No.670836

【裡鋸町】ダイヤ改正前日の裡鋸駅【交流】

古淵工機さん

ダイヤ改正要素ほとんどなし。むしろホワイトデー話だった。
あとモブでみどりの同僚が出てきていますが、わかる人にだけわかるパロネタだったりw

■出演
みどり:http://www.tinami.com/view/655747

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2014-03-15 01:24:05 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:978   閲覧ユーザー数:948

「…ふぅ。このご時世どこの鉄道もダイヤ改正の季節なのね…」

裡鋸駅のホーム。貼りかえられたばかりの新しい時刻表には『3月15日より新ダイヤとなります』の貼り紙と、

従来のダイヤが書かれた紙が貼られていた。

…極楽寺みどりの言うとおり、3月と言えばほとんどの鉄道はダイヤ改正の季節。

ここ裡鋸電鉄でも例外はないのだ。

 

「ま、15分間隔から12分間隔になってるあたり、利用者もそこそこいるってことなのかな…」

平日昼下がりのプラットホームはどこか閑散としていて乗客もまばらだ。

ホームの掃除をしていると、仕事仲間であるペガサス獣人の女性駅員…虹村(かける)が声をかける。

 

「やあお疲れ!極楽寺さん!」

「あ、虹村さん」

「毎日ホームの監視に出札に大変でしょ?疲れない?」

「いやー、これが仕事だし…私ロボットだからねぇ…」

「甘い甘い!ロボットだからって無理ばっかりしすぎるとどうなることか…ま、どっちみち交代の時間だしさ。あとは僕に任せてゆっくり休んでなって」

「うーん…じゃあお言葉に甘えてみようかな。よろしく虹村さん」

「おう!任されて~」

と、虹村と挨拶を交わし、ラッチの通用門を通り抜けるみどりの目の前に、見覚えのある顔が…。

「あれ?八鍬さんじゃないですか」

待合室に座っていたのは八鍬隼。山奥のガラス工房を営む職人である。

「あ…いつぞやのロボの人」

「ロボの人ってあなたねぇ…」

と、少々呆れ顔になったみどりだったが、すぐに表情を戻すと隼に訊ねた。

 

「今日はどうしたんですか?」

「新作ができたから売りに来た」

「それで、回ってる最中なんですね?」

「そういうこと」

相変わらずぶっきらぼうな答えしか返ってこないが、見慣れた顔と話をしていると、

やはりみどりの心にはどこか安心感があった。話しているうちに、自然に笑顔になっていく…。

「あ、そうだ…片手間でこんなん作ってきたんだけど」

すると、隼が背負っているカバンから何かを取り出した。

それは、手のひらサイズのガラス細工だった。

人の形をしていて、顔の部分がクリーム色。緑色の部分は服だろうか。

耳に当たる部分には白色のガラスが取り付けられている。

みどりは、そのガラス細工の形から、すぐに自分の姿だと確信した。

 

「…こ、これ…私?」

「…今日ホワイトデーらしいから。昨月のチョコのお礼」

「ど、どうも…」

みどりの頬は赤く染まっていた。よほど照れくさいのか、それ以上に嬉しかったのだろう。

 

「じゃ、そろそろ俺行くから」

「あ、お気をつけて…」

と、プレゼントを渡し終えた隼はふたたび荷物を背負い歩き出した。

 

「そっか…隼さんもホワイトデーのプレゼント渡しに来てくれたんだ。なかなか可愛いじゃん」

みどりは、ガラス細工を駅事務室にある自分の机の引き出しの中に入れると、

同じ引き出しに入っていたチョコレートを取り出した。

 

「さーてと。オレナちゃんにチョコ渡してこなくっちゃ」

…今日は3月14日。ホワイトデー。

ダイヤ改正を翌日に控えた日の昼下がりは、ほんのりと暖かな日差しが注いでいたのだった。


 
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