No.664299

バトルスピリッツエイジストーリーズ

スーサンさん

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2014-02-18 10:29:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:836   閲覧ユーザー数:834

「なんの用だ、アイツ?」

 幼馴染の君代ツクスに呼ばれ、地図に書かれたビルの前まで来ると月差シルベは頭の後ろを掻いた。

「ここって会社のビルだよなぁ?」

 地図に書かれた階を見た。

「ホースゴッドマグナム社?」

 テープで描かれた社名を見て、腕を組んだ。

「なんの会社だろう?」

 とりあえず、入ってみた。

「……」

 三階まで上り、「ホースゴッドマグナム社」とプレートの張られた扉を認めた、ノックをした。

「あの~~……友人に呼ばれてきたんですが」

「いらっしゃ~~い!」

 クラッカーが鳴らされた。

「なにやってるんだ、君代ツクスさん?」

「えへへ……♪」

 テレたように笑い、ツクスと呼ばれた少女は被っていた帽子を深く被りなおした。

「じ、実は今日から私、ここの社長をすることになったんだ!」

「社長?」

「そう!」

 

 

 事情を聴いた。

「なるほど……」

 腕を組んでシルベは納得したように頷いた。

「ようするにお前さんのご両親がお前さんに経営術を学ばせるため子会社を一つ作ってくれたのか?」

「親ばかの産物ってやつだね♪」

 満更でない顔をするツクスにシルベは念のため聞いた。

「出た損失はどうなるんだ?」

「パパとママが払ってくれるらしいけど、損失次第じゃ経営者の資質はないって理由で跡は継がせてくれないって!」

「後を継ぐだけの資質を持ってるのかの試験も兼ねてるのか……そうなると結構、重いんじゃないか? 後を継げないとなるとあとあと……」

「そんなことないよ!」

 用意してあったドラ焼きを食べた。

「私はパパとママの後を継ぐ気はないから!」

「じゃあ、この会社は?」

「この会社からスタートだよ!」

「……?」

 シルベも用意してあったドラ焼きを食べた。

「私はこの会社を大きくしてパパとママの会社よりも大きくして独立するつもりなんだから!」

「すでにお嬢様はそのための画期的な経営方針を決めております」

「あ、爺やさん」

 いつの間にか隣でお茶を汲んでいた老紳士からお茶を貰った。

「画期的な経営方針って?」

 お茶を飲んだ。

「実験的にここに設置してみたよ……久しぶりにやろう♪」

 ポケットからカードデッキを取り出した。

「……バトスピか?」

 シルベも自分のポケットからデッキを取り出した。

「やってもいいが、コアがないぞ」

「その点なら大丈夫! 私の新しいバトスピシステムはバトスピ界の常識を塗り替えるすごいシステムだから!」

「……?」

 訳の分からない顔をした。

「じゃあ、叫んでみよ! 合言葉は「ゲートオープン開放」だよ!」

「そ、それ大声で言うのか?」

「いいから言って! 史上最初の生きたスピリットとのバトルだよ!」

「どういう意味だ?」

 まぁ、付き合うだけ付き合うかと息を整えた。

「ゲートオープン開放!」

 目の前が真っ白になった。

 

 

「うん?」

 気づいたらシルベは見たこともない広大な乾いた空気が広がる原野の上に立たされていた。

「ここって……?」

 よく見たら身体に鎧のようなスーツが被せられていた。

「これって……おい、ツクス!?」

「ここだよ!」

「ツクス!?」

 目の前に現れた同じスーツを着たツクスにシルベは確認するように聞いた。

「これっていったい……って!?」

 目の前にバトスピシートの描かれた卓上台が現れ、ビックリした。

「これって……おわぁ!?」

 卓上と一緒に地面が地割れを起こしたように盛り上がり高さ五メートルはある巨大な岩の党を作り上げた。

「な、なんなんだ、これは!? 説明しろ!」

「聞いて驚け!」

 同じように岩の巨塔に起つツクスは豊満な胸を張った。

「これこそ、バトスピ界に旋風を巻き起こす新しいシステム! 「バトルフィールドシステム」だよ!」

「バトルフィールドシステム?」

 全く違う世界へと誘われた気分になりシルベは少し薄気味悪くなった。

「こ、これでどうするんだ?」

「いいから、このままバトルするよ! とっくにデッキは切れてるからいつも通りスタートステップに入って!」

「説明が足りないなぁ……」

 ブツブツ言いながら叫んだ。

「スタートステップ!」

 バトスピシートの描かれた卓上台のリザーブにコアが現れた。

「コアが現れた!?」

 少し戸惑いながら続けた。

「ドローステップ!」

 デッキからカードを抜いた。

(コアが現れた以外は特に変わった様子はないな?)

 まだ気味の悪い感情を拭えないまま、手札を抜いた。

「メインステップ! 赤竜の子を二体召喚! うち、一体はLv.2で召喚!」

 卓上に二枚のカードを置くとシルベは仰天した。

「な、なんだ、これは!?」

 目の前に巨大な赤のコアクリスタルが現れた。

「こ、これって……赤のシンボルだよなぁ……うわぁ!?」

 赤のコアクリスタルが弾け飛び、中からスピリットが現れた。

「こ、これって!?」

 ようやく今になってツクスの言った生きたスピリットの意味が理解できた気がした。

「俺のスピリットが生まれた!」

 ツクスも得意げにさらに豊かな胸をはった。

「これこそ、私が作り上げた新システム! スピリットが実体化して戦ってくれる新感覚バトルシステム! バトルフィールドシステム・バトルスピリッツだよ!」

「バトルフィールドシステム・バトルスピリッツ……」

 目の前で臨戦態勢をとる自分のスピリット達に目が輝いた。

「俺のスピリットが生きてる!」

「感動物でしょう!」

「ああ! 俺はこのままターンエンド!」

「そう来なきゃ! 私のターン!」

 

 

 第2ターン、ツクスは騎兵チャージガードをLv.2で召喚し、ターンエンド。

 続く第3ターン、シルベはなにもせず、ターンエンド。

 

 

「ツクスの第4ターン!」

 コアが増えた。

「騎獣アーマーフィッシュをLv.2で二体召喚!」

 ツクスの前に槍のように鋭い機械の魚が現れ空中泳ぎだした。

「このまま、騎兵チャージガードでアタック!」

「ブロック時にボイドからコアを一つ、このスピリットに置くことができる、チャージガードでアタックだと!?」

 襲い掛かるビームシールドを持つ騎兵にシルベは叫んだ。

「ライフで受ける!」

 チャージシールドのビームシールドからエネルギー波が飛び、シルベに直撃した。

「ガァッ!?」

 強い痛みがシルベの身体が吹き飛ばした。

「これはぁ!?」

 息もするのも苦しいほどの痛みにシルベは目が覚めたように立ち上がった。

「ラ、ライフで受けると自分にもダメージを受けるのか!?」

「スピリットと一緒に戦う! これこそ、バトスピだよ!」

「……」

 ライフが一つ減った自分のバトルスーツにシルベはニヤリと笑った。

「これは俺向きなバトルだ!」

「そう言ってくれると思ったよ! 私はバーストをセットして、ターンエンド!」

「シルベの第5ターン!」

 引いたカードを見た。

「ここから俺の勝利の道しるべが始まるぜ!」

 シルベの前にアルティメットコアが現れた。

「アルティメットドーラをLv.3で召喚!」

 アルティメットコアが弾け飛び、雄々しく震え経つ巨大な竜が現れた。

 ツクスもアルティメットの登場に下唇を舐めた。

「来たね、シルベのアルティメット!」

「アルティメットドーラでアタック!」

 アルティメットドーラは駆け出した。

「Uトリガーロックオン!」

「ッ!?」

 ツクスのデッキの上からカードが飛び出した。

「コストを言え!」

「コスト2……武装車ロードレーサー!」

「ヒット!」

 ツクスの手に持ったカードが弾け飛び、トラッシュへと置かれた。

「アルティメットドーラのUトリガーがヒット時、相手は可能ならスピリットでブロックする!」

「機獣アーマーフィッシュでブロック!」

 勇ましい咆哮とともにアルティメットドーラの威圧がアーマーフィッシュの身体にひびを入れ、破壊した。

「さらにアルティメットドーラの効果! Uトリガーでブロックした相手スピリットを破壊した時、相手のライフ一つをリザーブに置く!」

「キャッ!?」

 ライフが減る衝撃に吹き飛ばされるツクスにシルベはバカにしたように笑った。

「まさか、自分で作ったシステムが痛くってやめたいなんて言わないよな?」

「冗談!」

 ジャンプするように立ち上がった。

「この痛み……癖になりそうだよ!」

「なら、もっと癖にしてやるよ!」

 残っていた赤竜の子が動き出した。

「赤竜の子でもう一個、コアを頂く!」

「甘い! 相手アタック時、バースト発動!」

「なに!?」

 バーストが開かれた。

「ホワイトブレス! 疲労状態のスピリットがいる時、そのスピリットは疲労状態で相手スピリットのアタックをブロックできる!」

「このためにわざわざ先のターンでアタックしたのか!?」

「疲労状態のまま騎兵チャージシールドでブロック!」

 襲い掛かる赤竜の子の突進を受け止め、足を踏ん張った。

「チャージシールドの効果!」

 チャージシールドの身体にコアが吸収され、光輝いた。

「このスピリットがブロックした時、ボイドから一個コアをこのスピリットに置く!」

 突進を防がれてもなお動こうとする赤竜の子を蹴り飛ばし、チャージシールドは手に持ったエネルギーシールドの盾のエネルギー波を撃ち放った。

「赤竜の子!?」

 爆炎をまき散らし四散する赤竜の子にシルベは自分のミスに気付いた。

(ブロックする要因を残すのを忘れていた。生きたスピリットに興奮しすぎた!)

 諦めたようにターンエンドした。

「ツクスの第6ターン!」

 カードを引くとツクスの顔が邪悪ともいえるほど美しく輝いた。

(来る!)

 シルベもツクスが目当てのカードを引けたと身構えた。

「愛し尽くせばカードは……デッキは応えてくれる!」

 可愛くウィンクした。

「だからバトルスピリッツはやめられない!」

 引いたカードを抜いた。

「その姿……すべてを撃ち滅ぼす正義の破壊者!」

 ツクスの前にアルティメットコアが現れた。

「アルティメットバスター王! レベル3で召喚!」

 地響きを起こすように巨大な白のアルティメットが現れた。

「で、出たな、ツクスのキーアルティメット……」

「アルティメットバスター王でアタック!」

 地響きを起こしながらアルティメットバスター王は歩き出した。

「Uトリガーロックオン!」

 シルベのデッキの上からカードが一枚、飛び出した。

「コストを言って!」

「コスト3、スタードラン!」

「ヒット!」

「ゥッ!?」

 カードが弾け飛んだ。

「アルティメットバスター王のUトリガーヒット時、ヒットしたカードのコスト以下のスピリット全てを手札に戻す!」

「クッ!?」

 フィールドの赤竜の子が手札に戻った。

「さらにクリティカルヒット!」

「なに!?」

 攻撃を終え、膝立ちになっていたアルティメットバスター王が起き上がった。

「ヒットしたカードのコストが3以下ならこのアルティメットは回復する!」

「クッ……ライフで受ける!」

 アルティメットバスター王の巨大エネルギー砲がシルベを飲み込んだ。

「がぁぁぁ!?」

 炎をまき散らし大地に伏せるシルベに今度はツクスがクスクスと笑った。

「天下の月差シルベ様がこんなところで心折れないよね?」

 思い出したようにアルティメットバスター王を見た。

「そうそう、Uトリガーで回復したアルティメットバスター王はこのターン、もうアタックできないから安心して」

「それはありがたいな……」

 ズキズキと痛む身体に鞭打ち、ツクスは立ち上がった。

「むしろ、もっと痛いほうが気持ちいいぜ♪」

「それでこそ、私のシルベだ。ターン終了!」

 ターンが移り、シルベは痛む身体を雨に打たれた猫のよう振った。

「痛みが強いほど、勝ちたいという気持ちは強くなる!」

 デッキに手をかけた。

「俺の勝利の道しるべは折れてないぜ!」

 カードをドローした。

「赤竜の雛をLv.1で召喚! さらに軽減コスト1で赤竜の子をLv.1でさらに召喚!」

 ツクスの目が厳しくなった。

「低コストスピリットを並べてもまたUトリガーでお陀仏だよ!」

「いや! ここからが本当に俺の勝利の道しるべだ!」

 シルベのバトルスーツが真っ赤に燃え上がるように光り出した。

「赤き龍帝、ここに降臨! 全ては勝ち取る勝利のため!」

 赤のコアクリスタルが現れ、太陽のように熱く輝きだした。

「赤竜帝レッドドラゴン、レベル1で召喚!」

 赤のコアクリスタルが弾け飛び、大地を揺るがすように赤きドラゴンが咆哮を上げた。

 レッドドラゴンが大地につくと先に召喚された赤竜の子と赤竜の雛が破壊された。

「コスト確保のため、赤竜の雛と赤竜の子のコアを全て外す! さらに召喚時効果!」

 レッドドラゴンの身体から猛烈な炎の渦が巻き、チャージガードとアーマーフィッシュを飲み込んだ。

「召喚時効果! BP5000以下の相手スピリット全てを破壊する!」

「私の砦が!?」

 アルティメットバスター王だけ残し全て一掃された自分フィールドにツクスは舌打ちした。

「相変わらず嫌な効果だよ」

「それが赤属性ってやつだ。ターン終了!」

「……」

 

 

 さらにターンは続いた。

 第8ターン、ツクスはアルティメットバスター王をLv.4にアップしてシルベにアタック。

 Uトリガーはヒットしたがコスト0の赤竜の子のため、コスト6のレッドドラゴンを手札に戻せなかったがクリティカルヒットで回復した。

 アルティメットバスター王の攻撃をシルベはライフで受け、ツクスのターンを凌いだ。

 

 

「シルベの第9ターン!」

 カードを引いた。

「さらに俺の勝利の道しるべは終わらないぜ!」

 ドローしたカードが光り輝き、まるで抜刀するように手札からカードを抜いた。

「その剣! ドラゴンのための剣! 全てを斬り裂け! 機竜剣ドーラブレイド召喚!」

 レッドドラゴンの前に巨大剣が大地を裂くように現れ、炎を巻き上げた。

「ドーラブレイドの効果! 合計BP5000までの相手スピリット全てを破壊する!」

「私のアーマーフィッシュが!?」

 炎に飲み込まれ消えたアーマーフィッシュにツクスは真っ青になった。

「さらに赤竜帝レッドドラゴンに機竜剣ドーラブレイドを合体!」

 大地に刺さったドーラブレイドを抜き放ち、剣先を相手の喉元を突き刺すように構えた。

「ドーラブレイドと合体したレッドドラゴンのBPは8000だ!」

 ドーラブレイドと合体したレッドドラゴンに三個のコアが吸収された。

「レッドドラゴンのレベルをLv.3にアップ!」

 BP14000になったレッドドラゴンに叫んだ。

「ドーラブレイドと合体したレッドドラゴンでアタック!」

 剣を振りかぶり走り出すレッドドラゴンにツクスは苦い顔をした。

「レッドドラゴンの効果はアルティメットと対峙してるとき、BPが10000上がる! ドーラブレイドのBP+4000され最高BPは24000!? Lv.4、BP18000の今のアルティメットバスター王じゃ勝てない! ライフで受ける!」

「合体スピリットはダブルシンボルだ! くらえ!」

「キャァァア!?」

 コアを二個失い、衝撃にツクスは吹き飛ばされそうになった。

「ま、まだ私の負けは決まってない!」

「その意気込みやよし! 俺はこのままターンエンド!」

 ツクスのターンが回り、顎に手を置くように考え出した。

(でも、シルベの場にはアルティメットのアルティメットドーラがいる。ここでアルティメットバスター王で攻撃しても、アルティメットドーラでブロックされれば、次のターン、私は自分を守る壁が薄いままシルベにターンを譲ることになる。ここは我慢だ!)

 アルティメットバスター王をLv.5にし、ツクスは騎兵アーマーフィッシュをレベル3で召喚し、このターンは終わった。

(どっちにしても最高BP29000のアルティメットバスター王ならレッドドラゴンに勝てる。次のターンで)

「次のターンはない!」

「ッ!?」

 カードを引き抜いた。

「アルティメットドーラでアタック! Uトリガーロックオン!」

「ッ!?」

 デッキからカードが飛び出した。

「コスト2、武装車ロードレーサー!」

「ヒット!」

「させない! アルティメットバスター王でブロック!」

「かかったな!」

「ハッ……!?」

 ミスをしてしまったことに気付いた。

(しまった。アルティメットバスター王でブロックしたらレッドドラゴンのアタックを防げない!?)

 アルティメットドーラを破壊し、疲労状態になったアルティメットバスター王にツクスは真っ青になった。

「バトスピは一瞬のミスで取り返しがつかなくなる!」

「……」

 呆然とするツクスを指さした。

「レッドドラゴンでアタック!」

「それでもまだ次のターンが!?」

「フラッシュタイミング!」

「なに!?」

 シルベの手に握られたカードが二本の剣へと変形し、振り上げられた。

「弐天十字斬り!」

 握られた二本の剣が炎を渦巻いた。

「系統「赤竜」を持つ合体スピリットにもう一枚選び、系統「剣刃」を持つブレイブカードを合体させ、回復させる!」

「ダブル合体!?」

 二本の剣を振り切り、空高くジャンプした。

「機竜剣ブレイクブレイドをダイレクト合体!」

 上空から現れた機械の剣を握りレッドドラゴンが駆け出した。

「レッドドラゴン、BP10000! ドーラブレイドBP4000! ブレイクブレイドBP5000! 合計BP19000!」

 レッドドラゴンの頭上に乗り、手に持った左手の剣をツクスに突き刺した。

「さらに機竜剣ブレイクブレイドの効果! 相手フィールドにアルティメットが存在する時、BP+5000、さらにこのターンのみ【真・激突】の効果を与える! 相手は可能なら必ずブロックする!」

「アーマーフィッシュでブロック!」

「BP24000だ!」

「クッ……!?」

 アーマーフィッシュを斬り捨て、レッドドラゴンは咆哮を上げた。

「ドーラブレイドの効果!」

 右手の剣が赤く輝いた。

「BP勝負で相手スピリットだけを破壊した時、相手のライフを一個、リザーブに置く!」

「キャッ!?」

 ライフが減り、ツクスは絶望した顔をした。

「ブロッカーがいない……ということは?」

「そうだ!」

 レッドドラゴンの頭上からジャンプし、レッドドラゴンも手に持った剣を構えながらブロッカーのいなくなったツクスを睨んだ。

「弐天十字斬りの効果ですでにレッドドラゴンは回復している!」

 ツクスの立つ岩の巨塔の上に着地すると左手の剣でツクスの動きを止め、右手の剣を振り上げた。

「このまま、最後のコアを頂く!」

 レッドドラゴンの剣がシルベの動きに呼応するように大きく振りかざされた。

「レッドドラゴンはトリプルシンボル! これでおしまいだ!」

「……」

 ツクスは観念したようにカードを持っていた手を下した。

「ライフで受ける……」

「くらええぇええぇぇええぇぇえぇぇええ!」

 ツクスの身体を斬り裂いた。

「俺の勝ちだぁぁぁああぁああぁぁあああ!」

「悔しいなぁ……やっぱり」

 ライフが全て破壊され、ツクスは倒れ、フィールドから消えた。

「これが俺の勝利の道しるべだ!」

 

 

 バトルを終えるとシルベは疲れた顔で爺やさんに用意してもらったジュースを飲んだ。

「なかなか刺激的なバトルだったな!」

「でしょう!」

 さっき負けたことをもう忘れたようにツクスは無邪気な顔で笑った。

「これは絶対に売れると思うの! 全国のカードショップで展開して売れば、絶対にヒットすると思うんだ!」

「すでに交渉を持ち込むカードショップも決めてあります」

 爺やさんが用意したタブレットに映し出されたカードショップを見て仰天した。

「サンライズカードショップ!? 最大手カードショップじゃないか!? 確かにこれだけの大掛かりなシステムなら大手に持ち込むしかないか……」

「大丈夫! すでに君がハマッてるんだもん! 絶対に置いてくれるよ、このシステム!」

「よし! じゃあ、早速行ってみるか!」

「そうだよ! なんていったって、君はうちの副社長なんだから!」

「え……どういう意味?」

「言わなかったっけ? 今日、君をここに呼んでのは私の右腕になってもらうためなんだよ!」

「別に手伝うのはいいが、副社長となると……」

「ダァメ♪ すでにうちの会社の情報知っちゃったんだから逃がさないよ♪」

「な、なんか、ハメられたっぽいぞ」

「契約書は後でお書きください。書き方は私がお教えします」

「あ、ありがとう……」

 書類を受け取り、シルベは頭の後ろを掻いた。

(大丈夫かな、こんな勢いばかりの会社で……)

 先行きが不安になるシルベに対してツクスはなんとも楽しそうな顔をしていた。

「これから楽しくなるぞ!」

 

 

あとがき

 

 

 新連載です。

 まだ、遊戯王も終わってないのに大丈夫かなぁ?

 でも、バトスピは遊戯王ほど、ご都合主義が働かないからゲーム考えるの大変だった。

 しかし、これも楽しかったからいいか!

 ちなみに今回登場した社名を日本語に直すとある二人の男の子が現れます。

 答えはWEB拍手で!(答えがほしかったら次回のあとがきで書きます)


 
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