「『
まるでお姫様のようなドレスを身にまとった、オッドアイの少女の威勢の良い声が響く
彼女の周りには身の丈ほどもある長さの鍵と、それに勝るとも劣らない大きさの大剣が浮遊している
「我、黄昏の姫御子。創造主が娘、始祖アマテルの末裔。アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアの名に於いて命ずる」
彼女―アスナの周りの魔方陣が輝きを増す
ドレスが風に煽られ、神秘的な雰囲気を醸し出している
「世界を、もとに」
アスナがその言葉と共に左手を空へと掲げる
瞬間、魔方陣が一層輝きを増して目を開けられないほどとなる
その光は
―さて実は今、この世界は滅亡の危機に瀕していた。
この世界は火星に作られた人工の異界。その異界を保つために必要な星の生命力、すなわち魔力が枯渇しかけていたためである
魔力がなくなればイコール魔法世界の崩壊である。それを防ぐために、一度この魔法世界を滅ぼさんとしていたのが今までアスナのそばにいる少年―ネギ・スプリングフィールドが命懸けで戦っていた組織、『
戦いの結果ネギ少年が代替案を提案し、その提案を完全なる世界幹部であるフェイト・アーウェルンクスと言う少年が受け入れた。と、言ってもその案が上手く行かなかった場合、また同じ事を繰り返すのであるが…
まあ今はその案の話は置いておこう
光が火星の地表を走ると同時に、それまで起こっていた竜巻などの異常現象がなりを潜める
それどころか竜巻に巻き込まれて消滅してしまった人間や動物、果ては植物までもが消滅前の姿で戻ってきたのだ
この現象は先ほどのアスナが起こした光による物に他ならない
元々竜巻などの異常現象はアスナの持つ異能力『
アスナは力を反転させると同時に先ほどの鍵『
魔法世界全土で歓声が湧き上がる
消えてしまった人との再会で涙を流す者がいる
自分は消えたはずだ、と首を捻る者がいる
色々な者たちがいたが、魔法世界に生きる物たちは全員一つの事を信じて疑わなかった
「戦いは終わったのだ」と
しかし、物語はそう簡単には終わらなかった
「ッ!?」
「な、何なんだ、この魔力は!?」
「この魔力…彼か。そうだ、まだ彼が残っていたね…」
ネギと金色の長髪の少女、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルとフェイト・アーウェルンクスが突然現れた強大な魔力に反応して身構える
フェイトはこの魔力の持ち主に、心当たりがあるようだ
「フェイト。この魔力の持ち主は誰だ?まだ完全なる世界の構成員がいたのか?」
「違うよ。彼は構成員なんて使い捨ての存在じゃない。彼は―」
ネギは魔力を感じる方向から目を離さずに横にいるフェイトに問いかける
フェイトはそれに答えながら身構え、衝撃の事実を口にする
「―彼は最後のアーウェルンクス。黄昏の姫御子、神楽坂アスナの遺伝子を組み込まれて造られた、僕の弟―」
瞬間、彼らの目の前に何者かが転移してくる
黒髪に黒目、魔力以外は普通の幼児のような見た目の子供だ
しかし醸し出す雰囲気は断じて子供のそれではない
彼はネギ、エヴァンジェリン、フェイトを真っ直ぐ見据えるとニタリ、と口端を吊り上げて笑う
「
フェイトが彼の名称を伝える
ウルティムスは今だ笑顔を崩さない。が、それが不気味だ
数秒睨み合っていたウルティムスとネギ陣営
だが突然何の前触れもなく、ウルティムスが言葉を発する
魔法の詠唱か!?とネギ陣営が身構える。が―
「…おなかへった」
その一言で、その場にいた全員がずっこけてしまったのを責められる者はいないだろう、
えー疾風関係の更新だと思った方はすいません。新作です
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