S子のイメージを一言で例えるなら、人の顔を見ると、開口一番、「ねぇ、何か買ってくんない?!」という女だと言えるだろう。
S子は生まれつき物質欲の塊で、高級品には目がなくブランドは殆どの種類を一式所有しており、要らなくなるとオークションに売り飛ばしていた。現在なら買取業者にも頻繁にお世話になっていることだろう。
また、知り合う男の全てに高級品をせびり、買うお金がないと断っても諦めずにしぶとく粘り、お金が無いならサラ金に行ってと言い、それでも借りれなかったらホモバーやホストクラブ、力仕事などを強引に勧め、(酷いと待ち合わせをしてお店に一緒に行き無理やり面接をさせていた)半強制的に自分の欲しい高額の商品を近日中に買わせていたのだった。
さらに、お金自体も大好きで、「ねぇ、借金がすごいからサラ金で借りてきてよ」と街の道端でふと偶然知り合ったばかりの男性に自ら積極的に声をかけて、その場でサラ金業者に走らせているのもいつものことだった。
また、お金をせびり、サラ金やカードキャッシングに走らせ貢がせているのは年中の話なので、かなりの貯蓄があるのにも関わらず、大好きで趣味のホストクラブに遊びに行ってもドケチ根性丸出しで、最後は必ず「あっ、財布がなくなったどうしよう!」と店内で大騒ぎしだし、一銭も払わないまま、ホスト達に睨み付けられようが平気の平左で売り掛けに持ち込んで新人ホストや相性が良い気の良いホストに飲み代金や接待料金の全額を立て替えさせていたのだった。
それだけではない、話題が異様に盛り上がっているから、とうとう気に入ったホストが見つかったのかと思いきやその数日後には自分の店に同伴で通わせているほどのちゃっかりぶりなのだ。
S子にとって男はみんなただの金のなる木で貢ぐロボットでしかないのだ。
別の言い方をすると金の運び屋と言うのが適切な表現になるだろう。
また、のっけに話した本根さんの話に戻るが彼は、結局最後、自分の貯金やカードキャッシングだけではお金が足らず実家の親から300万円借りたのだった。親に合わせる顔がないと非常に後悔したのだが、その場ではどうすることもできなかったのだ。S子と知り合うと男はみんな奴隷のようにいいなりになり、一つも逆らうことができなくなってしまうのだ。
つまり、S子という女は、男の人生を狂わす男を粉々にして駄目にする悪の華そのものなのだ。
「僕は精一杯頑張りました。でも駄目でした。もちろん結婚も考えたこともあります。でも、僕には彼女を満足させることができませんでした。彼女は僕にはもったいないです。今の僕には彼女を幸せにする自信がありません」「ええ、殴られたこともありましたっけ、とっても痛かったですよ、ずっと絶えてました、悔しかったです、殴り返せるものなら殴り返してやりたかった、でも歯を食いしばって我慢しました」「一緒に行かないのに旅行代金も全額銀行振り込みで支払わされました」
それが本根さんのS子と別れた直後、S子の知り合いからの電話の中で告げたの最後の言葉だった。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
引き続き小説訓練です。特訓中です。><