智樹
「は〜…平和だネ〜…」
シナプスとの激闘から数週間。
智樹の家にも再び平和が訪れた。
お茶を飲みながら一服、いつもの風景。
智樹
「ふぅ…」
玄関からの声
「桜井く〜ん?」
台所からイカロスがお茶を注ぎに来た。
いつもの風景…
智樹
「……」
玄関からの声
「桜井、く〜ん?」
ニンフがつまらなさそうに、朝のニュースを見ている。
いつもの…風景…
玄関からの声
「さ、く、ら、い、く〜ん?」
新たな居候、カオスが縁側でニワトリと戯れている。
いつもの風景…だが…
智樹
「…………」
美香子
「お花見、行きましょ?」
会長の片手には、荒縄でグルグル巻きにされた守形先輩が。
数秒後、智樹も同じ目にあった。
しばらくして、智樹達一行は桜祭りの開かれている場所へと到着した。
智樹一家(?)だけでなく、そはら、日和、アストレア、と、会長のお供としてオレガノもついてきた。
智樹
「会長…縄ほどいてください。」
守形
「…………」
美香子
「いやよ〜、おもしろいから。」
何がおもしろいのか智樹にはわからなかったが、いつものことである。
それより、なぜイカロスはこういう時だけ助けてくれないのだろうか、と智樹は思う。
まぁ、主従関係は嫌だと言ったのは自分なので仕方ないには仕方ない。
カオス
「何するの〜?」
智樹
「んーとだな。お花見と言って、桜を見ながら皆でお弁当を食べたりして楽しむんだ。」
縄で縛られながらも、自分なりに説明する智樹。
カオス
「へ〜、楽しそう!」
智樹
「おうっ!楽しいぞっ!」
カオス
「えへへ、お花見、お花見!」
こうして楽しそうにしているカオスを見ると、過去のカオスを忘れてしまう。
アストレア
「師匠!お弁当はまだでしょうか⁉︎」
ニンフ
「あんた食べることしか頭に無いのね。」
アストレア
「そう言うニンフ先輩だって、綿あめとかリンゴ飴が目当てのくせに。」
そして2人の姉妹喧嘩が始まるのだ。
そんな2人をよそに、お花見の準備は着々と進められていく。
そはら
「わぁ、お弁当美味しそう〜!」
今回のお弁当は五月田根家が用意した物である。
シートを敷き、皆でお弁当を囲む。
一同
「いただきます!」
皆の箸が一斉に動き出す。
桜を見ながら風情を感じるものや、弁当に夢中になっているものなど様々だった。
カオス
「お兄ちゃん、あっちのお店みたいなのは何?」
智樹
「あれは屋台って言うんだぞ。後で連れてってやる。」
その一言で、カオスはとても喜ん
だ。
純粋に喜びを表現するその姿は、まさに普通の幼い子供であった。
ニンフ
「(私もトモキと行きたいな…)」
智樹
「ニンフはリンゴ飴いらないのか?」
ニンフ
「えっ?」
智樹
「ついでだから、お前の分も買ってやるよ。」
ニンフは顔が赤くなるのを感じた。
ニンフ
「あ、ありがとう…」
それでも必死に堪えて、智樹に返事をした。
智樹
「イカロスは?綿あめか?」
イカロス
「え、あの、私は…」
思わぬ智樹の発言に、イカロスは困惑してしまう。
智樹
「遠慮すんなよ。今日は特別だからさ。」
以前だったら、これは命令なのだろうか、どう答えればいいのか、などと考えていた。
しかし。
イカロス
「はい。」
今では自分の気持ちと言うもので答えられている、そんな気がしていた。
返事の仕方も、表情も、以前とは変わっていないかもしれないが、自分気持ちというものを感じている。
アストレア
「はいはーい!私も何か食べたいです!」
智樹
「しゃあねぇなぁ。今日だけだぞ?」
アストレア
「わぁい!」
イカロスは、アストレアのように素直に感情を出せればと、心密かにうらやんでいた。
日和
「ふふっ、桜井君は人気者ですね。」
そはら
「まぁ、優しいのはトモちゃんの取り柄だからね。」
智樹
「じゃ行くぞ。」
弁当を食べ終え、智樹とエンジェロイド四姉妹は屋台へと向った。
智樹
「賑わってるな〜。」
カオス
「にぎわってるな〜。」
カオスが加わってから、以前より和やかな雰囲気になっている。
いっしょにいるだけで、自然と笑顔になれる気がしていた。
智樹
「カオス、なんか欲しいもんとかないか?」
カオス
「うーん…」
アストレア
「カオス!綿あめ美味しいよ〜!」
カオス
「わたあめ?」
ニンフ
「それなら、リンゴ飴だって美味しいわよ?」
アストレアとニンフは、すっかりお姉ちゃんのようになっている。
カオス
「あ、私あれがいい!」
カオスが指を指したのは…
イカロス
「写真?」
その先では、どこかの家族が記念撮影をしていた。
カオスはそれがしたいと言うのだ。
智樹
「いいな、でもカメラが…」
美香子
「あるわよ。」
そこにデジカメを持った美香子と、その他のメンバーがやってきた。
三脚を立て、タイマーをセットする。
智樹
「カオス、カメラを見るんだぞ。」
カオス
「うん!」
美香子
「もうすぐよ〜、はい、チーズ。」
パシャ!
智樹
「よし、撮れたか?」
守形
「あぁ、よく撮れている。」
みんなでデジカメを囲みながら、楽しそうに口を交わす。
パチンッ
智樹
「?」
突然聞こえた奇妙な音に、全員が顔を上げる。
するとそこには、二眼レフのトイカメラを持った男がいた。
美香子
「あら〜、人様を勝手に撮るなんて、なかなかね〜。」
そはら
「あの、どちら様ですか?」
男は再びカメラを手に取り、シャッターを切る。
パチンッ
男
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ。」
男はクルッと背を向け、歩き去って行った。
智樹
「なんだったんだ?」
カオス
「お兄ちゃん、いっぱい笑ってるね!」
カオスがデジカメの画面を見ながらそう言った。
智樹
「んー?」
ニンフ
「デルタ、あんたヨダレ垂らしてるじゃない。」
アストレア
「だって〜、目の前で誰かが焼きそば食べてたんですよ〜!」
ニンフ
「我慢しなさいよ。」
イカロス
「あっ…」
イカロスの頭に桜の花びらが落ちてきた。
カオス
「花びらきれいだね。」
イカロスが視線を落とすと、カオスも手に花びらを持っていた。
ゆっくりと手を伸ばし、頭を優しく撫でた。
カオス
「えへへ〜。」
智樹
「ふぅ、やっぱり…」
智樹はイカロスとカオスのやり取りを見てから、空を見上げる。
智樹
「平和が一番だよな…」
今日も空美町には平和な1日が訪れる。
美香子
「綺麗な桜ね〜、散らしてしまいたいわ…」
守形
「美香子、落ち着こう、な?」
智樹
「……………」
平和?
作者&智樹より…
作者
「どうも初めまして、D.C.D.です!」
智樹
「途中変なの出て来たぞ。」
作者
「次回作の予告だ。そらのおとしもの完結と、とある作品の5周年を記念してのクロスオーバー作品。」
智樹
「へー。」
作者
「ちなみに、キャッチコピーは『そらのおとしもの?7年早ぇよ!』だ。」
智樹
「どうでもいいよ。」
作者
「わかる人にはわかっちゃうな。それではこの辺で、さようなら!」
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初めまして、D.C.D.です。
そらのおとしもの完結ということで、作品を投稿させていただきました。
途中に次回作の予告が入ります。お楽しみに!
※この作品は、原作そらのおとしもののその後という設定です。