのノールックカウンターの【ライダーキック】が飛び掛ってきていたアラクネワームに直撃、アラクネワームは断末魔の叫びを上げながら緑の爆炎と共に消滅した。―――――――――――

 

 

 

―――――――――――「チェンジ!エレキハンド!」

 

スーパー1が掛け声と共にベルトのスイッチを押す。すると、両腕の肘から先が外れ、腰の【ファイブハンドボックス】に収納されると同時に、ボックスから新たな青い腕が飛び出し、換装された。

【エレキハンド】に換装したスーパー1は、両腕をガニコウモルに向け、3億ボルトのエレキ光線を発射した。

 

 

「ギイィィィィィィ!」

 

 

電撃に苦しむガニコウモルは一旦空へ逃げるため、翼を広げ飛び上がった。

上空からスーパー1を攻撃するために、下を見る、が、そこにスーパー1の姿は無かった。慌ててあたりを見回すも、どこにも見当たらない。そこに思いもよらない所から声が響いた。

 

 

「こっちだ!ガニコウモル!」

 

 

ガニコウモルが慌てて声のした方、自分よりも更に上の空を見上げると、そこには、月面宙返りをするスーパー1がいた。

 

 

「スーパーライダー月面宙返りキィィィィィィック!」

 

 

スーパー1のキックがガニコウモルの頭を貫き、ガニコウモルは、力なく落ちながら、空中で爆散した。―――――――――――

 

 

 

「ふぅ・・・これで全部か?」

 

「ああ、後は中の連中だけのはずだ」

 

 

「いや、そうでもなさそうだ・・・」

 

 

敵を一掃し、一息吐いたディケイドの問にスーパー1が答えた瞬間、ファイズBが別方向からの敵を察知した。

二人がその方向に目を向けるとそこには倒したはずのジャガーマンと殺人ライダー部隊、ショッカー怪人【毒トカゲ男】そして裕に100人を超える戦闘員がこちらに向かって襲いかかってきた。

既に倒したはずのジャガーマンの姿にスーパー1が舌打ちをする。

 

 

「チッ!倒したはずのジャガーマンまで!もう再生したのか!」

 

「破損部分を交換・・・にしちゃあ早いな」

 

 

元大首領だったディケイドもあまりの再生の早さに驚いた。

 

 

「面倒だなっと!」

 

≪Faiz Pointer,Exceed Charge≫

 

 

ファイズBが足にポインターを装着し、ブラスターに5・5・3・2のコードを入力しENTERを押す。すると、右足のポインターに最高出力でフォトンブラッドが充填された。ファイズBがPFFを飛行モードに変形させ、飛び上がる。同時にディケイドとスーパー1が自身のバイクを遠隔操作で呼び寄せ、飛び乗った。

 

 

「たぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

ファイズBが敵陣のど真ん中に【ブラスタークリムゾンスマッシュ】を叩き込むと同時に二人がバイクを発進させた。そしてそのまま隊列に突っ込み、敵をなぎ倒しながら進むファイズを先頭に中央を突破、アジト入口に辿り着く。

 

 

「ここは任せろ、先に行け!」

 

 

そう言うとディケイドがバイクを降り、ライドブッカーで敵に発砲する。

 

 

「・・・解った。いくぞ!岡島!」

 

「応!・・・また後でな!士!」

 

 

ファイズBはオートバジンを呼び寄せると敵に向けて、ブラスターを連射しながらスーパー1の後に続いてアジトに降りていった。

 

 

「ああ、さてと・・・」

 

 

圧倒的な大軍を前にディケイドが突っ込もうとした瞬間、別方向からエネルギー弾が飛来、大ショッカーに降り注いだ。

 

 

「!?アレは・・・」

 

「僕のことを忘れてないかい、士?」

 

 

突如響いた声にその場にいた全員が足を止め、その方向を向く。そこには、銃を構えたシアンブルーのライダー【仮面ライダーディエンド】が立っていた。

 

 

「海東!なぜここに・・・ってのはいつものことか」

 

「当然さ、【お宝】のためなら、ね」

 

「お宝?ショッカーコアメダルでも狙ってるのか?」

 

 

半ば呆れながらディケイドが思い当たる【お目当て】について聞く。すると、ディエンドはそれを否定した。

 

 

「いや、あんなまがい物要らないさ、オーズのメダルなら話は別だけど」

 

「じゃあ何が目当てだ?」

 

「前にも言っただろ?【君と共に戦う】という最高のお宝を手に入れるためさ、だから今は僕を見たまえ」

 

 

多少アレな言い回しだが加勢してくれるらしい。ならば、とディケイドはライドブッカーをソードモードにすると、ディエンドに叫んだ。

 

 

「背中は任せるぞ、海東!」

 

「ああ!いくよ士!」

 

 

二人の【通りすがりの仮面ライダー】は大ショッカーの軍団に突っ込んでいった。――――――――――――

「またお前か!」

 

「しぶといなぁ・・・怪人ってのは!」

 

「グルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

 

アジト深部へ向かうスーパー1とファイズBの前に、戦闘員と共に再生されたサイ怪人が立ちはだかっていた。ファイズBがブラスターを構えると、スーパー1に叫ぶ。

 

 

「・・・先行ってろ!後で追いつく!」

 

「・・・解った!」

 

 

それに答えたスーパー1はファイズBのブラスターとオートバジンに援護されながら深部への通路を降りていった。――――――――――――

 

 

――――――――――――「さて、相手してもらおうか?サイ怪人さんよぉ?」

 

 

ファイズBはブラスターに1・4・3のコードを入力、ENTERを押す。

 

≪Blade Mode≫

 

電子音声と共にブラスターの砲身が分解、本体のサーバーに格納され、その部分に刀身が形成された。【ブレードモード】のブラスターを構え、ファイズBはサイ怪人と対峙した。

 

 

「グルァァァァァァァァァァ!」

 

 

サイ怪人が雄叫びを上げ突進してくる。ファイズBはそれを僅かなステップで回避しながら通りぬけにブラスターで斬りつける。ある程度ダメージを与えられたものの、サイ怪人は振り返るとまた、こちらに向かって突進を仕掛けてきた。今度は戦闘員のおまけ付きである。さすがにかわしきれないと判断したファイズBは今度は頭上を通りぬけようと飛び上がった。しかし・・・

 

 

「グルァァァ!」

 

「!?ぐあぁぁぁっ!」

 

突如サイ怪人が飛び上がり、その角でファイズBに一撃を加えた。フォトンブラッドに角を焼かれながらもファイズを突き飛ばしたサイ怪人は更に突進を繰り返そうとする。

体制を崩したファイズBの援護のため、オートバジンが空中からガトリングガンを乱射して牽制を行う。その間にファイズBは体制を立て直した。

 

 

「ちっ・・・固えなこいつ」

 

 

さて・・・どう攻めようかと考えていると、突如サイ怪人と戦闘員が炎に包まれた。

 

 

「グウォァァァァァァァァァァ!」

 

『イーーーーーーーーーーッ!』

 

「!?・・・パイロ・・・キネシス?・・・まさか!」

 

「おや?その声はokakaさんですか?そう、そのまさかですよ」

 

 

ファイズBが声のした方向を見ると、そこには3体のタイラントを従えた白衣の男女、竜神丸ことアルファ・リバインズ、そしてその助手であるイーリス・クレッセントがライターを持って立っていた。

竜神丸が指を鳴らす。するとタイラント達が一斉に大ショッカー達に襲いかかっていった。

ファイズBが心底嫌そうな声を上げる。

 

 

「げっ・・・竜神丸」

 

「げっ、とは失礼ですねぇ~折角助けてあげたのに・・・まぁ、いいでしょうそんなことより・・・」

 

 

竜神丸はサイ怪人をまるで欲しいオモチャを目の前にした子供のような目で見つめた。

 

 

「これがゴルゴムの遺伝子改造人間・・・素晴らしい・・・新たなウィルスの実験体にピッタリです。なんとしても生け捕り、もしくは体組織のサンプルを手に入れなければ!」

 

 

その私欲丸出しの言葉にとんでもないことに気付くファイズB、つまりこのマッドサイエンティストは・・・

 

 

「・・・お前団長に黙ってこっそり来たな!」

 

「当然でしょう?あなたの任務についてこっそり調べた甲斐がありましたよ!通信機であなた達の通信も効かせてもらいましたし!」

 

「・・・多分バレてるぞ?」

 

「それが何だというのです!私の実験と研究は誰にも止められませんよ!」

 

(・・・後で【また】オシオキが待ってるな)

 

 

以前の【実験】のときのオシオキを忘れたのか、それともそれよりも怪人が欲しかったのか。この際どっちでもいいと判断すると、okakaはファイズの変身をとき、竜神丸にファイズギアを投げ渡した。

 

 

「貸してやる、それ使え、使い方は・・・盗聴してたなら解かるな?」

 

「ええ、では、ありがたく」

 

≪Awakening≫

 

ファイズギアを受け取り、竜神丸はすぐにブラスターフォームに変身、物珍しそうに全身を確認すると、隣のイーリスに感想を求めた。

 

 

「どうですか、イーリスさん?」

 

「はい、とてもお似合いです、博士」

 

「そうですか、タイラントの装備として検討するのも悪くないかもしれませんねぇ」

 

 

彼女の言葉に満足そうに頷くと竜神丸ことファイズBはブラスターを構えた。

 

 

「では久しぶりに体を動かすとしますか・・・先に戦闘員から、メインはその後です。いいですね?」

 

「はい博士、存分に」

 

 

その言葉を合図にファイズBが発砲、戦闘員をなぎ倒し、イーリスの炎が敵を焼き尽くす。

二人が戦闘態勢に入ったのを見ると、okakaはもうひとつのベルトを取り出した。

 

 

「プロトディケイドライバー・・・」

 

 

―――――――この力がどんなものかは理解している。その強さも、強すぎる故の危険性も―――――――

 

 

「でも今は・・・」

 

 

ドライバーを腰につける。

 

 

―――原初の破壊者の力、大いなる責任、そして―――

 

 

一枚のカードを取り出す。

 

 

「これしか無い!」

 

 

―――その力を使う【覚悟】を決めて、受け入れる―――

 

 

≪Kamen ride≫

 

 

「変・・・身!」

 

 

≪DECADE!≫

 

ベルト中央の秘石【トリックスター】がカードに封印されたエネルギーを変換、次元転換解放機の力がそれを3次元に引き出す。そしてベルトに刻まれた刻印【シックスエレメント】がそれぞれの宿す元素、地・水・火・風・光・闇の元素を開放、周囲にカードのエネルギーから作られたスーツを展開、それがokakaを中心に集まり、真紅のスーツになる。そして、全てのライダーの【力】を持つことの証、【ライダーズクレスト】がベルトに刻まれた。

 

 

「これが・・・【プロトディケイド】・・・」

 

 

自身に宿る力を確かめると、okakaはサイ怪人に飛び掛かった。

 

 

「ハァッ!」

 

 

その拳がサイ怪人の角をへし折り、壁に叩き付けた。

 

 

「グウォォォォォ!」

 

 

そしてトドメのために【ライドブッカー】から一枚のカードを取り出し、ベルトに挿入する。

 

≪Final attack ride DE,DE.DE,DECADE!≫

 

10枚のカード型エネルギーがプロトディケイドとサイ怪人を線で結ぶように現れた。そして、プロトディケイドが飛び上がり、飛び蹴りの体制でカードエネルギーを通過、一枚くぐるごとにそのエネルギーが【フットストンパー】に集約され、キックの破壊力が格段に上昇する。

 

 

「タァァァァァァァァァァッ!」

 

「グウォァァァァァァァァァァ!」

 

 

必殺技、【ディメンションキック】を受けたサイ怪人は倒れこむと爆発、消滅した。それを見たファイズBが避難の声を上げる。

 

 

「ちょっと!何するんですかokakaさん!?折角の貴重なサンプルを!」

 

「お前の都合なんか知るかっちゅうの!・・・それより頼み事がある」

 

 

プロトディケイドの言葉にファイズBは拗ねたようにそっぽを向いた。

 

 

「あなたの都合なんか知りませんよ」

 

「・・・このへし折ったサイ怪人の角やるから」

 

「で、私は何をすればいいんですか?」

 

「博士・・・」

 

 

いつか何処かで見たようなやりとりに軽い頭痛を覚えるイーリスだった。

――――――――――――「全く・・・えらい目に遭ったもんだ・・・」

 

 

ぼやきながらアジト最深部を駆け抜けるokaka。ちなみに限界時間を考慮して一度変身を解き、生身のままで首領の間へと向かっている状態だ。

見覚えのある通路を右に、荘厳な扉の前、okakaはまた、扉をぶち破った。

 

 

「そぉい!・・・っておわっ!?」

 

「フハハハハハハハハハハハ!仮面ライダーごとき!今の私に敵うものか!」

 

「くっ・・・」

 

 

飛び込んだokakaの目の前にスーパー1が転がってきた。助け起こすとかなり酷い損傷を受けている。

okakaが玉座に目を向けるとそこにはショッカーグリードがいた。

いや、形が似ているが細部が違う。両肩と右目の蛇が腕や首にまで絡みついている。元々派手な黄金の体色も更に明るく、禍々しい光を放っている。そして何より、『鷹の目』に感じる第二のコアメダル。

そこにいたのはショッカーグリードがパワーアップした姿だった。

 

「もはや今の私はショッカーグリードではない!更なる力を得たゲルショッカーグリードというべき存在だ!今の私にはもう、仮面ライダーなど恐るるにも足りぬ!貴様らまとめて始末してくれるわ!」

 

 

そう言うと、ゲルショッカーグリードはメダル型の光弾を二人に目掛け放った。

 

 

「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

 

 

周囲に起こる爆発に二人は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

okakaは、よろめきながらも立ち上がるとプロトディケイドに変身する。

 

 

「変身!」

 

≪Kamen ride DECADE!≫

 

 

その姿を見たゲルショッカーグリードが鼻で笑う。

 

 

「ふん!この力さえあればもうそのベルトに用はない!スーパー1もろとも葬り去ってくれるわ!」

 

「そう簡単にいくか!」

 

≪Attack ride Illusion!≫

 

プロトディケイドがカードをバックルに挿入すると四体の実体を持った分身が出現、それぞれがゲルショッカーグリードに向かってライドブッカーを振りかざし、立ち向かった。その隙に立ち上がったスーパー1の状態を確認する。

 

「おい!無事か?」

 

「ああ、だが少しマズイな・・・今のままじゃあ全開で戦えない」

 

「・・・任せろ、考えがある」

 

「?」

 

 

プロトディケイドはバックルにもう一枚のカードを挿入、次元転換解放機の力を発動させる。

 

≪Kamen ride SUPER-1!≫

 

直後、ベルトから放出されたエネルギーがベルトに張り付くように展開、プロトディケイドのベルトをスーパー1と同じ【サイクロイド】に変化させた。そして、プロトディケイド自身もスーパー1へと変身する。

 

 

「チェンジ!エレキハンド!浄化光線発射!」

 

 

プロトディケイドスーパー1(以下PDスーパー1)がエレキハンドを装着、スーパー1に向けて浄化光線を放つ、この浄化光線は本来、スーパー1のメンテナンスに用いられるもの。つまりスーパー1を回復させることもできるはずだ。

PDスーパー1の予想通りスーパー1が回復していく。

 

 

「させるものか!」

 

 

だが、それに気付いたゲルショッカーグリードが分身を相手にしながら光弾を放つ、回復率が3割ほどのところで中断させられてしまった。

 

 

「ちっ・・・本郷!体はどうだ?」

 

「大分ましにはなったが・・・後一発が限度だ」

 

「ならその一発で・・・」

 

「ああ、確実に仕留める!」

 

 

そう言うとスーパー1は全身の気を一点に集中させ始めた。そして、それに覆いかぶさるようにPDスーパー1が両手を突き出し、背後に立つ。

 

 

「ほざけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

二人の行動に気付いたゲルショッカーグリードは分身体を弾き飛ばし、両手の蛇を伸ばしてスーパー1に向けて叩きつける。しかし・・・

 

 

「何!?」

 

「赤心少林拳、梅花の型ってやつだ!」

 

 

その攻撃は全てPDスーパー1の両手で逸らされた。

【玄海流赤心少林拳、梅花】

厳しい冬に耐え、艶やかな花を咲かせる梅の花になぞらえた守りの型、その鉄壁の防御の中で【もう一つの花】が必殺の一撃を放つべく気を集中させる。

 

 

「おのれ!おのれ!オノーレェェェェェェェェェ!」

 

 

しびれを切らせたゲルショッカーグリードが光弾と蛇を放ちながら突っ込んでくる。全ての攻撃がスーパー1に浴びせられた。しかし・・・

 

 

「「チェェェェェェェェンジ!ファイブハンド!!」」

 

 

二人が全てのファイブハンドを開放、PDスーパー1の両腕と空中に浮いた全ての腕、そしてプロトディケイドの分身までもが同時に梅花で全ての攻撃を逸らす。

まるで満開の梅の花の如く。

そしてがら空きになったゲルショッカーグリードにもう一つの花が牙を剥いた。

 

 

「赤心少林拳、桜花!」

 

 

スーパー1が一点に貯めた気を右の貫手に乗せ、突き出されたゲルショッカーグリードの蛇をその力すら利用して貫く。まるで散ることを恐れぬ桜のような捨て身の一撃。

【黒沼流赤心少林拳、桜花】

その全てを貫く一撃に乗せ、PDスーパー1も梅花を重ねた。

桜花が切り開いた道を梅花が広げる。そして、梅花の開く力で桜花が鋭さを増す。二つの花が互いの力を増幅させる。

 

 

「貫け桜花!」

 

 

スーパー1が叫ぶ。

 

 

「切り開け梅花!」

 

 

PDスーパー1が叫ぶ。

 

 

二人の手がゲルショッカーグリードの胸のゲルショッカーコアメダルに届く。そしてそのままメダルを打ち砕いた。

 

 

「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

ゲルショッカーグリードが凄まじい叫びを上げ、はじけ飛んだ。

 

 

「「梅花と桜花・・・二つ合わせて・・・」」

 

「「梅と桜の狂い咲きだ!」」

 

 

二人の叫びに呼応する用にゲルショッカーグリードから大量のセルメダルが剥がれ落ち、ただのショッカーグリードに戻った。

力を使い果たしたスーパー1の変身が解ける。PDスーパー1もプロトディケイドの姿に戻った。

 

 

「これでもう終わりだ!諦めろ!ショッカーグリード!」

 

「まだだ・・・まだ終わらん!」

 

「怪人ってのはどいつもこいつもしつけぇなぁ・・・だけどもう終わりだ。アレを見てみな!」

 

 

本郷とショッカーグリードがプロトディケイドの指さした方向、監視モニターを見るとそこには、動力室に向かってブラスターを構えるファイズBが映し出されていた。――――――――

 

――――――――大ショッカーアジト動力室――――――――

 

 

「ここを吹き飛ばせばいいんですね?okakaさん?」

 

 

そこにいたのはファイズBに変身した竜神丸だった。彼は通信機でプロトディケイドに確認する。

 

『おう、派手に一発ドカンと頼む』

 

「ええ、これで実験用サンプルは私の物です!」

 

≪Faiz Blaster,Exceed Charge≫

 

ファイズBがブラスターに1.0.3を入力、動力炉に向けて私欲丸出しの叫びと共に最大出力でぶっ放した。

動力炉が大きく損傷し、暴走を始める。

 

 

「こんなもんでしょう、あ、これ返しますね。B.O.Wの装備には向かないようですから。では、私はこれで失礼しますよ、イーリスさんが実験の準備をしてくれてるはずですので♪」

 

 

辺りに警報が鳴り響く中、ファイズBは満足そうに変身を解くとファイズギアをokakaの次元航行船に送り返し、さっさと転移してしまった。

 

 

「おのれぇ・・・貴様らぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

激昂するショッカーグリードを見たプロトディケイドは仮面の下でドヤ顔をかましながらベルトにカードを挿入した。

 

≪Kamen ride FOURZE!≫

 

ベルトが音声と共にフォーゼドライバーに変化、そしてプロトディケイドも【仮面ライダーフォーゼ】に変身した。

 

 

「宇宙キターー!ってな」

 

「宇宙?スーパー1と同じか・・・」

 

 

おなじみの掛け声に本来は宇宙開発用であるというスーパー1との共通点を見出し、妙に納得した耕也を尻目にPDフォーゼはベルトに装着された1番と3番の【アストロスイッチ】を起動させた。

 

≪Rocket,Drill,on♪≫

 

システム音声と同時にスイッチの【コズミックエナジー】がPDフォーゼの右手と左足にそれぞれ【ロケット・モジュール】と【ドリル・モジュール】をマテリアライズ、PDフォーゼはすかさず右側の【エンターレバー】を押し込んだ。

 

≪Rocket,Drill,LIMIT BREAK!!≫

 

「掴まれ本郷!」

 

「!・・・応!」

 

「!?貴様ら一体何を・・・」

 

 

モジュールのリミッターを解除したPDフォーゼはロケットで上空に飛び上がりながら耕也に左手を伸ばす。耕也がその手を掴んだ瞬間、ショッカーグリードは自身の疑問の答えを見た。

 

 

「ライダーロケットドリルキィィィック!」

 

 

PDフォーゼはそのまま天井に【ライダーロケットドリルキック】を打ち込んだ。

 

 

「後は逃げるが勝ちってな!」

 

 

そしてそのまま天井を貫きながらどんどん上昇していく。【地下アジトを爆破してそのままショッカーグリードを瓦礫で押しつぶす】これがPDフォーゼの作戦だった。

 

 

「おのれぇ・・・おのれ仮面ライダァァァァァァァァァァァ!」

 

 

ショッカーグリードの叫びと共にアジトは二人の下で大爆発を起こし、崩壊した。

 

 

 

 

 

 

 

   ――――――――――その頃地上では――――――――――

 

 

 

≪Final attack ride DE,DE.DE,DECADE!≫

 

「ハァァァァァッ!」

 

「グワァァァァァァァァァァァッ!おのれぇ・・・またしてォォォォォォォォ!」

 

【仮面ライダーディケイド・コンプリートフォーム】の【強化ディメンションキック】が再生されたジャガーマンに突き刺さり、ジャガーマンは怨嗟の声と共に爆散した。

その爆発の中にセルメダルが混じっているのを見たディケイドは、怪人達の再生が早過ぎる理由に気付いた。

どうやら怪人達の再生時に予め体内に仕込まれたセルメダルのエネルギーを使用して修復していたらしい。よく見るとそこら中にセルメダルが散らばっていることから戦闘員にもセルメダルが組み込まれているようだ。

そのことに気を取られた一瞬の隙に毒トカゲ男の放った【殺人シュート】がディケイドを襲う。ディケイドが飛来する爆弾に気付いた瞬間、その爆弾に青い光弾が突き刺さり、爆発した。

 

 

「士、よそ見はいけないよ?」

 

≪Final attack ride DI,DI.DI,DIEND!≫

 

【仮面ライダーディエンド・コンプリートフォーム】はディケイドに忠告をしながら【ディメンションシュート】を毒トカゲ男に放つ。

 

「キエェェェェェェェェェッ!」

 

直撃を食らった毒トカゲ男は断末魔の叫びを上げながら爆発、そしてまたセルメダルが飛び散った。窮地を助けられたディケイドがディエンドに礼を言う。

 

 

「すまん海東、助かった」

 

「構わないよ。さて・・・これで全部かな?」

 

「ああ、後は中の奴らだけだが・・・」

 

 

二人が周囲を確認しながらアジトに飛び込もうとした瞬間、地響きと共に足元からドリルが空中に飛び出した。それに続いて地面から巨大な火柱が上がり、危うく巻き込まれそうになった。

慌てて回避した二人に空中から降りてきた二人のうちの一人、PDフォーゼが声を掛けた。

 

 

「おーい!大丈夫かー?」

 

 

言いながら変身を解き、PDフォーゼはokakaの姿に戻った。二人の姿を見たディケイドが抗議の声を上げる。

 

 

「おい!あぶねーだろうが!」

 

「悪い悪い、まさか頭上にいるとは思わんかった」

 

 

その抗議に素直に謝罪したokakaに不満こそあれど想定外だったと言うことで仕方なく、追求を止めたディケイドは変身を解く。

変身を解いた士はokakaの腰に巻かれたドライバーに目をやった。

 

 

「全く・・・岡島、それ、使ったのか?」

 

「ああ、とんでもねぇな、これ」

 

「ああ、だが、そいつのおかげで助かったよ」

 

士の問いに軽くドライバーを小突きながらokakaが答え、耕也が口を添えた。だが、そのドライバーにただならぬ視線を向ける奴が一人いた。

 

 

「そいつはとんでもないお宝だね、どうだい?そのベルト、僕に渡す気はないかい?」

 

 

変身を解いた大樹がそう言いながらプロトディケイドライバーに手を伸ばしてきた。

okakaはその手を払いのけると、ジト目で大樹を睨みつける。

 

 

「誰だお前」

 

 

その言葉に士がそういえば紹介してなかった、と前置きをして二人に紹介した。

 

 

「こいつは海東大樹、お宝を狙うコソドロで仮面ライダーディエンドだ」

 

 

その言葉に大樹は不満があったのだろう。右手の指を銃のように曲げながら士に突きつけた。

 

 

「トレジャーハンターと言いたまえ、ナマコが食べられない士君?」

 

「まだ言うのかそれ・・・」

 

 

その光景を見ながら狙われるとしつこそうだと判断したokakaは、自身の持つライダーのデータからディエンドが欲しがりそうな代案を提示することにした。

 

 

「・・・・・ディエンドは確か今バイクが無いんだったな・・・そうだ、こいつをやろう、だからベルトは諦めてくれないか?」

 

 

そう言うと、okakaは自身のライドブッカーから一枚のカードを取り出し、大樹に見せた。そのカードに【ATTACK RIDE MACHINE DIENDER】と書かれているのを見た大樹は、少し悩んだ後、okakaの提案に乗ることにした。

 

 

「商談成立だ、カードを」

 

「ああ、ほら」

 

「確かに、じゃあ士、僕は一足先に光写真館に戻ってるよ」

 

 

カードを受け取った大樹はそう言うと銀のオーロラの中に消えていった。

 

 

「・・・・・・・あんなライダーもいるんだな・・・」

 

「・・・アレは特別だ」

 

 

どこまでも奔放な大樹の姿に軽く呆れた耕也が溜息を付く。

士も苦虫を噛み潰したような顔をしながら一応【仲間】の擁護になってない擁護をしておいた。

okakaも呆れたような顔をしていたが、気を取り直して状況を整理した。

 

 

「さて、これでこのアジトは壊滅、ショッカーグリードもペチャンコ。これにてミッションコンプリート、ってとこか」

 

「ああ、そうだな・・・一城、士・・・ありがとう、おかげで助かった」

 

 

突然の耕也の礼に二人ともバツの悪そうな顔をしながらも返事を返した。

 

 

「元々は俺の責任でもあるんだ、気にすんな」

 

「士の言う通りだ、それにほら、あーなんだ『同じ仮面ライダー同士』なんだ、助け合うのも悪くはねぇだろ?」

 

 

二人の言葉に耕也は軽く吹き出す。

 

 

「ふっ・・・そうだな・・・」

 

 

それを見た士は、首にぶら下げていたカメラを構えると二人に向け、シャッターを切った。驚く二人に向け、士はカメラを振って見せると不敵な笑みを浮かべながら後ろに現れた銀のオーロラに向かって歩いて行く。

 

 

「いい絵が撮れた。じゃあな、岡島、本郷、縁があればまた会おう」

 

 

そう言うと、士はオーロラの中に消えていった。

 

士を見送った二人が自分達も帰ろうとしたその時、突然周囲でいくつも爆発が上がった。

 

 

「!?何だ!」

 

 

爆風から身を守りながら耕也が叫ぶ。答えはokakaの【鷹の目】が出した。それも最悪の答えを。

 

 

「・・・マジかよ・・・アレで死なねぇのかアイツ!」

 

 

その言葉とほぼ同時に地面から大量のメダルが吹き出した。そしてそれは周囲に散らばるセルメダルを巻き込みながら空中で一か所に集まり、形を成していく。

 

 

「許さん・・・許さんぞ・・・仮面ライダー!貴様ラさエ・・・貴様ラさエイなけレば・・・貴様ラさエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!」

 

 

怨嗟の声と共にメダルの塊がショッカーグリードへと姿を変え、空中から無数の光弾を二人に向けて放つ。

 

 

「「ぐわっ!」」

 

 

直撃こそしないものの、至近距離で何度も爆風にあおられ、吹き飛ばされるokakaと耕也。それを見たショッカーグリードは高笑いと共に攻撃を更に激化させようとした。

 

 

「フハハハハハハハハハハハ!・・・グッ!?グゴォォォォォォォォォォッ!」

 

 

しかし、ショッカーグリードは突然苦しみ、セルメダルをバラ撒きながら地面に落下した。ゲルショッカーメダルがなくなり、傷ついたショッカーメダルだけではセルメダルを制御できていないのだ。

 

 

「なぜ・・・なぜだ・・・なぜ我らの邪魔をする!貴様ら仮面ライダーは・・・我らショッカーの創りだした存在のはずだ!・・・なのに何故!なぜ我らの邪魔を・・・」

 

「決まってんだろ・・・テメェらが気に入らねぇからだ!」

 

 

okakaが立ち上がり、ショッカーグリードを睨みつけながら答える。

 

 

「確かに仮面ライダーという【存在】はショッカーが作った、だが、【仮面ライダー】の名は!その名の持つ意味は!ライダーとして戦う者達が決めたものだ!」

 

「その通りだ!」

 

 

耕也も立ち上がり、okakaに続く。

 

 

「【人間の自由と平和を守る】と決めた男がいた!【悲しみの連鎖を断つ】と決めた男がいた!【皆の笑顔を守る】と決めた男がいた!戦う理由はなんだっていい!大事なのは【自分の意志で決めた事】だ!」

 

 

更にokakaが続ける。

 

 

「たとえ理解されずとも、自身の意思で抗う事を選ぶ覚悟・・・それが【仮面ライダー】と怪人の違いだ!」

 

 

自身の意思、そんなちっぽけな理由で創造主に逆らう。それが理解できないショッカーグリードは怒りを露わにしながら叫んだ。

 

 

「貴様らは・・・貴様らはいったい・・・なんなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

二人は、不敵な笑みを浮かべ構える、okakaはカードを眼前に、耕也は左手を腰に当て、右手を左上に――――――――――――――――――――――――

 

okakaが答える―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「俺は・・・いや・・・」

 

 

二人の声が重なる――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「「俺達は・・・通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」」

 

「変身!」

 

≪Kamen ride DECADE!≫

 

okakaがベルトにカードを挿入、プロトディケイドに変身する。

 

 

「ライダー・・・変身!」

 

 

耕也は右手を左上から頭上へゆっくりと掲げ、右手が頂点に達した瞬間、左手を右斜め前に突き出し、右手を腰に当てる。耕也の腰のベルト【タイフーン】の風車が回転を始め、発生した風力を胸のコンバーターラングでエネルギーに変換し、これを腰のエナージコンバーターから全身に送り出す。そして強化服が展開し、最後に特徴的な緑の仮面が装着された。

そして耕也は全てのライダーの起源、【始まりの男】と同じ姿、【技】の戦士【仮面ライダー1号】に変身した。

 

 

「!?・・・ふっそういうことか!なら!」

 

 

プロトディケイドがカードを取り出すためにライドブッカーを開いた瞬間、突然一枚のカードが手の中に飛び込んできた。そのカードに描かれたライダーを見た瞬間、プロトディケイドは仮面の下でほくそ笑むと、そのカードをベルトに挿入した。

 

 

≪Kamen ride NIGOH!≫

 

 

プロトディケイドのベルトが一号と同じタイフーンに変わる。それと同時にプロトディケイドは両手を自身の右側に突き出した。

 

「変・・・っん」

 

 

その両手を頭上へゆっくり掲げる――――――――――――――――

 

 

「身!」

 

 

そのまま両腕を左側に回し、左腕を立て、右手を胸の前へ、そして、拳を握る――

 

 

「こうかい?」

 

 

次の瞬間、プロトディケイドは1号とよく似た姿、赤い腕に黒の仮面【もう一人の始まりの男】と同じ【力】の戦士【仮面ライダー2号】へ変身した。

 

 

「死ねぇ!仮面ライダァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

 

ショッカーグリードが光弾を乱射する。

 

 

「「ライダージャンプ!!」」

 

 

それを躱すためにダブルライダーが飛び上がる。そして、そのままショッカーグリードへ飛び掛かった。

 

 

「ライダーチョップ!」

 

 

1号の【ライダーチョップ】がショッカーグリードの左腕を切り落とす。

 

 

「ライダァァァァァパァァァァンチ!」

 

 

PD2号の【ライダーパンチ】がショッカーグリードの右腕を砕く。

 

 

「「ダブルライダーパンチ!!」」

 

 

二人の拳が同時にショッカーグリードを空中に打ち上げた。

 

 

「いくぞ一城!」

 

「おう!」

 

「「トォッ!!」」

 

 

二人はタイミングを合わせて飛び上がった。そして同じ場所ショッカーグリードのコアメダル目掛けて同時に足を突き出した。

 

 

「「ライダァァァァァダブルキィィィィィィック!!!!」」

 

 

必殺の【ライダーダブルキック】がショッカーグリードの中心、ショッカーコアメダルを正確に打ち抜いた。キックの衝撃をモロに受けたショッカーグリードはそのまま吹き飛び、崖に衝突して地面に落ちた。

 

 

「グアァァァァァァァァァァァァァッ!!おのれぇ・・・こんな・・・ところで・・・シッ、ショッカァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」

 

 

ショッカーグリードは執念で立ち上がろうとするも、力尽き、恨みと未練、そして無限の欲望を断末魔に乗せ、爆発した。

その爆炎の中から一枚、一際輝く黄金のコアメダルが天高く舞い上がり、砕け散ると共に風化して消滅した。

それを見た二人は変身を解き、その場に倒れこんだ。そしてどちらともなく最後の最後までしつこかった強敵に最後の悪態を吐いた。

 

 

          

 

 

 

 

 

 

        「「ハハッ・・ざまみろクソッタレ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――以上が今回のミッションの結果になります」

 

 

【楽園】団長室でokakaは大ショッカー残党アジト潜入任務の結果をクライシスに報告していた。

クライシスは提出された書類から目を離さずにその後の詳細について更に詳しく説明を求めた。

 

 

「ふむ・・・その後、セルメダルはどうした?」

 

「一応全部回収して俺が保管しています。プロトディケイドの変身するライダーには武装にセルメダルを消費するライダーもいるので」

 

「そうか・・・緑川親子はどうしてる?」

 

「機密保持を兼ねてウチの企業で働いてもらおうかと思います。元々は医療分野の技術者ですから。義手や義足だけでなく、人工血液や義眼なんかも今後は商品として提供できると思いますよ」

 

「ふむ・・・よくわかった。okaka、今回の任務もご苦労だったな。しかし、竜神丸にサンプルを渡してしまったのはいただけないな」

 

「ああ、それでしたら大丈夫です。今頃・・・っと」

 

 

クライシスの苦言にokakaはニヤリと笑いながら返した瞬間、okakaの端末に着信が入る。端末には件の竜神丸の名前が表示されていた。

okakaがクライシスの方を見ると、クライシスは視線で出るように促してきた。okakaは折角なので端末をハンズフリーに設定すると通話に応じた。

通話ボタンを押すと、空間投影型ディスプレイに竜神丸がどアップで移り、いきなり文句をぶつけてきた。

 

 

『ちょっと!okakaさん!』

 

「どうした?」

 

『どうした?じゃありませんよ!あなたから貰ったサンプル!いざ培養しようとしたら灰になってしまって使いものにならないじゃないですか!!』

 

「そりゃそうだろ、その角ファイズブラスターに触れてるんだから。フォトンブラッドに汚染されてるに決まってるじゃないか」

 

『なんでこんなもの渡したんですか!』

 

「お前それでいいって言ったじゃん」

 

『ぐぬぬ・・・』

 

 

竜神丸が更に反論しようとした時、クライシスが口を開いた。

 

 

「竜神丸」

 

『!・・・はい団長』

 

「命令に背いて何をしていた?」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

前回のオシオキを思い出したのだろう、顔面蒼白になりながら滝のような冷や汗を流す竜神丸にさすがに少しだけ同情したokakaは、助け舟を出すことにした。

 

 

「まぁ団長・・・こいつのおかげで俺も助かりましたから・・・その・・・できれば恩赦を与えてやってくれませんか?」

 

 

okakaの具申にクライシスは一瞬だけ黙考すると、まるで死刑判決を待つかのような竜神丸に判決を言い渡した。

 

 

「・・・竜神丸」

 

『・・・はい』

 

「次はない、肝に銘じておけ」

 

『畏まりました』

 

「処分はおって通達する。それまでは謹慎、研究も禁止だ。いいな?」

 

『・・・団長の御心のままに』

 

「okakaに感謝しておけ、以上だ」

 

『はい、失礼致します』

 

 

そう言うと竜神丸は通信を切断した。

端末をしまいながらokakaはクライシスに礼を言う。

 

 

「多大なる恩赦感謝します」

 

「君が感謝することでは無いと思うが?」

 

「まぁ、一応アレでも【今】は仲間ですから」

 

「・・・そうか・・・やはり君はマッドサイエンティストと縁があるようだな」

 

そう言ってクライシスはシルクハットをかぶり直し、椅子の背もたれに体を預けた。

okakaはリアクションに困りながらも、報告ついでに言おうと思っていたことをクライシスに伝える。

 

 

「失礼ついでなのですが団長、実は一人推薦したい人物が・・・」

 

「本郷耕也、か・・・もう少し身辺を洗ってみよう。・・・竜神丸にでもやらせるか・・・」

 

「俺は面が割れてますからね・・・ああ、それとファイズギアとプロトディケイドライバーなんですが・・・」

 

「君が手に入れたものだ、君の好きにするといい」

 

「・・・プロトディケイドライバーは危険過ぎます。できればどこかに封印したいのですが・・・」

 

「・・・今はまだその時ではない、もし時が来て君が封印を望むのなら私が封印しよう、以上だ。戻っていいぞ」

 

「・・・了解、報告終わります」

 

 

話を打ち切られたokakaはそのまま団長室を後にした。――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――【楽園】ラウンジ――――――――――――

 

 

okakaは壁にもたれかかりながら手の中のカードを眺める。そこに描かれているライダー、仮面ライダー1号を見ながらokakaは思う。

 

 

アイツには余計なお世話だったかもしれない――――――――――――――――

 

でも―――――――――――――――――――――――――――――――

 

俺が今、あの男に、本郷耕也になにかしてやれるとしたら――――――――――

 

「【共に戦う仲間】を作ってやることくらいだろうな」

 

「?okaka、どうかしたか?」

 

 

近くでケーキを食べていたロキが反応した。自然と言葉に出ていたらしい。

 

 

「いや、なんでもないさ」

 

「ふーん・・・あ、そうだ!お前なんか面白そうなもん手に入れたらしいじゃん、俺にも貸してくれよ!」

 

「・・・機会があったらな」

 

 

 

 

 

 

Count the medal

 

okakaの新たな所持品

 

ファイズギア

プロトディケイドライバー

セルメダル 753315枚(全部ショッカー柄)

 

 

 

あとがき

長ぇよ!前編中編の3倍以上あるじゃねぇか!何やってんだよ俺!というわけでげんぶさん編これにて終了です。げんぶさん、こんな感じでよかったですかね?

時系列的には白蓮と再開した直後くらいの精神的に追い詰められてたのが残ってる時期を想定していたのですが・・・

次回からは通常営業に戻ると思います。

 

 

注意

本編内で触れたライダーの条件ですが、個人的にライダーは常に大きな何かに抗い続ける存在なんだと思っています。(組織だったり運命だったり種族だったりルールだったり絶望だったり)

なのでこれは違うだろ!と思われる方も多いかと思いますが、あくまで私個人の見解なのでご了承頂けると幸いです。

 

 

 


 
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