No.676736

リリカルHS 21話

桐生キラさん

こんにちは!
今回はシャマル視点で、シャマルさんが頑張るお話

2014-04-06 13:12:03 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1519   閲覧ユーザー数:1362

 

 

 

 

 

 

 

シャマル「みなさん!お茶とケーキをご用意したので、息抜きによろしければどうぞ!」

 

はやて「お!ありがとうなシャマル!」

 

なのは「うー…ちょっと休憩~。ありがとうございますシャマル先生」

 

フェイト「わぁ、美味しそうなケーキ!ありがとうシャマル!」

 

今日ははやてちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃんがうちで勉強会をしています。

私ことシャマルは、そんな頑張っている三人に少しでも癒しをと思い、お茶菓子を用意しました。

反応は上々。これが励みになってくれるといいんだけど…

 

シャマル「もっと、私に出来ることってないかな」

 

大好きなはやてちゃんの力になりたい。でも、私に出来ることは少ない。

どうしたら、はやてちゃんは喜んでくれるかな

 

しばらく思案する。すると、一つの答えが浮上した

 

シャマル「ということで、私に料理を教えてください!」

 

士希「どういうことで!?」

 

 

 

 

私は士希さんの家に上がり、事情を説明し、料理を教えてもらう事になりました

 

士希「教えるのは構わないが、何を作りたいとかはあるんですか?」

 

シャマル「お、お恥ずかしながら、まともに作れる料理って少なくて…」

 

士希「なるほどね。とりあえず、シャマルさんの腕を知りたい。何か一品作ってもらえます?」

 

シャマル「え?今から?」

 

士希「はい。シャマルさんの作る姿や出来上がりを知っておきたい。

じゃないとアドバイスもできないので」

 

シャマル「わ、わかりました!頑張ります!」

 

ということで、私は炒飯を作ってみました。見た目は悪くないはずなんだけど…

 

士希「レーゲン、どう思う?」

 

レーゲン「一見悪くはないんですが…」

 

どうしてかな?士希さんもレーゲン君も冷や汗をかいてる

 

士希「とりあえず…」

 

レーゲン「いただきます…」

 

そして二人は一緒になって蓮華ですくい一口。士希さんは考えながら咀嚼し、レーゲン君は…

 

レーゲン「………」ばたっ

 

シャマル「レーゲン君!?」

 

レーゲン君は倒れてしまいました

 

シャマル「あ、あの、そんなに酷いですか?」

 

私は恐る恐る聞いてみます。士希さんはとても真面目な表情でこちらを向いて言葉を発しました

 

士希「まず、作ってる時から気になっていたんだが、シャマルさん、味見してないですね?」

 

シャマル「あ、はい。感覚でこれくらいかな?って感じで作りました」

 

士希「はい。一口食べてください」

 

士希さんは炒飯を蓮華ですくい、それを私に向けます。私は突然の事で少し混乱しつつも、一口…

 

シャマル「あー…む……うっ!」

 

ひ、酷い味…なにこれ?塩辛くて、酸っぱくて、吐きそう…

 

士希「わかりましたか?味見しないからこうなるんです。

俺もレーゲンも、正直作ってる途中から食べる気なんて失せてましたよ」

 

だ、だから出された時に微妙な顔してたんですね…

 

士希「炒飯なんて、そんなに調味料必要ありませんよ?なんであんなにいろんなもの入れたんですか?」

 

シャマル「そ、それは、入れた方が美味しくなると思って…」

 

士希「その考えがダメなんです。料理で失敗する人の大半が調味料の過多です。

それと隠し味、とか言ってよくわからない物を入れる人です。

シャマルさん、炒飯にチョコレートって、どういう神経してるんですか?」

 

シャマル「その、甘い方がいいと思って…」

 

甘さはまったく感じなかったけど…

 

士希「料理できない人が、隠し味とか考えないでください」

 

シャマル「はぅ!」

 

し、士希さんが怖い…料理に関してこんなにも厳しい人だったなんて…

 

士希「いいですか?料理は、ちゃんとレシピ通り作れば出来る物なんです。

今回は俺が教えていくので、ちゃんと言うとおりに作ってください。そして学んでください」

 

シャマル「は、はい…」

 

うぅ…師事する人間違えたかな…でも、士希さんは料理上手だし…頑張んないと…

 

 

 

 

士希「さて、何を作るか…レーゲン二等兵!要望はあるか?」

 

レーゲン「は!自分はカレーが食べたいであります!」

 

士希「ふむ、カレーか。確かにそれなら……良い回答だレーゲン二等兵!

冷蔵庫にプリンが作り置いてあるから、食べる事を許可する」

 

レーゲン「ありがとうございます!」

 

レーゲン君はルンルン気分で冷蔵庫からプリンを取り出しました。

それにしても、カレーかぁ。難易度高そうだなぁ

 

士希「ではシャマルさん、カレーなんですけど、材料は何が入っているでしょうか?」

 

シャマル「え!?えっと~、お肉、人参、玉ねぎ、ジャガイモ…ですか?」

 

士希「はい。基本が一番だね」

 

どうやら正解のようです。よかった…

 

士希「ちなみに八神家では、お肉は何使ってますか?」

 

シャマル「あ、うちは鶏肉を使ってたはずです」

 

私ははやてちゃんのカレーを思い出しながら答えます。

確かはやてちゃんのカレーにはコーンも入ってたような…

 

シャマル「あ、それと、うちのカレーにはコーンも入ってたんですが、それも大丈夫なんですか?」

 

士希「ほー、コーンか。いいねぇいいねぇ」

 

シャマル「ん?何がいいんですか?」

 

士希「ふふ、まずカレーにした理由なんですけど、カレーは料理スキルに必要な物が全て組み込まれていると言っていい。

切る、炒める、煮込む。その中で調味料の調整、味見などですね。さらに言えば、カレーって真似できない味なんです」

 

シャマル「真似できない?」

 

士希「カレーは作り手によって味が変わってくる。例えば、さっきコーンを入れるって言っていましたよね?

俺が作るカレーにコーンは入れません。さらに言えば、うちは豚肉を使ってます。

これだけで、もう他とは違うんですよ。ルーの関係上、似ることはあっても、まったく同じ味ってのはほとんどない。

だからカレーの味は、その家庭の数だけあると思ってもらってもいいくらいなんです」

 

シャマル「じゃあ、私が作れば、それは私のカレーの味、ということですか?」

 

士希「そういうこと。はやての為を思って作る料理なんだ、うってつけとは思いませんか?」

 

シャマル「す、凄い…凄いですよ士希さん!」

 

もし、美味しいカレーが作れたら。もし、はやてちゃんがそれを食べて笑顔になってくれたら。

そう考えるだけで私は興奮を隠せませんでした

 

士希「決まりですね。じゃあ早速、カレーを作りましょう!」

 

こうして私は、はやてちゃんの為にカレー作りを学ぶ事になりました

 

 

 

 

士希「じゃあ確認!手は?」

 

シャマル「洗いました!」

 

士希「味見は?」

 

シャマル「忘れちゃいけない!」

 

士希「火は?」

 

シャマル「退席する際は付けっ放しにしない!」

 

士希「隠し味は?」

 

シャマル「慣れないうちは絶対にしない!」

 

士希「なにがあっても?」

 

シャマル「料理に意識を集中する!」

 

士希「オーケー。じゃあやりましょう」

 

私は調理に移る前に、士希さんに指導を受けました。先ほど言った事は徹底するとの事。

これが美味しい料理の第一歩だとか

 

士希「じゃあまず、材料を切っていきましょう。

これら全てを、食べやすいように一口サイズに切ってください」

 

シャマル「はい!」

 

私は包丁を持ち、慎重に刃を入れていきます。ただ、慣れていないからどうしても形が…

 

シャマル「なんかボロボロ…」

 

士希「あぁ、いいんですよそれで」

 

シャマル「え?」

 

私が落ち込んでいると、士希さんは特に問題はないと言ってくれました

 

士希「切り方や形で火が通りやすいとか、確かにあるんですけど、

そんなのは慣れないうちから気にしても仕方ないんですよ。まず慣れること。

それに、こういう不恰好な方が、手作り感があって俺は好きですよ」

 

士希さんは笑顔で言いました。ようは考え方の問題だとか。形より味が良ければいいらしいです

 

 

 

 

シャマル「士希さんは、はやてちゃんの事好きですよね?」

 

私はカレーを弱火で煮込みつつ、士希さんに話を振ってみました。

ここまでくるのに、何度火傷しそうになったかは察してください

 

士希「俺がはやてを?どうして?」

 

士希さんは冷静に、興味がないように返してきました。

一瞬、あれ?って思ったけど、私は士希さんがはやてちゃんに好意を抱いている事は確信していました

 

シャマル「スミレの花言葉」

 

士希「!」

 

今度は反応してくれました。どうやら当たりのようです。

士希さんは隠し事が上手みたいだけど、証拠を出してしまえばこちらの物です

 

シャマル「スミレの花言葉はいろいろあります。誠実、謙虚、小さな幸せ、そして、小さな愛」

 

士希「……よく見てらっしゃる。うっすら彫ってあるくらいの模様だったはずなのに」

 

シャマル「ふふ、私、はやてちゃん大好きだから!」

 

見つけるのは苦労したけど

 

シャマル「それにしても意外。士希さんが花言葉を知っていたなんて」

 

ヘアピンだけでも違和感なのに、さらに花言葉ですからね。

はやてちゃんはよく士希さんを不良と言っていますが、どちらかと言うと乙女?可愛い物好きだし

 

士希「話のネタに学んだだけですよ。実家が飲食店なんで、お客さんを楽しませるのも仕事なんです」

 

シャマル「それで、花言葉を学んでてよかったなと。士希さん可愛らしい真似しますね」

 

士希「シャマルさん、料理は?」

 

ばつが悪くなり、話題を逸らそうとしているのでしょうが、ぬかりはありません

 

シャマル「なにがあっても、料理に意識を集中する。大丈夫ですよ。しっかり焦がさないようにしています」

 

士希「チッ」

 

士希さんは顔を赤らめ、そっぽを向きました。

大人びていると思ってたけど、年相応に恥ずかしがることもあるんですね

 

シャマル「私は士希さんとはやてちゃん、お似合いだと思いますよ」

 

最近のはやてちゃんは、士希さんの話ばかりだし

 

士希「あんまりからかわないで下さいよ」

 

シャマル「本心ですよ」

 

士希さんは黙ってしまいます。こういう真っ直ぐな言葉に、士希さんは弱いみたい

 

士希「………がんばります」

 

士希さんは最後にボソリと言いました。えぇ、頑張ってください、士希さん

 

シャマル「期待していますよ」

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

シャマル「はやてちゃん、入ってもいいですか?」

 

はやて「どうぞー」

 

私は家に帰り、はやてちゃんのいる部屋をノックしました。

そして許可をもらい、扉を開けると、三人とも真剣な様子で勉強していました

 

シャマル「はやてちゃん、そろそろお夕食にしませんか?」

 

はやて「ん?…え!?もうこんな時間!?」

 

時刻は7時前、どうやら三人とも、時間を見ていなかったようです

 

なのは「んー!すっごい集中してやってたねー」

 

フェイト「そうだね。もう7時だったんだ」

 

はやて「うわぁ、夕飯どうしよ。なんも準備してないわ」

 

シャマル「ふふ、大丈夫ですよはやてちゃん!私が作りました!」

 

はやて・なのは・フェイト「………え」

 

その反応は傷つくなぁ…

 

シャマル「だ、大丈夫です!今回は士希さんに師事しましたので」

 

はやて「士希君に?うーん…それなら…」

 

フェイト「大丈夫…」

 

なのは「なのかな…?」

 

三人は半信半疑と言ったところです。いかに自分が酷い物を作ってきたかが分かります…

 

シャマル「と、とにかく!大丈夫ですから!」

 

はやて「まぁ、せっかく作ってもろたんやし、いただくよシャマル」

 

私達はリビングに移動し、私はご飯の準備をしていきます。

ご飯をつけ、カレーをかけ、サラダも用意して…

 

ヴィータ「なぁ、今から士希の家に行っちゃいけないか?」

 

ザフィーラ「私も付き合おう」

 

シグナム「その気持ちはよくわかるが、どうやら今回は雑賀士希に師事したそうだ」

 

リイン「シャマルの料理って、見た目や匂いは良いから判断が難しいです」

 

クッ…絶対見返してやる…

 

シャマル「では…どうぞ…」

 

私は全員分の料理を並べました。全員冷や汗を流しながらスプーンを握り…

 

『いただきます…』

 

そして一口。ど、どうでしょう…

 

ヴィータ「……あ、あれ?…うん、美味い…」

 

ザフィーラ「確かに、美味いな…」

 

リイン「美味しいです…」

 

シグナム「一体どういう事だ?普通に美味いぞ…」

 

シャマル「ほんと!?」

 

なのは「うん!美味しいよシャマル先生!」

 

フェイト「こんな美味しいカレー、初めて食べたかも!」

 

はやて「シャマル!このカレー、めっちゃ美味しいよ!何杯でも食べてしまいそうや!」

 

よ、よかった…本当によかった…

 

はやて「え!?ちょ!シャマル、なんで泣いてんの!?」

 

シャマル「……え?あ……」

 

私は知らず知らず、涙を流していたようです。それに、止まりそうにありません…

 

シャマル「その、はやてちゃんの為に、がんばったから…

美味しいって、笑顔で言ってくれて、本当に嬉しかったから…それで…」

 

はやて「………そっか。シャマルの気持ち、しっかり伝わったよ。

本当に美味しいし、私もこんなにシャマルに想ってもろてるなんて、本当に嬉しい。

ありがとうなシャマル」

 

そう言ってはやてちゃんは、私の頭を撫でながら、とても優しい笑顔を見せてくれました。

その笑顔は、私が見たかった大好きなはやてちゃんの最高の笑顔でした

 

 

 


 
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