【 関羽の挑発 の件 】
〖汜水関にて〗
明朝、汜水関より数里に軍を展開。
前衛には、左から《孫伯符》、《曹孟徳》、《公孫賛》が並ぶ。
中衛に両袁家、が備える。
後衛は、残りの諸侯が陣取る。
華琳「愛紗……この先は貴女に任すわ。 上手く挑発して『華雄』…いえ、汜水関を攻略するため門を開けさせなさい!!
門が開けが、すぐ傍の軍勢が突撃して開門させ、私の部隊を突入させる……。 貴女は、敵将を討つなり捕縛するなり好きになさい!」
愛紗「言われなくても! ご主人様の前で無様に失敗する事も負ける事も出来ぬ。 必ず汜水関を抜き虎牢関を降し、『天城颯馬』に天誅を与えてやる!!」
華琳「その粋は良し! ………と言いたいけど、もし失敗した時のために約束をしましょう? 負けたら、貴女に散々断られている、私との閨へ同衾を命じます!!!」
愛紗「なっ!?」
華琳「何度も誘うけど……貴女は頷いてくれないもの。 そんなに自信があるなら断る訳ないわよね?」ニッコリ
愛紗「くっ……………! わかりました! もし汜水関の門が開かない場合は、貴女に……この身を委ねます!!」
華琳「そう……約束したわよ? 頑張りなさい!」
★☆☆
雪蓮「嫌な感じがする所ねぇ、まるで蜘蛛の糸が縦横無尽に張り巡らせてあるみたい……。 冥琳、怖いわよねぇ?」
冥琳「縦横無尽の策謀と計り知れない武を誇る将達。篭もる関も天下に名高い汜水関……か。 漢詩の一つも作りたいが…無理だな……」
蓮華「何を呑気な!! この関を落として孫呉の名声、風評を挙げるべきではありませんか!? ……思春! 汜水関に潜入を……?」
祭「ほう? 曹操陣営より汜水関に一人で出向く将とは、なかなか胆が太い…。
策殿…あの門が開いて隙があれば、侵入して構わないのじゃな?」
雪蓮「えぇ! だけど、侵入が出来たらの条件として………ね」
★★☆
白蓮「皆、すまん! 私の為に前線に出してしまって……! だが、私も漢王朝の臣、『白馬義従』の力を見せつけるぞ!」
………………って、私の出番はこれだけか?
もう少し見所を出してくれ! 私だって、私だって活躍したい!!
◆◇◆
【 挑発に怒れる者達 の件 】
〖汜水関 門前にて〗
カッカッカッカッカッ カッ!
愛紗「汜水関に篭もる『天の御遣い』の名を語る『天城颯馬』!
その者に手を貸す愚か者共!! 私は陳留州牧 曹孟徳配下にして『真の天の御遣い』の北郷一刀配下 関雲長なり!!!」
艶めく黒髪を靡かせて、重さ約82斤(48㎏)の青龍偃月刀を片手で持ち上げ、大音声で挑発する!
愛紗「『天の御遣い』の名を騙り、黄巾賊討伐で哀れな犠牲者の弁護も聞かず殺害し、此度は高祖より始まりし漢王朝を、何故に貶める?
確かに董仲穎は、『天水での治世、善政也』と聞いているが、やり方は殆ど陳留の政策と変わりない。 『天の知識』の模倣に過ぎない!
黄巾賊討伐の献策、大将軍何進との問答、天城颯馬達の御遣いの認定
全てみな作為的なものだろう! 我が主を貶めるため……!
だが、悪は栄えず!!
お前達の目的は、《中原》いや《大陸》の制圧だと漢の忠臣『張譲』が暴き出したぞ!
そして、忠臣の訴えは漢の柱となる『袁本初』様に届き、お前達に貶めされた『天の御遣い 北郷一刀』は、鳳凰の如く蘇りて、お前達に天誅を下さんと賛同した諸侯と共に立ち上がったのだ!!!」
スッ─! ドン!!
その後、偃月刀の石突きで地面を突き、構えて言い放つ!
愛紗「さぁ! 汜水関に篭もる『天城颯馬』と手を貸す者共!! 我が青龍偃月刀の錆になりたければ、来るがいい!!!」
☆☆★
霞「………………かっこえぇぇ!!」キラキラ ダッ!!
華雄「おい!? 霞、何をするんだ! ここは籠もって策を行うのだろう? お前が動いてどうする!!」
霞「はっ!? あかんあかん!! 関羽の魅力に誑かされ(たぶらかされ)てしもうた。 あれっ? 華雄は、突撃せえへんのか!?」
華雄「ん……、確かに怒りに任せて突撃したいのだが……横がな…」
霞「────────────!!」
*** ***
義弘「あの馬鹿関羽!! 颯馬の事を悪者扱いして──!!」
歳久「ひろねぇ! 確かに腹立たしいですが、ここは抑えて!」
家久「そうだよ! ここに居る兵の数は約一万。 向こうは十五万! いくら武名名高い『鬼島津』でもやられちゃうよ!!」
*** ***
信廉「……姉上、私を止めないで下さい! あの女に仕置きをしてあげないと、自分の立場を分からないようですので……!!」
信玄「信廉、私も手伝い…いえ、直々に引導を渡してあげましょう!! 侮るのにも程があります!!」
昌景「御館様、信廉様! ここは堪えて!! 颯馬達の策を台無しにするおつもりか!?」
*** ***
謙信「────────すまん!!」ダッ!!
義久「駄目ぇ! 行かせません!!」ガシィ!
謙信「頼む、離してくれ!! 軍師殿の…颯馬の半生を知らぬとはいえ…余りにも蔑ろ(ないがしろ)にする関羽を……許してはおけん!!! 」
*** ***
俺は、静かに耐える。
軍師なら如何なる事にも冷静になって、策を構築しなければ……。
だが……俺だけでは無く…苦労を共にした仲間達や精一杯自分の役目を果たされた月様を侮辱されて、許せるわけが……!!
義輝「……颯馬、お主の気持ちは…よくわかる。 だから……」
───ダッ!!
──────ヒョッイ!
義輝が、俺の横を通り抜けて、関から関羽の元へ飛び降りた!!
通り抜けるときに、言葉を残して…………
『わらわが、皆の代わりに溜飲を下げさせてやろうぞ!』
◇◆◇
【 竜の逆鱗に触れし者 の件 】
〖汜水関 門前にて〗
愛紗「──────────────!?」
ストッ─!
義輝「すまなんだ、待たせてしもうたか?」
……あの、高い壁より飛び降りただと………!?
私は目を見張り、その者を見た。 私より少し年上の美女だ……。
だが、中身は────『鬼』なのか『修羅』なのか!?
覇気と闘気と怒気が混ざり合い、渾然一体と化した『何か』が動こうとしている…! このままでは……気が飲まれる!!!
愛紗「貴女は『何者』なのだ!!!」
普段より大声を上げて、その『者』に問い掛ける。 いや、大声を出さないと、自分を見失いそうになる────!
義輝「そなたが言っていた『偽の天の御遣い』よ! 関羽!」
愛紗「戯れ言を! 将であるなら名を名乗れ!!」
義輝「……我が名は『足利義輝』! 世に謳われし『伏竜の軍勢』の大将よ!! 我が軍師を貶める痴れ者を罰しに推参したのだ!」
愛紗「なっ!?」
義輝「わらわ達や颯馬を愚弄したが、いざ対峙してみれば、早くも逃げ腰か……他愛もない。 そんな武を捧げられた『真の御遣い』殿が可哀想であり哀れであるな………」ヤレヤレ
愛紗「………ぐっ!!」
義輝「それに、わらわ達は民の幸せを目指すため、良いと思えば模倣でも良いから取り入れる。 矜持だけでは民は幸せには…ならん!」
愛紗「だが、お前達の策で我らは……!!!」
義輝「戯けか、そなたは!? 謀略戦に負けて卑怯と声を挙げるのなら軍師や策などいらぬ! 寝言は寝てから言うものだぞ!! 」
私より少し背が高いこの将は、蔑むように憐れむように、見下した!
ブチィ!!
愛紗「ウオオオォォォォ────────!!」
私は、我を忘れて突っ込んでいった───────!!!
◆◇◆
【 周りの反応 の件 】
〖汜水関 各陣営にて〗
あの美女が『足利義輝』?
愛紗の様子が心配で伺っていたら、上から降ってきた?!
塚原卜伝より『一ノ太刀』を授けられたという剣聖将軍。 俺の知る中でも、個人戦なら戦国時代の上位に加わる強者のはず。
華琳「一刀! あの『足利』っていう女も─────?!」
一刀「…………うん。 『伏竜の軍勢』の大将で、天の国の王だ…」
華琳「━━━━━━━━━━━━━!!!!」
春蘭「何だと! 『どうせつ』より強いのか!!」
一刀「間違いない!」
俺が黄巾賊討伐で天城様に問いただされた質問の答え。
『 颯馬「私の世界では、『足利義輝』様だ!」 』
日本を統一して、尚且つ史実では互いに相反し、仲間にならない武将達を率いて、こちらの世界に来る程だ………。
一刀「 愛紗! 無理するな!!」
俺は、ただ虚しく呼びかけるしかなかった─────
★☆☆
蓮華「…………………………………」ボー
雪蓮「…………蓮華、大丈夫?」
冥琳「蓮華様には、刺激が強かったか……」
祭「これも、王になる者の試練だろう」ウムウム
蓮華「み、皆はアレを見て、驚かないの────!?」
雪蓮「もう少し壁が低ければ、私にも出来るわよ!」
蓮華「姉様は自重して下さい!!!」
冥琳「………だが、はっきり言って驚異だ。 配下も配下だが将も将だ。 この人数、あてにしていると負けるな………」
★★☆
斗詩「文ちゃん、前が何だか怖いんだけど………」
猪々子「斗詩ぃ~心配するなよ。 アタイが絶対守ってやるから! それで、この戦いが終われば結婚しようぜ!?」
斗詩「ぶ、文ちゃん、何、馬鹿なことを!」
麗羽「いい事じゃないですの! 私が相国になれば、宮廷で立派な式を上げてあげますわよ?」
斗詩「姫! 宮廷を場違いな事に使わない! 文ちゃんも!!」
◇◆◇
【 関羽 遊ばれる の件 】
〖汜水関 門前にて〗
相手は未だに腰の得物を抜いていない。 だが、対峙したからには容赦などせん!
愛紗「でえぇぇりゃゃああぁ!!」 シャァーン!
猛速で間合いに入り、目の前に佇む将を袈裟斬りで斬る!
『 斬 』 ────────!
だが、虚しく空を斬っただけ。 一撃で仕留めれるとは思えない。
後ろに後退すれば突けば良し、左右に避ければ刃を返して横一文字で斬れば良い。
……と思い前を見れば、居ない!? どこへとキョロキョロすると…
義輝「隙あり─────────じゃ!!」
バチン!!
愛紗「きゃあ!!」
頭を何かで『叩かれた』………? あれ? 血が出てない?
義輝「関羽よ! そんな事でわらわを倒すなど笑止! わらわの得物など使ったら得物が泣くでな。 そちなどこれで充分じゃ!」
いつの間にか、後ろに回り込まれて叩かれた! こっちは真剣勝負なのに、貴様は遊んでいるだと!!!!
くぅぅぅ~~~、しかも、ご主人様の前で馬鹿にしてぇぇ──!!
愛紗「でえええぃぃぃ─────!」
義輝「まだまだ─────じゃ!」
バチン! バチン!
愛紗「うきゃぁぁぁ!!」
か、顔が! 痛ぅぅぅ!!!
思わず顔を抑えてうずくまる。 うぅ……痛くて涙がぁぁ!!
義輝「これは、なかなか効くではないか! 『ツッコミの神器』だと霞より聞いていたが、非常に面白いのぉ!!」ニヤニヤ
私が泣いているのを満足そうに眺めると、口調を変えて話だした。
義輝「…人の世に浮き沈みあり、昇る時あれば落ちる時もある! そなたの未熟さを棚に上げ、人の幸福を羨むなど童より達が悪い!
わらわも、今はこのように自由に動き回れるが、それが出来るようになったのも数年前からじゃ!
それまで屋敷の中で閉じ込められながら、命を狙われながら育ったのじゃからな!! 」
淡々と話をする将。 私は痛みを忘れて聞いていた………。
義輝「『伏竜の軍勢』の将達は、全員それなりの暗い過去がある。 それを『天城颯馬』が気付き救ってくれた。
そのため、皆が天城のために動くのだ! 恩義を越えて!!
関羽! そちが御遣い殿を『想う』理由と同じように、わらわ達もな!」
シュッ───────────ン
バチン!!
麗羽「何をしていますの!? 今が好機! 突撃なさい!!」
私達の一騎打ちが終了したと判断された様子で、袁本初様の怒声が聞こえる。
先程の音は、袁家の兵から放った一本の矢。 その矢を敵将『足利』が持っていた『神器』で打ち払った音。
ギイイィイイィ──────!!!
───────と同時に、汜水関の門が開く!!!
信玄「義輝公、早く中にお入り下さい! 後は私達が!!」
信廉「武田軍、右側の孫策軍を相手取ります! 急げ!!」
昌景「皆、儂に続け!!!」
☆☆★
謙信「上杉軍! 左側の軍勢に対陣する! 相手は名高い『白馬義従』だ、気を引き締めてかかれ!!」
☆★★
義弘「よーし! 島津軍中央に……て、あれ? あそこの将旗って『北郷家』の家紋に似ているよね? 」
歳久「何を今更! 十字紋の北郷で誑しなら、間違いなく島津分家の『あの』北郷家血筋の者でしょう! 」
家久「二人共、話し込んでないで早く、早く! 後ろが詰まっちゃうよ!!」
義弘「あっ、ごめんね! それじゃ中央に進行!!」
★★★
義輝「何とも勇ましい事だ。 関羽よ! 次の戦に会えれば会おう! まだまだ、そちには償って貰わなければな!!」
先程の軍勢から上手く免れた関羽は、赤くなった顔に涙を滲ませ叫ぶ!! 『今度は、今度こそは、目にものを見せん!!!』と。
わらわは、そんな関羽に苦笑しつつ、背を向けて汜水関の門を入る。
………待っていたのは、めったに怒らない颯馬の怒気に満ちた姿。
颯馬「義輝『様』! あんな高い壁より飛び降りて、一人で対陣とはどういう了見ですか? 後でタップリと問い詰めさせて貰います!」
ははは、ちと、無茶し過ぎたか…。 この戦が終わった後が怖いの…
◆◇◆
【 各々の対陣 の件 】
〖汜水関 初戦にて〗
武田軍…三千 孫策軍…五千
祭「ほう、良き動きじゃ。 隙がないの……」
雪蓮「………小さい身体に似合わない覇気と闘気を持つわね!?」
冥琳「あぁ、油断は出来ない! 牙門旗に『風林火山』を揮毫するとは並みの将ではないだろう! 全軍…一丸となり守りを固めろ! 」
穏「そうですね~、まだまだ緒戦ですから~! 『方円』の陣を取りつつ被害を抑えて、反撃しましょうね~!!」
ーーーーーーーーーーーーー
信玄「…………………………………!!」
信廉「…………………………………!?」
ジィ────────!!
信玄「信廉……私達を挑発するかの如く、胸が異常に発達した将達がいる軍勢………あれが孫策軍で間違いありませんね?」
信廉「全体赤色の装束、『孫』の牙門旗! その通りです、姉上…」
信玄「全軍! 『鼎足』の陣を展開、『竹束』を全面に押し出しつつ孫策軍を圧迫せよ!」
信廉「承知しました! 信廉隊! 前面に移動!」
昌景「承知! 我が隊は基本遊軍として行動、万が一の時、御館様の指揮に従え!」
☆☆★
上杉軍…三千 公孫賛軍…一万四千
謙信「………敵と言えど、将といい兵といい、皆良き顔をしている。 だが、我が身命に代えても、ここは通さん!!」
白蓮「……ははは、可笑しいな。 『天の御遣い』にそんな事言われて、もの凄く嬉しく思うなんて………」
謙信「フッ、良き将を誉めるのに敵味方など無し!
全軍! 防御を固め方円の陣を取れ! 隙あらば『車懸りの陣』を仕掛けるため、その準備を怠るな!」
☆★★
島津軍…三千 曹操軍…一万二千
華琳「そこの勇猛なる将よ! 私の名は『曹孟徳』! 貴公の尊名を拝聴したい!!」
★☆★ ★☆★
家久「ボソ(えぇ!! 魏の曹孟徳が目の前に! た、大変、失礼ないようにしなきゃ!!)」
義弘「ボソ( …としちゃん、なんて言えばいいの?)」
歳久「ボソ(普通通りに姓名を名乗ればいいですよ。生国を名乗っても、この世界では分かりませんし………)」
★☆★ ★☆★
義弘「えー、わ、我こそは、『島津義弘』と、申します……」
家久「ひろねぇ、最後までしっかり名乗らなきゃ駄目だよ!」
義弘「だって、恥ずかしいし………」
華琳「貴公が、天の国で名高き『鬼島津』でよろしいか!?」
義弘「うえぇぇ!? 何で『鬼島津』の異名、知ってるの!?」
華琳「こちらの『天の御遣い』が、貴公と関わりがあると言うので、念のため拝聴したのだ! 」
歳久「…こちらも、其方の『御遣い』は、我が島津に関わり深い北郷家の者で間違いないと、確信しています」
華琳「…………理由を尋ねても?」
歳久「牙門旗に描かれた家紋と思われる印、噂に聞く誑しの本領、御遣いの『北郷』姓。 どう考えても我が生国の『北郷』家の血筋の者としか思えません!」
華琳「……だ、そうよ? 一刀。 あなたのその誑かしの才能は、祖に当たる方よりの血筋のようね」
一刀「……orz 」
義弘「そ、その前に、アナタなのね! 『鬼島津』の異名を出したのは!?」
一刀「は、はい! 俺がそうです! ………もしかして、貴女が『鬼島津』の島津義弘?」
義弘「そうよ!! 悪かったわね、こんな鬼みたいに可愛げのない女で!!!」
一刀「いや、逆。 こんな可愛い顔に細い身体で、よく『鬼』の付く勇猛振りが出来るのかと思って感心していたから…………」
義弘「なっ────────────!」
家久「良かったね、ひろねぇ。 颯馬お兄ちゃん以外にも可愛いと言われて! でも、北郷家の血筋だよね。 これって……」
華琳「さて、話はお終いにしましょう! それでは、戦を開始…!」
ドオオオォォォ─────ン!! バッシュン!
◆◇◆
【 汜水関 初戦結果 の件 】
〖汜水関 曹孟徳の陣にて〗
急に……俺の足下の土が跳ねた!!
同時に、汜水関より大音声が響き渡る!!
信長「我は、董卓軍陣営『第六天魔王 織田信長』だ!!
両陣営に告ぐ!! 両陣営共に対陣を解いて引け!! もし引かねば……反董卓軍の盟主『北郷一刀』を殺す!!!」
ええぇぇぇ──────!? 織田信長まで!!!
華琳「一刀、今の兵器って何なの? この射程圏内で弓より早く、矢よりも小さい物が襲ってくるなんて……この国にはないわ」
一刀「あれは、『火縄銃』と言う天の世界の兵器だ。 俺の世界では遥かに旧式の武器だが……殺傷能力は弓より高い!!」
華琳「……………伝令! 袁本初副将に対陣を解くように伝えて!」
伝令兵「はっ!」
一刀「……………………華琳」
華琳「勘違いしないで頂戴。
今は情報が少ないし、対陣している董卓軍陣営の将も異質。 このまま行けば、被害は前面に集中して、両袁家と他の諸侯が得をするだけ………
そもそも関雲長の挑発を利用して、門を開けた時を狙っていた策が失敗したのだから、仕切り直ししなければ……」
丁度、袁本初よりの返事をもらった伝令も戻ってきて、『承諾』との事を受ける。 それを受けた華琳は、各諸侯に通達を送る!
華琳「それでは、ちょっと島津と話をしてくるわ!」
春蘭「華琳様、私もぜひ! 先程は『鬼』をよく見れませんでしたので、今一度顔を改めたいと………」
秋蘭「念の為、私も………」
一刀「俺も行った方が良いな。 盟主だし……」
華琳「好きになさい! それでは行くわよ!? 桂花、少しの間ここをお願いね」
桂花「はい! お任せ下さい! …北郷、アンタは帰って来なくてもいいから───」
一刀「俺は、反董卓連合の盟主だ! 逃げたら華琳や桂花達に迷惑かけるだろう? そんな事しないよ!」
桂花「………………ふん! ………北郷のくせに………」
★☆☆
義弘「残念ながら、撤収のようね……」
華琳「あら? 私が貴女に申し出さなくても判るの?」
義弘「あのねぇ~、軍の大将が護衛数人連れてノコノコ来るっていうのは、受け入れたとしか考えられないじゃない!!」
家久「ひろねぇ~、言葉改めて!「あぁ、ごめんなさい!」謝るのは向こう!!」
義弘「………ごめんなさい。 失礼な口をきいて………」
春蘭「全く! 華琳様に無礼な口を「春蘭! 黙りなさい!」…申し訳ありません!!」
華琳「いいわ、双方敵同士。 今更改めなくてもいいわよ?」
家久「えーと、すいません! 私、『島津家久』と申します。 曹孟徳さんの横にいる方は、もしかすると夏侯元譲さん?」
秋蘭「私は妹の夏侯妙才だ。 『夏侯元譲』はこっちだ!」
春蘭「私が夏侯元譲だ!!」バーン!
家久「あれ? 性格が反対のような………? 」
一刀「………この世界、元の三国志と違うみたいでね。 あっ! 申し遅れた『北郷一刀』と申します! よろしく家久さん!」
家久「………………………」ジィィィィィィ
一刀「……なんか、拙い事、言ったかな…………?」
家久「うん! よろしく『一刀お兄さん』!」
家久以外「なっ!」「い、いえちゃん!?」「一刀?」「おい!」「やれやれ」「家久……」
家久「どう見ても、時久お兄さんと同じ、北郷家の者だと分かるから、同じように呼んでもいいかな……と思って………」
一刀「……誰だか分からないけど、俺で良ければいいよ!」
家久「うわぁーい、ありがとう!!」
歳久「妹や姉が名乗ったのに、私が名乗らないのは変ですね。 『島津歳久』と申します」
──〖それぞれ自己紹介(華琳達は真名は預けず)〗──
華琳「……さて、もう少し話たいけど、『織田』とやらに伝えて貰いたいの。 私達はこれで一度引く…だが、引くのはこの戦いのみ!
明日には、あの汜水関を落とすために、攻め寄せるから覚悟するようにと!!」
歳久「なら、汜水関、虎牢関の守備する『天城颯馬』よりの託された言葉を渡します! もし、顔合わせした将がいたら、伝えて欲しいと言われましたので…………」
『我らに罪は無し。 話し合いで済むなら席を準備しよう。 戦で来るなら来るがいい! 叩き潰してやる!!』
華琳「わかったわ! 私達の答えは『戦にて、その回答を返そう!! 覚悟するがよい!』 と伝えてもらえば……」
歳久「わかりました。伝えましょう!」
*************
董卓軍は撤収を開始、その撤収時に攻めるべしとの進言が幾つかあったが、北郷、曹猛徳、袁本初は動かなかった。
汜水関には、此方を伺う赤色に近い色彩の髪を持つ将が、嘲笑いながら見ている。 すぐ傍に煙が棚引く筒を持つ将が…………。
汜水関の門が閉まると、やっと二人が消えて…関係者は安堵した。
そして、明日の戦に意欲を燃やす! 必ず関を抜く事を誓いながら。
◇◆◇
【 各陣営のその後 の件 】
〖汜水関にて〗
★☆☆
麗羽曰わく
『流石に名高い将達が守る関。 簡単に落ちてはくれないですわね………。
ですが、その関を落とせれば、袁本初の名が上がり、今は不満な姿勢を見せる諸侯を従えるべき実績になるはず
次は、私が出る事を華琳さんに言いましょうか? 美羽さんにも出てもらえば完璧ですわね!! おーっほっほっほ!! 』
★★☆
雪蓮「うぅ~! 燃えたりない、殺したりない、暴れたりないー!
冥琳!! 相手して頂戴!!! 」
冥琳「馬鹿! こんな時に例の症状を出す奴が!?」
蓮華「……冥琳、ごめんなさい!!!」 ダッ!
祭、穏、思春「儂は酒で憂さを晴らすか…」「明日のお仕事任せて下さい!」「蓮華様の守りがありますので…………」ダッダッダッ!!
冥琳「─────逃げるな! 逃げるなら… ガシィ!「冥琳♡」」
雪蓮と冥琳の居た天幕は、厳戒体制になっていたという。
★★★
華琳「愛紗? あの時の約束は覚えているわよね……」クスクス
愛紗「…ヒッ! お、覚えていますとも!」
華琳「それでは、今夜は私と同衾を「お待ちなさい!」…麗羽!?」
麗羽「華琳さん! 貴女は策を実行して、私に汜水関を落とす約束を致しましたが、結局不首尾に終わった事、相違ありません事ですわね?」
華琳「私は、別に麗羽と約束した事はないわよ!」
麗羽「ですが、部下に罰を与え上官に罰を与えないというのは、片手落ちです。 そ・こ・で・この名家の私袁本初が、華琳さんに罰を与えましょう!!」
華琳「貴女が罰を? 納得出来ない場合はどうするの?」
麗羽「副将権限として、盟主の北郷一刀を我が配下に加えて、華琳さんを副将解除する予定ですわ! 信賞必罰を徹底しない華琳さんに『天の御遣い』を任せるのは、心配ですもの!」
華琳「くっ! で、罰とは?」
麗羽「関雲長との同衾を今回は禁止!
関雲長には今回は同衾を禁止しますが、次回の戦には、この私達を驚愕する活躍を見せないと、華琳さんの同衾を許可します!! 」
華琳「なっ!!!」
愛紗「ありがとうございます!!」
麗羽「喜びのは早くてよ! 次回の戦には手柄を立ててもらわなければ、私達が困りますので!! ……では、これで!!」
ーーーーーーーーーーーーー
一刀「ありがとうございます! 袁本初様!」
麗羽「ふん! まぁ、華琳さんの困る顔が見えましたから良いですわ………。 ただ、貸し一つですわよ?」
一刀「えぇ、必ず返しますから。 助かりました!」
麗羽「……『御遣い』さん? あの子は、そんなに大事な子ですの? 貴方が貸しを作って守る程の………?」
一刀「大事な仲間の一人ですから……!」
麗羽「そう………………………」
★☆☆
三太夫「天城の旦那、この竹簡を各陣営に置けば良いんだよな?」
颯馬「そうだ、主に兵士の居る所々にコレ、竹簡に名前があるのは、その陣営の将の居る天幕に置いてくれ! 頼むよ!!」
三太夫「了解! 行ってくる!!」スッ
さて、いえちゃんの策どうなるかな?
『お前の秘密を知っている』と書かれた竹簡。
俺も、幾つか見た竹簡に筆で加筆してみたが……………
どうなるか見物だな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
mokiti1976-2010様 ネタを使わせていただき、ありがとうございます。 次回こそは、ご許可いただきましたモノを書かせていただきます。
あと、補足を。
今回、武田軍が使用しました『鼎足』の陣形ですが、実際江戸時代の書物に書いてある陣形です。
鼎が三本の足を持つため、陣営を三つに分けてそれぞれが連携して助け合う陣形だそうですので、使用して見ました。
義輝様の武器は、天水の章で出てきました『ハリセン』
です。 そちらを見ていただければわかりますので。
連合軍に対する策第一弾がこれで発動します。
どういう結果になるかは、次回へ。
また、よろしければ読んで下さい。
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義輝記の続編です。誤字脱字が多いかもしれませんが、よろしければ読んで下さい! 2月10日に一部修正しました。 一部、2月14日に修正しました。