その日は天気が良くて、村にあった桃の花も満開になっているような陽気でした。
その日は兄様とお出かけする約束があったので、お城でのお仕事を終えた後、すこしウキウキしながら、家までの道を歩いていました。
(今日、兄様はお休みだって言ってたから、早く帰らなきゃ・・・)
そう思いながら歩いていると、突然後ろから誰かに抱きしめられました。
「流琉ちゃん!捕まえたの~。」
後ろを見ると、いつもと違う雰囲気を漂わせた沙和さんがいました。
「さぁ。早くお城まで行くの~。」
「え!?ちょ、ちょっと待ってください!」
沙和さんは私の言葉を聞かずに、私は抱きかかえたままお城の沙和さんのお部屋へと連れていかれました。
部屋に入り私を下ろすと、沙和さんがスッと扉の方へと動きました。
ガチャッ
鍵を閉める音が聞こえました。
「さ。沙和さん??ど、どうしたんですか?」
私は恐る恐る聞きました。
「・・・ふふふ。流琉ちゃん・・・今日は隊長とお出かけなんだよねぇ?」
「そ、そうですけど・・・。それがどうかしたんですか?」
私は沙和さんが何を考えているのか分からず、そう聞くことしかできませんでした。
「沙和は~、いっつも隊長にお世話になってるの~。」
沙和さんは不敵な笑みを浮かべながら話しはじめました。
「だから~。今日は流琉ちゃんをさらに可愛くして、隊長に日頃のお礼をするの~。」
沙和さんは、手をワキワキと動かしながら、私に近づいてきました。
「心配しなくても、大丈夫なの~。やさしくしてあげるの~。」
沙和さんの後ろに、いたいけな少女を襲おうとする中年の男性の影が見えました。
「い、いや・・・こ、来ないでください!」
なんだか得体のしれない恐怖を感じた私は窓から逃げようとしました。
「えい!!」
私は伝磁葉々を窓に放ちました・・・
ガキン!!
「・・・!?」
本来は割れるはずの窓に私の伝磁葉々がはじかれてしまいました。
「無駄なの~。凪ちゃんをお着替えさせるために、真桜ちゃんに頼んで沙和の部屋の窓を特別製にしてもらったの~。」
沙和さんの後ろにいる中年の男性の影が「ぐふふ」と笑ったように思えました。
「さぁ。流琉ちゃん・・・。お着替えの時間なの~。」
沙和さんの手が私の服へと伸びてきました。
「い・・・いやぁ~~~!!!!!!」
私は、沙和さんの魔の手に落ちてしまいました・・・。
「うぅ。はずかしいよぉ・・・。」
沙和さんに強制的に着替えさせられたあと、「よく似合ってるの~。」と満遍の笑みで送りだされた私は、その格好のまま、兄様の待つ家まで来てしまいました。
「ど、どうしよう・・・。」
いつもと違う格好が気恥ずかしくて、私は中に入ることができず、家の前を行ったり来たりしていました。
「流・・・流?」
「・・・え?」
振り返って家の方を見ると、兄様が家から一歩踏み出した状態で固まっていました。
「あ。あの!この格好はですね。・・・あの、その・・・。」
私は恥ずかしさに耐えることができませんでした。
「・・・・ご、ごめんなさい!」
私は兄様から逃げるように走り出しました。
「・・・っ!流琉!!待って・・・!」
兄様の声が聞こえてきましたが、私は止まりませんでした。
「流琉っ!!」
そう呼んだ兄様の声は、もう私には聞こえていませんでした。
「・・・・はぁ。」
私は人通りの少ない路地裏で、うずくまっていました。
あの時、なんで笑ってこの服の理由を言えなかったのだろう。
せっかく沙和さんが私に用意してくれたのに。
気恥ずかしさに耐えられなくて私は、逃げだしていました。
「兄様に変な子だって思われたかなぁ・・・。」
私は真っ青な空を見上げ、そしてまた、地面に視線を戻しました。
「・・・はぁ。」
さっきから、溜息が止まりませんでした。
(・・・どうしよう。兄様になんていえば・・・)
そう思っていると、私の上に影が落ちました。
「・・・!!」
そこには、肩を上下させ、息を切らした兄様がいました。
「兄様!?えっと、あの・・・。」
私はなんて言えばいいのか分からずに、私はしどろもどろしていました。
「ごめん!!」
突然兄様が深く頭を下げて、そう言いました。
「え?」
なんで兄様が私に謝っているのか分かりませんでした。
「えっと、俺知らないうちに流琉にひどいことしちゃったみたいだったから、だから・・・。」
兄様は、もう一度頭を下げました。
「ごめん!!」
「・・・・」
私は少しの間、何が起きているのか分かりませんでした。
でも、兄様が私のことを気遣ってくれているのはわかりました。
(ここで、逃げちゃだめ!この前だって、兄様に私の気持ち伝えられたじゃない!!)
私は自分を勇気づけました。
「・・・・・えっと。兄様?」
私は兄様に聞きました。
「・・・うん?」
「わ、私の格好。変じゃ・・・・ないですか??」
どんな答えが返ってくるのか心配で、私は兄様を見つめていました。
「全然変じゃないよ!!むしろ可愛すぎるって言うか、それでさっき見とれちゃったというか・・・。」
「・・・えぇ!?」
兄様の言葉に私は思わず声を上げてしまいました。
「お、俺なんか変なこと言った??」
すこしおどおどしている兄様が愛おしくて
さっき言ってくれた兄様の言葉が嬉しくて、
私は兄様の腕を抱きしめました。
「え!?る、流琉!??どうしたの!?」
兄様は事情が分からない様子で、戸惑っていました。
「今日はお出かけする約束でしたから、早く行きますよ!兄様!!」
嬉しくて、恥ずかしくて、自分でもわかるぐらい赤くなった顔を兄様に見られないように、私は兄様の腕を引きました。
「ちょ、ちょっと流琉。そんなに引っ張らないで・・・」
そう言いながら、困った顔をしている兄様との時間が楽しくて、その時間はまるで夢のようでした。
(こんな時間がずっと続いたらいいな。)
そう思っていました。
あとがき
どうも、komanariです。
前作を閲覧してくださった皆様。また多くのコメント・ご支援をくださった方々。本当にありがとうございました。
まず、前作のコメントなどで多くのリクエストをくださった方々。
すみません。かんたか様の流琉にやられてしまいました。
なんて言いますか、今回はやられた勢いのみで書いてしまったので、流琉のキャラが少し崩壊するなど、いろいろとお見苦しい点が多いと思います。
どうもすみませんでした。
何か、ご意見・ご感想などございましたら、コメントしていただけると嬉しいです。
今回も、閲覧していただきありがとうございました。
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真・ブログに掲載されている、かんたか様のお描きになった流琉に一撃K.Oされたので、書いてみました。
今回の話の中で登場する流琉は、かんたか様のお描いたものを前提としていますので、まだご覧になっていない方は、ぜひご覧になってみてください。
ちなみに、真・ブログには「真・恋姫無双」のオフィシャルHPからも行けます。
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