ジェットコースターの後、私らはお昼を食べつつ、それぞれどこ行きたいか話し合う事にした。
ちなみにお昼は売店や。最近、士希君のお昼ばっか食べてたせいで、なんか物足りん気がしてならへん
はやて「次どうしようなぁ」
フェイト「まだまだいっぱいあるね」
士希「レーゲンはどこ行きたい?」
レーゲン「うーん…お化け屋敷?」
ピシリと、空気に亀裂が入った気がした。レーゲン、よりによってそこかぁ
すずか「私は行きたいなぁ」
意外にも乗り気なすずかちゃん
はやて「せやなぁ、ならご飯食べたら行ってみよか」
別段、断る理由のない私
士希「よし、ならさっさと食っちまうか」
ウキウキ気分の士希君
なのは・フェイト・アリサ「………」
そして固まる三人。ずいぶん分かりやすいな
アリサ「ほ、他にもあるし、他にしましょうよ?」
なのは「わ、私もそう思うなぁ。コーヒーカップとかいいんじゃないかな?」
フェイト「め、メリーゴーランドとかも、捨てがたいよね?」
汗を流し、別案を出す三人。目ぇ泳ぎ過ぎやろ
士希「なんだお前ら、怖いのか?」
士希君は挑発するかのように発言する。それに対して強く反応したのは…
アリサ「バ、バッカじゃないの!?あんな子ども騙しで、私が怖がるわけないじゃない!」
士希「なら、行けるよなぁ?」
アリサ「う、い、いいわよ!行ってやろうじゃない!ただペアはすずかよ!異論は認めないわ!」
すずか「もちろん!アリサちゃんの隣は誰にも渡さないよ」
負けず嫌いのアリサちゃんは、しまったといった表情をしつつも、強がってしまう。これで残りは…
レーゲン「なのはさんとフェイトさんはどうします?」
なのは「わ、私たちは、ここで待っていようかな」
フェイト「う、うん。少し疲れちゃったしね」
レーゲン「そうですか。残念です」
士希「仕方ねぇよレーゲン。こいつら怖がりだからさ」
なのは「そ、そんな事ないよ!」
フェイト「なのは!?」
あーあ、なのはちゃん、素直に認めときゃよかったのに
士希「へぇ、なら証明してもらおうか。エースオブエースさん?」
なのは「いいよ。私が作り物程度、なんて事ないってところを見せてあげる!
行くよフェイトちゃん!」
フェイト「え!?私も!?」
可哀想にフェイトちゃん。とんだとばっちりやな
お化け屋敷前についた私らは、それぞれペアで行く事になった。
アリサちゃんとすずかちゃん、なのはちゃんとフェイトちゃん、
そして私と士希君(レーゲンは胸ポケット)という感じや
アリサ「じゃ、じゃあ、先に行くわ」
すずか「ふふふ、楽しみだなぁ」
はやて「はーい。気ぃつけてなぁ」
オバケより、すずかちゃんになぁ
フェイト「な、なのはぁ…」
なのは「だ、大丈夫大丈夫…」
士希「いってらっしゃーい」
士希君ドSやな。あんなサディスティックな笑み、アリサちゃんくらいのしか見たことないで
レーゲン「じゃあ、僕たちも行きましょう!」
ちっさいレーゲンが士希君の胸ポケットから発言する。
どうやら胸ポケットがお気に入りらしい
お化け屋敷の中は薄暗く、なんとなくひんやり、そして息苦しい感じがした。
これも演出なんやろか?
はやて「お化け屋敷とか、いつぶりやろか」
士希「ん?はやては結構余裕そうだな」
はやて「んー、所詮作り物ってわかってるからなー。
ビックリはしても、怖いって感じではないかな」
演出上の大きい音みたいなんにはドキッてするけど、何かが飛び出すみたいなんは平気やった。
まぁ、所詮子ども騙しか
士希「ふーん………はやては、コックリさんって知ってるか?」
士希君が突然妙な話題を振ってくる。なんやろ、ビビらす気でおるんかな?
はやて「知っとるよ。幽霊と会話出来るっちゅうアレやろ?
ホンマに呼んでしまうとか言うけど、アレって思い込みなんやんな?」
士希「あぁ。大半のケースは思い込みだ。一方が『こんにちは』って動かせば、
深層心理で次は『こんにちは』って返ってくると思い込み、指がそこに意識する。
だから勝手に動く錯覚をするんだ」
私も、その話までは聞いたことがあった。でも、それがどうしたんやろ。
私のそんな疑問に、士希君は答えるかのように続けた
士希「コックリさん自体の起源は占いって話もあるが、実際アレは降霊術としては正しいんだ」
はやて「そうなん?」
士希「あぁ。ただ、本当に降霊してしまうのはレアケース。
そしてそのレアケースに該当するのが、霊力や魔力みたいな、
いわゆる異能の力を有した人間がやった場合だ。つまり、俺やはやてみたいな人間だ」
はやて「へ、へぇ、そうなんや」
なんやおい、作り話やと思てたら、これガチのやつか?
士希「術式自体、準備するのは素人でもできる。
ただ起動させるには力を持った人間じゃないとダメだ。例えばはやてがコックリさんをやるとするだろ?
するとはやてから漏れてる魔力が、コックリさんという術式に触れることで、
コックリさんは降霊術として起動するんだ」
はやて「でも私、しっかり魔力抑えてるはずやで?」
士希「それは意図して力を使う場合だろ?
そうじゃない、平時の時でも、俺らは魔力を微量ながら放出してるんだ。
それで、その微量の魔力が術に反応する」
ま、マジでか。イマイチ私自身も、魔力に関して完全に理解してたわけやなかったけど、
今もこうして魔力が垂れ流れとるってことかいな
はやて「な、なるほどな。なら、コックリさんとか、私らはホンマにやらん方がよさそうやな」
士希「まぁ、悪さをする幽霊自体、あんまり聞いたことはないから、やること自体はいいんだ。
ただ、面白半分でやるのはオススメしないな。
幽霊も、遊びで呼ばれたんじゃあ、気ぃ悪くするだろうし」
はやて「んで、その話、なんで今したん?私を怖がらそうとしたとか?」
まぁ、ありえそうな話やし、そこそこ肌寒い感じではあるけど、別段ビビる事は…
士希「………この国には、盆祭りがあったよな?」
今度は盆祭り?まさかそれも、術式とかか?でもそれやったら…
はやて「まさか、盆祭りも術式の一種とか?それはないやろ。
私ら何回盆祭り行ったと思てるん?今までホンマにご先祖様が降りて来たなんて事なかったで」
士希「そりゃあな。盆祭り自体は術式じゃないんだ。ただ、祭りには屋台とかがあるだろ?
問題はそこにある」
はやて「どういう事や?」
士希「そもそも、なんで盆祭りや、ご先祖が戻ってくるなんて風習があると思う?
それってつまり、過去に実際降りて来たからなんじゃないか?」
はやて「え~、それはさすがに…」
士希「ない、とは否定できないよな?」
そりゃあ、過去の事なんて、確かめようがないし
士希「盆祭りは元々娯楽の一環だって話もあるが、その際に昔の人が呼んじまったんだろうなぁ。
それ以来、盆祭りは亡くなった人を供養するための物となった」
はやて「でも、盆祭り自体は術式やないんやろ?せやったらなんで問題なん?」
士希「意図してやらない限り、盆祭りで実際に降霊するなんてことはまずない。
だが、何百万分の一の確率で、降霊術になる。それが、やぐらと屋台の配置なんだ。
術の基本は物の配置、それがピッタリ合っちまうと術になる。
盆祭り自体、霊の為にやってる行事だから霊が集まりやすい。
そんな状態で一度術として発動すると、まぁ大変な事になるんじゃないか?」
さっきの話も合わせて、もし何百万分の一の確率で、
私がその場におったとしたら、そこは霊で溢れるって事になるんか?
はやて「う、嘘やろ?」
士希「さぁ、どうだかな。俺も実際やったわけじゃないし、この話自体聞いた話だからな。
まぁでも、霊を呼びやすい場で、降霊術なんてヤバいよな」
ん?ちょっと待って?
術の基本は物の配置って事は、日常生活でも偶然出来てしまう事だってあるよな?
それで今はお化け屋敷…
はやて「な、なぁ士希君、お化け屋敷ってもしかして…」
士希「あぁ、霊が迷いやすい所だな」
はやて「ここ入ってから、妙に肌寒かったり、息苦しかったりするんやけど…」
士希「問題ない。俺もしっかり感じている」
いや、それ大問題なんじゃ…
ぴちゃ……くちゃ……
はやて「きゃあ!」
な、なんや今の音!?まさか、ホンマに降霊術として発動してるんじゃ…
士希「いま、聞こえたな。この先にあるらしいけど」
はやて「いやアカンて士希君!まずいやろ幽霊さんの邪魔したら!」
私は士希君にしがみ付き、止めようとする。やけど士希君は止まらんだ
士希「どっちにしろ通るんだ。諦めろ」
くぅ!マジでか!?マジで幽霊なんか?アカンやろ!
私、魔法少女とかやってるけど、オカルトは専門外やぞ!
士希「この物陰か。どれ、ご拝見…」
はやて「うぅ…」
見たくない…でも、なんとなく気になる私もおった。
私は士希君を盾にするように後ろに付く。そして士希君と物陰の方を覗いてみると…
すずか「あぁ…アリサちゃん…ん、ちゅ……」
アリサ「すずかぁ…もっと…怖いよ……ん……」
はやて・士希「………」
見やんだことにしとこ
その後私らは、なんの問題もなく出口に辿り着いた。
さっきの士希君の話で、ちょっと怖くなりつつあったもんが一瞬で消えていった。
てか、士希君の話は、どこまでがホンマなんやろ
フェイト「あ、お帰りはやて」
なのは「……うぅ、ぐす……」
外にはフェイトちゃんと、その隣ですすり泣いてるなのはちゃんがおった
はやて「お疲れさん。ちょっと意外やな。私の予想やとフェイトちゃんも泣いてると思てたけど」
フェイト「先になのはが泣いちゃって、それ見たら逆に落ち着いて。それにあんまり怖くなかったし」
なのは「でも、変な音とか…肌寒かったりとか…息苦しかったりとか…」
フェイト「あはは、それも演出だよ。大丈夫だよなのは」
士希「よく頑張ったな、なのは。ほら、売店でなんか買ってやるよ。
無理させたお詫びと頑張ったご褒美だ」
そう言って士希君となのはちゃんとフェイトちゃんは売店に行った。
私は士希君に飲み物をお願いして、アリサちゃんとすずかちゃんが出てくるのを待った。
すると程なくして…
アリサ「あれ?なんではやてが先に?」
すずか「ホントだ。いつの間にか追い越されてたんだね」
そりゃあ、二人はお化け屋敷ん中でイチャついてたからやろ。とは言えへんだ
すずか「でも、お化け屋敷というよりは、ビックリ系な感じだったね。
何か特別な演出があってもよかったのに」
はやて「せやなぁ。終始肌寒くて、息苦しいだけやったでな」
もうちょい捻ってもらっても、大丈夫やったな
アリサ「………すずか、肌寒かった?」
すずか「んーん、別にそういうのは…息苦しい感じもなかったし…」
はやて「へ?」
嘘やろ?
その後私は、お化け屋敷での一件を忘れるかの如く遊び尽くした。
そして気付けば夕方になり、私らは観覧車に乗る事にした。
ちなみに私は士希君とレーゲンと乗っている。観覧車はカップルで乗るのが一番やでな
士希「はぁ~、今日は楽しかったなぁ!」
レーゲン「はい!また来たいです!」
はやて「私はなんや、めっちゃ疲れたけどな」
もちろん、楽しかったはずなんやけどな
士希「それにしても、観覧車からの景色って、なんとなく特別に見えるな」
はやて「……そやな。私らからしたら、空なんて割と身近で、特別な物ではないと思うんやけどな」
観覧車から見える景色は、街やそこを歩く人々の姿、そして茜色に染まる空やった。
魔導士になってからは、空をよく飛んでるはずやったけど、
こうしてゆっくり見渡す事はあまりない。
やからやろうか、ここからの景色が、とても綺麗に見えた
士希「今日は、来れてよかった。はやてと回れて楽しかったよ」
はやて「うん。私も、士希君と回れて楽しかった」
お互い、ポツリとこぼし、微笑み合う。
なんとなく気恥ずかしかったけど、それでも言わずにはいられへんだ。
これも観覧車効果なんやろかな
レーゲン「!!しきさん!来ます!」
はやて・士希「………」
だがそんな和やかな雰囲気は、レーゲンのアラートで終わりを迎えた
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こんにちは!
遠足編の後編!
今回、士希君がある事について語っていますが、あくまで士希君の勝手な考察なので深く考えないでください(笑)