「あっ。トラだ…」
裡鋸商店街に商品を売りに出ていた裡鋸ガラス工房の職人・八鍬 隼は率直な感想を口にした。
彼の目の前にいるのは紛れもなくトラ。
本来はインドに生息しているはずのベンガルトラ、それもスノーホワイトタイガーと呼ばれる希少種。
そのトラがなぜかバッグを背負った姿で目の前にいるというのも妙であるが、
まず彼が一番思ったのは「トラ」という生物がここにいるということだけ。隼はしばしそのトラを見つめてもう一言。
「ん。トラだな」
「あのー、反応それだけですかー?」
「ん。目の前にトラがいるぐらいじゃ驚かないし」
「あの…少しは驚いてよ…」
会話が成立してしまっている時点で常人なら驚いてしまうはずなのだが、
どういうわけだか隼は普通にトラを相手に会話している。
目の前のトラがしゃべっているということ自体、ヘンな現象であるにもかかわらずだ。
そこへ一人の女性が歩いてきた。名は四十川 涼生、喫茶店の店主である。
「あら、隼さん。何してらっしゃるんですか?」
「トラがいたから話してる」
「へぇ、トラがねえ…」
と、二人が話し込んでいるとトラが口を開いた。
「そうなんだけど、この人全然驚かないんだよ」
「あらまあ。しゃべるトラちゃん!可愛いわねぇ」
涼生はトラが人間の言葉を話したことに反応し、目を輝かせて食いつく。
「へ!あ、あの…ちょっと!?」
「んー、毛皮もふもふっ。お名前を教えてくださる?」
「え、えと、うん。それが…野性だから名前も何もないんだよね…町の人たちからは『色が白いから』って理由でビアンカって呼ばれてるけどネ」
「じゃあ、ビアンカちゃん。ビアンカちゃんでいいわね?」
「ん、まぁ…好きに呼んでくれていいよ」
と、盛り上がっている空気のそばで、隼はタバコをふかすと、相変わらず淡々とした様子でつぶやく。
「まぁ、面白いトラだとは思う…」
「え?」
そのつぶやきにビアンカが反応する。そしてそれを見ていた涼生がにっこりと笑う。
「あら、隼さんもこの子が気に入ったんですね」
「まぁね…でも、人は襲うなよ」
「襲わないよ!!…もう、ひどいニンゲンだなあ…」
昼下がりの商店街は今日ものどかであった…。
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皆の創作キャラを1つの町に住まわせてお互いに交流をしよう! という企画です。 ★★注意!!★★ ・ご参加の際は企画内容を必ず確認してください。 (左の画像をクリックした先です) ・キャラ紹介(住民票)のラ?
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隼さんはトラがしゃべっていようが通常運転なんだろうなあきっと。
逆に涼生さんは面白いのが大好き、とのことだから…しゃべるトラとかいたら食いつきそう。
■出演
隼:http://www.tinami.com/view/657774
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