第三章‐壱拾弐話 『
「はあぁぁ!」
袁術の兵を蹴散らし、鈴蘭は直進する。その後ろを一刀と楓が進む。
「鈴蘭!あまり突出しすぎると退けなくなるぞ!」
「構わん!それなら敵の大将、袁術を倒せば問題ないだろう!」
叫ぶ鈴蘭に一刀は頭を抱える。戦なんてものはそんなに単純ではないだろうことは一刀でも容易に想像は付く。しかし、組同士の抗争などそれこそ自分以上に戦を理解していそうな楓は鈴蘭を止めようともしない。
「楓ちゃん、流石に不味いんじゃないの?」
「そうかもしれないですけど。今は彼女のやりたい様にさせましょう。きっと何か考えがあるんですよ」
「そうかなぁ?」
見るからに突撃しか考えていない様に感じるのだが。
「う~ん、考えというより、目的ですかね?そんな感じがするんです」
「そっか。なら俺達はすこしでもそれを手伝おうか」
「はいっ!先輩!」
鈴蘭が何を考えているかは分からないけど、今はこのまま進むしかない。月は誰一人欠ける事を望んではいないだろう。なら、例え無茶でも共に進むしかない。
<袁術本陣>
「七乃ー!なんかこっちに向かって来てるのじゃ!」
「ああ~、あれは汜水関に居た華雄さんですねぇ。後ろの十字の旗は知りませんけど、橘はあの橘さんのご兄妹ですかね?」
「七乃!そんなのはいいからどうにかせんとここまで来てしまうのじゃ~」
「そうですねぇ。では、孫策さん達をぶつけちゃいましょうか。汜水関では一度当たっていますし。その間にすこし下がって様子を見ましょうか」
「う、うむ。なら早速孫策に伝えるのじゃ」
「はいはい~」
<孫策本陣>
「と、言う事で袁術より我等に命が下ったぞ」
「ホント、良いように使ってくれちゃって。ムカツクわね」
「そうか?ならなぜ笑っている?」
愚痴る孫策の表情は、周愈が指摘したように笑っていた。
「だって、今の華雄。母様に負けた頃と何か違うわよ」
「そうか?ただ突進している様にしか見えないが?」
「それでも変わったわよ。それに後ろの二人も強そうだし、今回は使われてあげるわ」
「はぁ。我等にも目的がある。全軍は動かせんから、思春と行って来い」
「明命は?」
「あれには別でやってもらう事がある」
「そっ。じゃ、行ってくるわ」
「先輩。袁術が退いていきます」
「逃げ出したのか?」
「いや、違うな。虎を放ったのだろう」
突然後方に下がりだした袁術軍に一刀がそんな疑問を口にする。だが、鈴蘭がそれを否定した。初めは鈴蘭の言った虎の意味が解らなかったが、直ぐに理解できた。袁術と入れ替わる様に出てきたのは孫の旗。江東の虎、孫堅の子。孫策が出てきたのだと。
「一刀、頼まれてくれるか?」
「何をだ?」
「私は何としてもここで袁術を倒したい。それをお前に任せたい」
「俺だけでか!?」
というか何で鈴蘭はそこまで袁術に拘るんだ?
「楓ちゃんは?」
「私もここで粥さんと足止めします」
「それは私としては助かるが、華雄な、それか鈴蘭な!わざとやっているだろ!」
「噛みました」
「嘘付け!」
「かみまみた」
「わざとじゃない!?」
「髪巻いた?」
「私はそんなに長い髪などないわ!」
どこかで聞いた事があるようなやり取りだ。
「とにかく先輩は袁術さんを!それに援軍も来たみたいですし」
「は?」
楓がそう言った直後ジャランという音がして周りの兵が倒れる。見れば一様に足首の腱が斬られていた。
「…親分に言われて来たし」
現れたのは白雪だった。親分ということは和輝の差し金か。なんというか、手際はいいけど人選ミスな気もするんだが。
「白雪ちゃん。先輩と一緒に袁術をお願いね」
「………分かったし」
何その間は?そんなに嫌なの!?
「…さっさと行くし」
「おい!?ちょっと待てよ!」
突然来たかと思えば一刀の事はお構いなしに白雪は袁術目掛け進んで行き、仕方なしに一刀はそれを追いかけていった。
「あなた達、緊張感がないわね。此処は戦場よ?」
一頻りのドタバタを敢えて何も言わずに傍観していた孫策が口を開く。もしくは、ただ呆れていただけかもしれないが。
「それにしても、華雄あなたがそこまで袁術に拘っているなんて思わなかったわ。何か恨みでもあったの?」
「別に袁術はどうでもいい。私は孫堅への借りを返すだけだ」
「あら。じゃあわざわざ私を引っ張り出したって事?」
「それも違うな」
「じゃあ何が目的なの?」
その問いは孫策にしてみれば当然の疑問だった。
「あなたを負かしたのは私の母、今は亡き孫堅でしょ?なら私との勝負が目的じゃないの?」
「違うな。私が負けたのは『孫呉の王』孫堅だ。ならその借りを返すのは同じ『孫呉の王』であって袁術の属将では無い」
一瞬孫策は訳が分からなかった。だが、それを理解すると、
「あはははは!」
声を上げて笑った。
「まさかあなたがそんな事考えてたなんて驚いたわ。こっちとしてはありがたいけど。でもいいの?王を相手にするということは国を相手にするということ、生半可じゃ出来ないわよ?」
「そうだろうな。だが、私は一人ではないからな」
「そう、やっぱりあなた大分変わったわよ」
もちろん良い意味でね。と付け加える。だが、本当に驚いた。
「なら今回は便乗させてもらうわ」
そう言って孫策は抜刀する。
「でも、一応は袁術の命令もあるし、すこし付き合ってもらうわよ?」
「いいだろう。では行くぞ!」
両者はぶつかった。
あとがき
ツナ「最初に、なんか気付いたらお気に入りにしてくれてるユーザーが50人超えてて驚きました。お気に入りしてくださった方ありがとうございます」
狐燐「それで、あとがきに戻るけど、一刀×白雪は明らかに人選ミスじゃないの?」
ツナ「まあ、最近一刀を弄って無かったのでこの際と思い」
狐燐「それ戦の最中にやることじゃないから!」
ツナ「次回は一刀、袁術を泣かすです」
狐燐「嘘だよね?」
ツナ「別に嘘では無いです。どう考えたってメンタルの弱い今の美羽では泣くのは致し方ない」
狐燐「まぁ、確かに」
ツナ「それと、唐突ですがその後に一度拠点を挟みます」
狐燐「本当に唐突だね。因みになして?」
ツナ「『Re:道』が30話越えてました。本当は30きっかりでやるつもりだったのですが、気付いたらこんなことに。というわけで今回も弐話かけてアンケート実施いたします。打ち分けどーん!」
一刀、和輝、楓、月、詠、恋、音々音、霞、鈴蘭、流琉、風、星、向日葵、太白、白妙、白雪、稲葉、楠、鬼灯、柊 (あとセキト?)
ツナ「です。前回同様シェア希望も受け付けます。集計は個別ですが・・・」
狐燐「ちょっと待て!なんでセキトが居るんだよ!?」
ツナ「まあ、ノリかな」
狐燐「もし、入ったらどうすんの?」
ツナ「その時はがんばって書きますよ。その分狐燐の話が遅れるだけですから」
狐燐「僕が犠牲になるの!?」
ツナ「では、また次回!」
狐燐「逃げるなー!」
というわけでアンケート実施です!
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最後でアンケート実施中。
『Re:道』と書いて『リロード』ということで
注:オリキャラでます。リメイク作品です。